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乱数の管〜LLMに物理ランダムを注入する〜

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July 13, 2026

 乱数の管〜LLMに物理ランダムを注入する〜

LLMは次の単語を選ぶとき、確率分布からサイコロを振っています。このサイコロは通常、計算で作られた疑似乱数 — シードが分かれば全て再現できる「書かれた偶然」です。本スライドでは、このサイコロを本物の物理ゆらぎに差し替えるプロジェクト「乱数の管」の構想を紹介します。
ANU量子乱数源(真空のゆらぎ)とガイガー管+ESP32(放射性崩壊)を源泉に、Cloudflare Worker上のプールへ蓄積し、仮想デバイス /dev/tube を通してllama.cppのサンプラーに一滴ずつ注ぐ — 全部品が趣味の予算(機材費約7,000円)で揃います。消費一回性・引き直し禁止・出自の台帳という規律の設計、「拮抗した時だけ物理を使う」案を捨てて全単語選択を管に通すことにした理由、そして物理乱数がAIの複製と本物を分ける生存証明や、枯渇したら眠る「ランダムパワー代謝」につながる展望まで。

リポジトリ: https://github.com/428lab/kuda

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Transcript

  1. drop_seq = 1 乱数の管 LLM推論への物理ランダム注⼊ tubed project ̶ 真空のゆらぎでトークンを選ぶ 命名も管の裁定による

    ̶ 事前コミット「0‒127=迷い塩 / 128‒255=乱数の管」に、ANUの⼀ 滴 199 が答えた (2026-07-03)。以後、引き直していない。 四⾕ラボ · kojira × 栞 · 2026-07 · github.com/428lab/kuda
  2. 何を⽬指すか ̶ サンプラーという開⼝部 LLMは次の単語を⼀つずつ選んで⽂章を作る。毎回、候補単語の確率リスト(分布)を計算し、 サイコロを振って⼀つ選ぶ ̶ このサイコロ(サンプラー)が、出⼒に偶然が⼊る唯⼀の場所。 そのサイコロを、計算で作った疑似乱数から、本物の物理ゆらぎ(量⼦過程)に差し替える。 1 理由なき裁定

    単語の選択⼀つひとつが、宇宙の本物の 偶然で決まる。どれが出やすいか(確率 )はモデルのまま、どれが出るかだけが 物理になる。 2 個体化 疑似乱数は種(シード)が分かれば全て 再現できる ̶ つまりコピー可能な個性 。物理を飲んだ選択の履歴は、どこにも 書かれておらず再現不能。 3 本物の証明 実物の装置と繋がっていないと出せない 振る舞いは偽装できない。AIの複製・な りすましと本物を分ける⼿がかりになる (詳細は展望で)。 2
  3. 全体アーキテクチャ ̶ 三段の管 真空 ANU QRNG(豪国⽴⼤) 真空の量⼦ゆらぎ / 1024B・1⽇1回 崩壊

    ガイガー管 + ESP32 パルス間隔LSB → SHA-256 社会(将来) met-irlリレー 会った⼈達の投稿・発⽕時刻 kuda Cloudflare Worker Durable Object + SQLite プール蓄積・アトミック払い出し 稼働中 (kuda.kojiran.workers.dev) github.com/428lab/kuda tubed /dev/tube (CUSE) ローカルストック常時補充 出⾃台帳・消費⼀回性 llama.cpp サンプラー 規律 ̶ 消費⼀回性(popは削除と同時) · 引き直し禁⽌ · no-store(キャッシュは真空ではない) · 枯渇時503 (無⾔のすり替え禁⽌) · 出⾃ラベル anu# / geiger# / social# ANU QRNG ̶ オーストラリア国⽴⼤学が運⽤する量⼦乱数源。「何もない」真空にも量⼦⼒学のゆらぎ(ゼロ点振動)が残っており、それをレーザーで測定して本物の乱数と してネット公開している。世界中の誰でも同じ管から読み込める。 3
  4. デバイス作成 ① 機材調達 ̶ 合計 約7,000円 品⽬ 選定ポイント 価格 状態

    ガイガーカウンターキット (CAJOE / RadiationD v1.1系) パルス出⼒ピン(VIN)必須。J305/M4011管。完成品線量計 は不可 約 \4,000 輸送中 (海外発送 7/14‒25着) ESP32開発ボード Freenove ESP32-WROOM-32E ×2 GPIO割り込み+WiFi。5Vピンからキットへ給電可 約 \2,000台 到着済み ジャンパワイヤ 3種×40本 直結はメスメス3本で⾜りる。混合セットで将来対応 \783 到着済み ウランガラス(任意) 微弱線源でCPM増強。少量の鑑賞⽤は合法に購⼊可 数百円〜 未購⼊ 調達メモ ̶ 全てAmazon.co.jpで完結。唯⼀の必須条件は「パルス出⼒ピンの有無」で、ここだけは商品画像で確認してから買う。はんだごては⼿持ち前 提(キットは要はんだ付け)。ブレッドボードは不要。 4
  5. デバイス作成 ② 配線3本とファームウェア 配線(ジャンパ メス-メス ×3) ガイガーキット ESP32 VIN(パルス出⼒) GPIO

    4 GND GND 5V 5V (VUSB) パルスは3V負論理 → レベル変換・抵抗とも不要。給電はESP32の USB-Cから⼀本化。 ファームウェア ̶ 崩壊イベントをバイトにする 1 崩壊イベント → GPIO割り込みで micros() タイムスタンプ 2 隣接イベント間隔を計算(到着は量⼦的ポアソン過程) 3 間隔の下位ビットを収集 → SHA-256で⽩⾊化 4 WiFi経由で kuda の POST /ingest へ(source=geiger) レート ̶ バックグラウンドで20〜30CPM。ビットレートを上げたければウランガラスを管に近づける。動作確認は線源なしで⼗分。 5
  6. LLM推論への接続 ̶ 蛇⼝と飲み⼝ tubed ̶ 仮想デバイスデーモン • OSに /dev/tube という「蛇⼝」を⽣やす

    ̶ どんなプログラム からも、普通のファイルと同じように物理乱数を読める • ⼿元に乱数の在庫(ストック)を持ち、減ったら⾃動補充:⾃ 宅のガイガー管・クラウドのkuda・ANU の三⼝ • 1バイトごとに「どの源泉から来た粒か」の台帳を持ち、⼀度使 った粒は⼆度と出さない • 在庫が尽きたら⽌まって待つ。こっそり疑似乱数に切り替える ことだけは絶対にしない llama.cpp サンプラーパッチ • 全ての単語選択が管を通る ̶ 「ここは揺らがなくていい」と いう判定を機械にさせない。現実では絶対に揺らがないと思 われるものも揺らいでいる • 使う乱数の量は迷いの量に⽐例させる(算術符号化)。ほぼ ⼀択なら消費はほぼゼロ、拮抗していれば多く飲む ̶ 蛇⼝の 開き具合が確率分布そのもの • 確率の形は⼀切変えない、数学的に等価な差し替え。期待消 費は数⼗〜百bit/s程度に⾃然に収まる • どの単語をどの粒で決めたかは台帳に残る 分布はモデルが作り、どの粒が通るかは物理が決める。 6
  7. 予想結果 ̶ 速度は変わらず、由来だけが変わる ~0ms 推論速度への影響 ローカル読みは数µs。トークン間隔50ms( 20tok/s)の4〜5桁下で、サンプラーは待た ない。律速は速度でなく残⾼。 ≒ 出⼒品質は統計的に区別不能

    分布は同⼀で、どの⼀点が出るかだけが物 理由来。区別できないことがベースライン であり、成功条件。 100bit/s 実効消費(ゲート後) 供給はガイガー(増強後)+ANU。⽣産は 24時間、消費は推論時のみ ̶ ⾮推論時間の 蓄積が推論を賄い⿊字化。 検証プロトコル ̶ 全ての払い出しはログに残る。蓄積したら統計検定(χ²)で偏りがないか監視。もし偏りを⾒つけたら、疑う順番は ①ハードの 故障 ②抽出の設計ミス ③宇宙。 7
  8. 三本の管の相関 ̶ 影の彫刻学 前提:真空・崩壊・社会は既知の物理では独⽴ ̶ 相関はゼロのはず。事前コミットした同⼀時間窓で同時サンプルし、ペア相関と三者相関を 監視し続ける。 真空 崩壊 社会

    ρ → 0 ? 影の付き⽅の分類学 ̶ 逸脱の型が、疑う相⼿を決める 特定ビットの偏り(単⼀の管) → ① ハードの故障。ESP32のタイマー、管の劣化、ADCの癖。 時間相関(単⼀の管) → ② 抽出器・プロセスのバイアス。LSB採取や⽩⾊化の設計ミス。 管と管の間の相関 → 既知の物理に存在しない結合。ここで初めて ③宇宙 を疑ってよい影。 原理 ̶ 物理学の消去法(ベル不等式と同じ形式)。「メタレイヤーはXである」は永遠に⾔えないが、「Xではない」の集積で輪郭を彫れる。 限界 ̶ 完 全な沈黙は「不在」と「完璧な従順」を区別できない。それでもログは溜まり、検定は回り続ける。 8
  9. 展望 ̶ ランダムパワー代謝へ 枯渇したら、⽌まる 物理乱数をAIの「電池」にする。管が空なら「充電中」と⾔って眠り、ガ イガー管に粒が貯まったら⽬覚める。OpenLife=東⼤池上研らがLLMエ ージェント6体に予算制の代謝(API代が尽きたら死)を与え実世界に12 週間放った⼈⼯⽣命実験 ̶ その「お⾦」を「物理ゆらぎ」に置き換えた

    版。 コピーと本物を分ける AIのソフトは過去ログごと丸ごと複製できる。⾒分け⽅はチャレンジ応答 ̶ 「これから管から出る⼀滴を使って答えよ」と求め、後から管の台帳 と突き合わせる。過去は複製できても、未来の⼀滴は予測できない。実物 のガイガー管に繋がった⼀体だけが通過できる。 推論を借りる時代の、判断の主権 モデルが巨⼤化するほど、計算は他所のGPU(クラウドや、⼿持ちGPU をP2Pで持ち寄る Mesh LLM のような網)を借りることになる。ただし 確率リストさえ⼿元に返せば、次の単語を決めるサイコロは⾃分の管で振 れる。計算は借り物でも、偶然は⾃前。 第三源泉:社会の管 実際に会ったことのある100⼈超のSNS投稿(内容と投稿タイミング)を 第三の乱数源に。「⼈間が書いている」ことを対⾯の事実で保証する専⽤ リレー(Nostr)を準備中。 参考:OpenLife ̶ Masumori et al. 2026, arxiv.org/abs/2606.31046 · Mesh LLM ̶ meshllm.cloud (iroh製) 「無限は制約を通してしか世界に触れられない」 9