Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Sports Analyst Meetup #13 (2022/11/26)
Search
Keisuke Fujii
November 26, 2022
Technology
0
840
Sports Analyst Meetup #13 (2022/11/26)
サッカーの軌道予測を用いたオフボール選手の評価(MLSA’22)
Keisuke Fujii
November 26, 2022
Tweet
Share
More Decks by Keisuke Fujii
See All by Keisuke Fujii
2024/10/30 産総研AIセミナー発表資料
keisuke198619
1
450
MLSA (Machine Learning and Data Mining for Sports Analytics) 2023 参加報告
keisuke198619
1
480
集団スポーツの動きに関するデータ分析の概要と今後の展望
keisuke198619
0
290
最新のスポーツアナリティクス研究論文はどこで読めるか?
keisuke198619
0
300
スポーツ戦術をAIのデータ解析で評価する
keisuke198619
0
1.1k
Sports Analyst Meetup #12 Keisuke Fujii
keisuke198619
0
900
Learning interaction rules from multi-animal trajectories via augmented behavioral models
keisuke198619
0
340
Other Decks in Technology
See All in Technology
インフラをつくるとはどういうことなのか、 あるいはPlatform Engineeringについて
nwiizo
6
2.7k
速くて安いWebサイトを作る
nishiharatsubasa
14
15k
生成 AI プロダクトを育てる技術 〜データ品質向上による継続的な価値創出の実践〜
icoxfog417
PRO
5
1.7k
全文検索+セマンティックランカー+LLMの自然文検索サ−ビスで得られた知見
segavvy
2
130
Autonomous Database Serverless 技術詳細 / adb-s_technical_detail_jp
oracle4engineer
PRO
17
45k
ハッキングの世界に迫る~攻撃者の思考で考えるセキュリティ~
nomizone
13
5.4k
データマネジメントのトレードオフに立ち向かう
ikkimiyazaki
6
1.1k
システム・ML活用を広げるdbtのデータモデリング / Expanding System & ML Use with dbt Modeling
i125
0
180
開発組織のための セキュアコーディング研修の始め方
flatt_security
3
2.6k
【Developers Summit 2025】プロダクトエンジニアから学ぶ、 ユーザーにより高い価値を届ける技術
niwatakeru
2
1.5k
ローカルLLMを活用したコード生成と、ローコード開発ツールへの応用
kazuhitoyokoi
0
130
急成長する企業で作った、エンジニアが輝ける制度/ 20250214 Rinto Ikenoue
shift_evolve
3
1.8k
Featured
See All Featured
Fireside Chat
paigeccino
34
3.2k
実際に使うSQLの書き方 徹底解説 / pgcon21j-tutorial
soudai
175
52k
I Don’t Have Time: Getting Over the Fear to Launch Your Podcast
jcasabona
32
2.1k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
34
3.1k
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
137
6.8k
Building Adaptive Systems
keathley
40
2.4k
No one is an island. Learnings from fostering a developers community.
thoeni
21
3.1k
Templates, Plugins, & Blocks: Oh My! Creating the theme that thinks of everything
marktimemedia
30
2.2k
Building a Modern Day E-commerce SEO Strategy
aleyda
38
7.1k
How STYLIGHT went responsive
nonsquared
98
5.4k
Gamification - CAS2011
davidbonilla
80
5.1k
Faster Mobile Websites
deanohume
306
31k
Transcript
Sports Analyst Meetup #13 サッカーの軌道予測を用いた オフボール選手の評価(MLSA’22) 藤井 慶輔 (@keisuke_fj) 1
論文(詳細): https://arxiv.org/abs/2206.01899 MLSA’22: https://dtai.cs.kuleuven.be/events/MLSA22/index.php 寺西真聖さん、筒井和詩さん、武田一哉先生(全て名大)との共同研究です 2022/11/26
MLSA (Machine Learning and Data Mining for Sports Analytics)とは 機械学習(ML)とデータマイニング(DM)の主要な国際会議(ECML-PKDD)で
開催される、Sports AnalyticsのML-DM workshop (今回で9回目) 2 https://dtai.cs.kuleuven.be/events/MLSA22/links.php
MLSA’22のスケジュール 3 サッカー サッカー サッカー テニス サイクリング テニス サイクリング バスケ
サッカー サッカー テニス オンラインで25:00
サッカーの攻撃選手の評価 ボール周りの公開データのみ使用した評価(例:[Decroos+19]) 評価できる選手に限界、同時に複数選手の評価ができない 全選手の位置(非公開)を使用した評価 • ボールを受け取る選手の評価(例:[Spearman18]) • 得点に関係なくスペースを作る動きの評価(例:[Fernandez+18])
ボールを受け取らず得点機会を生み出す選手の評価が困難 本研究の概要 オフボール選手が、機械学習を 用いて予測された動きと比べて、 どのように動いたことが得点機会 の創出に寄与するかを評価 4 予測(薄色)より、A1がD1を引き付け A2のスペースを作った!
提案: Creating Off-Ball Scoring Opportunity (C-OBSO) 目的: ボール非保持選手 𝑖が得点機会をどれだけ創ったか(評価値) 𝑽𝒊
の算出 方法: シュート等をした選手 𝑘の評価 𝑽𝒌 を、選手 𝑖を軌道予測した時𝑽𝒌 ′ と比較 実際の選手𝑘の評価 𝑽𝒌 − 選手i の予測に基づく選手𝑘の評価 𝑽𝒌 ′ 𝑉𝑖 = − 選手 𝑖 選手 𝑖 (予測) 選手 𝑘 選手 𝑘 守備は 2人を 予測 5
参考:ボール非保持の評価 𝑽𝒌 (OBSO [Spearman18]) コート上の地点 𝑟に価値(下記3要素)を割り当てる • 占有率(Control):𝐶𝑟 • 遷移率(Transition):𝑇𝑟
• 得点率(Score):𝑆𝑟 ある試合状態𝐷における得点確率を 𝑽𝒌 とし、以下のように表す 𝑽𝒌 = 𝑃 𝐺 𝐷 = Σ𝑟∈ℝ×ℝ 𝑃(𝐶𝑟 ∩ 𝑇𝑟 ∩ 𝑆𝑟 |𝐷) →ボールが来たらどれだけ点を入れられるか(ポジショニング)を評価 占有率 𝐶 遷移率 𝑇 得点率 𝑆 ボール非保持の評価 OBSO 6
C-OBSO の算出例 A1(評価対象)が予測よりD1選手を引き付けてA2に貢献 A2のスペースをA1が作った! 𝟎. 𝟎𝟎𝟕𝟗 C−OBSO: 𝑉A1 = 𝑉A2
− 𝑉A2 ′ 0.0409 0.0330 (実際) (予測) 7 予測(薄色)より、 A1がD1を引き付けた
データセット J1 2019 横浜FM 全対戦試合: 34試合(データスタジアム社(*1)) • イベントデータ(パス・シュート等の行動ラベルとボール座標) • トラッキングデータ(選手全員とボールの座標)
選手軌道予測(グラフ変分RNN[Yeh+19]を利用) と評価 • 2秒の系列を使ってその後の4秒を軌道予測(攻撃1選手、守備2選手) • 予測: 対戦相手の攻撃系列(*2) 94208系列で学習、10477系列で検証 • 評価: 横浜FMのシュート系列(*3) 412系列で推論、C-OBSO算出 *1 情報システム研究機構統計数理研究所 医療健康データ科学研究センター、データスタジアム株式会社 *2 攻撃系列:同一チームの連続した攻撃 *3 シュート系列:シュートに至るまでの同一チームの連続した攻撃(連続していない攻撃は除外) 8
結果例: J1 2019 横浜FMのC-OBSOと年俸*との関係 • C-OBSOと年俸は正の相関(𝜌 = 0.45, 𝑝 <
0.05)だがOBSOは相関なし • C-OBSO-年俸の外れ値は、(最)優秀選手賞を受賞 C-OBSOは選手の総合評価(年俸,個人賞)を説明できる可能性あり 9 *1 Soccer-Money.net https://soccer-money.net (アクセス日2021/1/9) 優秀選手賞 最優秀選手賞
実験結果:得点上位選手の有識者による採点*とC-OBSO • 採点は上位3選手全員に得点と有意な相関あり(𝑝 < 0.05) • 仲川選手のみC-OBSOと正の相関(𝜌 = 0.75, 𝑝
< 0.05)、他の選手はなし • 仲川選手は味方への貢献も高かったため、平均採点1位&MVPに繋がった と推察される 10 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 4 5 6 7 8 C-OBSO rating Nakagawa * サッカーダイジェストweb J1採点・寸評 https://www.soccerdigestweb.com/tag_list/tag_search=1&tag_id=120(参照2022/1/9) 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 4 5 6 7 8 C-OBSO rating Marcos
まとめ • 得点機会を創出するオフボールの選手の評価指標C-OBSOを提案 • 正確な選手軌道予測に基づき、実際の評価値との差分で評価 • C-OBSOは、味方の得点機会を創出する指標としての有効性を示唆 今後の展望: • チームの特性に合わせた評価
• シュート以外の場面も含めた評価 • 軌道予測を用いずに、行動価値を直接計算 謝辞 • データ提供:情報・システム研究機構統計数理研究所 医療健康データ 科学研究センター、データスタジアム 株式会社 • 議論:Scott Atom氏、大西 正輝氏 • 科研費:20H04075, 20H04087, JST Presto JPMJPR20CA Full paper: https://arxiv.org/abs/2206.01899 11