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非線形科学から考えるアジャイルな組織づくり

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September 05, 2026

 非線形科学から考えるアジャイルな組織づくり

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Sho Kitawaki

September 05, 2026

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Transcript

  1. 自己紹介 現在の役割 toC向けサービスの エンジニアリング ソフトウェア開発 マネージャ 組織へのアジャイル推進 バックグラウンド 北脇 翔

    KDDI株式会社 システム開発本部アジャイル開発部 〜2011 2018- 大学院:非線形物理 2011-2018 前職SI企業:toBシステム開発 現職:toCサービス開発 2023エンジニアリングマネージャ 生命現象にへの関心、 WF中心の開発 アジャイルやパタン・ランゲージ 組織へのアジャイル推進 パターン形成やリズム現象の研究 に出会う
  2. 先人からのヒント: クリストファー・アレグザンダー 建築・都市を通して、自然が作る生命感のある環境はどう生まれるのかを探究 生き生きとした全体は、要素の総和ではなく、関係の積み重ねから立ち上がる(全体性) 1 生き生きとした構造 2 全体性・センター 生き生きとした構造の生成プロセス 3

    漸進的成長 繰り返し現れる特徴への解決の型 パタン・ランゲージ 繰り返し現れる問題・コンテキスト・フォース ▶ ▼ ▶ 有効な解決方法の記述 「センター」と呼ばれるまとまり同士の 関係性が全体をつくる。全体性はセンターの 総和ではなく、それ以上のもの。 一度に設計されるのではない。 既存の全体性を保ちながら、 変化の積み重ねによって成長していく。 変化の過程で繰り返し現れる特徴や問題を 「パターン」として捉え、 その問題解決の型を記述する。 【参考例】都市はツリーではない ツリー(要素の足し合わせ) セミラティス(重なり関係し合う) 生命的で生き生きとした都市は、 要素を足し合わせたツリー構造ではなく、 要素同士が適切に重なり関係し合うセミラティスの特徴を持つ。
  3. 組織的なパターンへの発展 Fearless Change 組織パターン Patterns for Introducing New Ideas Organizational

    Patterns of Agile Software Development Mary Lynn Manns, Linda Rising James O. Coplien, Neil B. Harrison Addison-Wesley Professional, 2004 翔泳社, 2013(原著 Prentice Hall, 2004) パタン・ランゲージの考え方を、組織変革の領域に展開 ソフトウェア開発組織における組織パターンを研究 建築や都市だけでなく、人の集合である組織においてもパターンの探求が進んでいる 1 生き生きとした構造 2 生き生きとした構造の 生成プロセス 3 繰り返し現れる特徴への解決の型 (パタン・ランゲージ)
  4. 探求のアプローチ 秩序が生まれるメカニズムの理解を通じて生き生きした組織を考えてみる 自然が作る 生命の質 生きた構造・生成プロセス・ パターンの抽出 建築やデザインへの応用 良い組織の特徴を抽出 組織パターン/Fearless Change

    アプローチの提案 自然の秩序が生まれる メカニズムの科学的な理解 述語的な共通性 非線形科学 共通性を見る モノではなくコトとして ヒント 生き生きした 組織
  5. 非線形科学 要素の重ね合わせでは全体を表せない複雑で多様な現象を扱う エネルギーや物質の流入・流出が存在する環境では、自発的な秩序構造が形成される(自己組織化) リズム現象 パターン形成 時間の秩序 心臓の鼓動 ホタルの集団同期発光 他にも: サーカディアンリズム、など

    - Fireflies (Pteroptyx mcdermotti) Bohol / Own work / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/ - Heart illustration © Servier Medical Art / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 https://smart.servier.com/category/anatomy-and-the-human-body/cardiovascular-system/ 空間の秩序 魚の体表模様 木の葉のフラクタル 他にも: 指紋/シマウマの表皮模様、など - Emperor angelfish, Pomacanthus imperator / Brian Gratwicke / Wikimedia Commons CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/ - Echter Wurmfarn 2011 / 4028mdk09/ Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/ https://commons.wikimedia.org/wiki/User:4028mdk09
  6. 非線形科学 要素の重ね合わせでは全体を表せない複雑で多様な現象を扱う 人の集合にもリズム現象やパターン形成が見られる リズム現象 時間の秩序 パターン形成 空間の秩序 ロンドン ミレニアム・ブリッジでの歩調同期 京都

    鴨川等間隔の法則 人々のバラバラの歩調が橋を介して同期し、大きな横揺れに 自発的に等間隔に人が並ぶ Millennium Bridge, London - DSC08159 / Rept0n1x / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/ Kamo river and Pontocho by txkun in Kyoto / Wolfiewolf / Wikimedia Commons CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/
  7. 述語的な共通性を捉える モノは異なっても共通のコトとして捉えると、主語の階層を横断して現象を理解できる 述語(コト) リズム現象 時間の秩序 パターン形成 空間の秩序 歩調の同期 鴨川等間隔の法則 個体

    ホタルの集団発光 魚群・鳥群のかたち 細胞 心臓の鼓動 魚の体表の縞 BZ反応の化学振動 BZ反応の標的波・らせん波 人の集合 主語 (モノ) 分子・化学反応
  8. 述語的な共通性を捉える モノは異なっても共通のコトとして捉えると、主語の階層を横断して現象を理解できる 述語(コト) リズム現象 時間の秩序 パターン形成 空間の秩序 歩調の同期 鴨川等間隔の法則 個体

    ホタルの集団発光 魚群・鳥群のかたち 細胞 心臓の鼓動 魚の体表の縞 BZ反応の化学振動 BZ反応の標的波・らせん波 人の集合 主語 (モノ) 分子・化学反応
  9. 秩序が生まれる条件から生き生きした組織のヒントを考える 反応拡散モデルで秩序が生まれる条件を考察 反応拡散モデルから考える秩序が生まれる条件 生き生きした組織への考察 1 外部とのエネルギーや物質の流入・流出がある ▶ - チーム内外/社内外のネットワーク -

    情報のインプット・発信の場 2 局所的な相互作用がありその結果が伝播する ▶ - メンバー・チーム・組織の相互作用が起きる環境 - 関係性、ビジョン的つながりがある環境 3 アクチベータの自己触媒反応(正のフィードバック)がある ▶ - 内発的動機で夢中になれる正のフィードバックがある環境 4 アクチベータがインヒビターを生成する (局所的な正のフィードバックによる活性化が、 負のフィードバックを誘起する) ▶ - 制約を取り払えば自己組織化が生まれるわけではない - アクチベータ自らが制約を作れる環境 (例: 完成の定義、ワーキングアグリーメント、など)
  10. 取り組み事例:組織内の相互作用や自己触媒反応の促進 条件②③:半期・月次・週次のリズムを作り、組織・グループ/チームが相互作用する環境を作る 半期 部合宿 [約50名] 本部長・部長も交えて 組織方針や課題をWS形式で フラットにディスカッション 組織の相互作用 週次

    チームのスプリント/1on1 ・プロダクトチームの多くは1週間のリズムで活動 ・1on1で挑戦の機会作りの相談など 自己触媒反応を促す 月次 グループの ふりかえり 異なる担当プロダクト間で 一緒にふりかえり、 学びを共有 チーム間の相互作用 マネジメントチームによる 環境づくり 現場の声を起点に環境を改善 (部内副業、コネクトーク、共通業務 の集約や効率化、等) 環境を整える
  11. ありがとうございました 参考文献 クリストファー・アレグザンダー『パタン・ランゲージ』『時を超えた建設の道』『The Nature of Order』 Linda Rising, Mary Lynn

    Manns『Fearless Change』 James O. Coplien, Neil B. Harrison『組織パターン』 蔵本由紀『非線形科学』『新しい自然学』