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知識社会マネジメント9_0609

Hajime Sasaki
June 10, 2022
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 知識社会マネジメント9_0609

Hajime Sasaki

June 10, 2022
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  1. 知識社会マネジメント 佐々⽊⼀ Hajime Sasaki Ph.D. 特任准教授 東京⼤学 未来ビジョン研究センター Innovation management

    in the knowledge society 6⽉10⽇ 第9回 シビックテックと 地域課題解決の⺠主化
  2. lͱ͔͘ࢲͨͪ͸ɺ੓෎ʢ࣏ࣗମʣͱ͍ ͏΋ͷΛҰछͷࣗಈൢചػ˞ͷΑ͏ͳ ΋ͷͩͱߟ͕͑ͪͩɻ ੫ۚΛ౤ೖ͠ɺಓ࿏΍ڮɺපӃɺফ๷ɺ ܯ࡯ͳͲͷߦ੓αʔϏεΛऔΓग़͢ɻ ͦͯࣗ͠ಈൢചػ͔Β๬Έͷ΋ͷ͕ग़ ͯ͜ͳ͍ͱจ۟Λݴ͏ɻ ࢲͨͪ͸ࢢຽࢀՃͱ͍͏΋ͷΛɺͳͥ ͔ͩࣗಈൢചػΛ༳͞ͿΔ͜ͱͱಉҰ ࢹ͢ΔΑ͏ʹͳͬͯ͠·ͬͨɻz

    Gov 2.0: It's All About The Platform, https://techcrunch.com/2009/09/04/gov-20-its-all-about-the-platform/ Tim OʼReilly ※「⾃動販売機型政府」の概念⾃体 は⾏政学者ドナルド・F.ケトルに よるものが起源。
  3. 社会課題は制度の狭間にあるロングテール • 福祉、交通、教育etc︓変化していく社会、増える課題の数と種類 • ⾼齢化、少⼦化 → 税収減、⼈員減 ⽩川展之, シビックテックの実践とオープンサイエンスの公共政策, より抜粋

    ※ • 提供されるサービスのメニューが予め全て決まっている。 • ⾃分の製品を⾃販機に⼊れてもらえるベンダーは限られている。 • その結果、利⽤者の選択肢は限られ、価格も⾼い。 ⾃治体の既存ビジネスでのサービス 「⾃動販売機モデル※ 」で対応するには限界がある。
  4. ⾃動販売機から市⺠政府へ Input 税⾦ 政府 (地⽅)⾃治体 Output ⾏政サービス (橋、道路、 警察、消防 etc.)

    不満があれば、叩く、揺さぶる 抗議活動 政府 (地⽅)⾃治体 市⺠ ⾃販機モデル 市⺠政府 Input 税⾦ Output ⾏政サービス 稲継裕昭 編著, シビックテックより⼀部改変
  5. 活動︓ • フェローシップ︓⾏政⾃治体への派遣 • ブリゲード︓ 各⾃治体におけるコミュニティ活動 • スタートアップ︓ 起業家への助成⽀援 •

    ピアネットワーク︓成功事例の横展開 • 国際活動︓ Code for All 派遣都市 成果 シアトル、ボストン、フィラデルフィア 学校進学選択マップ、犯罪歴消去 シカゴ、デトロイト、ニューオリンズ他 311プロセス⽀援、バス通知システム サンフランシスコ、ラスベガス他 コミュニティヘルスシステム アトランタ、デンバー、チャタヌガ他 オープンデータ活⽤、エコシステム サマービル、インティアナポリス他 教育⽣徒⽀援、故郷安全情報提供 フェローシッププログラム成果例 Mission︓ ”21世紀における市⺠による市⺠のための政府”の実践
  6. Delivery-driven goverment Deliver driven goverment の原則 1. ユーザニーズを理解し、ユーザに合わ せる。 2.

    何年も経った統計データから推測する のではなく、リアルタイムなユーザ データをもとに考える。 3. 意図してから、実装されるまで、反復 的に開発を⾏う。
  7. 伽藍とバザール (Eric S. Raymond, The Cathedral and the Bazaar, 2007)

    •伽藍(⼤聖堂)⽅式︓ •⼀部の開発者のグループ内で開発が⾏ われ、形になるまで外部に公開しない。 •開発の経過は基本的に部外者には⾒せ ない。 •バザール⽅式︓ •参加者を限定せず、⾃由に⾃主的に開 発を進められる。 • 「早めのリリース。しょっちゅうリ リース」 を基本とし、開発過程も公開 することにより、⽣産性を上げる。 https://cruel.org/freeware/cathedral.pdf
  8. 出典: 川⼈隆央, FixMyStreet Japanの取り組み • ⽣産年齢⼈⼝は急激に減るが、あわせて地域が狭くなるわけ でもない。街の問題も急激に減ることはない。 • インフラは⽼朽化。 •

    ⼈⼝の減少に合わせて⾃治体職員も減る。 • 問題に対応できるリソースも減る。 ⼀⽅で • 住⺠は専⾨知識はなくても⾃分の地域に起こった問題を⾒つ けることはできる。 • ⾒つけることは住⺠が⼀部にない、専⾨知識を持った職員が 道路の修繕等必要なことに注⼒できるようにする。
  9. vTaiwan(市⺠と台湾⾏政が運営するプロジェクト) • 運営主体︓シビックテックコミュニティg0v 零時政府(ガブゼロ) • ひまわり 抗議運動(2014)を契機に市⺠が⽴法のあり⽅をめぐって 政府への意⾒提案。 • 当初からのg0vメンバー唐凰(Audley

    Tang)がITデジタル担当になっ てより正式な権限獲得。 • 誰でも法規制に関する議論を提起できるプラットフォーム。 • 多様なステークホルダー (⾏政、企業、消費者)との議論 • 積極的なデジタルツールの活⽤。 • 対⽴する⽴場をあえて明らかにし、相互の考える機会を提供。 • 問題点の集約と解釈。 • ステークホルダー間のコミュニケーションギャップを埋める。 • 意思決定過程の⽂書化(市⺠オブザーバーがフォローできるよう に) シビックテックにおける市⺠参加型 プラットフォームの機能分類,⽯⽥ 聖
  10. 市⺠参加のスペクトラム(国際市⺠参加協会(IAP2)) バランスのとれた 客観的な情報を提 供することで課題、 代替案、機会、解 決策について理解 すること (政府による)分 析、代替案、また は決定について市

    ⺠からの意⾒を得 ること。 すべてのプロセス を通じて市⺠と⼀ 緒に作業し、市⺠ の懸念や要望が理 解されるように検 討すること。 代替案の作成や望 ましい解決策の特 定など、意思決定 の各局⾯において 市⺠と共同するこ と 最終的な意思決定 を市⺠に移譲する こと。 国際市⺠参加協会(IAP 2)(https://www.iap 2.org/page/pillars)を参考に訳出 シビックテックにおける市⺠参加型 プラットフォームの機能分類,⽯⽥ 聖 ウェブ ファクトシート 会議のweb cast SNS (⼀⽅⾏) Fix my street SNS (双⽅向) インタラクティ ブなweb活⽤ ワークショップ 討論型世論調査 市⺠諮問委員会 コンセンサスビ ルディング 参加型意思決定 決定の委任 直接投票 市⺠陪審制 ⼿段の例
  11. 社会課題は制度の狭間にあるロングテール • 福祉、交通、教育etc︓変化していく社会、増える課題の数と種類 • ⾼齢化、少⼦化 → 税収減、⼈員減 ⽩川展之, シビックテックの実践とオープンサイエンスの公共政策, より抜粋

    ※ • 提供されるサービスのメニューが予め全て決まっている。 • ⾃分の製品を⾃販機に⼊れてもらえるベンダーは限られている。 • その結果、利⽤者の選択肢は限られ、価格も⾼い。 ⾃治体の既存ビジネスでのサービス 「⾃動販売機モデル※ 」で対応するには限界がある。
  12. 重層的なガバナンスの下での調整⽅策 ①情報技術の利⽤ • 情報処理によって複雑性に対処する技術的解決⼿段の追求 ②評価基準の多元化 • 複数の基準と指標を受容する評価基準の設定 ③相互交渉の促進 • アカウンタビリティの責任を持つ代理⼈側とその他の⽴場の

    主体との相互交渉の促進 ④枠組規制 • 政策の与件や⽬標を遵守すべき個別⽬標を設定するのではな く、全体の枠組みを規定するルール設定、柔軟に修正・調整 を許容することでダイナミックな変動に対処 ⑤ステークホルダーのプロ セスへの参加 • アカウンタビリティを付託する依頼⼈側の政策形成・意思決 定のプロセスに参加させる参加促進 課題に対して、複雑なネットワークでマネジメント⽬標に向けた設計を⾏うための⼿段としては、次 の5つの⼿段がある。 (Klijn and Koppenjan,2014)
  13. みんなに必要なものを提供できる社会は、みんなでつくり上げな ければ実現することはない “Cities have the capability of providing something for

    everybody, only because, and only when, they are created by everybody.” Jane Jacobs, The Death and Life of Great American Cities