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第4回 インタラクティブ仲裁

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October 16, 2026

 第4回 インタラクティブ仲裁

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  1. 1.インタラクティヴ仲裁とは? 1. 概要 インタラクティヴ仲裁とは、日本商事仲裁協会(JCAA)が2019年1月1日に 新たに創設した仲裁制度をいいます。インタラクティヴ仲裁の創設は、手続 過程において当事者と仲裁人とが「対話」を行い、かつ、定額制の仲裁人報 償金とすることで、当事者の予見可能性を確保した上で、迅速に紛争解決す ることを目的としています。 2. 制度創設の背景

    仲裁手続は、一回的解決を前提とした紛争解決制度であるため、上訴によ り事実認定や結論・理由を見直すことは原則としてできません(第6回『仲 裁と裁判の比較』も参照)。この点は、仲裁制度のメリットではありますが、 仲裁人の考えが分からないことで、当事者による無用な立証活動が行われた り、不意打ち的な判断が示されるという課題が指摘されていました。 また、仲裁手続が長期化することで、タイム・チャージ制の仲裁人報償金 が高額化すること及びそれを予測できないことは、仲裁手続の利用をためら わせる一因になっていました。 2
  2. 2.仲裁廷の心証の開示 1. インタラクティヴ仲裁手続では、仲裁廷の心証が開示されるタイミングと して、①手続の早い段階での争点の提示、②証人尋問前の暫定的な見解の 提示が定められています。 2. ①手続早期における争点の提示 インタラクティヴ仲裁手続では、仲裁廷は、手続の早い段階で、当事者に対し、当 事者の主張や暫定的な争点について書面で提示し、これに対し当事者が意見を述べ る機会が与えられています(同規則48条)。これは、仲裁人と当事者が協議により

    争点を共有化することで、当事者が立証すべき事項や仲裁人が判断すべき事項を明 確にした上で、手続を進めることを狙いとしています。 3. ②証人尋問前における暫定的な見解の提示 インタラクティヴ仲裁手続では、仲裁廷は、証人尋問の要否について決定をする前 に、当事者に対し、重要な争点に関する暫定的な見解を書面で提示し、これに対し 当事者が意見を述べる機会が与えられています(同規則56条)。これは、当事者に 仲裁廷の暫定的な心証を手続中に認識させることで、当事者が主張立証活動を過不 足なく効率的に行えるようにすることを狙いとしています。また、暫定的な見解の 開示は、当事者の和解を考える契機になり得えます。 3
  3. 3.定額の仲裁人報償金 1. インタラクティヴ仲裁手続では、仲裁人報償金は、定額とされています (同規則94条及び95条)。 請求金額又は 単独仲裁人の場合 請求の経済的価値 仲裁人報償金 当事者選任仲裁人の報償金 仲裁廷の長の報償金

    100万円 200万円 300万円 400万円 500万円 70万円 150万円 250万円 350万円 400万円 120万円 250万円 400万円 500万円 600万円 5000万円未満 5000万円以上1億円未満 1億円以上50億円未満 50億円以上100億円未満 100億円以上 3名の仲裁人の場合 ※ 上記金額は、消費税を含まない。 2. このように、インタラクティヴ仲裁手続は、仲裁人報償金を定額とするこ とで、費用に関する当事者の予測可能性を高め、より利用されやすい手続 を目指しています。また、仲裁人報償金の定額化は、仲裁人に対し、より コンパクトな手続及び仲裁判断の内容とすることを促し、仲裁手続の迅速 化にもつながると考えられています。 4
  4. 4.参考文献 • 座談会 3つの新仲裁規則の理論と実務ー商事仲裁規則・インタラクティヴ 仲裁規則・UNCITRAL仲裁管理規則(JCAジャーナル2019年9月) • 伊藤眞 「紛争解決制度としての仲裁の機能向上とインタラクティヴ仲裁規 則2019ー仲裁廷の心証開示を中心として」(JCAジャーナル2019年7月) •

    柏木 昇 「インタラクティヴ仲裁規則と仲裁廷の暫定的な考え方の開示に ついて」(JCAジャーナル2019年6月) • 道垣内正人 「JCAAの仲裁制度改革について-ビジネス界のあらゆるニーズ に対応する3つの仲裁規則の紹介」(JCAジャーナル2019年1月) 5