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R2 茶源郷セミナー 第1回

R2 茶源郷セミナー 第1回

iga-vegy-murayama

October 08, 2020
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  1. 「茶葉を生かした野菜」の栽培技術習得セミナー
    第1回 自然を読み解く農業技術
    講師/伊賀ベジタブルファーム㈱ 村山 邦彦

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  2. 本日の流れ
    • 一人一人が思い描くテーマと課題(とりわけ技術的なこと) 20-30分
    • 課題の整理 10分
    • 基本の確認 40分~50分
    その1 ⇒ 「光」 光合成と栄養(窒素)のバランス
    その2 ⇒ 「水」 体内循環のメカニズム 水を制する者は植物を制する!?
    その3 ⇒ 「土」 土を観るポイント 物理性、生物性、化学性 / 腐植とは?
    • 質疑~次回以降の流れを考える 10分

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  3. 本日の流れ
    【キーワード】 ものがたり
    自分のものがたり/相手のものがたり ・・・ 意識する/理解する/言葉にする
    【ポイント】
    -- どこから来てどこへ行くのか? 流れを観る (進化)
    -- 陰陽一体でとらえる 相を観る (循環~恒常性)

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  4. 4
    ■知識・情報をつなげて【ものがたり】を観る・語る
    時間軸、空間軸でのつながりを意識する
    知識をつなげるきっかけ → 「問い」~「対話」
    例)有機肥料がいいか化成肥料がいいか︖
    トマトの⽔やりは⼀⽇どのくらい︖
    ※百姓は毎年⼀年⽣・・・

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  5. ①光合成と栄養(窒素)のバランス

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  6. 6
    ■生体をつくる材料 = 有機物 C , H , O , N
    有機物
    C H O
    (炭水化物)
    C H O – N
    (窒素を含む有機物)
    でんぷん(貯蔵用)
    セルロース(繊維=骨格)
    他 油脂など
    タンパク質(からだ主材料)
    他核酸など
    基本
    単位

    (グルコース、ショ糖等)
    アミノ酸
    (21種類グルタミン酸等)

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  7. ■細胞をつくる材料
    7
    細胞壁
    (繊維=骨格)
    細胞質
    (なかみ)
    セルロース
    CHO
    たんぱく質
    CHO-N
    核 ⇒ 核酸

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  8. ■細胞をつくる材料
    8
    細胞壁
    =構造体
    鉄筋部分
    ⇒繊維
    (セルロース)
    セメント部分
    ⇒ペクチン
    (フルーチェ)
    ブロックを積んで
    体を支える

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  9. ■細胞をつくる材料
    9
    細胞壁 細胞質
    (なかみ)
    CHO
    窒素不要
    CHO-N
    窒素が必要
    (あれば充実)

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  10. ■窒素がないときと十分にあるときの細胞
    N > CHO
    N
    < CHO
    窒素不足
    窒素過多

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  11. はどうやって作られる??
    ★【光合成】で糖(CHO)をつくる

    〇糖を沢山つなげて炭水化物
    〇糖に窒素(N)をつなげてアミノ酸 → タンパク質
    ■細胞をつくる材料
    11
    CHO CHO-N
    たんぱく質
    炭水化物

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  12. ■光合成(CHOをつくる)
    12
    CO2 + H2O ⇒ CH2O +O2
    有機物合成のスタート

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  13. ■糖の貯蔵と輸送
    13
    からだの各部に送られる
    葉でデンプンとして(仮)貯蔵
    ⇒ 糖の形に戻して各部の細胞へ
    (転流/夜間に活発化)

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  14. ■窒素吸収
    14
    からだの各部に送られる
    からだをつくる窒素はどこから来る??
    土の中の窒素分
    【肥料】
    「蒸散」の流れに乗せて吸収

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  15. 15
    ■窒素(アミノ酸)の輸送
    無機窒素、糖を使いアミノ酸合成
    ⇒ 各部の細胞へ
    (生長点にはアミノ酸が届く
    ※無機窒素は送らない)

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  16. ■窒素(肥料)と光合成のバランス
    16
    N > CHO
    N < CHO
    肥料不足
    肥料過多

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  17. ■窒素(肥料)と光合成のバランス
    17
    窒素不足
    骨格優先
    小さい
    筋っぽい
    黄色い…
    窒素過多
    なかみ優先
    伸び伸び
    軟弱(とろけやすい)
    緑色が濃い
    N > CHO
    N < CHO

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  18. ■病害虫の被害はどちらに
    18
    N > CHO
    N < CHO
    肥料不足
    肥料過多

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  19. ②体内循環のメカニズム

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  20. 植物を知るには・・・
    「水」を知るのが早道

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  21. ■水の特性 その① 電気
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    水は極性分子(電気的に偏りがある)

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  22. ■水の特性 その① 電気
    22
    イオン になる(電気を持つ)と溶ける(溶けやすい)

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  23. ■水の特性 その② 浸透圧
    23
    異なるものが同じになろうとする・・・熱力学第2法則
    「薄い」⇒「濃い」の方向へ動く
    濃い液
    薄い液
    半透膜

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  24. ■水の特性 その② 浸透圧
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    なめくじ に塩を振る ⇒ 濃い液に触れる

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  25. 25
    「根」 … 膜に覆われた細胞
    根が水を吸う とはどういうことか?
    団粒の隙間の
    土壌溶液
    濃い?薄い?
    細胞の内部の
    生体液
    濃い?薄い?
    土壌粒子
    細胞
    ■水の特性 その② 浸透圧

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  26. 26
    植物体内の水(物質)の移動
    ① 蒸散 (道管)
    葉での蒸散 ⇒ 吸い上げ圧力を生む
    ② 転流 (師管)
    浸透圧を利用して養分を各部に送る
    ■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム

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  27. 27
    葉:気孔から蒸散
    茎:毛管現象
    根:土壌から吸入
    ■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム

    蒸散

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  28. 28
    植物は<蒸散>で養分を吸い上げる
    ◎葉で蒸散が行われないと何も吸えない!
    ◎周囲の湿度に大きく依存 (乾燥⇒蒸発促進)
    対流(風)も影響
    ◎気孔の開閉 ⇒ 栽培のキモ
    土や空気、体内の水分量を感知して開閉
    ■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム

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  29. 29
    根周辺の乾湿
    空気の湿度
    (飽差)
    日照
    気温
    生体液濃度
    (膨圧)
    土の養分濃度
    根圧
    ■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
    ※蒸散に影響を与える要素

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  30. 30
    養分を各部へ送る ②
    転流
    ■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム

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  31. ※浸透圧を利用して移動
    31
    糖の濃度差をつくる
    ■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム

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  32. ■肥料(窒素)が植物のからだに使われるまで
    32
    ①肥料の分解(水に溶けるまで…)
    ②根による吸収 (基本的には無機体窒素)
    ③蒸散流に乗って「上へ」
    水は蒸発してNが葉の気孔周辺に残る
    ④アミノ酸合成(葉の糖と合成)
    ⑤転流(葉から各部へ)
    ⑥生長点で細胞合成 (アミノ酸 ⇒ たんぱく合成)

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  33. 33
    ①溶ける

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  34. 34
    ②根から吸収
    団粒の隙間の
    土壌溶液
    濃い?薄い?
    細胞の内部の
    生体液
    濃い?薄い?
    土壌粒子
    細胞

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  35. 35
    葉:気孔から蒸散
    茎:毛管現象
    根:土壌から吸入
    ③蒸散流

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  36. 36
    からだの各部に送られる
    土の中の窒素分
    【肥料】
    「蒸散」の流れに乗せて吸収
    ④アミノ酸合成

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  37. 37
    アミノ酸の濃度差
    ⑤転流

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  38. 38
    糖 セルロース、でんぷん
    アミノ酸 タンパク質 (ペプチド)
    ⑥合成

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  39. 39
    細胞壁
    (繊維=骨格)
    細胞質
    (なかみ)
    セルロース
    CHO
    たんぱく質
    CHO-N
    核 ⇒ 核酸

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  40. ③土を観るポイント

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  41. 41
    ■ 土の成り立ち
    ①鉱物 岩石が風化を受けて細かく砕けたもの(無機物)
    ②生物 植物の根や土壌動物(ダニ、ミミズ、線虫)
    微生物(糸状菌、放線菌、細菌)
    ③腐植 生物の遺体が長い年月をかけて
    様々な化学反応を受けてできた
    分解されにくい暗色の物資(難分解有機物)

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  42. 42
    ■地球表面に存在する元素

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  43. 43
    ■鉱物ってどんな物質?
    ケイ酸 SiO2 が基本材料
    副材料:鉄 Fe とアルミニウム Al 、カルシウム Ca
    ナトリウム Na・カリウム K・マグネシウム Mgなど
    ミネラルの酸化物

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  44. 44
    ■地球の大半はマグマ…

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  45. 45
    ■岩石の風化過程

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  46. 46
    ■岩石の風化過程

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  47. 47
    ■土壌粒子(鉱物)の大きさと土性

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  48. 48
    ■粒径と粘着力
    粒が小さくなるほど電気的性質が色濃く
    ⇒ 静電気が強い!!

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  49. 49
    ■土壌粒子(鉱物)の大きさと土性

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  50. 50
    ■土の構造(三相分布)

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  51. 51
    ■毛細管現象との比較
    細い隙間には水がくっついて離れない(静電気)

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    ■ 良い土といえば・・・
    ★水はけのよい
    (雨が降っても水溜まりにならない)
    ★水持ちのよい
    (簡単には乾きずらい)
    両立は可能なのだろうか?

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  53. 53
    ■岩石が土壌に代わっていくプロセス

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    ■団粒構造 → 植物が育ちやすい環境「土壌」が形成される
    小さい粒子が集まって大きい粒子を形成
    「水はけのよい、水持ちのよい土」 が可能に

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    ■肥料持ちが良いとは?
    土のなかの鉱物(MSiO4)はマイナスに帯電
    ⇒ 陽(プラス)イオンを抱えることができる

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    ■粘土鉱物とCEC

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    ■ 土の粒子の大きさによる影響まとめ
    砂 → 壌土 → 埴土
    細かくなるほど・・・
    ★水持ちがよい(水はけが悪い)
    ★肥料持ちがよい(CECが高い)
    (※電気的性質が強まる)

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    ■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」
    「根圏」: 植物と微生物の共生エリア
    土 → 1cm3あたり数億の生物が存在!!
    「生態系」になっている
    植物の根
    ・土中の生態系で重要な役割を担う
    ・ pHや栄養条件などが他と著しく異なる環境に・・・

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    ■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」

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    ■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」
    【土(環境)が生物を育て、生物が土(環境)をつくる】

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  61. 61
    ■根粒菌
    空気中の窒素ガスを無機態に変えて植物に供給
    (マメ科と共生)

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    ■菌根菌
    リンを遠くから植物に供給するカビのなかま

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    ■根こぶ病~根こぶ線虫

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  64. 64
    ■微生物の多様性 ⇒ 植物の生育にとって重要

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  65. 65
    ■微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程

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    ■微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程

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  67. 67
    ■微生物のはたらき(物質の分解) → 食品の発酵

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    ■食べる/消化する ⇒ 土の分解機能と同じ!?

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    ■腐植って??
    土壌の有機物は微生物により分解
    ⇒ 最終的に消滅
    でも・・・一部は土壌にとどまる
    (暗色、構造は無定形の高分子化合物)
    腐植= 「分解途中の有機物のカス」

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    ■ 腐植の形成
    腐植: 有機物とアルミニウムや鉄が
    結合してできた物質
    ☆鉱物の風化過程でできる
    ☆植生が大きく関係
    ※火山灰土壌のイネ科草原で多く蓄積
    (→黒ボク)

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    ■ 腐植の形成

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