伊東 健一,伴 祐樹,割澤 伸一.視聴触覚間のクロスモーダル効果を用いた風向知覚操作.バーチャル学会2020.p. 14.2020年12月.
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バーチャルリアリティ(VR)の研究で,風の感覚によって臨場感・没入感を向上させる「風覚ディスプレイ」という装置が提案されている.しかし,これまでの風覚ディスプレイには,風向を再現するために多くの風発生源(風源)を必要としてしまう課題があった.そこで,風源の少ない風覚ディスプレイを実現するため,物理的風向とは異なる「バーチャルな風向」をクロスモーダル効果によって錯覚させる手法を提案する.
粒子が一定方向に流れるVR映像と,立体的な風の音像(聴いて方向がわかる音)を風と同時に提示することで,視覚と聴覚からバーチャル風向の情報を与えるシステムを開発した.物理的な送風は,2台の固定されたファンだけから行った.
知覚された風向を調べる実験では,視聴覚情報の提示によって風向知覚が変化し,バーチャル風向に近い風向が感じられることが明らかになった.