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滑空スポーツ講習会2023 航空安全講習会 第4回 日常整備に役立ちそうな雑情報 / JSA ...
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JSA seminar
March 11, 2024
Technology
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滑空スポーツ講習会2023 航空安全講習会 第4回 日常整備に役立ちそうな雑情報 / JSA Safety Seminar 2023 glider maintenance
公益社団法人日本滑空協会
2024/3/9
(公社)日本グライダークラブ 山木 宏
JSA seminar
March 11, 2024
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Transcript
日本グライダークラブ 山木 宏 2024. 3. 9 日常整備に役立ちそうな雑情報 Japan Soaring Club
1975 19 H-23Cにてフライト開始 1977 21 Estrella遠征、Ka-8購入 自家用操縦士 1979 教育証明、三等航空整備士 1980
Narromine遠征 航空級無線通信士 1985 29 ASW-20L 2001 45 Nimbus-4DM 2003 整備士(動滑)限定変更 2004 48 Duo Discus-T 2008 耐空検査員 2009 53 Super Dimona 2013 57 Arcus-T 2015 59 Arcus-M 年間のフライト 約 30回、100時間 私の経歴 Japan Soaring Club
趣味 ・自分や仲間が飛ぶため:プロ整備士はわずか ・最高の状況で飛びたい:装備、整備はベスト (MELで飛ばない) ・組織管理ではない:基本的には一人で考え、実行 自己チェックのみ:整備作業に対する全責任を負う ・時間的に余裕あり:運行優先となることは少ない 機体品質 (メーカ年商:~30億円?) ・小企業の手作り品:機体構造は長い歴史、
エンジン関連は試作品 (部品、素材の選定不良) ⇒ ・マニュアルは十分な内容? 例:5日必要な作業が 0.5ページ 滑空機整備の特徴 Japan Soaring Club Arcus-M 燃料フィルタ
・整備方針:構造や機構などを広く正しく理解 ドイツ:職人文化で一般常識を有することが前提 あるべき最良の姿を考えられるとベスト 逆の言葉:・確実な作業と自己エラー・マネジメント 間違えない、最悪のストーリーの想定と対策 ・正しい基本作業習慣 環境作り:集中できる、よく見える・・ 作業中の整理整頓:1作業ごとに工具を元に戻す 状態の記録:作業前と取り外し部品の記録、分別と保管 復帰状態の確認:ベストか、元通りか
(場合により改良) 機器、工具:ベストな選定と使用法 ・姿勢:趣味 ⇒ 落ち着いて、楽しく整備作業に向き合える 整備に必要と思われる事項 Japan Soaring Club NGワード 「これまで問題ない」 「いずれ・・」 「安いから」 「今回だけ」
・Kaurit 尿素/ウレア系接着剤:透明~ピンク Aeroliteも同様 水分と熱により経時劣化して、接着力がほとんどなくなる Aerodux フェノール系接着剤:茶色 劣化が少ない(航空用合板) DBoxの構成にのみ使用:桁Box上下面~リブ外周と外板の接着 ・Kaurit :大部分の木部の接着に使用
主桁の積層と桁Boxの形成、リブ、エアブレーキBoxなど 水平尾翼も同様 木製機の接着剤劣化問題 Japan Soaring Club Alexander Schleicher社製 K6、K8、ASK13など ASK13 TN-12の点検
・劣化:水分と熱による加水分解 ⇒ 高温、高湿度の保管を避ける 主翼では熱のかかる上面が顕著 初期:リブのガセット剥がれ 羽布部分の上面から 木製機の接着剤劣化問題 Japan Soaring Club
羽布と一緒に剝がれた主翼上面の合板 上面ガセット
木製機の接着剤劣化問題 Japan Soaring Club ・対応:BGAなどで定期的に隙間ゲージを入れるなどでチェック BGA 042-07-2004-issue-6-r3 落着機の翼根部主桁の断面 クラック
木製機の接着剤劣化問題 Japan Soaring Club ・国内では統一した対応が取られておらず、今後の問題 大きな衝撃がかかった場合、主桁などの内部で剥離が起きている可能性 修復は難しい ⇒ 廃棄? 落着機の翼中央部主桁の断面
・鉛バッテリー ・塩ビ配線 ・塩ビテープによる補修、キャノピー糸固定 ・計器の塩ビ配管 ・汚れたプローブ ・黄色いゲルコート ・曇ったキャノピー ・マイナス頭のネジ ・古くて使いづらい飛行規程 私のきらいなもの
Japan Soaring Club
1. バッテリ:リン酸鉄リチウムバッテリ (LiFePO4) www.chikuden-sys.com/ など 鉛との比較 ・軽い ・自己放電が少なく長寿命 ・使用時の電圧降下が少なく実質容量が大きい ・リチウム系の中では安全
+ 保護回路付き 2. 配線 www.aircraftspruce.com/ など ・配線:テフロン被服 AWG 18(1.0Φ):14-18A、22(0.65Φ):8-10A 各色あり 塩ビ被服配線:耐熱性低く、燃える ・ブレーカの活用 特に各バッテリ Japan Soaring Club パーツ類の知識 -1 出典 http://shop.fusion-boats.com/?pid=139302966 E-T-A社製483
パーツ類の知識 -2 3. 粘着テープ ・粘着剤に使用するゴム:ゴム系、アクリル系、シリコーン系・・ ・塩ビテープ:短期使用の翼根シール のみ ・長期使用:非塩ビ、アクリル粘着 (例:3M ビニール補修用)
・すべり用:テフロン ⇒ 超高分子量ポリエチレン ・粘着剤剥がし :リモネンなど専用溶剤 溶剤は粘着剤が溶けて剥がしにくい *溶剤スプレー:速乾よりも中速乾の方が洗浄力が大きい Japan Soaring Club
4. 計器配管 軟質塩ビ配管:古くなると、油分が分離して硬くなる 動いただけでシールは? Japan Soaring Club パーツ類の知識 -3 ・動圧系統は漏れると・・
*漏れテスト (サーキュラー 3-010) ⇒ 漏れない配管システム 30年ものの塩ビ配管
望ましい計器配管 ・固定配管:硬質ナイロン、ウレタンチューブ (エア配管継ぎ手:Oリング付き、軟質はインナスリーブ) ・計器付近:シリコーンゴム配管 (5/9mmなど) シリコーンゴム:クリープが少ない ⇒ 漏れない、折れない ・再接続時は、半ピッチ切断 Japan
Soaring Club パーツ類の知識 -4 出典 https://www.silicone.jp/catalog/pdf/rubber_j.pdf 出典 https://www.pisco.co.jp/media/book/book_a01
6. TEプローブ: 円管まわりの圧力:静圧 - 動圧 ・すべり特性 ・前方汚れ (掃除が大切) ・シールリングのチェック、潤滑 www.esa-systems.com/en/products/
Japan Soaring Club パーツ類の知識 -5 出典 http://fkojima.web.fc2.com/incompressible_fluid10.pdf
基本整備作業 -1 1. 外装 (キャノピ含む) いつもきれいに ・こまめに削って磨く: ポリッシャのパッドと研磨剤の組み合わせ 低反発ウレタン+目消し、ソフトスポンジ+艶出し ・ゲルコートクラック:削り
⇒ PU塗料 で長持ち ・塗料:自動車用ウレタン塗料 例:関ペ レタンPGエコ、日ペ スペリオR ・サンドペーパー:一流品を惜しげなく使う Kovax、Sia、3M 塗料とサンドペーパーはいつも最新モデル Japan Soaring Club 400番にてサンディング後
基本整備作業 -2 2. ねじ回し ・力:押し付け 70 /回す 30 ・No.1:ほとんど使わない ~M3
・PHとPZ:フィリップスとポジドライブ ヨーロッパ系部品にあり、見落とさない ・ナメた頭:電動インパクトドライバー Japan Soaring Club 出典 https://voltechno.com/blog/tool-pozidriv/ https://www.ilme.jp/2020/08/25/ 出典 https://sarameka.com/cross-recessed-head-screws-what-kind-of-drivers/
基本整備作業-3 ・飛行規程 古いままに放置:使えない MMやTNを使ってわかりやすく 重量、装備品の管理 Japan Soaring Club
基本整備作業-3 ・飛行規程 TNの挿入 装備品リストの更新 重量データの記入 Japan Soaring Club
基本整備作業-4 ・確実な作業と自己エラー・マネジメント 間違えない:最悪のストーリーの想定と対策 ・正しい基本作業習慣 環境作り:集中できる、よく見える・・ 作業中の整理整頓:各作業ごとに工具戻し、取り外し部品の分別保管 工具:ベストの選定と正しい使用 工具は手先と同じ ベストのもの/一流品は何かを知っておくことが必要 ・整然とした配管と配線
⇒ 異常の早期発見へ *整備士資格受験 ・推奨:運航整備士 ⇒ 整備士 ・資格の取得に必要な勉強と、実用的な知識には大きな違い Japan Soaring Club
基本整備知識 -5 ボルト締結 ・強度区分表示 8.8以上が必須 ・適切なトルク ⇒ ゆるみ止め 代表的なトルク M6:10
Nm、M8:20 Nm ・セルフロックナット:繰り返し使用可能 (要確認) ・ロックタイト:金属+酸素なし で硬化 呼び 1回目ねじ込みmax. 金属 / 非金属 1回目戻しmin. 5回目戻しmin. M5-0.8 1.6 / 0.8 0.29 0.2 M6-1.0 3.0 / 1.5 0.45 0.3 M8-1.25 6.0 / 3.0 0.85 0.6 M10-1.5 10.5 / 5.3 1.5 1.0 M12-1.75 15.5 / 7.8 2.3 1.6 セルフロックナットの規格 強度区分8.8 JIS B1056:2011 トルク Nm M6 セルフロックナットの繰り返し性能 Japan Soaring Club 出典 東日トルクハンドブック 出典 西精工 NEWナイロンナット
6. 高度計 ・Winter製は低精度の規格 機械式は摩擦による誤差大 ・参照予備計器:電気式高度計 (高精度、初期調整ミス防止)、GPS高度 Japan Soaring Club 試験高度
Winter United エンコーダ 電気式 エンコーダ 実力 0 ±45 ±20 ±75 0 2000 ±45 ±30 ±75 0 4000 ±90 ±35 ±75 +5 8000 ±120 ±60 ±75 +10 10000 - ±80 ±75 +15 12000 ±180 ±90 ±75 - 20000 ±300 ±130 ±75 +30 パーツ類の知識 -4 Cambridge 302の校正実績
基本整備作業 -6 7. 外装 ・動翼シール 機体メーカは5年程度で貼り替えを推奨 https://wingsandwheels.com/tapes-seals.html 一番外側の薄いテープ:ゴム系粘着剤のため短寿命 ⇒ 張り替え用を用意
TESA® PVC Safety Tape 0.065 mm Japan Soaring Club 出典 https://wingsandwheels.com/tapes-seals/mylar-gap-seal.html
軽微な保守 有資格整備士の確認を必要としない作業 サーキュラー3-001 特別な知識・経験を必要とせずに実施できる作業 = 軽微な保守作業 原則:相当の経験、知識及び技能を有する作業者、 操縦技能証明を有し、かつ、整備に係る教育訓練を受けたパイロット or 有資格整備士の指導の下にある作業者により行われること
a. 簡単な保守予防作業であって緊度、間げき、隙の調整及び複雑な結合作用を伴わない 正規部品の交換、給排油等 (正規部品:パーツカタログに記載) 無資格でできる整備 サーキュラー、TCDの入手:https://www.asims.mlit.go.jp/ 保守 耐空性等を維持するために必要な作業。原則として、運用限界の範囲内で航空機を使用 した場合に、通常必要となる作業(必要な点検及び検査を含む。) Japan Soaring Club
最近の航空法改正 航空法16条 航空機の使用者による整備・改造の実施義務 ・耐空証明のある航空機の使用者は、整備をすることにより、耐空性審査要領に適合する ように維持しなければならない。 ⇒ 詳細はサーキュラー 1-501 ・耐空性が確認された装備品以外の装備品を航空機に装備してはならない。 サーキュラー
1-501 使用者が実施すべき整備・改造、耐空証明検査に向けた準備等の基準 ・対象:滑空機などの自家用機 ・基本的な考え方を示したもの サーキュラー 1-502 装備品等の取り扱い ・耐空性が確認された:認定事業場が発行した「基準適合証」の付いた 予備品証明制度の廃止 2022年6月18日以降 すべての装備品に対して「基準適合証」が必要 ・装備品購入時、修理時は「EASA Form-1」が必要 JIS規格品などは別 ・高度計の24か月ごとの点検は、保守作業で「基準適合証」は不要 ・VHF無線機の定期点検についても、保守作業で「基準適合証」は不要 ・グライドコンピュータ、グライダー専用HF無線機など壊れても飛べるものは「民生品」 Japan Soaring Club サーキュラー、TCDの入手:https://www.asims.mlit.go.jp/