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データ分析やAIの "運用" について考える

データ分析やAIの "運用" について考える

オープンセミナー広島2022で発表した資料

mmorito

June 25, 2022
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Transcript

  1. 1

    データ分析やAIの

    "運用" について考える

    2022/06/25
    - OSH2022 -

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  2. 株式会社エムネス

    森藤 敏之(Toshiyuki Morito)

    自己紹介
    所属
    氏名
    ● インフラ寄りのバックエンドエンジニア
    コミュニティ活動
    ● GCPUG Hirosima(Google Cloud Platform User Group)

    ● OSH実行委員

    出身
    廿日市出身(現在は東京在住)

    @mmorito_0318


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  3. データ分析やAIの利活用の背景
     みなさんは MRI や CT の検査を受けたことがありますか?


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  4. 目次
     AIを用いた診断支援の取り組みを紹介します

    診断支援の

    取り組み内容

    今後に向けた課
    題

    実証実験

    の結果

    自社サービス

    の紹介

    データ分析や

    AIの利活用の背景


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  5. 5
    データ分析やAIの利活用の背景


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  6. データ分析やAI利活用の背景

    図. 人口100万人あたりの放射線診断医 (縦軸) および 装置台数(横軸)
    MRIとCTの合計台数が世界ダントツ第1位

    放射線科医数が世界ダントツ最下位

    慢性的な人手不足により、画像診断の品質担保が困難に


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  7. データ分析やAI利活用の背景
    脳の血管(動脈)が膨らんで弱くなっているところ

    破裂すると、くも膜下出血をという脳出血を引き起こす

    特に取り組むべき病変

    脳動脈瘤

    1日に数多くの患者を診断し、
    膨大な画像から数mmの膨らみを
    発見するのは至難の技だ

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  8. 8
    自社サービスの紹介


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  9. 医療支援クラウドサービス「LOOKREC」


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  10. 10
    診断支援の取り組み内容


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  11. 診断支援の取り組みにあたってやったこと
    患者同意取得と

    教師データの作成

    解析依頼/結果参照
    アプリ開発

    実際の

    読影業務に投入

    結果分析

    AIアルゴリズム

    開発

    実行可能

    API開発


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  12. 患者同意取得と教師データの作成
     92%以上の患者から同意が得られ、年齢による差異がほとんど無かった


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  13. 通常の読影業務 + 教師データ用の作成を依頼

    (約200件)

    患者同意取得と教師データの作成
    診断時に図示したアノテーションの座標位置をもとに

    病変の位置が特定できないか

    医師毎にもとにした画像やアノテーションの表
    現方法、病変までの距離に差異あり

    複数の所見に言及された画像もあり、

    動脈瘤のみの正確な抽出が困難


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  14. 解析依頼 / 結果参照アプリ開発
    Modality MR
    部位 HEAD
    スライス厚 1mm以下、等間隔
    断面 AXIAL / Oblique AXIAL
    解析可能な画像のメタデータ

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  15. LCEES(LOOKREC CAD Education and Evaluation System)
    AIの指摘座標を表示 (前後5スライス)
    AI指摘に対するフィードバックの入力
     ・TP(True Positive): AI指摘あり / 動脈瘤あり
      ・TPの場合は瘤のより正確な座標とサイズを入力
     ・FP(False Positive): AI指摘あり / 動脈瘤なし

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  16. 実際の読影業務に投入
    一次確定
    入力開始
    AI結果
    改訂
    最終診断
    一次確定
    入力開始
    AI結果
    改訂
    一次読影

    (放射線診断医)

    二次読影

    (放射線診断医)

     一次読影者: AI支援なしで読影

    ↓

    AI結果を参照して所見を改訂可能
     二次読影者: AI支援なしで読影

    ↓

    一次読影とAI結果を参照して所見を改訂可能

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  17. 17
    実証実験の結果


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  18. BigQueryでデータ集計などした話
     2年分のアクセスログから

    医師の読影に要した時間、AI結果を参照した日時、回数を集計

     AI結果を参照した日時とレポートの改訂履歴を

    照らし合わせ、AI支援後の変更を集計

    (約140TB)
    (約45,000件)
    (約11,500件)

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  19. 分析結果
    64,40 %
    医師が初回読影で発見した動脈瘤
    33.64 %
    AIによって追加された動脈瘤
      発見された動脈瘤数       診断レポート件数
    1,073 個
    / 11,434 件
    84.08 %
    3mm未満の小さな動脈瘤
    89.75 %
    3mm未満の小さな動脈瘤
    35 個
    5mm以上の大きな動脈瘤
    8 個
    5mm以上の大きな動脈瘤
      AIの方が発見数が多かった医師(34名中)
    5 名

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  20. 実証実験の振り返り
     AI支援によって30%以上の脳動脈瘤が発見された


     手術候補となる5mm以上の動脈瘤も複数発見された

    3mm未満の発見数が56%増加しており、偽陽性の診断が増加する可能性が懸念される

     AI支援が医師に与える影響が、数十%の幅で異なっていた


    医師によってはAIを過度に信頼してしまい
    自力で診断する意識の低下や結果をすぐに覆すことが懸念される

    AI支援が医師の読影時間に与える影響について継続して測定が必要


    確実に読影時間は延びていると想定されるため
    一時的な業務負荷の増加に対する継続的な測定/改善が必要


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  21. 21
    今後に向けた課題


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  22. 今後に向けた課題
     もっと多くの診断を支援するためには


     複合的な情報 により異常を学習するアプローチが必要

    家族歴
    既往歴
    喫煙の有無
    年齢 / 性別
    CSV
    CSV
    Order/Report
    前回の画像と比較
    前回の所見/診断と比較
    論文や文献
    他患者の過去症例
    検査目的 / 依頼内容

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  23. 今後に向けた課題
    検査画像の解析依頼

    結果参照
    直接的にAI支援の恩恵を受けるユーザー
    間接的にAI支援の恩恵を受けるユーザー
     このサービスの 価値を最も享受 するのは誰?


    最終的に高品質な医療を享受する患者
     AI支援の恩恵を受ける者とその価値を享受する者が異なる


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  24. 今後に向けた課題
     AI支援を標準化するインターフェイスがまだ無い


     AIの利用側と提供側を繋ぐ、インターフェイスの標準化が必要

    DICOMWeb / GSPS / SecondaryCapture
    解析依頼 / 結果送信 I/F
    結果参照(Viewer)

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  25. 25
    新たな取り組みとして


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  26. 日本の医療均てん化に向けて…

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  27. 27
    ご清聴ありがとうございました


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  28. 参考文献
    - OECD Data.

    https://data.oecd.org 

    (参照: Computed tomography (CT) scanners, Magnetic resonance imaging (MRI) units) 


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