Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
新・レセプション成功率の妥当性の検討
Search
HQ_VASIS
March 30, 2024
0
140
新・レセプション成功率の妥当性の検討
日本バレーボール学会 第23回大会(2018/03/18)
一般研究発表 演題番号 No. 3
作成者|佐藤 文彦
HQ_VASIS
March 30, 2024
Tweet
Share
More Decks by HQ_VASIS
See All by HQ_VASIS
hq_vasis 第24回配信 プレゼン用スライド
hq_vasis
0
11
hq vasis 第23回配信 プレゼン用スライド
hq_vasis
0
18
1stテンポで攻撃参加するアタッカー人数がアタックの成績に与える影響 ならびに ファーストタッチの返球位置との関係
hq_vasis
0
11
中国女子のリオ五輪金メダル獲得の理由を戦術面から検証する ~「2mの長身選手がいたから優勝した」は本当なのか? ~
hq_vasis
0
12
hq vasis 第21回配信 プレゼン用スライド
hq_vasis
0
32
hq vasis 第18回配信 プレゼン用スライド
hq_vasis
0
60
hq vasis 第17回配信 プレゼン用スライド
hq_vasis
0
44
無回転系のボールが何故変化するか?
hq_vasis
0
92
アタックの攻撃参加人数から見る攻撃の構成に関する検討 〜 2014年世界選手権男子決勝 ブラジル-ポーランド戦 ブラジルチームのデータから〜
hq_vasis
0
30
Featured
See All Featured
Imperfection Machines: The Place of Print at Facebook
scottboms
267
13k
Navigating Team Friction
lara
183
15k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
34
3.1k
Thoughts on Productivity
jonyablonski
69
4.5k
Speed Design
sergeychernyshev
27
810
How To Stay Up To Date on Web Technology
chriscoyier
790
250k
CSS Pre-Processors: Stylus, Less & Sass
bermonpainter
356
29k
Become a Pro
speakerdeck
PRO
26
5.2k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
11
1.3k
The Invisible Side of Design
smashingmag
299
50k
A Tale of Four Properties
chriscoyier
158
23k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
461
33k
Transcript
ຊόϨʔϘʔϧֶձୈ ճେձ Ұൠݚڀൃදԋ൪߸ /P ৽ɾϨηϓγϣϯޭͷଥੑͷݕ౼ ˓ࠤ౻จʢגࣜձࣾ %&-5"ʣ ʙ"ɾ#ɾ$1BTT
ͱϨηϓγϣϯɾΞλοΫͱͷ͔ؔΒʙ
2017/18シーズンよりレセプションの集計方法が変更 ・成功(優) → A Pass相当 ・成功(良) → B Pass相当 ・失敗
→ C Pass相当 成功率(%)=((成功[優]×100)+(成功[良]×50))/受数 この計算方法は,以下のような意味を持つことになる ◦1本の[良(B Pass)]は[優(A Pass)]の半分の価値である この設定は妥当なのだろうか?
レセプションの目的=レセプション・アタックでの得点 (=1st Sideoutの獲得) A・B・C Passの価値は,この目的への影響の大きさから 評価することができる 本研究の目的 A・B・C Passのレセプション・アタックに及ぼす影響を 検証し,新・レセプション成功率の妥当性を検討する
レセプション・アタック A Pass B Pass C Pass
方法 対象 Vリーグ2017/18シーズン レギュラーラウンド Vリーグオフィシャルサイト Vスコアよりデータを収集 レセプションの正確性 ・サーブレシーブ成功(優)→ A Pass
・サーブレシーブ成功(良) → B Pass ・サーブレシーブ失敗→ C Pass アタック結果 ・決定(Kill):アタック成功 ・非決定(Non Kill):アタック,×アタック失敗 2017/18 男子 女子 試合 アタック 試合 アタック プレミア 82(2) 10458 84 10927 チャレンジⅠ 84 10450 63 8085 チャレンジⅡ 90 10893 45 5628 ()の値は除外した試合数
解析 以下の指標を用いたロジスティック回帰分析を行った 統計解析にはR 3.0.1 for Windows R Commander1.9-6を使用 目的変数 レセプション・アタックの結果:Kill(1),
Non Kill(0) 説明変数 A・B・C Pass:以下のダミー変数をあてた Pass ダミー変数1 ダミー変数2 A 0 0 B 1 0 C 0 1
解析 以下のモデルから,レセプションアタックの結果に対して, A Passの効果を1.00としたときの,B・C Passの効果を A Passに対する比率(オッズ比)として求めることができる オッズ比が,B Passで0.50, C
Passで0.00程度であれば 新・レセプション成功率の計算式は妥当といえる ? レセプションアタック (Kill-Non Kill) A Pass B Pass C Pass 効果1.00 ?
結果:基礎集計 決定率は 各カテゴリでA>B>Cの順となる プレミア チャレンジⅠ チャレンジⅡ
男子 女子 オッズ比 信頼区間 オッズ比 信頼区間 プレミア B Pass 0.81
0.74 ~ 0.89 0.72 0.66 ~ 0.79 C Pass 0.55 0.50 ~ 0.60 0.49 0.44 ~ 0.53 チャレンジ Ⅰ B Pass 0.84 0.77 ~ 0.92 0.71 0.64 ~ 0.80 C Pass 0.60 0.54 ~ 0.66 0.48 0.43 ~ 0.54 チャレンジ Ⅱ B Pass 0.78 0.72 ~ 0.86 0.65 0.57 ~ 0.74 C Pass 0.55 0.50 ~ 0.61 0.43 0.37 ~ 0.49 結果:B・C Passの効果 全てのカテゴリでB PassとC Passの効果が認められた (p < .01) 以下の表にB PassとC Passのオッズ比を示す
考察 分析の結果,B・C Passのオッズ比は, 男子:B Passで0.80程度,C Passで0.60程度 女子:B Passで0.70程度,C Passで0.50程度 新・レセプション成功率の計算式と比べて高い値
B・C Passを低く評価している可能性 男女ともに,チャレンジⅡではB・C Passのオッズ比が プレミアよりも低い →カテゴリによって,B・C Passの効果が異なる可能性
実用化に向けて 本研究の結果を,新指標として用いるのは尚早 ◦複数年分の分析結果との照合 ◦他の指標や勝敗との関連の検証 ◦新・レセプション成功率との実用面での比較 上記の検証をクリアして初めて実用可能な指標となる 新・レセプション成功率の計算式を支持しない本研究の 結果は,こうした検証を始める理由としては十分
新・レセプション決定率について 本研究の結果は,新・レセプション成功率の計算式に疑義 を呈するものだが,現段階でこれを否定するものではない そもそも新・レセプション成功率の成立過程が明らかでは ないため議論することすらできないのが現状である 選手やチームは,より適切な指標によって評価されるべき どちらが正しいのかではなく,より適切な指標は何か? という観点からの議論と検証が必要である 願わくは成立過程を公開してほしいのだが・・・