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地区防災計画を活用しよう
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Maki
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September 02, 2023
Education
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85
地区防災計画を活用しよう
地区防災計画作成の支援者(行政職員,防災士会などで地区防災計画の支援をしている人)向けに,地区防災計画作成の実際の事例から,進め方,どんな壁にぶつかったか,陥りやすいことなどを紹介したものです.
Maki
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September 02, 2023
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Transcript
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画を活用しよう 岐阜大学 流域圏科学研究センター 清流の国ぎふ 防災・減災センター 小山真紀
[email protected]
https://researchmap.jp/makik
https://www.facebook.com/maki.koyama.14 1 2023/08/25地区防災計画に係る研修会 栃木県庁8階危機管理対策室
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画の基本的な考え方 • 地域コミュニティ主体の計画 • 地域で計画し,行政に計画提案する事ができます • 市町村の防災会議で認められれば,市の地域防災計画に作成した地区防 災計画が規定されます
• 地区・地域の特性に応じた計画 • 地区・地域の特性(地区の拡がり,地形,産業,住民,住まい方・・・)に応じ た計画,地域のニーズに応じた計画をつくることができます • 継続的に地域防災力を向上させる計画 • 地区防災計画の中に,計画の遂行と訓練での実践,それに伴う見直しの 流れをタイムスケジュールとして入れることで,継続的な実践,見直し,改 善のサイクルが実現できます 2 地区防災計画を策定する目的は,地域防災力を高めて 地域コミュニティを維持・活性化すること
清流の国ぎふ 防災・減災センター 実際の地区防災計画ってどん な感じ?
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画ライブラリ 4 http://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/chikubo/chikubo/index.html
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画の例(シンプルなものの例) 5
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画の例(最もページ数の多い目次例) 6 よこすか海辺ニュータウンソフィアステイシア地区防災計画
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画の目次例 7 肝付町内之浦地区防災計画(左)および西黒部地区防災計画(右)
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画のページ数分布 8 1∼10, 16% 11∼20, 28% 21∼30, 30%
31∼40, 13% 41∼50, 10% 51∼, 3% 地区防災計画ページ数 ページ 計画数 1∼10 30 11∼20 50 21∼30 54 31∼40 23 41∼50 19 51∼ 5 計 181 「地区防災計画ライブラリ」掲載の地区防災計画を集計
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画はどんな団体が作っているか 0 10 20 30 40 50 60
70 80 9
清流の国ぎふ 防災・減災センター どんな災害を想定しているか(複数記載) 0 20 40 60 80 100 120
140 160 180 地震対策 津波対策 火災対策 水害対策 土砂対策 雪害対策 なし 10
清流の国ぎふ 防災・減災センター 取り組み内容(複数記載) 0 20 40 60 80 100 120
140 160 180 11
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画作成の進め方 • 地域によって,やり方はいろいろです.地域にあった進め方で実 施しましょう • 関係する団体で集まって議論しながら検討 • 一つの団体(自治会,マンション管理組合,商店街・・・)中心に検討
• 地域によって,対象災害もいろいろです.地域にとってまず考え たい災害から考えると考えやすいでしょう • 最初から完ぺきな計画を作る必要はありません.まず最初に取り 組みたいことを決めて,そこからはじめればOKです • 班の集合場所を決める,班の安否確認の手順を決める,安全マップを作 成する,避難の声掛け手順を決める,それぞれの避難計画を作成す る・・・・などなど • 簡単な計画でもいいので,作成したら,「計画したとおりに動ける か」を試してみましょう(防災訓練などの機会を活用) • 試してみて,問題があれば,計画を改善します.うまくいくような ら,次に取り組みたいことを計画に盛り込みましょう. 12
清流の国ぎふ 防災・減災センター 関市武儀地域の取り組み事例 地域:自治会連合会武儀支部,単位自治会 支援者:小山 13
清流の国ぎふ 防災・減災センター 平成30(2018)年7月豪雨被害地域 • 大きな被害が集中した地域は,関 市(上之保,武儀,富野),下呂市 (金山,萩原), 郡上市(小那 比) 14
清流の国ぎふ 防災・減災センター 直面した問題 • 2019年度は関市が災害避難カード事業を優先したため,地区内 での自治会主導の取り組みをする余裕がなくなった. • 2020年度は旧村ごとに3回ずつの勉強会を行い,各単位自治会 (26自治会)ごとに自分たちの地域の防災訓練計画を作るところ まで進めたが,自治会長の任期が1年であるため,計画したもの
の実施できない(作ったときの自治会長と,実施するときの自治 会長が違うため)自治会もあった. • 2021年度は自治会長が替わったため,地区防災計画の作成に ついて一から説明し直し.実施に向けて全自治会長の意識合わせ を再度行う事が困難(意識合わせに1年くらいかかる一方,任期も 1年なので,意識あわせができた時点で振り出しに戻る). • コロナ禍で,会合ができない時期があった. 15
清流の国ぎふ 防災・減災センター 問題への対応(2021~2022年度) • 当初は全26単位自治会一斉に地区防災計画を作成することを目 指していたが,2021年度は3つの旧村ごとに1自治会をモデル 地区として先行して取り組む事に方針転換. • 2021/10/6 関市自治会連合会武儀支部の役員会で方針決定
• 2021/11/18 自治会長会で方針共有し,モデル自治会となる自治会の 選定と個別に声掛け • 2021/12/17, 2022/1/26, 2022/2/16 3自治会を対象とした 地区防災計画作成打ち合わせ • 2022/3/10 自治会長会で3自治会の地区防災計画案お披露目 • 2022年度はさらに2つの単位自治会をモデル地区として, 2021年度と同様に取り組む • 2022/8/23, 9/1 平成30年7月豪雨振り返りワークショップ • 10/18, 11/25, 12/23 2自治会を対象とした地区防災計画打ち合わ せ • 2023年1月の市の防災会議で3つの自治会の地区防災計画が認められ た 16
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画作成勉強会 • 平成30年7月豪雨時の自治会長や自分の状況,周りの状況の振 り返り • 自分たちの自治会で,まず何をまとめるかについて議論 • ある自治会は,作成した防災訓練を出発点として,安否確認と連絡網を
中心とした計画を作成することに • 避難タイミングを考える情報について,地域内で考える必要があるとの 認識をもった自治会も(キキクルなどの情報だけでなく,地域内の河川の 水位など) • 情報を確認して.というだけでは確認できない人が多いので,出水期前 くらいにみんなで情報の確認の仕方について試してみる機会を作るなど の案も 17
清流の国ぎふ 防災・減災センター もう一つの課題 • 5つの自治会が地区防災計画に取り組んだが,3つしか認められ なかった. • その理由は「市役所が進めようとしている方針と齟齬があるか ら」であった. •
いずれの自治会も避難について計画を作っていたが,山間地の 土砂災害と水害の危険性によりL2で安全といえる避難先が地域 内にない自治会であり,これらの地域で市役所の進める形の避難 ができないと地区防災計画として認められないということになる と,危険なところほど取り組みがなされないということになりか ねない. 18
清流の国ぎふ 防災・減災センター 次の展開 • 地区防災計画を作成した1つの自治会をモデル地区として,地区 防災計画と個別避難計画(福祉系部局が所管)をつなげる取り組 みを進める予定 • 形だけの計画で,逃げる事になっているけど実際には逃げられない計画 になっていたら,意味がないどころかむしろ罠
• 実効性のある計画を実現したい • 最初は対象となる全世帯について取り組もうとしたが,地域の協力も得 られないので実現できなかった • まず1件からでよいので,丁寧に関わって,実効性のあるものを実現する • それによって,ノウハウが得られるし,他の人や他の地域への展開も進み やすくなる 19
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画ではないですが・・・ • 福祉施設の避難確保計画作成支援での事例 • 計画作成は義務化されているが,避難なんかできない!→実効性のない 形だけの計画が作られる • 思い込みの罠
• 避難は全部自分たちだけで対応しないといけない • 福祉の素人と連携などできない • 連携先は系列の施設でないといけない • 避難先は系列の施設くらいしかない • ハザードマップでは全部真っ赤(逃げるところがない) • 思い込みを解きほぐす • 本当に自分たちだけでないとできないのか? • 荷物運んでもらうなど,誰でもできる支援もありうる • 避難先の候補は本当にないのか? • 近所に看護学校があるが,連携はありうる? • すべての川が同時に切れることってあるのか? • ほぼない.では危険度をどうやって考えたら良い? 20
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地域にあった計画づくり 21
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地域によって事情は様々 • 地域で主体となって動く人は誰か • 支援者は継続的に相談に乗れるか,相談しやすい環境にあるか • 役所は協力的か 22
取り組みやすい環境を作る!
清流の国ぎふ 防災・減災センター 意味のある訓練・研修とは? 提供:山梨大学秦康範准教授 23
清流の国ぎふ 防災・減災センター 意味のある訓練・研修とは? 24
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画の進化 • 自団体内だけの段階 • まず作ってみる • ちゃんと動けるか確認し,改善する •
連携する段階 • 自分たちだけでは解決できない課題 • 悩んでいる地域や団体が一緒に考えることで,お互いの弱いところをカ バーし合う • 行政の各種計画や施策との整合,接続 • 避難確保計画,個別避難計画,介護施設BCP,マスタープラン,重層的支援体制整 備事業・・・・ 25 いろんなことは繋がっています.バラバラにやると時間もお金も人手も余計に かかります.繋がっていることを合わせて形にする工夫をしていきましょう
清流の国ぎふ 防災・減災センター 総社市地域づくり自由枠交付金制度 26 https://www.city.soja.okayama.jp/jinken-machi/kurashi/kyodo/jiyuwakukouhukin.html?pc
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地区防災計画を作成する上で大事なこと • 作成する当事者 • 自分たちの防災課題に向き合う • それぞれの地域にあったやり方 •
最初から完成度の高い計画を作ろうとしなくて良い(まず手が届くところか ら) • 訓練を通じて継続的に見直し,改善する • 作成する支援者 • 地域に寄り添った支援(悩みどころに応じた情報提供,整理など) • 最終的には地域の人だけで訓練・見直しを継続して進められるような仕組み を目指す • 関わり方に応じた支援(継続的に支援できるのか,一時的な支援なのか) • 行政 • 地域に寄り添った支援・関わり • 防災・減災を実現したいという地域の思いと対策を応援する • 管理ではなく支援の目線で関わる 27
清流の国ぎふ 防災・減災センター 参考資料 28
清流の国ぎふ 防災・減災センター 防災について役立つリンク集 • 文部科学省×学校安全 • https://anzenkyouiku.mext.go.jp/ • 気象庁「防災教育に使える副教材・副読本ポータル」 •
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/fukukyouzai/index. html • 国土交通省「防災教育ポータル」 • https://www.mlit.go.jp/river/bousai/education/index.html • 内閣府「避難所の生活環境対策」 • http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/index.html • 内閣府「みんなでつくる地区防災計画」 • http://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/index.html • JVOAD「行政・民間が出している支援や制度に関するガイドライン」 • http://jvoad.jp/guideline/ 29
清流の国ぎふ 防災・減災センター 事例に学ぶ災害対策 • 第1週:防災情報をどう使う? • 講座の解説 • 風水害・土砂災害と防災情報 •
洪水ハザードマップ • 土砂災害ハザードマップ • 地震災害と防災情報 • 地震ハザードマップ • 第2週:過去の災害に学ぶ:風水 害・土砂災害 • 2015年関東・東北豪雨災害(1) • 2015年関東・東北豪雨災害(2) • 2016年台風10号(1) • 2016年台風10号(2) • 2017年九州北部豪雨(1) • 2017年九州北部豪雨(2) • 第3週:過去の災害に学ぶ:地震 災害 • 1923年関東大震災 • 1995年阪神・淡路大震災 • 2011年東日本大震災(1) • 2011年東日本大震災(2) • 2016年熊本地震(1) • 2016年熊本地震(2) • 第4週:私の防災・減災対策 • 対策の振り返り(1) • 対策の振り返り(2) • 対策が進まない理由 • どうすれば対策を進められるか • 防災訓練の活用 • 地区防災計画制度 30 https://www.youtube.com/playlist?list=PLaV440MqR1x9Ijh6skFg3DmVshsNoyKTE
清流の国ぎふ 防災・減災センター 事例に学ぶ災害対策要配慮者編 • 第1週:本講座の使い方と大阪の事例か ら 1. 本講座の使い方 2. 要支援者対策を考える上で大事な考え
方 3. 大阪府北部の地震時の要支援者の状 況 4. 普段からの多職種の顔の見える関係づ くりとICTの活用 5. 災害時の法制度をうまく使う 6. 親亡き後を考えた対策の必要性 • 第2週:大阪府北部の地震と台風21号 の事例から 1. ユニバーサルデザインとまちづくり 2. 当事者としての被災経験から 3. 当事者が自ら考え動くということ 4. 障がい者福祉事業所の被災事例 5. 障がい者福祉事業所での備えの大切さ 6. 連携と協働の事例と効果 • 第3週:熊本地震の事例から 1. ヘルパーとしての動きと利用者さんの 状況 2. 熊本県身体障がい者福祉センターの事 例 3. 熊本学園大学における避難所の立ち上 げと運営 4. 熊本学園大学における支援から見える こと 5. 当事者としての被災経験から(災害前 ~被災状況,避難所へ) 6. 当事者としての被災経験から(避難所 生活から生活再建) • 第4週:平常時にできること 1. 福祉的避難所,福祉的避難スペース の考え方 2. 日常の取り組み 3. 別府市での取り組み1 4. 別府市での取り組み2 5. 別府市での取り組み3 6. 別府市での取り組み4 31 https://www.youtube.com/playlist?list=PLaV440MqR1x90W_glTacQO20PjLZ5Vs6z
清流の国ぎふ 防災・減災センター 地域安全学会実務者企画委員会 • オンライン勉強会 • 福祉と防災の最前線-連携の取 り組みと課題 • 福祉と防災の最前線-福祉施設
の災害時業務継続 • 福祉と防砂の最前線-縦割りを 越えるための悩みと実践 • 洪水ハザードマップの読み方と 使い方 • 水災害リスク:広域避難とまち づくり • 水災害リスク:流域治水と土地 利用(参加者限定) • 土砂災害リスク: 土砂災害に関 する気象情報の活用及び土砂災 害ハザードマップの活用 32 https://www.youtube.com/channel/UCDXIGrVxWFmEU1krBNZ6Iow