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好奇心に基づく研究推進や社会成果還元を見据えたデータ活用 スタートアップ情報解析と研究者ネット...

hayataka
December 17, 2022

好奇心に基づく研究推進や社会成果還元を見据えたデータ活用 スタートアップ情報解析と研究者ネットワーク解析

RA協議会 第8回年次大会 賛助会員セッションで発表した内容です。

https://confit.atlas.jp/guide/event/rman8th2022/subject/J-2-01/tables?cryptoId=

「好奇心に基づく研究推進や研究成果の社会還元を見据えたデータ活用」という共通テーマで、VALUENEX社より下記の3つのトピックを発表しました。

1. データ活用による全体俯瞰の重要性
2. スタートアップ情報解析と研究者ネットワーク解析
3. 俯瞰解析を用いた研究テーマの具体化

本資料は私が発表したトピック2の内容です。

hayataka

December 17, 2022
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Transcript

  1. 1 自己紹介 林 尚芳 | Takayoshi HAYASHI @VALUENEX株式会社 先進情報学研究所 早稲田大学大学院

    先進理工学研究科 修士課程修了後、NTT研究所、リクルートを 経て、VALUENEXに入社。現在、研究開発活動のためのデータ解析・調査プロジェクトに 従事。主なクライアントは、民間企業の研究・事業戦略部門、公的機関の調査部門等。 科学計量学、データマイニング、データとデザイン、科学技術商業化に関心がある。 ミッション:世界に氾濫する情報から「知」を創造する。 事業:データ分析・可視化SaaS、データ解析・調査のクライアントワーク R&Dインテリジェンスによって、科学技術と社会実装・事業化の橋渡しを支援したい。
  2. 4 URAのミッションとデータ活用 リサーチ・アドミニストレーター(URA)は,大学等研究機関において,研究力活性化のための分析,推進,管理,支援および利活用等の業務,いわゆるリ サーチ・アドミニストレーション業務に携わる人のことを指します。(中略)近年は,研究成果で生み出された知的財産の活用や研究の国際化に伴う安全保障 管理,研究財源の多様化に伴う多用なセクターとの共同研究など,研究を行う研究者を中心としながらも,その周辺では多様な業務が派生しています。また, 研究自体も1研究者で行う研究から様々な分野の研究者が連携して行うチーム研究,先端機器開発と連携した研究など,研究の進め方自体も大きく変化 してきています。こうした周辺領域の支援を行うプロフェッショナルがURAと言えるでしょう。 ※ RA協議会 使命と役割

    https://www.rman.jp/ura/mission.html 研究環境の変化を見定め、研究機関の研究力活性化させること。民間企業でいえば、経営企画・研究企画部門に相当。ただし、大学の 研究マネジメントは、ビジネスを成功させるための研究開発といった民間企業とは異なる。ビジネスといった明確なゴールがない、むしろ、複数 ある中で(研究、教育、技術移転、ベンチャー等)、研究者の好奇心ドリブンな研究を扱っていくことが、難しいかつ面白いのではないか。 多様なゴールを見据え、科学技術周辺動向を捉えるためには、質の異なる多様な情報源にアクセスし、活用できる術が必要なのではないか。
  3. 5 ビジネス、テクノロジー、サイエンスといったレイヤーで質の異なる情報源が存在 スタートアップ 他:ニュース、有報等 ビジネス 特許 他:Technology Offers、 技報等 テクノロジー

    論文 他:研究助成等 サイエンス 企業の事業内容、資金調達状況、 投資家、創業者・チーム等 技術内容、発明者、出願人、引 用、技術分野等 研究内容、研究者、所属機関、 引用、研究分野等 ・関心分野のビジネス上の広がり把握 ・資金調達状況の把握 ・アカデミアのアセット移転の可能性 ・VCと研究者のマッチング 等 ・民間企業の興味関心 ・技術移転先、共同研究先の探索 等 ・自組織の研究者の成果インパクト把握 ・研究競争環境の把握 ・研究者コラボレーション、エマージングプレ イヤー探索 等 情報源 レイヤー 内容 活用案 本セクションでは、スタートアップ情報活用と、研究者ネットワーク情報活用(論文)について紹介する。
  4. ⿇抽出物 美容 ⾷品 カラダ(フィットネス等) ココロ(瞑想等) 対象者別ケア 治療・医療・ バイオ 10 Wellbeing関連スタートアップの俯瞰:自分たちの視野角のチェック

    Wellbeingは、「治療・医療・バイオ」、「美容」、「食品」、「対象者別ケア」、「麻抽出物」、「カラダ」、「ココロ」といった領域から構成される。自 分たちが想定していた「Wellbeing」の広がりとどのような共通点・相違点があるか? 対象データ • Crunchbaseに登録されているWellbeingやWellnessをDescriptionに記載があ る企業または、wellness業界の企業(2021.5時点で9,848社) • DescriptionとIndustriesのテキスト情報を使い、VALUENEX Radarで可視化
  5. 15 大学等研究機関の移転できるアセットを広く捉える • 大学等研究機関には、優れた研究成果による技術・知財だけでなく、人材(教授、学生)や施設といったものも重要なアセットだと考えられる。 移転ポテンシャルのアセットを広く捉え、機会を探索することも重要ではないか。 • 例えば、University of Torontoでは、Creative Destruction

    Labというテックスタートアップを、ビジネススクールの学生や、大学の教員が支援す るプログラムがある。また、最近日本でも、早稲田大学ビジネススクールでも、科学技術商業化プログラムを実施している。 ※CDL https://creativedestructionlab.com/program/ ※WBS https://www.waseda.jp/top/news/69656
  6. 17 Wellbeing関連スタートアップの俯瞰:活発な投資家 投資回数が多い投資家上位5を示す。起業も考えている研究室を大学からVCにアピールする、といったアプローチもありえるかもしれない。 投資家 概要 所在地 投資回数 EU Executive Agency

    for SMEs EASME is the European Union executive agency for SMEs in charge of Enterprise Europe Network, COSME, and other programs. Belgium 25 Venture Kick Venture Kick is a private, philanthropic initiative that provides pre-seed funding to entrepreneurs from Swiss universities. Switzerland 25 Y Combinator Y Combinator is a startup accelerator that invests in a wide range of startups twice a year. United States 24 SOSV SOSV is a multi-stage VC firm with $1.3B AUM focused on human and planetary health and operating HAX, IndieBio, Orbit Startups and dlab. United States 23 Technology Development Fund The Technology Development Fund is Iceland’s most active early stage financier of research and development projects and startups. Iceland 18 Innovate UK Innovate UK holds funding competitions for businesses and research organizations in sectors, including emerging technologies. United Kingdom 13
  7. 20 ネットワーク指標を用いた研究者フェーズ推定 ノー ド (例. 研究者) エッジ (例. 共著関係) ネットワーク構造上での重要性指標

    ①最も繋がりが多い研究者 ②グループ間を繋ぐ研究者 ③皆と平均的に近い研究者 等 論文の共著ネットワークを作成すると、各ノード(研究者)の重要性指 標を計算することができる。どの観点で重要と見做すかによって、 様々な指標が存在する。 フェーズ推定 実績指標とネットワーク重要性指標トレンドを組み合わせると、研究 者のフェーズを推定しながら、目的に合った研究者を探索する。
  8. 26 まとめ 多様なゴールを見据え、科学技術周辺動向を捉えるためには、質の異なる多様な情報源にアクセスし、活 用できる術が必要なのではないか。その一例として、スタートアップ情報、研究者ネットワーク情報(論文) の活用について紹介した。 課題認識 下記のような問いを検討する上で有用なのではないか。 • 自分たちが関心のあるテーマは、スタートアップ情報で見ると、どのようなビジネスの広がりがあるのか? •

    資金調達が集まっているような将来市場として期待されている領域はどこか? • 大学発ベンチャーを立ち上げるとしたら、どこが競合になるのか? • 大学等研究機関のアセット(技術、人材、施設等)を提供することで、成長をブーストできるスタートア ップはいるか? • 関心テーマにおける注目投資家は誰か?研究者とマッチングできる可能性があるか? スタートアップ 情報 研究者フェーズ推定(大御所、リーダー、エマージング)や研究コミュニティ構造の把握によって、チーム研究 の促進(チーム組成やテーマのアイディエーション等)に活かせる可能性があるのではないか。 研究者ネット ワーク情報