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Jagu'e'r 人デジタル/材育成分科会 LT資料 アクセンチュアにおけるGCPクラウド人材の育成

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September 27, 2024
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Jagu'e'r 人デジタル/材育成分科会 LT資料 アクセンチュアにおけるGCPクラウド人材の育成

なぜカスケード式というかと言えば、2か月の学習タームを終えると、次の学習タームでは生徒の一部が講師を行い、カスケード式に育成が広まるからです。メリットは育成のできるスキルの高いメンバーに負荷が集中しないこと、育成のできるメンバーが増加することです。また、トレーニングは座学ではなく、週2回、1回30分の口頭試問というのも大きな特徴です。生徒は前の週に指定されるドキュメントを読み込んでこれに備えなくてはなりません。

https://jaguer.jp/jaco20210720/

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Masayuki Aoyagi

September 27, 2024
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  1. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 2 登壇者 アクセンチュアのデータやアナリティクス領域の部署のメンバーで構成されるCloud

    Data & Analytics Capability Groupがカスケード式トレーニングを運営。 Dataグループ/シニア・マネジャー。 AGBGのリーダーシップ。前職はマ イクロソフトとAWSで、開発部門 やコンサルティング部門に18年 間勤務。2017年にアクセンチュア に入社。データ領域の他クラウドの あらゆる領域の業務に従事。 青柳 雅之(あおやぎ まさゆき) ビジネスコンサルティング本部 AIグループ/コンサルタント。 データドリブンな経営変革を推 進する部署に所属し、クライア ントのニーズに最適化した分 析基盤構築から示唆出し・可 視化までを一貫してご支援。 秋元 良太(あきもと りょうた) Dataグループ/アソシエイト・マ ネジャー。カスケード式トレーニ ングの運営を初期から担い、ク ラウドへのインフラ刷新に強み を持つ。新入社員への Google Cloudのトレーニング も担当する。 横山 祐樹(よこやま ゆうき) Dataグループ/コンサルタント 某DWHベンダーに新卒入社。 自社DWH製品を活用したビッ グデータ基盤の構築・運用に従 事。2020年 アクセンチュア入 社。AI基盤の構築・活用支援 を行うプロジェクトに参画中。 吉田 智哉(よしだ ともや)
  2. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 3 Agenda 1.

    カスケード式トレーニング誕生の背景 2. カスケード式トレーニングの概要 3. カスケード式トレーニングが直面した課題 4. 課題を乗り越え、次のフェーズへ
  3. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 4 Agenda 1.

    カスケード式トレーニング誕生の背景 2. カスケード式トレーニングの概要 3. カスケード式トレーニングが直面した課題 4. 課題を乗り越え、次のフェーズへ
  4. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 5 アクセンチュアの強みに根差す技術者育成の落とし穴 1.カスケード式トレーニング誕生の背景

    アクセンチュアの強みでもある「限られた時間で成果を出すための仕組み」が、逆説的に、自ら学ばないメン バーを増加させ、技術者の育成を阻む落とし穴となっていた。 アセットの共有化の仕組み 容易な専門家へのアクセス 自ら学ばないメンバーの増加 限られた時間で成果を出す仕組み 管理と技術を分離する適材適所
  5. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 6 専門家への容易なアクセス アクセンチュアの強みに根差す技術者育成の壁

    ハイスキルな技術者は、領域専門家(SME)のような位置づけに固定されるケースが多く、技術面が不足し ているプロジェクトチームを見ている。技術者はクラウドの知見がなくても彼らにアドバイスをもらえるので、学 習意欲が上がらず、常に専門家に聞くというスタンスになってしまっている。 少数かつハイスキルな SMEの共有リソース 技術力が不足しているチームの増加 容易に領域専門家 に聞けるので、勉強し ない 領域専門家に頼るの が当たり前 サポート サポート サポート 埋まらない技術力のギャップ ? ? ? 領域専門家の キャパシティ不足
  6. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 7 アセットの共有化の仕組み アクセンチュアの強みに根差す技術者育成の壁

    グローバルレベルでアセット(技術ドキュメントやSI用のテンプレート等)が共有されているプラットフォームが あるため、これらのアセットを利用することで0から資料を作る必要がないケースが多い。その結果、膨大なド キュメントから重要なことを抽出するという作業をスキップできるため、知識範囲がサマリーされた内容の範疇 を超えない。 アセットが社内 で共有 アセットの組み合わせ で作成物が作られる 膨大な原典 サマライズ 原典にあたらず、サマリーされ た資料しか見てないので、知 識が浅いまま サマリーされた資料 以外の知識は得るこ とができない アセットを作る のはごく少数の 領域専門家
  7. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 8 アクセンチュアの強みに根差す技術者育成の壁 マネージャーはクライアントフェーシングと管理に専念し、技術スタッフを管理するピラミッド構造のプロジェクト

    体制が基本。マネージャー歴が長くなると、技術習得を怠った場合、クラウドなどの新しい技術についていけ ず、育成もできないので、常に完成されたハイスキルな技術スタッフを探している。 技術を学ぶのは、 スタッフ(非管理職)だけ。 スタッフだけが資格取得を強く 推奨される マネージャ ーがメンバ ーを育成で きない マネージャー はスキルの無 いメンバーを プロジェクトか らリリース メンバーが 育たない プロジェクト が回らず皆 が多忙 勉強をする 時間がない 技術についていけない、 技術者を育成できない管理職 の存在とそれを許す組織文化 負のスパイラル 管理と技術を分離する適材適所
  8. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 9 自ら学ぶ技術者を育成する必要性 1.カスケード式トレーニング誕生の背景

    新しい技術が出てくるたび少数の領域専門家やハイスキルな技術スタッフに頼る文化では、彼らのキャパシ ティを超える需要がある場合、多くのプロジェクトが破綻する。カスケード式トレーニングは、各自が継続的 に学習する習慣を身に着けるためのものであり、単に技術を教えるものではない。 カスケード式トレーニングの施策 ⚫ 自習によるキュメント読み込み ⚫ 座学ではなく口頭試問 ⚫ 講師経験による教えるスキルの取得 技術者育成の落とし穴 →自ら学ばない状況 アセットの共有化の仕組み 専門家への容易なアクセス 限られた時間で成果を出す仕組み 管理と技術を分離する適材適所 アクセンチュアの強み 容易に専門家に聞けるの で、勉強しない 原典にあたらず、サマリー された資料しか見てない ので、知識が浅いまま 技術についていけない、 技術者を育成できない 管理職
  9. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 10 Agenda 1.

    カスケード式トレーニング誕生の背景 2. カスケード式トレーニングの概要 3. カスケード式トレーニングが直面した課題 4. 課題を乗り越え、次のフェーズへ
  10. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 11 カスケード式トレーニングの仕組み 2.

    カスケード式トレーニングの概要 週に2回、一回30分の口頭試問形式のトレーニングをTeams上で実施する。トレーニーで知識レベル及 び意欲の高い方には、次回の学習タームでトレーナーを担当してもらう。直近2年では、累計150人近 く参加し、50人以上が講師を担当した。 週2回X30分を 昼休みに実施 →短時間の学習 を回数増やすこと で長期記憶化 予習とトレーニン グによるアウトプッ トという小さい成 功経験が継続す る意思を生む 自分よりも回答で きるメンバーを見 てやる気が出る
  11. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 12 講師側から毎週学習範囲・教材(公式ドキュメント)がアナウンスされ、生徒側は各自教材を読み込み自習を行う。 自助努力を根底思想として、自ら能力を開発していく力を養う。

    12 1週間前 出題範囲のアナウンス • Teamsのチャンネルにて、次週の出題範囲と、GCP公式ドキュメント のリンク・Cloud OnAir・Qwiklabsのリンクなどを生徒に周知 当日 口頭試問実施 • 事前に講師側で作成した質問に答えていく • 予習が間に合わなければオブザーバ参加もあり • 解答のレファレンス(ドキュメントのURL)も適宜共有 【サンプル問題 CloudSQL編】 Q1. Cloud SQLのHA (高可用性)構成とはどのような構成か Q2. オンラインで(Cloud SQL起動したまま)ストレージサイズ を増加することは可能か カスケード式トレーニングの流れ 2. カスケード式トレーニングの概要
  12. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 13 カスケード式トレーニングの体制 2.

    カスケード式トレーニングの概要 口頭試問の問題と学習スケジュールは定義されており、運営チームのメンバーも増加しているので、一人当 たりの作業工数は少ない。講師も二人一組で行い、毎回入れ替わるので一人当たりの負担は少ない。 様々なプロジ ェクト メンバー メンバー 様々な部署 メンバー 講師 講師 • トレーニングへの参加 • 口頭試問の問題作成寄与 • トレーニングのスケジューリング • トレーニングのスケジューリング • 生徒の募集 • 講師の選定 • 講師のサポート カスケード式トレーニング運営チーム チーム分けをして講師と生徒の組み合わせを作る 一部は次の 講師に 生徒
  13. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 14 Agenda 1.

    カスケード式トレーニング誕生の背景 2. カスケード式トレーニングの概要 3. カスケード式トレーニングが直面した課題 4. 課題を乗り越え、次のフェーズへ
  14. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 15 乗り越えるべき課題 3.

    カスケード式トレーニングが直面した課題 カスケード式トレーニングでは、受講生の出席率低下と高まる育成への圧力という二つの課題に直面した。 課題 1 2 出席率の低下 背景 高まる育成への圧力 ✓ PJT稼働が高く、学習時間が十分に確保できない ✓ 初心者にとって、クラウド技術の学習コストが高い ✓ 有志の勉強会として、”誰に”対して”どのような価値”を 提供していくか ✓ 育成能力のない部署のやる気のあるメンバーを引き受ける か
  15. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 16 出席率の低下 3.

    カスケード式トレーニングが直面した課題 カスケード式トレーニングでは様々なプロジェクトから多様なバックグラウンドの社員が参加するため、各自の プロジェクト稼働や予習状況などからトレーニングより脱落してしまうケースが発生。 欠席・オブザーバーの背景 プロジェクト稼働が高い 具体的な事象(運営側の推測) クラウド技術の学習コストが高い ✓ システムリリース前やクライアント向けの緊急対応が発生 した場合にPJTでの稼働が一時的に上昇 ✓ クライアント向けの打ち合わせに出席したり、開発・検証 作業を優先するために、予習に十分な時間が割けない ✓ 技術に明るくないメンバーがクラウドの学習を始めた際に、 カタカナの技術用語に圧倒されてしまう ✓ 特に、ビジネスコンサルタントにみられる傾向 ✓ 基礎的な技術の知見を学ぶ必要があるため、予習に必要 な時間が膨らむ
  16. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 17 高まる育成への圧力 3.

    カスケード式トレーニングが直面した課題 クラウドファーストへの会社の方針転換により全部署で強まるクラウド技術者育成の圧力はあるも、クラウド 技術者の育成ができる組織は少ない。 背景 部署単位でのクラウド資格者の目 標設定とトラッキング 具体的な事象 ✓ 突然、これまで参加者がいなかった部署からカスケード式 トレーニングのアセット共有や参加の依頼が来る。 どのプロジェクトもクラウドが関わる が、需要がクラウドの領域専門家 のキャパシティを超え、支援してもら えない
  17. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 18 Agenda 1.

    カスケード式トレーニング誕生の背景 2. カスケード式トレーニングの概要 3. カスケード式トレーニングが直面した課題 4. 課題を乗り越え、次のフェーズへ
  18. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 19 受講生を中心とした制度設計・場作り 4.課題を乗り越え、次のフェーズへ

    様々な立場の受講生に参加してもらうことを前提として、受講生が自らのペースで学習を進めやすい 仕組み作り・場作りを推進している。 背景 プロジェクト 稼働が高い 対応策/対応方針 クラウド技術の 学習コストが 高い 具体的な課題 会議が重複して、 トレーニングに出席できない 学習へのエネルギーが 維持できない 満足できる予習時間が 確保できない 質問に答えられないことに 不安を感じる プロジェクト都合での欠席を容認 (トレーニング開始時に業務優先で合意) ✓ 無理に学習させない ✓ 去る者は追わず、来る者は拒まず オブザーバー参加も歓迎 (答えられなくとも、単語に馴染む) 間違えることや分からないことを許容する 雰囲気作り
  19. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 20 カスケード式コミュニティの目指す姿 4.課題を乗り越え、次のフェーズへ

    ✓ 受講生同士が緩やかな連帯感を持って学びを支え合い、お互いの 成長を認め合う ✓ ボランティア活動であり業務を優先することで、過度なプレッシャーを かけない 失敗を許容し、互いに高め合う コミュニティの醸成 1 2 未知の技術に対して、好奇心をもって 主体的に学ぶメンバーの集まり ✓ 将来有望な技術に対して、好奇心をもってワクワク学ぶ メンバーが集まる ✓ 受講生から主体的に学ぶ意欲を高く持つ 3 自分の想いを安心して 発信できる場作り ✓ 否定なしで、一人ひとりの人柄が滲み出るような空間を作る ✓ 受講生・講師の声を聴き、地続きの変化を捉える ✓ 一人ひとりの感性を大切にする仲間とともに拡大 促進 促進 促進 カスケード式トレーニングでは、間違えることを許容し、新しい知識を学ぶ姿勢を尊重することを通して、 コミュニティとして知識の底上げを目指している。 各要素のポイント コミュニティ醸成の3要素
  20. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 21 支部の展開 4.課題を乗り越え、次のフェーズへ

    その部署で将来にわたり、クラウド人材の育成を行うコミットメントのあるケースに限り、生徒としての参加 と口頭試問などのノウハウの共有、その部署(つまり支部)による独自運営を許可。それすらできない部署は 支援しなくてもいいという考えがある。 背景 クラウド ファーストへの 方針転換 ✓ 資格者数増加の 圧力 ✓ クラウド関連プロジ ェクトの増加 支部化のポイント 具体的な課題 クラウド技術者を 育成できない部署の増加 ※運営チームのキャパシティ上限に よりすべては受け入れられない 継続的にその部署のメンバーを受け入れず、部署 単位で支部を設立してもらい、その中でカスケード 式トレーニングを展開 最初は生徒で参加してもらい、ノウハウを習得 口頭試問の質問票や学習スケジュールは共有、 各支部でも更新をしてもらい、コンテンツの拡充を 行う 我々がCoE化して負担が増加することを回避
  21. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 22 Only Oneのポジションを目指す

    4.課題を乗り越え、次のフェーズへ 組織からの指示ではなく、自主的な活動をベースに運営を実施することで質の高いコミュニティを維持。 組織主導ではなく、 有志主導のトレーニング 生徒からやる気のある人が 講師になり、継続的にコミット ✓ 組織から指示されて参加するだけの フリーライドを排除 ✓ 自主的に参加したい人だけで構成 することにより、質の高いコミュニティ を維持 ✓ やる気のある人の次のステージを 用意することで、更なるスキル アップを目指す ✓ コミュニティが継続的に成長する
  22. Copyright © 2021 Accenture. All rights reserved. 23 資料 [アクセンチュア・クラウド・ダイアリーズ]

    仕組化とスケーラビリティを意識したGCPエンジニアの育成施策 (2021/02/16, 青柳 雅之) https://www.accenture.com/jp-ja/blogs/cloud-diaries/gcp-training-course クラウド人材育成 組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する(3) 運営の中での気づき (2020/04/17, 横山 祐樹) https://www.accenture.com/jp-ja/blogs/cloud-diaries/aws-capability-training クラウド人材育成 組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する(2) 開始から11ヶ月で有資格者が加速度的に増加 (2019/03/20, 青柳 雅之) https://www.accenture.com/jp-ja/blogs/cloud-diaries/japan-aws-capability2 クラウド人材育成 組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する (2018/05/25, 青柳 雅之) https://www.accenture.com/jp-ja/blogs/cloud-diaries/japan-aws-capability クラウド人材育成 組織に拡大したAWSのケイパビリティを短期のリスキリングでAzureのケイパビリティに転換する(1) (2018/07/02, 青柳 雅之) https://www.accenture.com/jp-ja/blogs/cloud-diaries/japan-capability-reskilling コミュニティを活用したクラウド知識の強化 - カスケード式トレーニング運営からの学び (2021/06/28, 秋元 良太) https://www.accenture.com/jp-ja/blogs/cloud-diaries/enhancing-cloud-knowledge-with-community-learning-from-cascading- training-operations