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AIに使われないために『AIを使うな』

 AIに使われないために『AIを使うな』

# 概要

新人育成の現場で「コーディングエージェント(AI)」をどう使えば“学習が加速し、思考は止めない”のかを実践から整理しました。
DocsDD(ドキュメント駆動開発)を基盤に、**指示の明確化→設計対話→実装**の順でAIを配置。
新人には「コーディングにAIを使わない」選択が有効だった一方、**AI対話の採点・利用一時停止・設計レビュー**などの介入で“AIに踊らされる”状態を脱却させます。
**AIは能力を拡張しない、加速させるだけ**。だからこそ「自分を鍛える要素」を工程設計に埋め込むことが、チームの再現性を高めます。

## こんなことを伝えたい

* DocsDDで新人指示の粒度を揃える方法と落とし穴
* 「AIを使いこなす新人」と「AIに踊らされる新人」の決定的な差
* AI対話の**採点ルール**と**利用一時停止**など、教育施策の具体例
* 「設計は対話、実装は自力」の運用原則とチーム展開の型

## 想定読者

エンジニアリングマネージャー/新人育成担当/AI×開発の運用設計に悩む方

## キーワード

DocsDD, コーディングエージェント, 新人育成, 教育設計, ルール運用, AI活用方針

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Transcript

  1. 自己紹介 株式会社いえらぶGROUP 執行役員 エンジニア12年目 得意技は「無茶ぶりされること」→なんでもやる 趣味はSNS ランチの予定が2か月先まで埋まっています / Kentaro Wada (WDKN)

    和田 健太郎(わだけん) X:雑多 Tiktok:らくがき note:マネジメントの備忘 Qiita:エンジニアリングの備忘 Zenn:模索中 Github:ソースコードの備忘
  2. ✅ よかったこと 1 新人への指示出しが明解に なった 「何をすべきか」が曖昧さなく明 確に伝わり、迷いなく作業に取り 組める環境が整いました 2 指示出しの粒度が揃うよう

    になった 標準化により一貫性が向上し、教 える人が変わっても品質が保たれ るようになりました 3 新人が具体的に質問しやす くなった 「この部分について確認したい」 と明確にポイントを絞った質問が できるようになり、コミュニケー ションの質が向上しました
  3. ❌ 観察された問題 実際のやり取り 新人: 「できました! 」 先輩: 「なぜこの実装にしたのか? 」 新人:

    「わかりません...AI が... 」💔 AI に踊らされるパターン 理解を超えたアウトプット 後からの修正や説明ができない状態に 思考体力の低下 AI に質問しまくるが理解が深まらない 学習プロセスの欠落 「読んで理解する」工程が抜け落ちる
  4. 観察: AI に踊らされる vs 使いこなす ❌ AI に踊らされる ✅ AI

    を使いこなす 理解を超えた実装を生成 設計書を元に先輩と対話 大量の質問→理解せず進む 自分の手で実装する コーディングに直接使う コーディングには使わない 全体像の把握が遅い 全体像の把握が速い 使いこなす新人は「コーディングには使わない」という共通点。設計書を元に先輩と会話する頻度が高く、 全体像を把握するスピードが速い。
  5. 教育施策: 介入と評価 01 AI 対話履歴の採点とレビュー 配布したRules: AI 対話採点用Rules を作成し、定 期的にやり取り内容のレベルをチェック

    02 理解不足時の「AI 利用禁止」 理解が深まっていない場合はAI 使用を一時禁止 03 ドキュメントレビュー 設計力育成のため設計書作成をやらせる
  6. まとめ ① ドキュメント駆動開発 ✅ 指示の明確化、質問品質向上 ⚠️ 思考停止のリスク → 設計を一緒にやる ②

    新人のAI 活用 ✅ 使いこなす人は「コーディングに使わない」 ⚠️ AI に踊らされる → 対話採点・利用禁止で介入