「茶葉を生かした野菜」の栽培技術習得セミナー第2回 発酵・分解のイメージを掴む講師/伊賀ベジタブルファーム㈱ 村山 邦彦
View Slide
前回の課題設定を受けて…今回の講座で深めたいテーマ• いい土とは?(根圏、分解発酵と微生物、腐植、 C/N、堆肥)• ミネラルって何故必要? どう補う?時間あれば・・・• 実践面で施肥(窒素)を考える ~ 肥料の種類による違い/無肥料で育つ?
おさらい①光合成と栄養(窒素)のバランス光
■細胞をつくる材料4細胞壁(繊維=骨格)細胞質(なかみ)セルロースCHOたんぱく質CHO-N
■窒素(肥料)と光合成のバランス5N > CHON < CHO肥料不足肥料過多
■窒素(肥料)と光合成のバランス6窒素不足骨格優先小さい筋っぽい黄色い…窒素過多なかみ優先伸び伸び軟弱(とろけやすい)緑色が濃いN > CHON < CHO
■病害虫の被害はどちらに7N > CHON < CHO肥料不足肥料過多?
■光合成(CHOをつくる)8CO2 + H2O ⇒ CH2O +O2有機物合成のスタート
■糖の貯蔵と輸送9からだの各部に送られるデンプンとして(仮)貯蔵⇒ 糖の形に戻して各部の細胞へ(転流/夜間に活発化)
■窒素吸収10からだの各部に送られるからだをつくる窒素はどこから来る??土の中の窒素分【肥料】「蒸散」の流れに乗せて吸収
おさらい②体内循環のメカニズム※肥料が吸われて身になるまで。。。水
12①溶ける 電気
13②根から吸収団粒の隙間の土壌溶液濃い?薄い?細胞の内部の生体液濃い?薄い?土壌粒子細胞浸透圧
14葉:気孔から蒸散茎:毛管現象根:土壌から吸入③蒸散流
15からだの各部に送られる土の中の窒素分【肥料】「蒸散」の流れに乗せて吸収④アミノ酸合成
16アミノ酸の濃度差⑤転流
17糖 セルロース、でんぷんアミノ酸 タンパク質 (ペプチド)⑥合成
18細胞壁(繊維=骨格)細胞質(なかみ)セルロースCHOたんぱく質CHO-N核 ⇒ 核酸
③土を観るポイント土水はけ・肥料持ち 根圏生物相ミネラルバランス
水はけ・肥料持ち
21■ 土の成り立ち①鉱物 岩石が風化を受けて細かく砕けたもの(無機物)②生物 植物の根や土壌動物(ダニ、ミミズ、線虫)微生物(糸状菌、放線菌、細菌)③腐植 生物の遺体が長い年月をかけて化学反応した分解されにくい暗色の物資(難分解有機物)
22■鉱物ってどんな物質?ケイ酸 SiO2 が基本材料副材料:鉄 Fe とアルミニウム Al 、カルシウム Caナトリウム Na・カリウム K・マグネシウム Mgなどミネラルの酸化物
23■地球の大半はマグマ…
24■地球表面に存在する元素
25■岩石の風化過程
26■岩石の風化過程
27■土壌粒子(鉱物)の大きさと土性
28■粒径と粘着力粒が小さくなるほど電気的性質が色濃く⇒ 静電気が強い!!
29■土の構造(三相分布)
30■毛細管現象との比較細い隙間には水がくっついて離れない(静電気)
31■肥料持ちが良い土とは?土のなかの鉱物(MSiO4)はマイナスに帯電⇒ 陽(プラス)イオンを抱えることができる
32■鉱物とCEC
33■ 土の粒子の大きさによる影響まとめ砂 → 壌土 → 埴土細かくなるほど・・・★水持ちがよい(水はけが悪い)★肥料持ちがよい(CECが高い)(※電気的性質が強まる)水はけ・肥料持ち
34■ 良い土といえば・・・★水はけのよい(雨が降っても水溜まりにならない)★水持ちのよい(簡単には乾きずらい)両立は可能なのだろうか?
35■団粒構造 → 植物が育ちやすい環境「土壌」が形成される小さい粒子が集まって大きい粒子を形成「水はけのよい、水持ちのよい土」 が可能に
根圏生物相
37■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」「根圏」: 植物と微生物の共生エリア土 → 1cm3あたり数億の生物 「生態系」植物の根・土中の生態系で重要な役割・ pHや栄養条件などが周囲の土と著しく異なる生物相
38■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」【土(環境)が生物を育て、生物が土(環境)をつくる】
39■根粒菌空気中の窒素ガスを無機態に変えて植物に供給(マメ科と共生)
40■菌根菌リンを遠くから植物に供給するカビのなかま
41■根こぶ病~根こぶ線虫
42■微生物の多様性 ⇒ 植物の生育にとって重要
43■微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程
44■微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程
45■微生物のはたらき(物質の分解) → 食品の発酵
46■食べる/消化する ⇒ 土の分解機能と同じ!?
47■腐植って??土壌の有機物は微生物により分解⇒ 最終的に消滅でも・・・一部は土壌にとどまる(暗色、構造は無定形の高分子化合物)腐植= 「分解途中の有機物のカス」
48■ 腐植の形成腐植: 有機物とアルミニウムや鉄が結合してできた物質☆鉱物の風化過程でできる☆植生が大きく関係※火山灰土壌のイネ科草原で多く蓄積(→黒ボク)
49■ 腐植の形成
溶ける ~ pH ~ ミネラルって何だ?
■イオンが水に溶ける様子51イオン になる(電気を持つ)と溶けやすい
52■水に溶けるときの形 ⇒ 陽イオンと陰イオン陽(プラス)イオン→ おもに金属の仲間(ミネラル)陰(マイナス)イオン→ 「~酸」という名前がつく「塩」 ・・・水から析出陽イオンと陰イオンがくっついてる状態
53陽(+)イオンのなかまおもにミネラル陽(+)イオンのなかまおもに「酸」
54■水に溶けるときの形 ⇒ 陽イオンと陰イオン「塩」の例「炭カル」カルシウムイオンCa炭酸イオンCO3炭酸カルシウムCaCO32+2 -
55■ pHとは?陽イオンが多い状態pH高>7 【アルカリ性】陰イオンが多い状態pH低<7 【酸性】+と-がバランスしている状態pH=7 【中性】
3つのミネラルとそのバランス
57細胞壁のなかのペクチン酸カルシウム(フルーチェ)Ca細胞壁骨格=繊維セメントを流し込むフルーチェカルシウム石灰
58Mg光をキャッチする緑色の【クロロフィル】マグネシウム苦土
~植物にとって浸透圧は超重要~59生体が体内濃度の制御に使う濃い液薄い液半透膜K カリウム加里
60■土壌分析の見方 ~ CECと塩基飽和度
61■土壌分析の見方 ~ CECと塩基飽和度塩基飽和度 = 「既に埋まっている席の割合」
62■ミネラルバランスと塩基飽和度の目標値★最適塩基バランス<例>(meq比) 石灰 苦土 カリ 比Ca:Mg:K = 5:2:1 (あるいは 7:3:1 ←締める時)★最適塩基飽和度80%程度に調整(CEC15~20の場合) ちょい酸性※ただしCECが低い時は飽和度を高めにする+
63■ミネラル同士の拮抗関係石灰 ⇔ カリの関係 <石灰は締める ⇔ カリは緩める>夏:石灰多め 葉物:石灰多め冬:カリ多め 果菜類・根物:カリ多め