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GenU × Amazon Bedrock による実装への挑戦 - オイシックス・ラ・大地が実...

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July 06, 2025

GenU × Amazon Bedrock による実装への挑戦 - オイシックス・ラ・大地が実現した 333 時間の工数削減 の技術解説

AWS Summit 2025 事例セッション

オイシックス・ラ・大地では、AWS が提供する OSS の GenU と Amazon Bedrock を組み合わせた独自の生成 AI アプリケーションを構築し、メールマーケティング業務を自動化しました。当技術的施策により、月間 333 時間の工数削減と CVR200% 向上を達成しています。本セッションでは、GenU と Amazon Bedrock の統合アーキテクチャ設計から、プロンプトエンジニアリングによる精度向上の実践手法まで、技術的知見を詳しく解説します。特に生成 AI の実用化に関心のあるソフトウェアエンジニア、AI インフラ設計・構築を担当されている方、Amazon Bedrock の実践的活用方法を探られている方に有益な内容となっています。

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July 06, 2025
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Transcript

  1. 2 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  2. 3 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  3. 4 本⽇お話しすること 話すこと • Generative AI Use Cases (GenU) の簡単な説明

    • GenUを活⽤し、社内のメルマガ作成・校正業務を効率化した事例紹介 • 背景 • 実装内容 • 成果と効果 • GenU活⽤のTips 話さないこと • Amazon Bedrock に関する基本的な情報 • GenU のデプロイ⽅法や⼀般的な利⽤⽅法
  4. 5 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  5. 6 ⾃⼰紹介 名前: ⻘⽊ 芽⾐ 役割: SRE (Site Reliability Engineer)

    経歴: SIerでインフラエンジニアを約3年経験後、 2019年9⽉に⼊社 Oisixの信頼性を向上すべく⽇々奮闘中 好き: Kubernetes, 🍺, 🧘‍‍, 🎮
  6. 8 ビジネスモデル ⽣産者 オイシックス・ラ・⼤地 消費者 全国約4,000軒 約47万⼈ (Oisix、らでぃっしゅぼーや、 ⼤地を守る会の3ブランド計) 国内宅配事業

    ü 安定発注 ü フードロス活⽤ ü 相場に関係なく 安定価格で購⼊ ü 予定供給量から販売プラン を⽴て需要をコントロール サブスクリプション型
  7. 10 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  8. 11 Generative AI Use Cases (GenU) とは アマゾン ウェブ サービス

    (AWS) が提供する オープンソースの⽣成AI活⽤事例集 • Amazon Bedrock を基盤 • 様々なユースケースを 簡単に試すことが可能 • チャットボット • ⽂章⽣成 • 要約 • 翻訳 • 画像⽣成 など GenU: https://github.com/aws-samples/generative-ai-use-cases
  9. 12 Generative AI Use Cases (GenU) とは • コマンド三発でデプロイ 可能

    • セキュリティ設定 • サーバレスで低コスト、 従量課⾦制 (※RAG未使⽤の場合) • カスタマイズ可能 https://github.com/aws-samples/generative-ai-use-cases より画像引⽤
  10. 13 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  11. 14 ⽣成AI活⽤のきっかけ • 2024 年 2 ⽉に⽣成 AI 検証プロジェクトを⽴ち上げ •

    ⾮エンジニアを中⼼に 50 名のボランティアスタッフが集結 Generative AI Use Cases (GenU) をベースに業務適⽤を検討 ⽣成AIでOisixのメルマガ作成業務を改善できないか︖︖
  12. 15 メルマガ作成業務の課題 • 作成プロセスの⾮効率性 • 時間と⼈的リソースがかかる • 法的リスク管理 • 強調表現や効果効能のチェックとして法務への確認作業のやりとりが発⽣

    • 品質維持の難しさ • 作成者のスキルに依存する メルマガ原稿 作成 (30-60分/回) 校正チェック 修正 校正チェック 配信 … OKになるまで繰り返し
  13. 16 メルマガ作成業務の課題 • 作成プロセスの⾮効率性 • 時間と⼈的リソースがかかる • 法的リスク管理 • 強調表現や効果効能のチェックとして法務への確認作業の⼯数が発⽣

    • 品質維持の難しさ • 作成者のスキルに依存する ⽣成AIはコンテンツ作成が 得意なはず。 品質を維持しつつ効率化 できないかな︖ 🤔 メルマガ原稿 作成 (30-60分/回) 校正チェック 修正 校正チェック 配信 … OKになるまで繰り返し
  14. 17 メルマガ作成業務の課題 • 作成プロセスの⾮効率性 • 時間と⼈的リソースがかかる • 法的リスク管理 • 強調表現や効果効能のチェックとして法務への確認作業の⼯数が発⽣

    • 品質維持の難しさ • 作成者のスキルに依存する GenU を使って 検証してみよう💡 🤔 メルマガ原稿 作成 (30-60分/回) 校正チェック 修正 校正チェック 配信 … OKになるまで繰り返し
  15. 18 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  16. 21 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  17. 25 法律に従った表現のチェック • 景表法(景品表⽰法) • 「消費者を誤認させるような不当な表⽰を⾏うこと」を禁⽌ • 「消費者の判断を誤らせるような過⼤な景品の提供をすること」を禁⽌ • 薬機法

    • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などについて、 承認、製造、販売、広告などに関するルールを細かく定めた法律 業界No.1 今だけ⼤特価︕ ダイエットに効果的 ⾝⻑が伸びる
  18. 27 GenUでメルマガを作成する上での課題(再掲) • メルマガで紹介する情報は毎回異なるため、プロンプトも毎回 再作成が必要 • ⽣成AIに不慣れなユーザにはプロンプト作成の難易度が⾼い • 結局プロンプト作成で60分かかってしまう •

    景表法、薬機法に従った表現の校正チェックが必要 • GenUのデフォルトの校正機能ではなく、 Oisixメルマガ専⽤の校正機能が必要 • ⼈ではなく⽣成AIがチェックをすることでさらに⼯数を削減したい
  19. 28 開発上の課題 社内 ビジネス部⾨ 社内 エンジニア部⾨ • 発案 • 要件定義

    • プロンプト設計 • ユースケース実装 • 環境整備 • デプロイ 忙しくて開発する リソースがないよ😭 プロンプト設計の ノウハウがないよ😭
  20. 29 開発体制 AWS Prototyping Program 社内 ビジネス部⾨ 社内 エンジニア部⾨ •

    発案 • 要件定義 • 環境整備 • デプロイ • プロンプト設計 • ユースケース実装
  21. 30 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  22. 33 プロンプト設計 – メルマガ作成機能 • 動的プロンプト⽣成 • メルマガ作成者の⼊⼒情報を元にプロンプトを⽣成 • ターゲット層

    • 商品情報、訴求ポイント • 過去データの活⽤ • 過去の⾼パフォーマンスのメールデータを複数ピックアップ • ⼊⼒/出⼒サンプルとして参考にするようプロンプトで指⽰
  23. 34 プロンプト例 – メルマガ作成機能 あなたはメールマーケティングを⾏うAIアシスタントです。 あなたのタスクは、ユーザーが提供する情報を元に、 与えられた例に倣ってメルマガの⽂章を⽣成することです。 メルマガの⽂章⽣成は以下のルールに従ってください。 - ターゲット層を考慮したキャッチーな⽂を散りばめて

    ください。 - メールのフォーマットは与えた例に倣ってください。 …(略) ユーザーの⼊⼒は以下のフォーマットで与えられます。 <input> <target>…</target> <product>…</product> </input> … 以下に⼊⼒と出⼒の例を⽰します。 <example-1> <input>…</input> <output> 件名︓hoge 本⽂︓ いつもご利⽤いただきましてありがとうございます。 Oisixです。 …(略) </output> </example-1 > <example-2> … </example-2> …
  24. 35 プロンプト例 – メルマガ作成機能 あなたはメールマーケティングを⾏うAIアシスタントです。 あなたのタスクは、ユーザーが提供する情報を元に、 与えられた例に倣ってメルマガの⽂章を⽣成することです。 メルマガの⽂章⽣成は以下のルールに従ってください。 - ターゲット層を考慮したキャッチーな⽂を散りばめて

    ください。 - メールのフォーマットは与えた例に倣ってください。 …(略) ユーザーの⼊⼒は以下のフォーマットで与えられます。 <input> <target>…</target> <product>…</product> </input> … 以下に⼊⼒と出⼒の例を⽰します。 <example-1> <input>…</input> <output> 件名︓hoge 本⽂︓ いつもご利⽤いただきましてありがとうございます。 Oisixです。 …(略) </output> </example-1> <example-2> … </example-2> … 指⽰ 動的部分 複数過去データサンプル
  25. 37 プロンプト例 – メルマガ校正機能 あなたはメルマガの⽂章に問題がないかチェックする校正者 です。 ユーザーの⼊⼒ <input> と問題表現⼀覧 <checklist>

    を 渡します。 <input> の内容が <checklist> に記載されている NG 表現に 完全⼀致する場合のみ指摘してください。 <checklist> は以下のフォーマットです。 <checklist-format> NG表現例: [具体的なNG表現のリスト] ⾔い換え例: [OKな表現の具体例] 理由: [NG表現の理由] </checklist-format> 以下に<checklist> を与えます。 <checklist> NG表現例: foo ⾔い換え例: bar 理由: baz …(略) </checklist> 出⼒は以下の <output-format> に従い JSON で⾏って ください。 問題が⾒つからなかった場合は空の配列で構いません。 <output-format> …(略) </output-format> NGチェックリストの提⽰ NGチェックリストのフォーマット 指⽰ 出⼒形式の指⽰
  26. 42 実装直後の課題 – メルマガ作成 ※モデルによっては改善される可能性もあります。あくまでもご紹介となります。 あなたはメールマーケティングを⾏うAIアシスタントです。 あなたのタスクは、ユーザーが提供する情報を元に、 与えられた例に倣ってメルマガの⽂章を⽣成することです。 メルマガの⽂章⽣成は以下のルールに従ってください。 -

    ターゲット層を考慮したキャッチーな⽂を散りばめて ください。 - メールのフォーマットは与えた例に倣ってください。 …(略) ユーザーの⼊⼒は以下のフォーマットで与えられます。 <input> <target>…</target> <product>…</product> </input> … 以下に⼊⼒と出⼒の例を⽰します。 <example-1> <input>…</input> <output> 件名︓hoge 本⽂︓ いつもご利⽤いただきましてありがとうございます。 Oisixです。 …(略) </output> </example-1> <example-2> … </example-2> … 複数過去データサンプル 夏物商品のサンプルのみ指定したところ おせちのメルマガも夏真っ盛りな⽂章に🌻 ↓ 他の季節や季節に依存しないサンプルを 追加することで改善
  27. 44 実装直後の課題 – メルマガ校正 校正のNG表現のチェックリストに載っていない表現であっても、 似ている意味の表現であれば勝⼿にNGと推測されてしまった プロンプト改善前︓ <checklist> に記載されている NG

    表現に該当する場合は以下の⽅法で 指摘してください プロンプト改善後︓ <checklist> に記載されている NG 表現に完全⼀致する場合は以下の⽅法で 指摘してください ※モデルによっては改善される可能性もあります。あくまでもご紹介となります。
  28. 45 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  29. 48 業務フローの変化 メルマガ原稿 作成 (30-60分/回) 校正チェック 修正 配信 … コンテンツ

    ⼊⼒ 修正 配信 … メルマガ作成 校正チェック Before After ⽉333時間 削減 OKになるまで繰り返し 校正チェック 校正 チェック Amazon Bedrock
  30. 49 今後の展望 • ユースケースの継続改善 • 他業務への展開 • GenUユースケースビルダー機能の活⽤ • ⾮エンジニアでも気軽に⽣成AI活⽤

    • 社内業務利⽤にとどまらず、OisixサービスへのAmazon Bedrock活⽤ • パーソナライズされたレシピ提案 • 画像⽣成による販促素材の作成 • ⼝コミ分析
  31. 51 アジェンダ 1. 本⽇お話しすること 2. ⾃⼰紹介・会社紹介 3. Generative AI Use

    Cases (GenU) とは 4. ⽣成 AI 活⽤の背景 5. ⽣成 AI 活⽤の PoC 6. PoC で⾒えてきた課題 7. 実装内容 8. 成果と効果 9. まとめ
  32. 52 まとめ • GenUの活⽤、カスタマイズによりメルマガ作成・校正業務の効率化、 マーケティング効果の向上を実現 • 333時間の⼯数削減︕ • プロンプト設計とフロントエンド追加実装によりGenUをカスタマイズ •

    理想のアウトプットを出すにはプロンプトチューニングが肝 • まずはユースケースビルダーを活⽤してみるのもおすすめ • ユーザ体験向上のためのカスタマイズも選択肢としてアリ