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自社 200 記事を元に整理した読みやすいテックブログを書くための Tips 集

p2sk
January 15, 2025

自社 200 記事を元に整理した読みやすいテックブログを書くための Tips 集

自社のテックブログを全記事(当時約200)を読んで、読みやすいテックブログを書くためのTips集を整理しました。

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January 15, 2025
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  1. 廣瀬 真輝(ひろせ まさき) 4 • KINTO テクノロジーズ株式会社(KTC) • DBRE グループ

    兼 技術広報グループ • 技術記事の発信力向上のための取り組み • 記事のレビュー • レビュー観点の整理・標準化 • 自動レビューの仕組み導入(生成 AI / 静的解析) • 勉強会の開催 https://x.com/_p2sk_
  2. 経歴 5 • 2013 年 – 2022 年 10 月

    • ファッション EC サイト運営会社 • 前半:サーバーサイドエンジニア • 後半:データベースエンジニア • 2022 年 11 月 • KTC 入社 • 2024 年 5 月 • 技術広報 G 兼務
  3. アウトプット歴 6 • Qiita • 累計 93 記事、2255 Contributions、150 万

    PV(30 万 PV /年) • 会社のテックブログ • 約 20 記事 • LinkedIn Learning • DB パフォーマンスチューニングコースの動画講師 (約 2 時間) • 国内カンファレンス登壇 • 3 回(db tech showcase) • 技術コミュニティ勉強会での発表 • 30 回
  4. KTC のテックブログ • 2022 年 7 月:最初の記事公開 • 2 年間で日本語記事

    242本!/英語記事162本! • ノルマがない状況で、自主的にこの執筆数はすごすぎる • PV 数も着実に増加 8
  5. タイトルにこだわる 14 • 記事のジャンルがわかること • iOS / Golang / MySQL

    など、どのジャンルのエンジニアも 知っているであろうワードを入れることで、記事の領域を明示
  6. タイトルにこだわる 18 • 良いタイトルとは:まとめると • 記事のジャンルがどんなエンジニアにも分かるワードを入れる • 同じ領域の人にしかわからなくても OK な具体的なワードも一緒に

    • 動詞を入れると「何をしたのか」伝わりやすい • 数字を入れることで具体性・説得力が増す • 短くて簡潔なタイトルより、長くて具体的なタイトルを • タイトル作成後に「自分が読みたくなるか?」と 問いかけてみる
  7. 背景を説明する 23 • 手厚すぎても損はない • 全体の 1/3 くらいが背景 • 記事内のキーワード(GDPR

    / Cookie)の解説 • KTC における現状と課題 • の 2 点が手厚く説明されており専門外の人も読みやすい
  8. 背景を説明する 24 • 手厚すぎても損はない • 全体の約半分が背景 • Kotlin で OGP

    を取得する時に文字コードで苦労 するよ、ということが再現方法を含めて丁寧に 説明されていることで、後半の解決方法の提示 の価値が高まる
  9. 背景を説明する 25 • 手厚さ MUST ではない • もちろん簡潔にでも、具体的であれば OK •

    背景(執筆理由)を書くこと自体は MUST といっても過言ではない
  10. 背景を説明する 26 • まとめ • 「なぜこの記事を書いたのか」を明示 • 解説記事なら「探しても分かりやすいドキュメントがなかった」等 • 課題解決事例なら「xx領域においてはxxという課題があります」等

    • 参加レポート系なら「感動した・勉強になったのでシェアしたい」等 • 必要に応じて記事内のキーワードを解説 • 「GDPR とは」 • 特有な状況であれば分量が多くなったとしても手厚く説明
  11. ターゲットを明記する 30 • 同じ境遇の人は(ほぼ)必ずいる • 初心者からエキスパートまで、その時々で欲しい情報は違う • step by step

    な how to 記事 • 高難度の意思決定を必要とするリアーキテクチャ事例 • 詳細に背景を書くことで、刺さるべき人に刺さる記事になる • 「詳細な背景の提供」≒「ターゲットの明記」
  12. ターゲットを明記する 31 • 刺さるとは • 以下のような読後感を引き出すこと • ためになった / 参考になった

    / 勉強になった • 自分も同じ経験をした / 同じことを思った(同意) • 自分はこう思う(議論したくなる) • すごい / 面白い / 楽しそう • あとで読めるように保存したい • 上記の読後感を引き出すためにも背景やターゲットの明記は有効
  13. 認知負荷を最小化する 41 • 読みやすさを向上させる工夫 • 読点「、」の打ち方が適切、多すぎない • 同じことを伝えたい場合、可能な限り簡潔で短い表現 • まとめると

    • 読み手の理解に必要なエネルギー(認知負荷)を最小化する • そのために • 自分で声に出して読むと、読みづらい箇所がわかる • 一回書いて終わりではなく、通しで読んでブラッシュアップ! • ブラッシュアップに生成 AI を活用するのも有効
  14. 結果を工夫する 43 • ポジティブな結果を数字で提示すると説得力が増す • 30% 高速化できた • コストが 5

    分の 1 になった • アンケート結果で満足度が 4.5 だった • 「課題が解決できた」という一言だけでも OK • 数字ではなく「できた」「できなかった」の 2 値のケースもある • 視覚的な改善結果は画像・動画を用いる
  15. 最高強度の技術記事=論文 • 論文の構成を引用することで強度を担保する • 背景 • 概要 / contribution •

    「この記事の contribution」は何なのか?を一言で言える状態が望ましい • 関連研究 • 自社、自チームの記事であっても引用することで強度は上がる • 将来的には会社間でテックブログを引用し合う、みたいな世界観も • 提案手法 • 結果 • 従来手法(Before)と比較する • future work • (appendix) 57
  16. 論文に必要な要素=「新規性」 • テックブログにおける「新規性」≒「相対的 Update」 • 課題が新しいこと • KTC(自動車業界)独自の課題なだけでも興味を惹く • 解決方法が一般的な場合でも価値の高い記事に

    • アプローチ / 結果が新しいこと • 現状のアーキテクチャを踏まえてxxな改善を実施 • 現状よりも N% 高速化できた • 現状よりも UX を改善できた • 解説記事なら • 他の既存記事よりも分かりやすい • 検索しても LLM を使っても一筋縄ではいかない手順を解説 58
  17. 取り組んだ業務の強度以上の強さは出ない • 記事の強度を上げようとする → 業務の強度改善につながる • 比較していなかった → 比較しよう •

    感覚で決めていた → 根拠を示そう / 残そう • 全力で記事を書くことのメリット • 自分に対して:足りないところ・強み(できていること)が見えてくる • 読み手に対して:ターゲットに刺さりやすい / 参考になりやすい 59
  18. 「途中の失敗や検証過程」にも大きな価値 • 失敗、エラー、障害の紹介は読者にとって「助かる」 • 同じ轍を踏まなくて済む / 踏んだ後の解決策がわかる • 期待した結果と得られた結果が違っても 1

    つの価値ある学び • 「結果だけ提示」は他者も適用可能なのか判断しづらい • 「なぜこのアーキテクチャにしたのか」 • 「なぜこの実装にしたのか」 • といった判断基準は読者にとって応用が効く情報 60
  19. 日々の業務を記事のネタにする • ゼロから文字を書くのはしんどい • 日頃から作業内容、疑問、工夫、学びなどをメモする習慣づけ • メモを 1 記事に「要約」するのはゼロから書くよりかなり楽 •

    「要約」なので生成 AI で初稿が完成する未来も • 例:廣瀬のテックブログ • 元ネタは全部コンフルの作業ログや議事録 • 40 記事程度を 1 つのテックブログへと凝縮 → 「濃く」なる・強度が増す 61
  20. 読みやすさに特化した Tips 集を整理 ① タイトルにこだわる ② 背景を説明する ③ ターゲットを明記する ④

    認知負荷を最小化する ⑤ 結果を工夫する ⑥ その他 64 社内ではチェックリスト形式て提供中
  21. 執筆時に気をつけている点をシェア • 論文の構成を使って記事の強度を担保 • 記事の強度を上げようとすると業務の強度も上がる • 記事の Contribution を一言で言える状態にする •

    失敗や苦労、判断基準など「過程」も記載する • 日頃から溜めたドキュメントを要約する形で初稿を作る • 初稿完成後に同程度のエネルギーでブラッシュアップする 65
  22. 「発信力」はポータブルスキル 66 • 対外的な発信実績は WEB 上に残り続ける • 自分の「発信力」の証明に • 身につけた「発信力」の寿命は非常に長い

    • 対象の技術が変わっても、同じ強度の記事を書ける再現性の高い能力 • 自分のキャリアにとっても武器になる • もちろん(ブランディングとして)会社にとっても武器・貢献になる