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人間 vs ゲームの面白さの不確実性 / vs Ambiguity in Game Production

lycoris102
April 23, 2019
550

人間 vs ゲームの面白さの不確実性 / vs Ambiguity in Game Production

📝修正: s/メカニズム/メカニクス /g

lycoris102

April 23, 2019
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  1. 人間
    ゲームの
    面白さの
    不確実性
    VS
    青木とと@lycoris102

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  2. 個人の見解が大いに含まれます
    この発表には
    適度に真に受けつつ、適当に受け流してください
    要は、ポエムです
    2
    基本的にチーム開発について触れています

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  3. ゲームの面白さの不確実性、すなわち
    「作ってみたけどなんか面白くない」
    仕様の変更/作り直し
    スケジュールと不安の板挟み
    色々な方向から色々な声が飛んできてツラい
    結果
    3

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  4. 「作ってみたけどなんか面白くない」
    無くせないか?
    定期的に上がる議題
    4

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  5. 早期に発見することはできるし
    頻度や程度を抑えることは可能!
    結論として
    5

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  6. 企画 開発 テスト
    開発のプロセス
    テストの結果/フィードバック
    このサイクルをいかに「早く」「少なく」こなせるか
    6

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  7. 企画フェーズの話
    今日は主に
    の話をします
    7

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  8. 面白さをイメージできる状態にする
    企画フェーズにおける大事ポイント(1)
    8

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  9. 面白さ
    ゴールとなる
    スタート
    企画
    一番ベストな状態
    (1)面白さをイメージできる状態にする 9

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  10. 面白さ
    ゴールとなる
    スタート
    企画
    多少方向がズレても
    修正提案がしやすい
    作ってみたけど
    ちょっと違うな…
    この要素が足りない
    気がする
    (1)面白さをイメージできる状態にする 10

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  11. 面白さ
    ゴールとなる
    スタート
    企画
    ゴールが曖昧だと
    意思決定のハードルが
    上がり発散はするが
    収束しにくい
    なんとなく感覚でゴールにたどり着くこともあるが再現性(誰でも同じ判断ができるか) が低く資産にならない
    Aさん
    Bさん
    C


    (1)面白さをイメージできる状態にする 11

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  12. 面白さ
    ゴールとなる
    まず大事なのは
    が「具体的に」イメージできること
    (1)面白さをイメージできる状態にする 12

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  13. 既存のゲームを引き合いに出す
    一番手取り早い方法
    人は知らないものをイメージできない
    人は知らないものを評価することはできない
    一番信じられるのは「自分が面白いと感じた」という感情
    (1)面白さをイメージできる状態にする 13

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  14. 情報を圧縮し自然に慣らして抽象化したもの
    ちょっと待って!「完成されたゲーム」は
    多様な要素の組み合わせによって成立している
    メカニズム
    レベルデザイン
    バランシング
    リワード フィードバック
    アート
    ストーリー
    キャラクター
    エフェクト
    サウンド
    アニメーション
    UI
    コミュニケーション
    (1)面白さをイメージできる状態にする 14

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  15. 面白い!
    よいねぇ
    つまらない
    (1)面白さをイメージできる状態にする 15

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  16. 面白い!
    よいねぇ
    (ゲームメカニズムが斬新で)
    (グラフィック自分好みで)
    つまらない
    (操作が難しくて)
    観点を一括りにして評価することの怖さ
    将来的に齟齬や不満を生むきっかけになりうる
    発生した齟齬は直ぐには気付かず、細部を詰める時やある程度作った段階
    もしくはチーム外の視点により発覚しやすい
    「このゲームは何がしたいの?」
    (1)面白さをイメージできる状態にする 16

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  17. 非言語から言語抽出へ
    企画フェーズにおける大事ポイント(2)
    17

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  18. 非言語(ゲーム)から言語抽出へ
    曖昧な情報から具体的な情報へ
    何が楽しいのか?
    どの瞬間が面白いのか?
    どの要素が面白さを引き立てているのか?
    楽しさから具体性の仮説が生まれるのであって、逆 (こういうの楽しいのでは?) はハードル高い点に注意
    (2)非言語から言語抽出へ 18

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  19. 面白い
    駆け引きと成長が面白い
    相手を出し抜いてスコアを独り占めできるのが楽しい
    連続してスコアを獲得できたときの爽快感が楽しい
    徐々に大きくなっていき、大きな建物が攻略できるようになる達成感が良い
    脱落がなく最後までプレイできるので各位に合った目標を満たせる
    「あいつは一味違う」と他の人に思わせる魅力的な報酬/スキンがある
    例: hole.io
    イメージしやすいのはどれ?
    (2)非言語から言語抽出へ 19

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  20. 自由度の高いRPG
    組み合わせが楽しいジョブシステムのRPG
    複数のジョブを組み合わせて最強のジョブを考えるのが楽しい
    ゴールからプロセス(装備やスキルの組み合わせ)を考えるのが楽しい
    他の人の組み合わせを見るのが楽しい
    ボスを攻略するためにどういう組み合わせが必要か試行錯誤するのが楽しい
    ジョブに合わせて見た目が変わるのが楽しい
    イメージしやすいのはどれ?
    (2)非言語から言語抽出へ 20

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  21. 劣化せず / 誤解されにくい
    具体的な情報は
    開発メンバーや3日後の自分が抱えるかもしれない
    「なんでこれが良いと思ったんだっけ?」
    という不安を取り除くことが出来る
    (2)非言語から言語抽出へ 21

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  22. レビューしてもらう
    企画フェーズにおける大事ポイント(3)
    22

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  23. 面白さ
    ゴールとなる
    スタート
    企画
    \決まった!/
    (3)レビューしてもらう 23

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  24. 面白さ
    ゴールとなる
    スタート
    企画
    具体的な仕様を決定する
    ゴールとなる面白さを満たすための
    (3)レビューしてもらう 24

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  25. 面白さ
    ゴールとなる
    スタート
    企画
    メカニズム
    レベルデザイン
    バランシング
    リワード フィードバック
    アート
    ストーリー
    キャラクター
    エフェクト
    サウンド
    アニメーション
    UI
    要素が多く1人でカバーするのは難しい
    コミュニケーション
    (3)レビューしてもらう 25

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  26. 面白さを満たせるかレビューする
    懸念点を減らし、なおかつメンバーが仕様や面白さに対する統制感を持つため
    開発が進んだ後に出うる懸念を
    様々な視点で見ることによって前のめりに洗い出すのが目的
    「面白い」「つまらない」という観点のレビューはより
    「ゴールを満たすために足りない仕様やアイデアは無いか?」
    のようなヒアリングをすると前進しやすい
    最終的に仕様に「その仕様で満たしたい面白さ」が記載されていると実装者が意図を把握できて素敵
    (3)レビューしてもらう 26

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  27. 面白さを啓蒙する大臣
    企画フェーズにおける大事ポイント(4)
    27

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  28. 100種類
    アバター
    オープンワールド
    自由度を求めた
    300ステージ
    やり込み要素
    称号入れよう
    収拾がつかない意見
    関係者が多ければ多くなるほど

    様々な意見が出てきて、その全てを採択することは難しくなる
    誰かが「ゴールとなる面白さを満たすか」でジャッジする必要がある
    (4)面白さを啓蒙する大臣 28

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  29. 面白いのかな
    これ本当に
    どうだろう
    うーん
    どう思う?
    ……みんなは
    ……
    誰も面白さを言えない
    判断軸が存在せず、0ベースとのスタートとなる
    メンバーはたまらなく不安になり
    ポジティブなフィードバックやアイデアが生まれにくくなる
    (4)面白さを啓蒙する大臣 29

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  30. 面白さに対して責任を持ち啓蒙する
    メンバーの誰かが
    企画職でも他の職能でも良い (誰がやっても良い)
    あらゆる機会において目指すべき方向に沿っているかを判断し
    面白さを叫び続ける人がいると、非常に安心できる
    (4)面白さを啓蒙する大臣 30
    定例的なMTGで目指すべきゴールを満たしているか確認する……等

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  31. 言語化も啓蒙もハードルが高い
    ⚠ 課題 ⚠
    ぶっちゃけしんどいし不安しかないと思う
    最初からそこまで出来る人は天才でしかない (殆どいない)
    31

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  32. 手札を増やす
    対策(1)
    手札を増やすためには本やドキュメントを読む
    体系的にアウトプットしている文章自体が
    既に言語化の助けとなって良い
    言語化/啓蒙のハードルを超える 32

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  33. なぜ作ったゲームが面白くならないのか?
    かえるD
    基礎にして奥義「フロー理論」
    https://note.mu/kaerusanu/n/n77cf0ee0734e
    遊びと人間
    ロジェ・カイヨワ
    遊びの分類「競争」「運」「めまい」「模倣」
    https://note.mu/kaerusanu/n/n77cf0ee0734e
    ゲームの面白さを解明する
    井戸 里志
    構造化IRFモデルと自動ゲームデザインの未来
    https://www.slideshare.net/satoshiido9/irf-56845767
    こういうドキュメントが役に立った!と共有する = チーム/組織として不確実性と立ち向かうことも大事
    言語化/啓蒙のハードルを超える 33

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  34. 自分の好きなもの/身近なものを言語化する
    対策(2)
    自分の好きなゲーム (ゲームに限らずエンタメ) や自社プロダクトは
    どこが面白いのか、どういう瞬間がたまらないのか
    手元に書いてみたり、timesやツイートに発信してみたり
    ランチの時に誰かに話してみたりしてみる
    言語化/啓蒙のハードルを超える 34

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  35. 実際のプロダクトで試す
    対策(3)
    弊社は現状ありがたいことにプロダクトの制作期間がそこまで長くはない
    新しいことを取り入れやすく
    検証するには持ってこいな環境
    「やっていき!」
    言語化/啓蒙のハードルを超える 35

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  36. まとめ
    ゲーム開発は不確実性を持つ
    必ず想像していた面白さに落ち着くとは限らない
    いかに短く「企画」「開発」「テスト」を回せるかが大事
    面白さをイメージできるようにする
    「企画」を早く回すために、ゴールの共通認識を持つ
    齟齬を減らし、意思決定を早くし、ロールバックを減らす
    強いイメージのために言語化する
    言語情報は劣化しにくく、誤解されにくい
    言語化するためには手札を集め、少しずつトレーニングを重ねる
    36

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  37. 人間
    ゲームの
    面白さの
    不確実性
    VS
    青木とと@lycoris102

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