Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
R2 茶源郷セミナー 第1回
Search
iga-vegy-murayama
October 08, 2020
Technology
0
160
R2 茶源郷セミナー 第1回
iga-vegy-murayama
October 08, 2020
Tweet
Share
More Decks by iga-vegy-murayama
See All by iga-vegy-murayama
第1回栽培技術・経営力向上研修会
kmurayama
1
290
KOA取組紹介プレゼン資料_rev20190715.pdf
kmurayama
0
310
伊賀地域の農業者連携の取組.pdf
kmurayama
0
35
KOA協議会R2年度実践拠点づくり事業取組報告
kmurayama
0
44
Local×Organic×Technologyから見えてきたもの
kmurayama
0
91
和束技術講義_2020第2回ver2.0.pdf
kmurayama
0
180
生産・流通の両面から見た 有機農業が抱える課題とこれからの展開について
kmurayama
0
56
Other Decks in Technology
See All in Technology
Autify Company Deck
autifyhq
2
41k
GraphRAG: What I Thought I Knew (But Didn’t)
sashimimochi
1
230
例外処理を理解して、設計段階からエラーを「見つけやすく」「起こりにくく」する
kajitack
12
3.7k
レイクハウスとはなんだったのか?
akuwano
15
2k
プロダクト開発、インフラ、コーポレート、そしてAIとの共通言語としての Terraform / Terraform as a Common Language for Product Development, Infrastructure, Corporate Engineering, and AI
yuyatakeyama
6
1.6k
Tokyo RubyKaigi 12 - Scaling Ruby at GitHub
jhawthorn
2
210
Zenn のウラガワ ~エンジニアのアウトプットを支える環境で Google Cloud が採用されているワケ~ #burikaigi #burikaigi_h
kongmingstrap
18
6.8k
地方企業がクラウドを活用するヒント
miu_crescent
PRO
1
110
[TechNight #86] Oracle GoldenGate - 23ai 最新情報&プロジェクトからの学び
oracle4engineer
PRO
1
170
Tech Blog執筆のモチベート向上作戦
imamura_ko_0314
0
740
エラーバジェット枯渇の原因 - 偽陽性との戦い -
phaya72
1
100
[SRE kaigi 2025] ガバメントクラウドに向けた開発と変化するSRE組織のあり方 / Development for Government Cloud and the Evolving Role of SRE Teams
kazeburo
4
1.9k
Featured
See All Featured
Imperfection Machines: The Place of Print at Facebook
scottboms
267
13k
Scaling GitHub
holman
459
140k
YesSQL, Process and Tooling at Scale
rocio
171
14k
Testing 201, or: Great Expectations
jmmastey
41
7.2k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
8
1.3k
Product Roadmaps are Hard
iamctodd
PRO
50
11k
Making Projects Easy
brettharned
116
6k
Fashionably flexible responsive web design (full day workshop)
malarkey
406
66k
Reflections from 52 weeks, 52 projects
jeffersonlam
348
20k
Designing on Purpose - Digital PM Summit 2013
jponch
117
7.1k
実際に使うSQLの書き方 徹底解説 / pgcon21j-tutorial
soudai
175
51k
Practical Orchestrator
shlominoach
186
10k
Transcript
「茶葉を生かした野菜」の栽培技術習得セミナー 第1回 自然を読み解く農業技術 講師/伊賀ベジタブルファーム㈱ 村山 邦彦
本日の流れ • 一人一人が思い描くテーマと課題(とりわけ技術的なこと) 20-30分 • 課題の整理 10分 • 基本の確認 40分~50分
その1 ⇒ 「光」 光合成と栄養(窒素)のバランス その2 ⇒ 「水」 体内循環のメカニズム 水を制する者は植物を制する!? その3 ⇒ 「土」 土を観るポイント 物理性、生物性、化学性 / 腐植とは? • 質疑~次回以降の流れを考える 10分
本日の流れ 【キーワード】 ものがたり 自分のものがたり/相手のものがたり ・・・ 意識する/理解する/言葉にする 【ポイント】 -- どこから来てどこへ行くのか? 流れを観る
(進化) -- 陰陽一体でとらえる 相を観る (循環~恒常性)
4 ▪知識・情報をつなげて【ものがたり】を観る・語る 時間軸、空間軸でのつながりを意識する 知識をつなげるきっかけ → 「問い」~「対話」 例)有機肥料がいいか化成肥料がいいか︖ トマトの⽔やりは⼀⽇どのくらい︖ ※百姓は毎年⼀年⽣・・・
①光合成と栄養(窒素)のバランス 光
6 ▪生体をつくる材料 = 有機物 C , H , O ,
N 有機物 C H O (炭水化物) C H O – N (窒素を含む有機物) でんぷん(貯蔵用) セルロース(繊維=骨格) 他 油脂など タンパク質(からだ主材料) 他核酸など 基本 単位 糖 (グルコース、ショ糖等) アミノ酸 (21種類グルタミン酸等)
▪細胞をつくる材料 7 細胞壁 (繊維=骨格) 細胞質 (なかみ) セルロース CHO たんぱく質 CHO-N
核 ⇒ 核酸
▪細胞をつくる材料 8 細胞壁 =構造体 鉄筋部分 ⇒繊維 (セルロース) セメント部分 ⇒ペクチン (フルーチェ)
ブロックを積んで 体を支える
▪細胞をつくる材料 9 細胞壁 細胞質 (なかみ) CHO 窒素不要 CHO-N 窒素が必要 (あれば充実)
▪窒素がないときと十分にあるときの細胞 N > CHO N < CHO 窒素不足 窒素過多
はどうやって作られる?? ★【光合成】で糖(CHO)をつくる ↓ 〇糖を沢山つなげて炭水化物 〇糖に窒素(N)をつなげてアミノ酸 → タンパク質 ▪細胞をつくる材料 11 CHO
CHO-N たんぱく質 炭水化物
▪光合成(CHOをつくる) 12 CO2 + H2O ⇒ CH2O +O2 有機物合成のスタート
▪糖の貯蔵と輸送 13 からだの各部に送られる 葉でデンプンとして(仮)貯蔵 ⇒ 糖の形に戻して各部の細胞へ (転流/夜間に活発化)
▪窒素吸収 14 からだの各部に送られる からだをつくる窒素はどこから来る?? 土の中の窒素分 【肥料】 「蒸散」の流れに乗せて吸収
15 ▪窒素(アミノ酸)の輸送 無機窒素、糖を使いアミノ酸合成 ⇒ 各部の細胞へ (生長点にはアミノ酸が届く ※無機窒素は送らない)
▪窒素(肥料)と光合成のバランス 16 N > CHO N < CHO 肥料不足 肥料過多
▪窒素(肥料)と光合成のバランス 17 窒素不足 骨格優先 小さい 筋っぽい 黄色い… 窒素過多 なかみ優先 伸び伸び
軟弱(とろけやすい) 緑色が濃い N > CHO N < CHO
▪病害虫の被害はどちらに 18 N > CHO N < CHO 肥料不足 肥料過多
?
②体内循環のメカニズム 水
植物を知るには・・・ 「水」を知るのが早道
▪水の特性 その① 電気 21 水は極性分子(電気的に偏りがある)
▪水の特性 その① 電気 22 イオン になる(電気を持つ)と溶ける(溶けやすい)
▪水の特性 その② 浸透圧 23 異なるものが同じになろうとする・・・熱力学第2法則 「薄い」⇒「濃い」の方向へ動く 濃い液 薄い液 半透膜
▪水の特性 その② 浸透圧 24 なめくじ に塩を振る ⇒ 濃い液に触れる
25 「根」 … 膜に覆われた細胞 根が水を吸う とはどういうことか? 団粒の隙間の 土壌溶液 濃い?薄い? 細胞の内部の
生体液 濃い?薄い? 土壌粒子 細胞 ▪水の特性 その② 浸透圧
26 植物体内の水(物質)の移動 ① 蒸散 (道管) 葉での蒸散 ⇒ 吸い上げ圧力を生む ② 転流
(師管) 浸透圧を利用して養分を各部に送る ▪水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
27 葉:気孔から蒸散 茎:毛管現象 根:土壌から吸入 ▪水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム ① 蒸散
28 植物は<蒸散>で養分を吸い上げる ◎葉で蒸散が行われないと何も吸えない! ◎周囲の湿度に大きく依存 (乾燥⇒蒸発促進) 対流(風)も影響 ◎気孔の開閉 ⇒ 栽培のキモ 土や空気、体内の水分量を感知して開閉
▪水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
29 根周辺の乾湿 空気の湿度 (飽差) 日照 気温 生体液濃度 (膨圧) 土の養分濃度 根圧
▪水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム ※蒸散に影響を与える要素
30 養分を各部へ送る ② 転流 ▪水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
※浸透圧を利用して移動 31 糖の濃度差をつくる ▪水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
▪肥料(窒素)が植物のからだに使われるまで 32 ①肥料の分解(水に溶けるまで…) ②根による吸収 (基本的には無機体窒素) ③蒸散流に乗って「上へ」 水は蒸発してNが葉の気孔周辺に残る ④アミノ酸合成(葉の糖と合成) ⑤転流(葉から各部へ) ⑥生長点で細胞合成
(アミノ酸 ⇒ たんぱく合成)
33 ①溶ける
34 ②根から吸収 団粒の隙間の 土壌溶液 濃い?薄い? 細胞の内部の 生体液 濃い?薄い? 土壌粒子 細胞
35 葉:気孔から蒸散 茎:毛管現象 根:土壌から吸入 ③蒸散流
36 からだの各部に送られる 土の中の窒素分 【肥料】 「蒸散」の流れに乗せて吸収 ④アミノ酸合成
37 アミノ酸の濃度差 ⑤転流
38 糖 セルロース、でんぷん アミノ酸 タンパク質 (ペプチド) ⑥合成
39 細胞壁 (繊維=骨格) 細胞質 (なかみ) セルロース CHO たんぱく質 CHO-N 核
⇒ 核酸
③土を観るポイント 土
41 ▪ 土の成り立ち ①鉱物 岩石が風化を受けて細かく砕けたもの(無機物) ②生物 植物の根や土壌動物(ダニ、ミミズ、線虫) 微生物(糸状菌、放線菌、細菌) ③腐植 生物の遺体が長い年月をかけて
様々な化学反応を受けてできた 分解されにくい暗色の物資(難分解有機物)
42 ▪地球表面に存在する元素
43 ▪鉱物ってどんな物質? ケイ酸 SiO2 が基本材料 副材料:鉄 Fe とアルミニウム Al 、カルシウム
Ca ナトリウム Na・カリウム K・マグネシウム Mgなど ミネラルの酸化物
44 ▪地球の大半はマグマ…
45 ▪岩石の風化過程
46 ▪岩石の風化過程
47 ▪土壌粒子(鉱物)の大きさと土性
48 ▪粒径と粘着力 粒が小さくなるほど電気的性質が色濃く ⇒ 静電気が強い!!
49 ▪土壌粒子(鉱物)の大きさと土性
50 ▪土の構造(三相分布)
51 ▪毛細管現象との比較 細い隙間には水がくっついて離れない(静電気)
52 ▪ 良い土といえば・・・ ★水はけのよい (雨が降っても水溜まりにならない) ★水持ちのよい (簡単には乾きずらい) 両立は可能なのだろうか?
53 ▪岩石が土壌に代わっていくプロセス
54 ▪団粒構造 → 植物が育ちやすい環境「土壌」が形成される 小さい粒子が集まって大きい粒子を形成 「水はけのよい、水持ちのよい土」 が可能に
55 ▪肥料持ちが良いとは? 土のなかの鉱物(MSiO4)はマイナスに帯電 ⇒ 陽(プラス)イオンを抱えることができる
56 ▪粘土鉱物とCEC
57 ▪ 土の粒子の大きさによる影響まとめ 砂 → 壌土 → 埴土 細かくなるほど・・・ ★水持ちがよい(水はけが悪い)
★肥料持ちがよい(CECが高い) (※電気的性質が強まる)
58 ▪植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」 「根圏」: 植物と微生物の共生エリア 土 → 1cm3あたり数億の生物が存在!! 「生態系」になっている 植物の根
・土中の生態系で重要な役割を担う ・ pHや栄養条件などが他と著しく異なる環境に・・・
59 ▪植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」
60 ▪植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」 【土(環境)が生物を育て、生物が土(環境)をつくる】
61 ▪根粒菌 空気中の窒素ガスを無機態に変えて植物に供給 (マメ科と共生)
62 ▪菌根菌 リンを遠くから植物に供給するカビのなかま
63 ▪根こぶ病~根こぶ線虫
64 ▪微生物の多様性 ⇒ 植物の生育にとって重要
65 ▪微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程
66 ▪微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程
67 ▪微生物のはたらき(物質の分解) → 食品の発酵
68 ▪食べる/消化する ⇒ 土の分解機能と同じ!?
69 ▪腐植って?? 土壌の有機物は微生物により分解 ⇒ 最終的に消滅 でも・・・一部は土壌にとどまる (暗色、構造は無定形の高分子化合物) 腐植= 「分解途中の有機物のカス」
70 ▪ 腐植の形成 腐植: 有機物とアルミニウムや鉄が 結合してできた物質 ☆鉱物の風化過程でできる ☆植生が大きく関係 ※火山灰土壌のイネ科草原で多く蓄積 (→黒ボク)
71 ▪ 腐植の形成