1991年にLinuxカーネルが公開され、日本である程度広く知られるまでの約10年間の出来事、活動、思い等の話を思い出してみます。
昔のLinuxの話 1991-‐2000 産業技術⼤大学院⼤大学⼩小⼭山 裕司 = KOYAMA Hiroshi [email protected]
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当時の環境(マシン)• 1989/4: Sun-‐4/60(SS1: SPARCstaIon 1) 3,390千円 ª SunOS 4.0.3c(4.3BSD+System V IPC),SPARC 20MHz(12.5Mips,1.4MFlops),8-‐64MB RAM,104MB HDD×2,10Mbps NIC,16型Color • 1989/7: NeXT Computer(NeXTcube) 約2,000千円 ª NEXTSTEP(Mach+4.3BSD),MC68030+68882 25MHz(5Mips,264KFlops),8-‐16MB RAM,256MB MO,10Mbps NIC,17型Mono • 1989年年頃: 普通のPC ª MS-‐DOS,8086/8088/286/386,640KB-‐4MB RAM,20-‐40MB HDD • 1993年年頃: 386/486 PC 約100-‐300千円 ª 486SX 33MHz,4MB RAM,120MB HDD,14型Color(SVGA) • 1993/10: Windows NT2
当時の環境(インターネット)• テレホーダイ ª 定額料料⾦金金(23時から翌8時まで,指定2電話番号のみ) ª 通常: 1,200-‐24,000bps,TELEBIT: 9,600-‐14,400bps • 1996/12: OCN ª OCNエンタープライズ 6Mbps,985千円/⽉月(1998/10頃) ª OCNスタンダード 1.5Mbps ª OCNエコノミー 128Kbps • 1998/2: ADSL ª NTT xDSLフィールド実験: 下り8Mbps(実測1.6Mbps) ª 2000/12: フレッツ・ADSL ª あまりに素晴らしいので,部屋を掃除した記憶が・・・ 3
当時のUnix• 1969: Unix誕⽣生 ª Ken Thompson,Dennis Ritchie(AT&T Bell研究所) • 1970s: ゆるい利利⽤用許諾諾条件・⼿手数料料程度度 ª 1975: V6,1979: V7・32V ,1976: Lions' Commentary on UNIX 6th EdiIon ª 1977: 1BSD(Pascalコンパイラ等),1978: 2BSD(vi,csh等),・・・ • 1980s: 厳しい利利⽤用許諾諾条件・⾼高価 ª Sun,IBM,DEC,Apollo,HP等のUnixはソースコード無し ª UI・OSFの争い,Windows NTの台頭等でUnixは置いて⾏行行かれる。 • 買ったばかりのSun等のマシン ª 悲しい環境: sh,pcc,ed,awk,... ª 各種インストール作業: GNU,X,⽇日本語環境,TeX,Perl等4
Unix・Digital PDP-‐11 5Ken Thompson,Dennis Ritchie(1971)
Unixの移植性が⾼高い理理由• C⾔言語(⾼高級⾔言語) ª V3(1973年年) ª ソースコードの配布 • ハードウェア依存の整理理 ª 4.3BSD-‐Tahoe(1988年年)• ベル研コードの整理理 ª NET/1(1989/6) TCP/IP関連コードの配布 ª NET/2(1991/6年年) ベル研のコード(32Vコード)の整理理 • 32Vのコードが残る6ファイルは削除 • NET/2から派⽣生したPC Unix(386BSD,BSD/386等)が現れる。• 裁判(USL vs. BSDi) 1992から1994/1まで ª 4.4BSD-‐Lite,4.4BSD-‐Encumbered(1994年年) ª 4.4BSD-‐Lite2(1995年年) 6
Linuxカーネル 1/2• 1991/1/5: Linus Torvalds⽒氏(21歳)のPC互換機 ª 386DX/33,387無し,4MB RAM,40MB HDD → $3,000 • 1991/9/17: Linux 0.01誕⽣生 100ファイル,312KB ª ファイルシステムはMinixから流流⽤用 ª コンソール,キーボード,IDE HDDのみ対応,Bash及びGCCが移植済み。ª 1991/10/5: Linux 0.02公開 • 1992/1/5: Linux 0.12 828KB ª 使⽤用許諾諾条件 → GPL ª ジョブコントロール,387-‐emu,仮想記憶,MCC Interim ª 1992/1/29: ⾆舌戦勃発 ª 1992/3/7: Linux 0.95 844KB 7
Linuxカーネル 2/2• 1992/12/13: Linux 0.99ª 1994/03/02: 0.99.15j → 0.99カーネル: 約80バージョン(頻繁)ª Ext2ファイルシステム,TCP/IP,Xウィンドウシステム,SCSI,CD-‐ROM等ª Bazaarスタイルの開発体制ª 当初,TCP/IP(NFS)の性能が悪かった ← 独⾃自開発のためª Yggdrasil CompuIng LGX,SLS(Soglanding Linux System)ª 1993/7/5: JE公開(真鍋⽒氏) • 1994/3/13: 待望のLinux 1.0(安定版) ª 約6MB(圧縮状態で約1MB)ª 1994/4/6: Linux 1.1(開発版) • 1995/3/7: Linux 1.2(通称: Linux 95) 8
Linuxカーネルの成⻑⾧長2.6 2.2 2.4 2.3 2.1 1.0〜~1.3 2.0 2.5 91991/9/17 0.01 → 61.9Kバイト 展開後,312Kバイト 約10KLOC 2010/11/30 2.6.36.1 → 67.0Mバイト 展開後,約395Mバイト(1,300倍) 約10MLOC(約1,000倍)
約20年年前のLinuxの書籍の経緯• 1992年年頃: 3箇所でUnix等のソースコード公開の噂を聞く。 ª 推測 → UCB(4.4BSD)・MIT(Linux),GNU(Hurd) ª 当時のLinuxの⼀一次FTPサイト • tsx-‐11.mit.edu • sunsite.unc.edu • gp.funet.fi • 1993年年頃: 386SX/33のPC互換機を100千円ぐらいで買う。 ª ⼤大学院の研究室同様のUnix環境が欲しかった。 ª 386BSDより簡単にインストールできるらしいので,Linuxを選ぶ。 ª 当時はCD-‐ROM装置は⾼高級品 → 数⼗十枚のFDで配布,インストール • Addison-‐WesleyからUnix書籍の執筆依頼 ª 当時のUnix書籍は古いUnixの内容が多かった(System V,sh,roff等)。 10
FD11• 当時,インターネット接続及びCD-‐ROM装置は贅沢だった。 • SLS: 30枚 • Slackware 1.0: 24枚 • Slackware 2.1: 73枚
書籍の執筆等• 普通のUnix環境のことを書いた。 ª Linux,Mule,GNU,X,LaTeX,Perl,Tcl/Tk,MH,正規表現,・・・ ª Linux上のTeXで書いてPostScriptで納品した。 • Linuxを収録したCD-‐ROMを付けた。 ª Linus,rms,Patrick等の各⽒氏から収録許可を貰う。 ª rms⽒氏からは,書名はlignuxかGNU/Linuxがいいというアドバイスを頂く。 ª 結構まじめに編集した。 • Slackware 2.1,JE 0.9.5a,FM-‐TOWNS版 • Linuxカーネルのコレクション(0.01〜~1.1.64) • Emacs Lispマクロ,Perlスクリプト,TeXスタイル等,TeXフォント • 関連ドキュメント,Windows,MS-‐DOSエミュレータ等 ª Linuxが収録されたCD-‐ROM付属の書籍は,はじめての試み • ⽇日本中にバックアップをばらまくことができた。 12
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後⽇日談• 書籍のPSデータはFTPで公開した。 • ドネーションの結果,rms⽒氏から感謝状,パーティの招待状,グリーティングカード等が届く。 • rmsを⾺馬⿅鹿鹿にするLinux書籍が出版される。 ª 内容はSlackwareの画⾯面を翻訳しただけ ª 翻訳して公開する。 ª ⼩小島⽒氏が翻訳版のインストーラを開発する(Plagiaware) → 後のPlamo Linux • 新版のCD-‐ROM ª Linus⽒氏の京都⼤大学講演動画,Plamo Linux, 商⽤用ソフトウェアの評価版等を収録 14
昔の写真15
余談• 1998/9/25: Linux Seminar(2004/3/19まで計57回) ª 最近は第三⾦金金曜にInfoTalkを開催してます(2014/3まで計63回)。 • 1999/3/19: LinuxWorld Conference 1999 Japan • 1999年年頃: LinuxJP・OpenI18N・Li18nux等 • この後, ª Linux関係の新興企業(ノーザンライツ等)で勤務しました。 • 多数のLinux企業ができ,多数の企業がLinuxの取り扱いを始めました。 ª 各種の出来事がいろいろありました。 • オープンソースという流流⾏行行り: Goodbye, "free sogware"; hello, "open source" • GPLの寿命: GPL v3,AGPL • SCOの貢献・騒動: Ancient Unix,Linos Book再販,訴訟 • 最新のLinux: 3.13.7(2014/3/14) 87.0MB(tar.bz2) 16
ご清聴ありがとうございました。 産業技術⼤大学院⼤大学 産業技術研究科 情報アーキテクチャ専攻 教授 ⼩小⼭山 裕司 = KOYAMA Hiroshimailto: [email protected] skype: koyama0612 Facebook: hnp://www.facebook.com/koyama0612 Twiner: pk0612 17