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住民の多様性を踏まえた対策を考えること ー私の常識はあなたの非常識かも?!ー

Maki
January 01, 2025

住民の多様性を踏まえた対策を考えること ー私の常識はあなたの非常識かも?!ー

防災対策や災害対応を考える時,同じような属性の人だけで考えていませんか︖ 地域には,年代も職業も性別も国籍も・・・あれもこれも違う人が住んでいて,それぞれ,見えている世界が違っていたりします.お互いの見えている世界の違いを知って,対策につなげていきましょう.

Maki

January 01, 2025
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  1. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 自己紹介 • 岐阜大学で地域防災に関して研究しています • 被害が発生・拡大する要因は何か,どうすれば被害を軽減できるか • 岐阜県と岐阜大学が共同設置した,清流の国ぎふ 防災・減災セン

    ターにも協力しています • 地域で実際に防災活動を行う人材の育成 • 地域の防災対策立案・実施の支援(地区防災計画策定支援など) • 協力教員として名古屋大学減災連携研究センターの活動にも協 力しています 2
  2. 清流の国ぎふ 防災・減災センター はじめに • あなたの地域の防災対策,災害対策について,主に誰が担っています か? • メンバーの性別,年齢,属性などはどうなっていますか? • それは地域に居住する人の状況を反映していますか?(実際に地域に居住し

    ている人はどんな人がいますか?) • 人は,自分が経験していないことは,よくわからないものです.だからこ そ,”多様な視点”からのまちづくりには“多様な当事者の参加”が欠かせ ません • 育児をしたことがない人:子どもの特性や事情についての実情? • 介護をしたことがない人:介護が必要な事情別に,その人の困り事,状況や必 要な介護の状況や事情? • 生活環境のマネジメントをしたことがない人:健康に生活できる環境をどう実 現するか? • 日本人:外国人観光客,外国人住民の困り事や不安? • 当事者でないと気づかないこと,当事者がいるから気付けること,対応でき ること,たくさんあります 3
  3. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 世代による価値観の違い • 1945年:第二次世界大戦終結 • 1947年~1949年:団塊世代生まれる • 1955年頃から1973年頃:高度経済成長 •

    1971年から1974年:団塊ジュニア世代生まれる • 1980年代後半から1990年代初頭:バブル景気 • 1990年代から2010年代:失われた30年 • 2008年:リーマンショック • ・・・ 4
  4. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 65歳以上の人のいる世帯の世帯構造の推移 7 0% 20% 40% 60% 80% 100%

    1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 単独世帯 夫婦のみの世帯 親と未婚の子のみの世帯 三世代世帯 その他の世帯 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_3.html リンク先データから筆者作成
  5. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 共働き世帯の推移 8 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

    60.0% 70.0% 80.0% 1980 1990 2000 2010 2020 男性雇用者と無業の妻からなる世帯 雇用者の共働き世帯 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/21/backdata/02-01-01-03.html リンク先データから筆者作成
  6. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 愛知県の将来推計人口 10 国立社会保障・人口問題研究所による 将来推計人口データより筆者作成 0 1000000 2000000 3000000

    4000000 5000000 6000000 7000000 8000000 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 愛知県 年少人口 愛知県 生産年齢人口 愛知県 前期高齢者人口 愛知県 後期高齢者人口
  7. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 岐阜県の将来推計人口 11 国立社会保障・人口問題研究所による 将来推計人口データより筆者作成 0 200000 400000 600000

    800000 1000000 1200000 1400000 1600000 1800000 2000000 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 岐阜県 年少人口 岐阜県 生産年齢人口 岐阜県 前期高齢者人口 岐阜県 後期高齢者人口
  8. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 東京都の将来推計人口 12 0 2000000 4000000 6000000 8000000 10000000

    12000000 14000000 16000000 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 東京都 年少人口 東京都 生産年齢人口 東京都 前期高齢者人口 東京都 後期高齢者人口 国立社会保障・人口問題研究所による 将来推計人口データより筆者作成
  9. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 東栄町の将来推計人口 13 国立社会保障・人口問題研究所による 将来推計人口データより筆者作成 0 500 1000 1500

    2000 2500 3000 3500 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 東栄町 年少人口 東栄町 生産年齢人口 東栄町 前期高齢者人口 東栄町 後期高齢者人口
  10. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 男性比率の低い職業,高い職業 職業 男性比率 社会福祉専門職業従事者 16.9% 介護サービス職業従事者 23.8% その他のサービス職業従事者

    24.6% 会計事務従事者 24.7% 保健医療従事者 29.2% 生活衛生サービス職業従事者 30.3% 接客・給仕職業従事者 31.2% 商品販売従事者 35.2% 一般事務従事者 38.3% 飲食物調理従事者 38.7% 25 職業 男性比率 電気工事従事者 97.9% 建設・土木作業従事者 97.3% 機械整備・修理従事者 96.9% 自動車運転従事者 96.0% 保安職業従事者 92.4% 製品製造・加工処理従事者(金 属製品) 90.4% 技術者 87.5% 法人・団体役員 83.8% 営業職業従事者 80.0% 生産関連・生産類似作業従事 者 77.2% 令和2年国勢調査より,従事総数50万人以上の職業を抽出 令和2年国勢調査データより筆者作成
  11. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 暴力(東日本大震災の事例) • 子供への暴力 • 顔見知りでない避難者からストレスのはけ口として,怒鳴られたり叩かれたりする • 性的被害:身体を触られる,キスをされる,下着を脱がされる(男児含む),トイレについ てこられる,のぞかれる,仮設住宅への帰途に街灯のない道で襲われるなど

    • DV • 身体的な暴力,精神的な暴力だけでなく,経済的暴力(義援金や補償金、生活費を妻に 渡さない(他の女性に使う、自分の趣味や遊びに使うなども含む))も生じている • DVをしていた夫が、避難所を回って妻を探すという事例も生じている • 性暴力 • 男性が隣に寝に来る、からだを触る、授乳の注視、のぞき,強姦や強姦未遂 • 街灯のない市街地や、仮設住宅周囲での強制わいせつ • 対価型の性暴力(震災・津波などで夫を亡くす、失業する、家財を失くすなどした弱い立 場、支援を必要とする女性に対して、恩恵的行為(食料や生活物資を分け与える、住居の 提供など)への対価として、性行為を要求するようなケース) • 明確に性関係の強要でなくとも、女性からのサービスの強要(食事、身のまわりに居るこ となど)も複数あった • 支援者への被災者からのセクハラもあった 26 「東日本大震災『災害・復興時における女性と子どもへの暴力』に関する調査」から
  12. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 災害時の暴力問題の特徴 • 災害時の暴力問題への認知度の低さ • 社会の姿勢(避難所等での女性への配慮の無さ、防犯対策の不備) • 避難所や地域で声をくみ取ってもらえない女性たち(意思決定の場 の男女不平等)

    • 夫を亡くす,失業,家財を失うなどで弱い立場に置かれ,支援を必 要とする女性が,暴力問題に直面するリスクが高くなる • 被災者・支援者(行政・民間・ボランティアなど立場問わず)の,どち らもが被害者にも加害者にもなり得る 27 「東日本大震災『災害・復興時における女性と子どもへの暴力』に関する調査」から
  13. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 性的多様性 • 性とは? • 出生時に割り当てられた性 • 本人が自認する性 •

    好きになる相手の性 • 表現する性 • 電通ダイバーシティ研究所による2020年の調査では,LGBT層に該当 する人は8.9% • 多様であるだけでなく,制度が対応していなかったり,偏見,差別などに よって,困難な状況に置かれやすい • 同性婚ができないことにより,相続に問題が生じたり,入院時に家族と認め てもらえず病状説明などしてもらえない,亡くなるときにも立ち会えないと いうことがある • 性別適合手術を受けたりホルモン治療などをしている場合など,災害時に必 要な薬剤を入手しづらい,言えない • 他者に知られることにリスクを感じることで,支援が必要でも言いにくい • などなど・・・ 32
  14. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 国籍・地域別在留外国人数 国 籍 ・ 地 域 令和5年6月末 国

    籍 ・ 地 域 令和5年6月末 中 国 788,495 ペ ル ー 49,089 ベ ト ナ ム 520,154 イ ン ド 46,262 韓 国 411,748 ス リ ラ ン カ 40,917 フ ィ リ ピ ン 309,943 バ ン グ ラ デ シ ュ 24,940 ブ ラ ジ ル 210,563 朝 鮮 24,822 ネ パ ー ル 156,333 パ キ ス タ ン 23,417 イ ン ド ネ シ ア 122,028 カ ン ボ ジ ア 21,592 ミ ャ ン マ ー 69,613 英 国 19,040 米 国 62,425 モ ン ゴ ル 17,976 台 湾 60,220 そ の 他 185,010 タ イ 59,271 33 https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00036.html
  15. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 働き方,住まい方などなど • 生まれた年代 • 性別や担ってきた社会的役割 • 仕事(自営業かサラリーマンか,公務員か民間か,業界の違い・・・) •

    住んでいる場所や移動履歴(沿岸に住んでいるか中山間地に住ん でいるか,都市に住んでいるか田舎に住んでいるか,ずっと同じ ところに住んでいる人とそうでない人・・・) • 収入の違い • 世帯構成の違い • 生育歴の違い • 抱えている困難の事情の違い • ルーツの国,国籍や母語の違い • などなどによって,価値観や習慣は変わってきます 38
  16. 清流の国ぎふ 防災・減災センター あらためて・・・ • 人は,自分が経験していないことは,よくわからないものです.だ からこそ,”多様な視点”からのまちづくりには“多様な当事者の 参加”が欠かせません • 育児をしたことがない人:子どもの特性や事情についての実情? •

    介護をしたことがない人:介護が必要な事情別に,その人の困り事,状況 や必要な介護の状況や事情? • 生活環境のマネジメントをしたことがない人:健康に生活できる環境をど う実現するか? • 日本人:外国人観光客,外国人住民の困り事や不安? • 当事者でないと気づかないこと,当事者がいるから気付けること,対応 できることも,たくさんあります 39
  17. 清流の国ぎふ 防災・減災センター あらためて・・・ • あなたの地域の防災対策,災害対策について,主に誰が担ってい ますか? • メンバーの性別,年齢,属性などはどうなっていますか? • それは地域に居住する人の状況を反映していますか?(実際に地域に居

    住している人はどんな人がいますか?) • できるだけ多様な人に関わってもらうためにはどうしたら良いで しょうか • 関わることが難しい場合でも,多様な状況を踏まえた対策を実現 するにはどうしたら良いでしょうか 42
  18. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 事例に学ぶ災害対策 • 第1週:防災情報をどう使う? • 講座の解説 • 風水害・土砂災害と防災情報 •

    洪水ハザードマップ • 土砂災害ハザードマップ • 地震災害と防災情報 • 地震ハザードマップ • 第2週:過去の災害に学ぶ:風水 害・土砂災害 • 2015年関東・東北豪雨災害(1) • 2015年関東・東北豪雨災害(2) • 2016年台風10号(1) • 2016年台風10号(2) • 2017年九州北部豪雨(1) • 2017年九州北部豪雨(2) • 第3週:過去の災害に学ぶ:地震 災害 • 1923年関東大震災 • 1995年阪神・淡路大震災 • 2011年東日本大震災(1) • 2011年東日本大震災(2) • 2016年熊本地震(1) • 2016年熊本地震(2) • 第4週:私の防災・減災対策 • 対策の振り返り(1) • 対策の振り返り(2) • 対策が進まない理由 • どうすれば対策を進められるか • 防災訓練の活用 • 地区防災計画制度 44 https://www.youtube.com/playlist?list=PLaV440MqR1x9Ijh6skFg3DmVshsNoyKTE
  19. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 事例に学ぶ災害対策要配慮者編 • 第1週:本講座の使い方と大阪の事例か ら 1. 本講座の使い方 2. 要支援者対策を考える上で大事な考え

    方 3. 大阪府北部の地震時の要支援者の状 況 4. 普段からの多職種の顔の見える関係づ くりとICTの活用 5. 災害時の法制度をうまく使う 6. 親亡き後を考えた対策の必要性 • 第2週:大阪府北部の地震と台風21号 の事例から 1. ユニバーサルデザインとまちづくり 2. 当事者としての被災経験から 3. 当事者が自ら考え動くということ 4. 障がい者福祉事業所の被災事例 5. 障がい者福祉事業所での備えの大切さ 6. 連携と協働の事例と効果 • 第3週:熊本地震の事例から 1. ヘルパーとしての動きと利用者さんの 状況 2. 熊本県身体障がい者福祉センターの事 例 3. 熊本学園大学における避難所の立ち上 げと運営 4. 熊本学園大学における支援から見える こと 5. 当事者としての被災経験から(災害前 ~被災状況,避難所へ) 6. 当事者としての被災経験から(避難所 生活から生活再建) • 第4週:平常時にできること 1. 福祉的避難所,福祉的避難スペース の考え方 2. 日常の取り組み 3. 別府市での取り組み1 4. 別府市での取り組み2 5. 別府市での取り組み3 6. 別府市での取り組み4 45 https://www.youtube.com/playlist?list=PLaV440MqR1x90W_glTacQO20PjLZ5Vs6z
  20. 清流の国ぎふ 防災・減災センター 地域安全学会実務者企画委員会 • オンライン勉強会 • 福祉と防災の最前線-連携の取 り組みと課題 • 福祉と防災の最前線-福祉施設

    の災害時業務継続 • 福祉と防砂の最前線-縦割りを 越えるための悩みと実践 • 洪水ハザードマップの読み方と 使い方 • 水災害リスク:広域避難とまち づくり • 水災害リスク:流域治水と土地 利用(参加者限定) • 土砂災害リスク: 土砂災害に関 する気象情報の活用及び土砂災 害ハザードマップの活用 46 https://www.youtube.com/channel/UCDXIGrVxWFmEU1krBNZ6Iow