Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
PEPCは何を変えようとしていたのか
Search
ken7253
February 28, 2025
Programming
550
3
Share
PEPCは何を変えようとしていたのか
[@JSConf.jp おかわり Node学園46時限目](
https://nodejs.connpass.com/event/344588/)にて発表した資料です
。
ken7253
February 28, 2025
More Decks by ken7253
See All by ken7253
Firefoxにコントリビューションして得られた学び
ken7253
2
170
バンドルサイズを半減させた話 @Browser and UI #3
ken7253
0
77
CSS polyfill とその未来
ken7253
0
270
Browser and UI #2 HTML/ARIA
ken7253
2
330
Browser and UI #1 CSS
ken7253
0
170
レビューのやり方を(ちょっと)整理した話
ken7253
1
600
オーバーロード関数の話 @Mita.ts #2
ken7253
0
160
フロントエンドカンファレンス北海道参加レポート
ken7253
0
92
カスタムHooksと単体テストの共通点について
ken7253
0
480
Other Decks in Programming
See All in Programming
デフォルト運用のCodeRabbit、1年で何が変わったか / How CodeRabbit Changed Our Code Review in 1 Year
bake0937
1
100
Spec-Driven Development with AI-Agents: From High-Level Requirements to Working Software
antonarhipov
2
320
サーバーレスで作る、動画データ管理基盤
oyasumipants
0
240
柔軟なPDFレイアウトエディタを支える型システム設計 — Discriminated UnionとConditional Typeの実践
minako__ph
3
560
密結合なバックエンドから TypeScript のコードを生成する
kemuridama
1
330
要はバランスからの卒業 #yumemi_grow
kajitack
0
190
20260514_its_the_context_window_stupid.pdf
heita
0
1.1k
いつか誰かが、と思っていた フロントエンド刷新5年間の実践知
kiichisugihara
1
300
Agentic AI & UI: Arcitecture, HITL, Emerging Standards
manfredsteyer
PRO
0
130
TypeSpec で繋ぐ複数プロダクトの型安全
maroon8021
1
230
TSKaigi2026-静的解析への投資がAI時代のコード品質を支える ── カスタムESLintルールの設計と運用
hayatokudou
6
1.1k
過去のレビュー知見をSkillsで資産化した話
pkshadeck
PRO
1
2.3k
Featured
See All Featured
Organizational Design Perspectives: An Ontology of Organizational Design Elements
kimpetersen
PRO
1
700
State of Search Keynote: SEO is Dead Long Live SEO
ryanjones
0
200
Documentation Writing (for coders)
carmenintech
77
5.3k
The Limits of Empathy - UXLibs8
cassininazir
1
340
HDC tutorial
michielstock
2
670
Effective software design: The role of men in debugging patriarchy in IT @ Voxxed Days AMS
baasie
0
360
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
12
1.6k
GitHub's CSS Performance
jonrohan
1033
470k
Getting science done with accelerated Python computing platforms
jacobtomlinson
2
210
Groundhog Day: Seeking Process in Gaming for Health
codingconduct
0
180
The World Runs on Bad Software
bkeepers
PRO
72
12k
Ruling the World: When Life Gets Gamed
codingconduct
0
240
Transcript
PEPCは何を変えようとしていたのか @JSConf.jp おかわり Node学園46時限目
ブラウザの標準化まわりを追うのが趣味 最近はReactを使ったアプリケーションを書いています。 ユーザーインターフェイスやブラウザが好き。 https://github.com/ken7253 https://zenn.dev/ken7253 https://bsky.app/profile/ken7253.bsky.social https://dairoku-studio.com ken7253 Frontend developer
PEPCとはなにか
PEPC = Page Embedded Permission Control
一番大きい変更としては <permission> 要素を追加すること。 クリック時に指定した権限の許可がトリガーされる UIはUAから提供されクリック ジャッキングなどができない 権限の許可と種類がセマンティックとして定義される 一度権限を拒否しても再度クリックすることで許可のリクエストが発行される Chrome 126-137
にてOrigin Trialが行われている。 既存のブラウザのパーミッションモデルを大きく変えようとする提案。 PEPC = Page Embedded Permission Control
現在のブラウザにおける権限管理
現在のブラウザにおける権限管理 Chromeの場合、権限が必要なAPIが呼ばれるとオムニボックスの下にプロンプトが現れユーザーに許可を求める。
権限が必要な機能の実装 アプリケーションの実装としては非同期処理として素直に実装すればいいだけ then...catch とかでエラーハンドリング 実装としてはそれでいいが、本当に使いやすいのか? try { await navigator.getUserMedia({ audio:
true, video: true, }, () => {}, () => {}); } catch (e) { // ... };
現在の権限管理の問題点 どの要素がどの権限のリクエストを行うかがセマンティックとして表現されていない 権限のリクエストを行った要素とプロンプトの位置の乖離 "permanent deny" policy により誤った権限拒否の訂正を行うのが難しい
ユーザーが許可するまでプロンプトを出し続けるというスパムができないように、一度拒 否した権限リクエストはアプリケーション側から再度リクエストができないようになって いる。 https://github.com/WICG/PEPC/blob/main/explainer.md#user-agent-abuse- mitigations "permanent deny" policy Many user
agents implement a "permanent deny" policy, and other user agents offer it as an option in the permission prompt. This means that a site will not be able to ask for permission again after the user has blocked it. “ “ ” ”
権限のリクエスト方式
現在のパーミッションリクエスト Browser Application Browser Application 権限を拒否した場合、同じ権限は再度リクエストできない User ボタン等をクリック Event 権限のリクエスト
プロンプトを表示 権限を許可 アクセスの許可 機能の提供 User
PEPCでのパーミッションリクエスト Browser Application Browser Application ユーザー側から事前に許可を与える User Permission要素をクリック Event 機能の提供
User
何が変わるのか 従来はアクション後にプロンプトが表示され計2回のアクションが必要になる。 PEPCでは許可しつつイベントを処理でき1度のアクションで機能を提供できる。 ユーザー起点の許可なのでスパムの心配がなく拒否からの復帰が楽になる。 要素がどの権限を許可するものなのかがセマンティックとして明確になる(はず)。 https://permission.site/pepc
課題がめちゃくちゃ多いのも事実
Webkit,MozillaともにStandard positionはNegative寄り。 https://github.com/WebKit/standards-positions/issues/270 https://github.com/mozilla/standards-positions/issues/908 最大の懸念であるクリックジャッキングの対策のため非常に複雑な仕様に… PEPCの課題
なぜ複雑な仕様になってしまうのか
素直に実装してしまうと 画面全体に透明なpermission要素を設置できてしまう アプリケーション側からEventをdispatchできてしまう ユーザーが別の要素をクリックする直前に前面にpermission要素を表示する などクリックジャッキングが可能になってしまう。 なぜ複雑な仕様になってしまうのか
クリックジャッキング対策のために 表示されるテキストはUAが管理する CSSの指定をホワイトリスト形式に 要素のレンダリング上限の制限 サブフレームでの使用条件の制限 クリックイベントのdispatchに対する制限 クリックの直前にPEPCが移動していないこと クリックの直前にPEPCが(他の要素に覆われていない)見えていること クリックの直前にPEPCがNodeに挿入されていないこと などの対策を行う必要があることが一番大きな要因
なぜ複雑な仕様になってしまうのか
UAがテキストを管理することとCSSの制限に関連して、CSSで Upper case に指定した 場合にテキストの意味が変わってしまう言語はあるのかなどの懸念も Styling button text-transform (capitalize/uppercase/lowercase) #28
なぜ複雑な仕様になってしまうのか
PEPCの現状
PEPCの現状 Webkit,Mozillaの反対意見は根強い セキュリティ的な懸念や余計な複雑性が発生しているのは事実 大きく問題を2つに分けて代替え案なども検討されている 権限リクエストのプロンプトを改善する方向 権限の許可フローの改善
PEPCの現状 現状のままでは標準化は非常に厳しい状態である。 やりたいことは分かるし、需要もありそうだが理解を得られる実装ではない。 一方で代替え案や <portal> 要素のように機能の分割も有り得そう。 今後の動向によってはパーミッションモデルの変化があるかもしれない。
ありがとうございました!