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「サ変動詞+名詞」の複合名詞への換言

 「サ変動詞+名詞」の複合名詞への換言

大橋 一輝, 山本 和英. 「サ変動詞+名詞」の複合名詞への換言. 言語処理学会第10回年次大会, pp.693-696 (2004.3)

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Transcript

  1. 1
    「サ変動詞 + 名詞」の
    複合名詞への換言
    大橋 一輝
    山本 和英
    長岡技術科学大学
    http://nlp.nagaokaut.ac.jp/

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  2. 2
    やりたいこと
    ● 「サ変動詞 + 名詞」→「サ変名詞 + 名詞」
    入力 ) ガンを治療する施設は存在しなかった。
    → ガンの治療施設は存在しなかった。
    ● 字幕にするための要約
    ● より堅い表現に

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  3. 3
    換言例
    入力)被害者対策を適切に推進する体制
    → 被害者対策の適切な推進体制
    入力)来春をメドに清洲工場を閉鎖する方針を決めた。
    → 来春をメドとする清洲工場の閉鎖方針を決めた。
    入力)ホームページにハッカーが侵入する事件が相次いでいる。
    → ホームページへのハッカーによる侵入事件が相次いでいる。

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  4. 4
    問題の範囲
    ● 「する」が活用した形は考慮しない
    入力)雇用調整を実施した企業の割合
    → 雇用調整の実施企業の割合
    ● 「サ変動詞 + 形式名詞」は考慮しない
    入力)乳製品から撤退することを明らかにした。
    → 乳製品からの撤退を明らかにした。

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  5. 5
    換言の流れ
    入力 ) 絵画を募集する記事を載せた。
    → 絵画を募集記事を載せた。(複合名詞に換言)
    → 絵画の募集記事を載せた。(連体形に変換 )
    問題点
     換言によってできる複合名詞は妥当か
     連用形を連体形に変換できるか

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  6. 6
    複合名詞の妥当性
    指導する者 → 指導者
    指導する人 → * 指導人
    ● どちらも意味は理解できる
    ● 通常使わない複合名詞は不自然
    コーパスに存在する複合名詞のみを妥当とする
    存在しなければ換言対象としない

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  7. 7
    連用形を連体形に (1/3)
    ● サ変動詞にかかる文節を連体形へ変換
    例)格助詞を「の」に置換
    入力)有識者が共同研究するプロジェクトが始まる。
    → 有識者の共同研究プロジェクトが始まる。
    例)規則的に連体形へと変換
    入力)確実に入手する方法
    → 確実な入手方法

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  8. 8
    連用形を連体形に (2/3)
    例)基本形にする
    入力)障害者に対して情報を提供するサービス
    → 障害者に対する情報の提供サービス
    例)後ろに「の」を付与
    入力)約一年間留学する制度
    → 約一年間の留学制度

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  9. 9
    連用形を連体形に (3/3)
    ● 格助詞「に」が持つ7つの意味により変換
    ● 特徴的なサ変動詞や、格助詞が接続する名詞で判断
    例)動作の対象
    入力)貸金業規制法に違反する行為があった。
    → 貸金業規制法への違反行為があった。
    例)事態の時
    入力)充電器が充電中に発火する事故
    → 充電器の充電中の発火事故

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  10. 10
    複合名詞の動詞的な働き
    入力)国は、中旬から運転を再開する予定だ。
    → 国は、中旬から運転を再開予定だ。(連用形)
    →* 国は、中旬からの運転の再開予定だ。 ( 連体形 )
    ● 文が動詞的な意味を持っている
    ● 「再開予定」が動詞的な働きをしている
    連体形への変換をしない

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  11. 11
    複合名詞の名詞的な働き
    入力)県は、 3 台の公用車を購入する計画だ。
    →* 県は、 3 台の公用車を購入計画だ。(連用形)
    →* 県は、 3 台の公用車の購入計画だ。(連体形)
    ● 文が動詞的な意味を持っている
    ● 「購入計画」が名詞的な働きをしている
    「計画」の次に助動詞「だ」もしくは句点がある
    … 換言対象から除外

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  12. 12
    「の」を減らす (1/2)
    ● 助詞「の」が増えて不自然になる
    ● 格助詞「が」「を」「に」「で」を助詞「の」以外の表現に
    入力)高校生が教育熱心な母親を殺害する事件が起きた。
    →* 高校生の教育熱心な母親の殺害事件が起きた。
    → 高校生による教育熱心な母親の殺害事件が起きた。
    ● 特徴的なサ変動詞や、格助詞が接続する名詞で判断

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  13. 13
    「の」を減らす (2/2)
    例)格助詞「に」
    入力)掃除に参加する義務
    → 掃除に対する参加義務
    例)格助詞「を」
    入力)審判を侮辱する行為
    → 審判に対する侮辱行為
    例)格助詞「で」
    入力)統一基準で表示する制度
    → 統一基準を用いた表示制度

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  14. 14
    実験 及び 考察
    ● 毎日新聞 1999 年度版を構文解析器「南瓜」で解析
    ● 1272 文が換言対象
    ● 無作為に 200 文を抽出して換言し、主観的に評価
     換言の精度… 67.0%
     茶筌及び南瓜の誤りを除いた精度… 78.8%
    ● 係り受けが長くなり不自然
    入力)万里の長城を人類の文化遺産として日中共同で
    修復する作業
    →* 万里の長城の人類の文化遺産としての日中共同での
    修復作業

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  15. 15
    考察
    ● 表現のバリエーションが少ない

    動詞的意味を持つため連用形にしない文が 70 文

    連体形に変換した単語 1511 語のうち 83% が格助詞「が」
    「を」「に」「で」
    ● 固有名詞を言い換えてしまう
    入力)松浦総三氏らが「東京空襲を記録する会」を作った。
    →* 松浦総三氏らが「東京空襲の記録会」を作った。

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  16. 16
    考察
    ● 動詞的な意味の検出
    入力) 17 日からの臨時総会に提案する予定の設置案
    →*17 日からの臨時総会に対する提案予定の設置案
    →17 日からの臨時総会に提案予定の設置案
    ● 動詞テ形の連体形への変換が不自然
    入力)日本の大学生は数式を覚えて計算する能力は高い。
    →* 日本の大学生は数式を覚えての計算能力は高い。

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    参考文献
    ●寺村 秀夫 : 日本語のシンタクスと意味 III, くろ
    しお出版 , 1991.
    ●国立国語研究所 : 日本語の文法 ( 下 ), 国立
    国語研究所 , 1981.
    ●益岡 隆志 , 田窪 行則 : 基礎日本語文法 改訂
    版 , くろしお出版 , 1992.

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    関連研究
    ● 佐藤 理史 : 論文表題を言い換える , 情報処理学
    会論文誌 , Vol. 40, No.7, pp.2937-2945, 1999.
    ● 「サ変名詞+名詞」→「サ変動詞+名詞」
    ● 本稿と逆の処理
    ● 換言の対象が論文の表題のみ(本研究は単一文)

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