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AIを導⼊しても、 開発⽣産性は"爆増"していない なぜ?

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September 26, 2025

AIを導⼊しても、 開発⽣産性は"爆増"していない なぜ?

Developers Summit 2025 FUKUOKA(2025.09.26)の登壇資料です。
https://event.shoeisha.jp/devsumi/20250926/

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September 26, 2025
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  1. 2 ⾃⼰紹介 ロリポップ‧ムームードメイン事業部 事業開発チーム 2020年 中途⼊社 ⻄⽥ 貴之 Nishida Takayuki

    • Webアプリケーションエンジニア • 主に新規事業開発を担当 • エンジニア組織におけるAI活⽤の推進や 開発⽣産性向上への取り組みも⾏っている。 • X : @kinosuke01
  2. AI活⽤の現在地 7 • Claude Code • CLIベースのAIコーディングエージェント • Anthropic社提供 •

    Claude Code Action • Claude Code を GitHub Actions で実⾏できるカスタムアクション • GitHubのissueでの実装依頼も可能になる • Cursor • VSCodeからフォークされたAIコードエディタ • Anysphere社提供 登場するAIコーディングエージェント
  3. AI活⽤の現在地 9 • 状況と課題 • 本番稼働中の Next.js アプリケーションあり。 • 歴史的な経緯から⾃動テストがなく、ソフトウェアアップデートが困難。

    • やったこと • Claude Code でテストコードを⼤量⽣成。 • 数時間連続稼働で、ブランチカバレッジ 70%程度まで実現。 • そのうえでソフトウェアアップデート対応。 • Claude Code にアップデートさせる。 • Claude Code にテストコードが通るまで修正をさせる。 [事例1] ⽚⼿間でソフトウェアアップデート
  4. AI活⽤の現在地 11 • 状況と課題 • 社内向けの Streamlit 製のWebサービスあり。 • 専任のチームで運⽤保守。

    • 改善要望や不具合調査は専任チームに依頼する必要があり 敷居が⾼かった。 • やったこと • Claude Code Action の導⼊。 • issueで調査や実装の指⽰をあたえられるように設定。 [事例2] コードを⾒ずにプロダクト改善
  5. AI活⽤の現在地 12 • Claude Code Action 導⼊後の体験 • GitHubのissueに改善要望や不具合報告を登録。 •

    それをもとに、Claudeが⾃動で改修PR作成。 • CIと専任チームのレビューが通ればマージ‧リリース。 • 効果 • 改善や不具合修正の敷居が⼤きく下がり、 希望する改善がどんどん進むようになった 👏👏 [事例2] コードを⾒ずにプロダクト改善
  6. AI活⽤の現在地 13 • 同じことが、お客様向けのWebサービスでも実現。 • 新たな体験 • ビジネス職やカスタマーサポートがissueに改善要望や不具合報告を登録。 • Claudeが実装してPR作成。

    • CIとエンジニアのレビューが通ればマージ‧リリース。 • 効果 • 従来より早く価値提供ができるようになった 👏👏 • 対応可能な範囲はまだ限られているものの、ちょっとしたUI修正は実現できている。 [事例2] コードを⾒ずにプロダクト改善:補⾜
  7. AI活⽤の現在地 14 • 状況と課題 • あるWebサイトの実⾏基盤を更新する事案。 • 更新後に、数百ページ以上で崩れがないかチェックする必要あり。 • やったこと

    • VRT(※) ツールをClaude Codeで1分程度で⽣成した。 • そのツールを⽤いて⾃動チェックを⾏った。 • 結果 • 従来だったら、VRTツールの調査や実装を⾏う必要があったところ、 調査と実装の⼿間を削減することができた 👏👏 [事例3] ほしいツールはその場で⽣成 ※ VRT(Visual Regression Test): スクリーンショットの画像を⽐較して意図しない変更がないかチェックするテスト。
  8. AI活⽤の現在地 15 • 同じことをエンジニアではないメンバーも実現。 • 下地:社内で Vibe Coding (※) 研修を実施。

    • 主にCursorを⽤いた研修。 • ビジネス職やカスタマーサポートも参加。 • その知⾒をもとに、ほしいツールをその場で⽣成 👏👏 • テックブログでも情報公開。 [事例3] ほしいツールはその場で⽣成:補⾜ ※ Vibe Coding: ⾃然⾔語でAIに「雰囲気」や「ノリ」で指⽰を出すだけで、 AIが機能やアプリケーションを⾃動⽣成してくれるソフトウェア開発⼿法。
  9. 開発⽣産性のリアル 17 開発⽣産性の指標のひとつとして「Four Keys」があげられる。 • デプロイ頻度 • どれくらいの頻度で本番にデプロイできているか • 変更のリードタイム

    • コードのコミットから本番反映までの時間 • 変更失敗率 • デプロイに伴う失敗の割合 • サービス復旧時間 • 障害から回復するまでの時間 開発⽣産性指標:Four Keys
  10. 開発⽣産性のリアル 18 Four Keys を踏まえて、 最初に変化があると思われる、デプロイ頻度の先⾏指標に着⽬。 • PRマージ頻度:1⽇あたりの Pull Request

    がマージされる回数 • PR作成頻度:1⽇あたりの Pull Request が作成される回数 デプロイ頻度の先⾏指標 に着⽬
  11. 開発⽣産性のリアル 19 • 社内にある、GitHubでの活動を集計する分析基盤を⽤いて集計。 • 集計対象は、 私が所属するロリポップ‧ムームードメイン事業部の アプリケーションエンジニア(⼗数名)における PRマージ頻度とPR作成頻度。 •

    メンバー増減やプロダクトの開発状況もあるので、 ⼀概にAIコーディングエージェントのみの影響とは⾔えない数字になるが、 ある程度の傾向は⾒れるだろう。 GitHubで発⽣したデータをもとに集計
  12. 課題分析 30 • CIの実⾏時間集計は、GitHubのAPIから値を取得して⾏った。 • 従来: • APIの仕様を調べて、集計処理を⾃分で書く必要があった。 • 現在:

    • 要件を決めたら、APIからデータ取得して集計する処理は⾃動実装。 • 所感: • レビューは必要なものの、書き捨ての集計処理を⼿軽に作れる。 • ⼤きな⼿間削減。 • 定量評価がやりやすくなった。 [1] CIの実⾏時間が⾮常に⻑い:調査⽤の集計処理は⾃動実装
  13. 課題分析 34 • 品質保証:仕様通りであることの保証 • 状況と課題 • プロダクトは、複数のシステムの連携が求められるユースケースが多い。 • そのため、リリース前にE2Eテストが必要なことが多い。

    • このE2Eテストに⼈⼿を要していた。 • 対応 • E2Eテストに割かれていた時間の計測は困難だったものの、 ボトルネックの可能性があると判断。 • Playwright を⽤いた⾃動テストを導⼊開始。 • このお話は別の機会に共有したい。 [2] 品質保証に時間がかかっている
  14. まとめ 37 • AI活⽤の現在地:活⽤事例のご紹介 • ⽚⼿間でソフトウェアアップデート • コードを⾒ずにプロダクト改善 • ほしいツールはその場で⽣成

    • 開発⽣産性のリアル: • 増加しているものの頭打ち。物量が⾜りていない。 • 課題分析:ボトルネックの疑いのあるもの • CI / 品質保証 / 要件定義 に時間がかかっている。 アジェンダの答え合わせ