「茶葉を生かした野菜」の栽培技術習得セミナー第1回 自然を読み解く農業技術講師/伊賀ベジタブルファーム㈱ 村山 邦彦
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本日の流れ• 一人一人が思い描くテーマと課題(とりわけ技術的なこと) 20-30分• 課題の整理 10分• 基本の確認 40分~50分その1 ⇒ 「光」 光合成と栄養(窒素)のバランスその2 ⇒ 「水」 体内循環のメカニズム 水を制する者は植物を制する!?その3 ⇒ 「土」 土を観るポイント 物理性、生物性、化学性 / 腐植とは?• 質疑~次回以降の流れを考える 10分
本日の流れ【キーワード】 ものがたり自分のものがたり/相手のものがたり ・・・ 意識する/理解する/言葉にする【ポイント】-- どこから来てどこへ行くのか? 流れを観る (進化)-- 陰陽一体でとらえる 相を観る (循環~恒常性)
4■知識・情報をつなげて【ものがたり】を観る・語る時間軸、空間軸でのつながりを意識する知識をつなげるきっかけ → 「問い」~「対話」例)有機肥料がいいか化成肥料がいいか︖トマトの⽔やりは⼀⽇どのくらい︖※百姓は毎年⼀年⽣・・・
①光合成と栄養(窒素)のバランス光
6■生体をつくる材料 = 有機物 C , H , O , N有機物C H O(炭水化物)C H O – N(窒素を含む有機物)でんぷん(貯蔵用)セルロース(繊維=骨格)他 油脂などタンパク質(からだ主材料)他核酸など基本単位糖(グルコース、ショ糖等)アミノ酸(21種類グルタミン酸等)
■細胞をつくる材料7細胞壁(繊維=骨格)細胞質(なかみ)セルロースCHOたんぱく質CHO-N核 ⇒ 核酸
■細胞をつくる材料8細胞壁=構造体鉄筋部分⇒繊維(セルロース)セメント部分⇒ペクチン(フルーチェ)ブロックを積んで体を支える
■細胞をつくる材料9細胞壁 細胞質(なかみ)CHO窒素不要CHO-N窒素が必要(あれば充実)
■窒素がないときと十分にあるときの細胞N > CHON< CHO窒素不足窒素過多
はどうやって作られる??★【光合成】で糖(CHO)をつくる↓〇糖を沢山つなげて炭水化物〇糖に窒素(N)をつなげてアミノ酸 → タンパク質■細胞をつくる材料11CHO CHO-Nたんぱく質炭水化物
■光合成(CHOをつくる)12CO2 + H2O ⇒ CH2O +O2有機物合成のスタート
■糖の貯蔵と輸送13からだの各部に送られる葉でデンプンとして(仮)貯蔵⇒ 糖の形に戻して各部の細胞へ(転流/夜間に活発化)
■窒素吸収14からだの各部に送られるからだをつくる窒素はどこから来る??土の中の窒素分【肥料】「蒸散」の流れに乗せて吸収
15■窒素(アミノ酸)の輸送無機窒素、糖を使いアミノ酸合成⇒ 各部の細胞へ(生長点にはアミノ酸が届く※無機窒素は送らない)
■窒素(肥料)と光合成のバランス16N > CHON < CHO肥料不足肥料過多
■窒素(肥料)と光合成のバランス17窒素不足骨格優先小さい筋っぽい黄色い…窒素過多なかみ優先伸び伸び軟弱(とろけやすい)緑色が濃いN > CHON < CHO
■病害虫の被害はどちらに18N > CHON < CHO肥料不足肥料過多?
②体内循環のメカニズム水
植物を知るには・・・「水」を知るのが早道
■水の特性 その① 電気21水は極性分子(電気的に偏りがある)
■水の特性 その① 電気22イオン になる(電気を持つ)と溶ける(溶けやすい)
■水の特性 その② 浸透圧23異なるものが同じになろうとする・・・熱力学第2法則「薄い」⇒「濃い」の方向へ動く濃い液薄い液半透膜
■水の特性 その② 浸透圧24なめくじ に塩を振る ⇒ 濃い液に触れる
25「根」 … 膜に覆われた細胞根が水を吸う とはどういうことか?団粒の隙間の土壌溶液濃い?薄い?細胞の内部の生体液濃い?薄い?土壌粒子細胞■水の特性 その② 浸透圧
26植物体内の水(物質)の移動① 蒸散 (道管)葉での蒸散 ⇒ 吸い上げ圧力を生む② 転流 (師管)浸透圧を利用して養分を各部に送る■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
27葉:気孔から蒸散茎:毛管現象根:土壌から吸入■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム①蒸散
28植物は<蒸散>で養分を吸い上げる◎葉で蒸散が行われないと何も吸えない!◎周囲の湿度に大きく依存 (乾燥⇒蒸発促進)対流(風)も影響◎気孔の開閉 ⇒ 栽培のキモ土や空気、体内の水分量を感知して開閉■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
29根周辺の乾湿空気の湿度(飽差)日照気温生体液濃度(膨圧)土の養分濃度根圧■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム※蒸散に影響を与える要素
30養分を各部へ送る ②転流■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
※浸透圧を利用して移動31糖の濃度差をつくる■水の特性 その③ 植物体内での移動メカニズム
■肥料(窒素)が植物のからだに使われるまで32①肥料の分解(水に溶けるまで…)②根による吸収 (基本的には無機体窒素)③蒸散流に乗って「上へ」水は蒸発してNが葉の気孔周辺に残る④アミノ酸合成(葉の糖と合成)⑤転流(葉から各部へ)⑥生長点で細胞合成 (アミノ酸 ⇒ たんぱく合成)
33①溶ける
34②根から吸収団粒の隙間の土壌溶液濃い?薄い?細胞の内部の生体液濃い?薄い?土壌粒子細胞
35葉:気孔から蒸散茎:毛管現象根:土壌から吸入③蒸散流
36からだの各部に送られる土の中の窒素分【肥料】「蒸散」の流れに乗せて吸収④アミノ酸合成
37アミノ酸の濃度差⑤転流
38糖 セルロース、でんぷんアミノ酸 タンパク質 (ペプチド)⑥合成
39細胞壁(繊維=骨格)細胞質(なかみ)セルロースCHOたんぱく質CHO-N核 ⇒ 核酸
③土を観るポイント土
41■ 土の成り立ち①鉱物 岩石が風化を受けて細かく砕けたもの(無機物)②生物 植物の根や土壌動物(ダニ、ミミズ、線虫)微生物(糸状菌、放線菌、細菌)③腐植 生物の遺体が長い年月をかけて様々な化学反応を受けてできた分解されにくい暗色の物資(難分解有機物)
42■地球表面に存在する元素
43■鉱物ってどんな物質?ケイ酸 SiO2 が基本材料副材料:鉄 Fe とアルミニウム Al 、カルシウム Caナトリウム Na・カリウム K・マグネシウム Mgなどミネラルの酸化物
44■地球の大半はマグマ…
45■岩石の風化過程
46■岩石の風化過程
47■土壌粒子(鉱物)の大きさと土性
48■粒径と粘着力粒が小さくなるほど電気的性質が色濃く⇒ 静電気が強い!!
49■土壌粒子(鉱物)の大きさと土性
50■土の構造(三相分布)
51■毛細管現象との比較細い隙間には水がくっついて離れない(静電気)
52■ 良い土といえば・・・★水はけのよい(雨が降っても水溜まりにならない)★水持ちのよい(簡単には乾きずらい)両立は可能なのだろうか?
53■岩石が土壌に代わっていくプロセス
54■団粒構造 → 植物が育ちやすい環境「土壌」が形成される小さい粒子が集まって大きい粒子を形成「水はけのよい、水持ちのよい土」 が可能に
55■肥料持ちが良いとは?土のなかの鉱物(MSiO4)はマイナスに帯電⇒ 陽(プラス)イオンを抱えることができる
56■粘土鉱物とCEC
57■ 土の粒子の大きさによる影響まとめ砂 → 壌土 → 埴土細かくなるほど・・・★水持ちがよい(水はけが悪い)★肥料持ちがよい(CECが高い)(※電気的性質が強まる)
58■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」「根圏」: 植物と微生物の共生エリア土 → 1cm3あたり数億の生物が存在!!「生態系」になっている植物の根・土中の生態系で重要な役割を担う・ pHや栄養条件などが他と著しく異なる環境に・・・
59■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」
60■植物の根と土の相互作用(共生) 「根圏」【土(環境)が生物を育て、生物が土(環境)をつくる】
61■根粒菌空気中の窒素ガスを無機態に変えて植物に供給(マメ科と共生)
62■菌根菌リンを遠くから植物に供給するカビのなかま
63■根こぶ病~根こぶ線虫
64■微生物の多様性 ⇒ 植物の生育にとって重要
65■微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程
66■微生物のはたらき(物質の分解) → 堆肥の発酵過程
67■微生物のはたらき(物質の分解) → 食品の発酵
68■食べる/消化する ⇒ 土の分解機能と同じ!?
69■腐植って??土壌の有機物は微生物により分解⇒ 最終的に消滅でも・・・一部は土壌にとどまる(暗色、構造は無定形の高分子化合物)腐植= 「分解途中の有機物のカス」
70■ 腐植の形成腐植: 有機物とアルミニウムや鉄が結合してできた物質☆鉱物の風化過程でできる☆植生が大きく関係※火山灰土壌のイネ科草原で多く蓄積(→黒ボク)
71■ 腐植の形成