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視聴触覚間のクロスモーダル効果を用いた風向知覚操作 / Manipulating the Pe...

K Ito
December 12, 2020

視聴触覚間のクロスモーダル効果を用いた風向知覚操作 / Manipulating the Perceived Directions of Wind by Visuo-Audio-Haptic Cross-Modal Effects

伊東 健一,伴 祐樹,割澤 伸一.視聴触覚間のクロスモーダル効果を用いた風向知覚操作.バーチャル学会2020.p. 14.2020年12月.
https://sites.google.com/view/virtualconference2020

バーチャルリアリティ(VR)の研究で,風の感覚によって臨場感・没入感を向上させる「風覚ディスプレイ」という装置が提案されている.しかし,これまでの風覚ディスプレイには,風向を再現するために多くの風発生源(風源)を必要としてしまう課題があった.そこで,風源の少ない風覚ディスプレイを実現するため,物理的風向とは異なる「バーチャルな風向」をクロスモーダル効果によって錯覚させる手法を提案する.

粒子が一定方向に流れるVR映像と,立体的な風の音像(聴いて方向がわかる音)を風と同時に提示することで,視覚と聴覚からバーチャル風向の情報を与えるシステムを開発した.物理的な送風は,2台の固定されたファンだけから行った.

知覚された風向を調べる実験では,視聴覚情報の提示によって風向知覚が変化し,バーチャル風向に近い風向が感じられることが明らかになった.

K Ito

December 12, 2020
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Transcript

  1. VRにおける触覚ディスプレイ 3 視覚・聴覚ディスプレイ (ヘッドマウントディスプレイ・HMD) 触覚ディスプレイ [3-1] Hapbeat合同会社,Hapbeat.https://hapbeat.com/ (2020年12月1日閲覧) [3-2] Yukari

    Konishi, et al., "Synesthesia suit: the full body immersive experience”. In ACM SIGGRAPH 2016 Posters (SIGGRAPH '16). Article 71, 1. 2016. ディスプレイ = 人の感覚(視覚,聴覚,触覚, …… )を再現する装置 触覚ディスプレイは,VRの現実感・没入感を高める目的で研究・開発されている Synesthesia Suit[3-2] Hapbeat[3-1]
  2. 風覚ディスプレイ(Wind Display) 4 風覚 = 風が当たったときの感覚で,触覚・圧覚・温冷覚等からなる [4-1] 設置型 (e.g. WindyWall

    [4-3]) 頭部搭載型 (e.g. VaiR [4-2]) [4-1] 小木哲朗, 廣瀬通孝. "科学技術データ提示における多感覚の統合効果." 日本機械学会論文集 C編. vol. 61, no. 584, pp. 1586–1592. 1995. [4-2] Rietzler, M., et al., “VaiR: Simulating 3D Airflows in Virtual Reality”, In Proc. of the CHI '17, pp. 5669-5677, 2017. [4-3] Tolley, D., et al., “WindyWall: Exploring Creative Wind Simulation”, In Proc. of the TEI '19, pp. 635-644, 2019. [4-4] Suzuki, Y., et al., “Airflow Presentation Method for Turning Motion Feedback in VR Environment”. In ICAT-EGVE 2019, 2019. [4-5] Wilberz, A., et al., “Facehaptics: Robot arm based versatile facial haptics for immersive environments”. In Proc. of the CHI ’20, pp. 1-14, 2020. 風覚ディスプレイ 利点 風を再現すると,VR環境の臨場感[4-2],移動感[4-4],感情的反応[4-5] が改善する 課題 風向を再現するには風発生源(風源)を多数並べたり動かしたりする必要があり,装置が複雑 風を想起させるVR環境
  3. クロスモーダル効果の利用 6 研究目的 風と視覚・聴覚刺激の提示による風向知覚変化を定量的に検証する クロスモーダル効果(複数の感覚刺激が統合されることで人の知覚が変化する現象)を 用いて風向を錯覚させる手法が提案されている 送風と同時に方向の分かる風の音を聴くと, 知覚する風向が最大67.12°変化する [6-1] 風の流れを示すVR映像の提示で,

    定性的評価では風向知覚が変化する [6-2] [6-1] Ito, K., et al., "Manipulation of the Perceived Direction of Wind by Cross-modal Effects of Wind and Three-dimensional Sound," IEEE WHC 2019, pp. 622-627. 2019. [6-2] 伊藤亘輝, et al., “VR空間で全周囲から風を感じる為の送風機の配置の検討, ” 情報処理学会研究報告, vol. 2019-GN-106, no. 48, pp. 1-5, 2019.
  4. 視聴覚情報提示の効果を検証する実験 11 視聴覚情報提示は,いずれか単体の提示よりも正確に風向知覚を操作可能かどうかの検証 実験目的 実験設計 視聴覚 視覚のみ 聴覚のみ 24回 24回

    24回 24回 24回 24回 実験の様子 実験条件(各条件で,12方向 x 2回ずつ.被験者内計画) 12秒間の風提示・視聴覚情報提示を体験し, 風が来たと思う方向を答える
  5. まとめ 14 視聴触覚間のクロスモーダル効果を用いた風向知覚操作 Manipulating the Perceived Directions of Wind by

    Visuo-audio-haptic Cross-modal Effects YouTube 伊東 健一,伴 祐樹,割澤 伸一(東京大学) ファンによる風 風の方向を示す映像・音  風向知覚の操作によって, 少数の風発生源で多様な 風向を提示できる  本手法により,幅広いVR コンテンツに風の体験を 導入できる