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AWS Summit Japan 2024と2025の比較/はじめてのKiro、今あなたは岐...

AWS Summit Japan 2024と2025の比較/はじめてのKiro、今あなたは岐路に立つ

JAWS-UG広島 第23回勉強会 AWS Summit Japan 2025 re:Capでの発表資料です。
https://jawsug-hiroshima.connpass.com/event/360866/

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Satoshi Kaneyasu

July 16, 2025
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  1. 10 自己紹介 氏名:兼安 聡 所属:株式会社サーバーワークス アプリケーションサービス部 在住:広島(フルリモート) 担当:DevOps、技術支援、PM、SM SNS(X):@satoshi256kbyte •

    2025 AWS Community Builders • 2025 Japan AWS Top Engineers (AI/ML Data Engineer) • 2025 Japan AWS All Certifications Engineers • 認定スクラムマスター • PMP
  2. 11 目次 ⚫AWS Summit Japan 2024と2025の比較 ⚫エンタープライズ系の増加 ⚫データベース情勢の変化 ⚫生成AI周りの変化 ⚫開発ツール周りの変化

    ⚫まとめ ⚫ここからKiroの話 ⚫Kiroとは ⚫Kiroのスペックを使ってみる ⚫現時点のKiroの感想とまとめ
  3. 13 比較方法 AWS Summit Japan 2025のざっくりとした総括をしたいと思い、 AWS Summit Japan 2024/2025のセッション一覧を中心に比較して

    みました。 (AIを使ってます。) セッション一覧の比較と筆者+同僚の意見を交えた見解を述べます。 見解は、組織ではなく個人の見解の範疇であることご了承ください。
  4. 14 セッションに登場する技術概念・手法の比較 カテゴリ 2024年にあって2025年にないもの 2025年にだけあるもの アーキテクチャパターン • Cell-based architecture •

    Shuffle Sharding • マイクロサービス基本分割 • Simplexity戦略 • グレー障害対策 • インメモリセマンティックキャッシュ データアーキテクチャ • データレイク基本構築 • ETL基本パターン • データメッシュ • OneGraph • Transactional Data Lake AI/ML手法 • RAG基本実装 • ファインチューニング基礎 • プロンプトエンジニアリング • GraphRAG • AI Agent開発 • マルチモーダルAI • 責任あるAI評価 開発手法 • DevSecOps基本 • CI/CD基本パターン • IaC基本活用 • プラットフォームエンジニアリング • ゴールデンパス • AI統合DevOps 運用手法 • 監視・アラート基本 • ログ分析基本 • オブザーバビリティ • SRE高度化 • 予防的品質管理 実は一昨年からの復活キーワードもあります
  5. 15 セッションに登場するAWSサービス・周辺技術の比較① カテゴリ 2024年にあって2025年にないもの 2025年にだけあるもの ストレージ • Amazon S3 Express

    One Zone • S3詳細アーキテクチャ解説 • S3パフォーマンス最適化 • クラウドストレージコスト最適化戦略 • ストレージの賢い活用法 • データレイク構築最適化 データベース • Amazon Aurora Limitless Database • Amazon Neptune Analytics • Amazon DynamoDB詳細活用 • Amazon Redshift Serverless新機能 • Aurora I/O-Optimized • Amazon Aurora DSQL • Oracle から Aurora への移行 • クラウドネイティブDB移行 • GraphRAG with Neptune AI/ML基盤 • Amazon SageMaker Canvas • SageMaker JumpStart詳細 • pgvector拡張機能 • 基盤モデルファインチューニング • Amazon Nova • Amazon SageMaker Unified Studio • SageMaker HyperPod • 大規模モデル学習基盤 生成AI • Amazon Bedrock基本活用 • Claude3, Stable Diffusion詳細 • プロンプトエンジニアリング基礎 • RAG基本実装 • Agentic AI • AI Agent • マルチモーダル生成AI • Amazon Nova入門 • 責任あるAI評価 データ分析 • Amazon Redshift Serverless • AWS Glue ETL詳細 • Amazon Athena活用 • Amazon QuickSight基本 • Apache Iceberg • オープンテーブルフォーマット • データメッシュ実装 • GraphRAG • Transactional Data Lake
  6. 16 セッションに登場するAWSサービス・周辺技術の比較② カテゴリ 2024年にあって2025年にないもの 2025年にだけあるもの IoT • AWS IoT SiteWise

    • スマート工場IoT詳細 • IoTデータ収集パターン • IoT基本活用 • IoT/CloudOps AI活用 • エッジAI統合 • マルチモーダルAI×IoT セキュリティ • AWS GuardDuty詳細 • Amazon Security Lake基本 • DevSecOps基礎 • セキュリティ基本対策 • AWS Security Incident Response • サイバーレジリエンス • ゼロトラスト×AI • AI×CNAPP統合 監視・運用 • Amazon CloudWatch基本 • X-Ray分散トレーシング • 基本監視・アラート • Amazon CloudWatch Application Signals • OpenTelemetry統合 • 生成AIオブザーバビリティ • グレー障害検出 開発ツール • Amazon CodeCatalyst • Amazon CodeWhisperer • AWS CDK詳細 • AWS SDK基本活用 • Amazon Q Developer エージェント • AWS Transform for .NET • Everything as Code • プラットフォームエンジニアリング 移行・モダナイゼーション • AWS Mainframe Modernization • VMware基本移行 • リフト&シフト基本 • Amazon EVS • VMwareクラウドネイティブ移行 • ハイブリッドクラウド高度化 • Java アプリモダナイズ
  7. 17 目新しそうな用語の解説 用語 解説 Simplexity戦略 複雑さとシンプルさの両方を考慮に入れた戦略のことです。単純さ(Simplicity)と複雑さ(Complexity)を組み合わせた造語 グレー障害対策 完全なダウンではないが、性能劣化や部分不具合など検出が困難な障害への対策。異常検知や回避設計が中心。 インメモリセマンティックキャッシュ 意味(セマンティクス)ベースでデータをキャッシュし、ユーザーの意図に応じた効率的な結果を高速に提供する手法。LLMや検索最適化で利用。

    データメッシュ データを中央管理せず、各ドメインが自立してデータを持ち運用する分散アーキテクチャ。 OneGraph 異なるサービスのGraphQL APIを1つの統合GraphQLスキーマにまとめるアプローチ。バックエンド統合やAPI連携効率化に有効。 GraphRAG グラフデータベースを利用したRAG(Retrieval-Augmented Generation)。ナレッジの関連性を活用して精度の高い応答生成を可能にする。 AI Agent開発 自律的に行動・判断できるAIエージェント(例:複数のタスク実行、外部ツール連携など)を設計・構築する開発手法。 マルチモーダルAI テキスト、画像、音声、動画など複数のモダリティ(データ形式)を統合的に処理・理解・生成できるAI技術。例:GPT-4oなど。 責任あるAI評価 AIの公平性・説明性・偏り・プライバシーなど倫理的観点を含めた評価。Responsible AI(RAI)としてガイドライン化が進行。 プラットフォームエンジニアリング 開発者がより効率的にアプリケーションを開発・運用できるように、セルフサービス型の開発者プラットフォームを構築・運用する分野のこと。 ゴールデンパス 組織内で推奨されるソフトウェア構築・デプロイの方法 オブザーバビリティ(可観測性) システム内部の状態を外部から理解できるようにする性質。ログ、メトリクス、トレースなどの統合的分析により障害の早期検出・解決を目指す。 予防的品質管理 インシデントや障害が起きる前にリスクを予測・回避する品質管理手法。テスト自動化、シフトレフト、AIによる異常検知などが含まれる。 Transactional Data Lake データレイクでトランザクション制御を可能にする設計(例:ACID対応)。Apache IcebergやDelta Lakeなどが実現手段。 Apache Iceberg データレイク上の大規模な分析データセット向けに設計されたオープンテーブルフォーマット。トランザクション機能などを持つ。 オープンテーブルフォーマット データレイクで使われるテーブル形式の一種で、異なるシステムやツール間でデータを共有・分析しやすくするための規格
  8. 18 エンタープライズ系の増加 ⚫ エンタープライズ=大企業や中堅企業、公的機関など、大きめの法人 ⚫ 全体的にエンタープライズ系のセッションが増えています。 昨年、Amazon Q Developerによるメインフレームのモダナイゼー ションが発表された通り、AWSはエンタープライズを意識した展開が

    進んでいます。 ⚫ 2025年のセッションでエンタープライズ系の内容が増えたのは、その 成果またはエンタープライズ系へのアプローチの現れだと考えられます。 ⚫ メインフレームのモダナイゼーション向け Amazon Q Developer 変換 機能を提供開始 (プレビュー版)
  9. 19 データベース情勢の変化 – Oracle周り ⚫ セッションにもOracle から Aurora への移行を 取り上げたものがありました。

    ⚫ データベースはSummitから少し遅れてOracle Cloudの正式サポートが発表されています。 ⚫ Oracleから移行する、Oracleを使い続ける、両 方のパターンをフォローしてエンタープライズ のニーズに応えようとしている姿勢が見えます。
  10. 20 データベース情勢の変化 - AWS謹製のデータベースの変化 ⚫ AWS謹製のデータベースにも変化が見え ます。 ⚫ DSQL登場により、Amazon Auroraは従

    来のDBに自動スケーリング機能を持たせ たAurora Serverless v2・Aurora Limitless Database。 ⚫ 分散DBのAmazon Aurora DSQLという ラインナップになりました。 ⚫ 今後はLimitless DatabaseよりもDSQL の存在感が増していくと予想しています。 規模 Amazon Aurora Serverless v2 小〜大 Amazon Aurora PostgreSQL Limitless Database 大〜特大 Amazon Aurora DSQL 大〜無限
  11. 21 生成AI周りの変化 ⚫ 2024年の生成AIの話は、フワッとしたものもあり ましたが、2025年は一気に実践的な話が増えまし た。 ⚫ セッション「生成 AI オブザーバビリティのベスト

    プラクティス(AWS-49)」では、それに対する取 り組みが紹介されていました。 ⚫ 生成AIを絡めたサービス全体の可視化、ログ分析、 Amazon Bedrock ガードレールによる安全性の確 保などなど、かなり先進的な内容です。 生成AIの登場により、DevOpsやSREに新たな役目 が与えられたように感じます。 2025年にだけあるもの • GraphRAG • AI Agent開発 • マルチモーダルAI • 責任あるAI評価 • プラットフォームエンジニアリング • ゴールデンパス • AI統合DevOps • オブザーバビリティ • SRE高度化 • 予防的品質管理
  12. 22 開発ツール周りの変化 ⚫ Amazon CodeCatalystが2025年は挙がってないのが残念です。 ⚫ 個人的にAWSでGitを使う場合は、覚悟を決めてGitLabにすべきかなと 思っています。 ⚫ Amazon

    Q Developerについては、私はSummit前後で価格改定があ ると予想していて、あれ?来なかったなと思っていたところ7/14に突 然AWSよりAI機能付きIDEの「Kiro」が発表されました。 ⚫ そして、Kiroの発表とともに価格改定がされています。 元々、Kiroと合わせて価格改定する予定だったのでしょうね。
  13. 23 まとめ 2024の特徴 2025の特徴 • AIの基礎・導入段階の内容が中心 • 個別サービスの詳細解説 • 概念・理論の説明重視

    • 環境・ESGへの具体的取り組み • 宇宙・特殊産業への展開 • AI Agentによる自動化 • AIの実践・応用段階の内容が中心 • AI含めた統合ソリューションの提案 • ビジネス価値創出重視 • エンタープライズ系の強化 AIまわりが夢が膨らむというよりAIを使うことが現実的な話となり、 ちゃんと使っていこうという方向になったと感じます
  14. 25 AWS Summit New York City ⚫ 日本時間7/16(水)深夜24時、AWS Summit New

    York Cityが開催さ れ、大型のアップデートが発表されています。  Amazon Bedrock Agent Core  AWS MarketplaceにAIエージェントを販売する新カテゴリーを開設  Amazon S3 Vectors  Kiro
  15. 26 Kiroとは ⚫ Kiroは2025年7月14日に発表されたAWS製のAI機能を備えたIDE (統合開発環境)です。 ⚫ 本資料作成時点(2025年7月16日)ではプレビュー版として公開さ れています。 ⚫ 最大の特徴はスペックとフックという新たな考え方の機能を備えてい

    ることです。 ⚫ スペックは入力された要件に対して、要件定義書、設計書、実装計画 をファイルとして保存し、その上で実装を行う機能です。 ⚫ フックは開発の各工程において、自動処理を走らせる機能です。
  16. 28 Vibe Codingの課題 ⚫ Vibe Coding とはAIに自然言語で指示を与えて開発するスタイルを 指します。 ⚫ 一般的にチャットで会話しながら開発するので、同じ成果物を得るた

    めのプロンプトを蓄積しにくいと感じます。 (対策となるテクニックは存在しますが本筋から離れるので割愛します) このやり取りを丸ごと再現しないと、 同じ成果物を得るのは難しい
  17. 30 スペックが作るドキュメント群 ⚫ 最終的にスペックが作るドキュメント群は以下の構造になります。 ⚫ 要件ごとにスペックのドキュメント群一式ができます。 project-root/ ├── .kiro/ │

    ├── hooks/ │ │ └── ts-history-tracker.kiro.hook │ └── specs/ │ └── admin-notification/ # 要件ごとにスペックファイル一式が生成される │ ├── requirements.md │ ├── design.md │ └── tasks.md ├── src/ │ └── ... ├── docs/ │ └── ...
  18. 44 参考資料 • 【参加レポート】AWS Summit Japan 2025 Day2(前編:会場の様 子・Aurora DSQL

    アーキテクチャ詳細) • Kiro(プレビュー版)によるはじめてのスペックコーディング