伊賀有機農業推進協議会 事務局㈱へんこ、伊賀ベジタブルファーム㈱村山 邦彦伊賀地域の農業者連携の取組について~これからの時代の食・農のかたち~
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伊賀の有機農業
• 有機農業の歴史は40年以上・専業農家も40軒超全国に知られる生産者(篤農家)や独自色の強い農業団体移住してきた新規就農者が多い (高学歴・強いこだわり)• 主要な販売形態→契約栽培 生協やこだわり野菜の宅配業者など• こだわりが強すぎてなかなか連携できない… 「へんこ」 の集まり伊賀地域の有機農業
伊賀地域の有機農業(生産データ概要)面積 水稲22ha野菜40ha(トマト等果菜類、葉物等、露地中心)生産者(専業) 約40名売上規模 約2億2千万円(伊賀有機農業推進協議会 H26生産データ)
伊賀ベジタブルファーム 農場紹介
伊賀ベジタブルファーム 農場紹介– 沿革: 2007年就農(現在8年目)– 場所: 三重県伊賀市– 面積: 250a(うち施設13a)– 品目: 露地および施設野菜(全量有機栽培)– 売上: 約1,670万円(農産物)+その他事業・助成金約1,148万– 従業員: 7名(正社員3名、パート4名)– 取引先: らでぃっしゅぼーや㈱、㈱へんこ [ほぼ B to B ](近隣の中小規模の八百屋・自然食品店などへ)
農場の特徴 その1• ミッション型経営(価値を守り育て、あるいは創り出す)持続可能性、文化や知恵、「いい仕事」、地域社会• 科学的な方法論を基礎に置き、リクツを大切に伊賀ベジタブルファーム 農場紹介
農場の特徴 その2• 業務はPDCAサイクルに基づき、プロジェクトとして運営• 組織づくり、人づくりへの投資を惜しまない• 若手(30歳代前半・男女)スタッフに仕事を「任せる」伊賀ベジタブルファーム 農場紹介
農場の特徴 その3• 農業者連携を積極的に主導– 伊賀有機農業推進協議会の事務局業務担当– 株式会社へんこの流通拠点機能– みえ次世代ファーマーズmiel 県内生産者との連携伊賀ベジタブルファーム 農場紹介
農場の特徴 その4• 行政や他業者、他業種とも積極的に連携• 地域社会(自治協、教育、消費者など)との関わりを深める• まずは与える(サービス提供)/「利」は後で取る(予定)伊賀ベジタブルファーム 農場紹介
伊賀ベジタブルファーム 農場紹介全国の生産者らと勉強会・交流
伊賀ベジタブルファーム 農場紹介科学的なアプローチ自家製ボカシは施肥設計してつくる
伊賀ベジタブルファーム 農場紹介新技術の導入/黄色蛍光灯有機で慣行並みに近い収量を狙う有機物補充 ⇒ 土づくり・微生物育成
伊賀有機農業推進協議会の取組紹介
伊賀有機農業推進協議会の概要• 2010年3月に設立• 伊賀市、名張市および周辺地域の農業者、流通関係者、消費者、教育、医療、行政など、有機農業を推進する多様な主体の連携体• 現在・正会員数70軒超
伊賀有機農業推進協議会の概要• 2010年7月農林水産省産地収益力向上プログラム「有機農業供給力拡大地区推進事業」受託• 事務局: 伊賀ベジタブルファーム㈱・・・設立当初は ㈳全国愛農会→ 事務業務を地域の生産法人へ移管
伊有協の活動紹介先進地視察 - 2012年千葉事業推進
伊有協の活動紹介先進地視察 - 2013年鹿児島事業推進
伊有協の活動紹介可給態窒素の簡易測定・実証生産技術
伊有協の活動紹介地域内生産者の圃場見学会生産技術
就農希望者向け理論講座伊有協の活動紹介人材育成
人材育成新農業人フェア・ブース出展伊有協の活動紹介
伊有協の活動紹介窓口機能・出荷カレンダーの作成販売促進
伊有協の活動紹介ブランド形成1販売促進
伊有協の活動紹介ブランド形成2販売促進
伊有協の活動紹介ブランド形成3販売促進
伊有協の活動紹介加工品の開発1販売促進
伊有協の活動紹介加工品の開発2販売促進
伊有協の活動紹介グリーンツーリズム販売促進
グリーンツーリズム
伊有協の活動紹介伊賀オーガニックフェスタ地域活動
農業の業界トレンド• 日本の農業これからどうなるの?TPP植物工場農産物輸出企業参入農協解体!?– これから数年で日本の農業界は激変の可能性– 政策的な保護が弱まる⇒「普通の」ビジネスに
農業の業界トレンド~これからどうなる?• 日本の農業って世界の中ではどんな位置?• オランダ農業政策のこと・・・職業としての地位– 就きたい職業 トップ 3 !?– トヨタや松下のようなイメージの農業関連企業群
農業の業界トレンド• テクノロジーの進化速度は早い• 国際的な食糧生産手法をめぐる覇権争い– ヨーロッパ型(高管理強度)か米国型(露地粗放・規模効率)か• 労働集約型産業⇒資本集約型へ転換加速– 自動制御技術等が進んで大規模化促進– 生産技術および流通のシステム合理化・ビッグデータ処理
農業の業界トレンド~これからどうなる?• 100軒の専業農家より大規模法人に集約へ– トップレベル技術者が標準/基軸を決める– 経験と勘×学術データに基づくシステム制御へ• 流通面では…– 「市場」の機能低下(相対取引へ・生産者囲い込み)– 中小規模の物流機能が疲弊(運送、八百屋・小売)
農業の業界トレンド~これからどうなる?• 業界の統合・再編成 ⇒ 地方は?– 大資本・技術・頭脳集約型への流れ加速– 地場産業としての農業は衰退傾向・物流費上昇– 文化や自然保護といった多面的機能は?– 地域社会の課題と表裏一体高齢化・限界集落・医療保障・保育所などこれからの地方の農業(産業)の形は?
農業の業界トレンド(「有機」を取り巻く現状)• 有機農産物の国内シェア動向– 0.4%の壁を越えられない/JAS有機制度の限界?– ヨーロッパ諸国などでは5%程度が当たり前オーストリアなど10%超の国もザラ⇒何が問題になっている?安全安心 よりも エシカル(倫理的) なテーマ
農業の業界トレンド(「有機」を取り巻く現状)• これから「有機農業」が目指すところは?– 安全安心を売るのは限界・「環境保全」も無理がある– つくり手と買い手の意識のねじれを解消へ• 国の政策基本方針・・・H30年に有機シェア1%– どうやって実現していくか?
農業の業界トレンド~今後の動き• 有機農業が育んできた価値見直し・再整理– 持続可能性・文化や自然、社会との一体感– 「多様性」を尊重– コンテンツのクオリティを一段上げる文化・伝統・身体・自然・異質なものとの交流• オカルトに流されない…タコツボ化しない• バランス感覚が重要 ⇔ 絶えず外部との交流を持つこと
農業の業界トレンド~今後の動き• 他業種の中小経営体の生き残り方を参考に…– 合理化・システム化を図る– 優秀な人材の確保と長期的な育成– 人と人との「つながり」が最も意味を持ってくるフィーリングの合う つくり手⇔使い手 をいかにつないでいく(マッチングしていく)か?
手元にある「つながり」資源の活用へ回帰
持続可能性を明示する取組例
持続可能なトマト 1to1トマト
農業の業界トレンド~今後の動き• 中小規模の農業者連携プラットフォーム– 技術・知識を共有する仕組づくり・組織づくり• 農協がカバーしきれていない領域を埋めていく• 先端技術、流通情報のデータベースの共有化(従来、市場が担っていた情報提供機能)
農業の業界トレンド~今後の動き• 生産者―物流―卸―小売IT(システム・Webエンジニア)、デザイナー、行政など異業種を貫いての連携プラットフォーム– ローカル専門家らの情報共有ネットワークが必要– ボーダーレス化…枠を超えて情報共有するために…★「自分の所だけ生き残る」ではないやり方へ
みえ次世代ファーマーズ miel
農業の業界トレンド ~ miel の活動
株式会社へんこの取組
新しい流通ネットワークの形成へ
まとめこれからの農業の鍵になるのは…「人」
著書紹介
シリーズ・いま日本の「農」を問う 4環境と共生する「農」ミネルヴァ書房第3章 「未来のために必要なこと」著書紹介
ご静聴ありがとうございました!