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NCDC_UXSession_20230830

NCDC
August 31, 2023

 NCDC_UXSession_20230830

新規サービスの立ち上げというと、どうやって良いアイデアを出すかに意識が向きがちですが、実際には発想そのものよりもアイデアを育てたり、実現可能性を検証したりするプロセスが重要だといえます。

とくに事業者視点によりがちなアイデアをユーザー視点で検証し直すこと。つまり「そのサービスはユーザーにとって本当に価値があるものなのか」を考えることは、新規サービスの準備段階で重要なポイントであり、この検証の良し悪しが新規サービス成功への最初の関門であると言えます。

NCDCは新規サービス立ち上げ支援に多くの実績を誇り、プロジェクトの早い段階からUXデザイナーが参画して、ユーザー視点を重視したアイデア創出や検証をサポートしています。

本セミナーでは経験豊富なUXデザイナーが、実例を交えながら、新規サービスのアイデア創出からユーザー視点を重視したアイデア検証方法まで、具体的な進め方を解説します。

NCDC

August 31, 2023
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Transcript

  1. 講師紹介 2 シニア UXコンサルタント 清水奈生枝 NCDC入社後、コンシューマ向けアプリ、新規Webサービス、 ハードウェアの操作用パネルなど、多岐にわたるUX/UIデザ インを手がける。 また最近では、さまざまなお客様の新規事業企画にコンサ ルタントとして参画。

    アイデア出しから実際にデザインに起こしていくところを 支援するなど、デザイナー兼コンサルタントならではのバ リューを提供している。 2人の子を持つママさんデザイナー兼UXコンサルタントとしての キャリア形成にも取り組んでいる。
  2. Business 事業領域の推進 Design ユーザ視点での設計 Technology 技術による課題解決 Innovation • コンサルティング •

    新規サービス企画 • PoC⽀援 • デザイン思考 • UX/UIデザイン • モバイル・Web先端技術 • IoT / AI / AR • クラウドインテグレーション 4 NCDCのサービス体系
  3. 私たちにできること l デジタルビジネスに必要な要素にフォーカスし、⼀元的に提供しています。 l スモールスタートでの検証から、本開発・継続的な改善までサポートします。 5 ワークショップを中⼼とし た合理的なプロセスで、ビ ジネスモデルの検討からUX デザインまで、迅速に⾏い

    ます。 関係者が多数いる場合の組 織横断、会社横断のファシ リテーションも得意です。 新規性の⾼いプロジェクト ではMVP(Minimum Viable Product)を⽤いた検証を⾏ うなど、⽬的に応じて段階 的な開発を企画します。 早い段階でモックやプロト タイプを⽤意してユーザの 評価を確認します。 ユーザとのタッチポイントとなる各種デバ イスのフロントエンドデザインから、クラ ウドサービスを駆使したバックエンドの開 発まで。多様なテクノロジーをインテグ レーションします。 l AI / IoT / AR l モバイル・ウェブ アプリ開発 l クラウドインテグレーション l システムアーキテクチャコンサルティング など ビジネスモデルのデザイン スモールスタート・PoC システム・インテグレーション ユーザ視点を⼤切にした 課題抽出・企画 モックやプロトタイプ の開発・検証 開発 継続的な改善
  4. 私たちにできること② l 社内に最適な組織がない場合の組織づくりや⼈材育成から、⾼度な技術をもったエンジニ アによる技術移管まで、幅広くお客様をサポートします。 6 ビジネスモデルのデザイン スモールスタート・PoC システム・インテグレーション ユーザ視点を⼤切にした 課題抽出・企画

    モックやプロトタイプ の開発・検証 開発 継続的な改善 企業のDXやデジタルビジネスの創出に必要なこうしたプロセスを多⾯的にサポート DX戦略⽴案 ⼈材育成 技術移管 リファレンス実装 DX組織構築⽀援 アジャイル導⼊⽀援 ⼿法や技術の選定 ブランディング
  5. l 新規事業のサービス立案に向けて、大きく3つのフェーズに分かれ ています ③事業展開 フェーズ ②事業アイデア実証 フェーズ ①事業アイデア創出 フェーズ 新規ビジネス創出から実現までの流れ

    事業性 評価 ビジネス モデル 評価 アイデア 創出 PoC評価 PoCシステム開発 販売戦略検討 運用方法検討 展開 サービススタート 向けシステム開発 8 UX 検証
  6. l アイディア創出やビジネスモデル評価など、それぞれのプロセス の中で、ユーザー視点で検証する「UX検証」はどのような方法が 有効かをご紹介します ③事業展開 フェーズ ②事業アイデア実証 フェーズ ①事業アイデア創出 フェーズ

    新規ビジネス創出から実現までの流れ 事業性 評価 ビジネス モデル 評価 アイデア 創出 PoC評価 PoCシステム開発 販売戦略検討 運用方法検討 展開 サービススタート 向けシステム開発 9 UX 検証 ユーザーの ニーズは? ユーザーの 行動は? ユーザーの 気持ちは? 本当にそれ 必要?
  7. l 新規事業の種を見つけるために、まずはアイディア出しが必要 ③事業展開 フェーズ ②事業アイデア実証 フェーズ ①事業アイデア創出 フェーズ 新規ビジネス創出から実現までの流れ 事業性

    評価 ビジネス モデル 評価 アイデア 創出 PoC評価 PoCシステム開発 販売戦略検討 運用方法検討 展開 サービススタート 向けシステム開発 13 UX 検証
  8. アイデア例 l 「健康を応援するサービス」をテーマにアイデアの発散と収束を 行った結果、①の案が残ったとします 15 食べるものを勝手に 決めてくれる 意識、管理しなくても 楽して健康的な食事を取れ る

    毎食分の食事が 届くサービス ①食事自動配達 ②健康データシェア 似たような健康状態の人同 士でデータシェア 励ましながら健康促進 実際の消費カロリーより少 なくみせて、 余計に運動するように 促す ③生活習慣アドバイス (強制力強め) ペナルティ制度 決められた量の運動をしな いと 届くはずの食事が来ない 病気になった時の損失金額 を教えてくれる
  9. アイデア創出時のUX検証 l アイディア創出時のUX検証の方法は? 16 誰向けのサービス? 事業者視点 ターゲット設定 ・30代男女 ・都内に勤務 ・一人暮らし

    UXデザイン ペルソナ作成 • 氏名:加藤 詩織 • 年齢:32歳 • 身長:161センチ • 職業:不動産会社 営業 • 年収:700万円 • 勤務体制:90%出社 朝8時出社 〜夕方8時退勤 • 家族構成:一人暮らし 茨城の実 家に両親がいる • …… • ……
  10. ペルソナ定義 17 l 概要 l その後の分析工程でペルソナだったらどう考えるのか?どう行動するのか?を想像する ために、サービス利用者の典型的なユーザー像をペルソナとして定義する l ポイント l

    あえて「ターゲット」ユーザーといった表現は使わない ターゲットと言う表現は事業者視点での単語であるため l 関係者のだれもが同じような人物像としてイメージができるような項目と内容を定義す る l 名前や写真に有名人のものをそのまま使わない (その人のイメージに思考が引っ張られてしまうため) l 名前、年齢、性別は必須 その他の項目はプロジェクトに応じて必要なものを適切に定義
  11. 18 ペルソナの例 30代の都内在住独身女性 • ⽒名:加藤 詩織 • 年齢:32歳 • ⾝⻑:161センチ

    • 職業:不動産会社 営業 • 年収:700万円 • 勤務体制:90%出社 朝8時出社〜⼣⽅8時退勤 • 家族構成:⼀⼈暮らし 茨城の実家に両親と愛⽝がいる 3つ下の妹は既婚で千葉県 在住 彼⽒なし 性格:社交的、負けず嫌い、会社ではしっかりしているが、家ではだらけている、⼤ 雑把なところがある、流⾏には敏感、⾒た⽬にも気を遣っている • 趣味:ゴルフ、国内温泉旅⾏、ヨガ、YouTubeでトイプードルの動画を⾒る • ⾷事:外⾷もしくは出来合いのお惣菜、冷凍⾷品中⼼ サプリメント服⽤ • ⾃炊レベル:ご飯を炊く、サラダを作る • 好きな⾷べ物:ハヤシライス • 苦⼿な⾷べ物:⾙類 • 健康状態:今のところ⼤きな問題なし、慢性的な肩こり、むくみ、肌荒れが気になる • スマホ/PC: iPhone12 を所有 個⼈PCはなし • よく使うアプリ:smartニュース、Amazon、UberEATS、メルカリ、予定管理、体重 記録 • SNS利⽤:TikTok、Instagram
  12. l 概要 l ペルソナに近い人や、対象となるユーザー、比較したい層に、用意した設問に 答えてもらう l ポイント l 調査人数が少ない場合は、Googleフォームなどを利用することで手軽に調査で きる

    l 調査人数が多い際は、アンケート調査専門の会社に依頼しても良い l 人選やアンケート結果を集計してくれる l アンケート1回あたり数百万のコストがかかることもあるので、 予算に合わせて企画・設計すると良い l 質問内容は、回答を誘導するような文章にしてはいけない アンケート調査 20
  13. インタビュー l グループインタビュー l 複数人が参加し、参加者同士でディスカッションを行うインタビュー l 調査対象者5〜6人に集まってもらう l 司会者が調査テーマについて質問を行い、参加者同士で自由に発言してもらう l

    参加者同士の相乗効果により、多角的な意見を吸い上げることができる l デプスインタビュー l インタビュアーと1対1の面接形式で行うインタビュー l 本人も意識していなかったニーズや要望を知りたい場合 l 人前では話したくないようなテーマの場合 l 本音の意見を聞き出したい場合 22
  14. 行動観察 23 l 概要 l 現地に赴き、ペルソナに近い人の行動や、その周りの人々の様子などを観察する l 直接目で観察することで、新たな発見や、人々の行動の背景にある心理を知るヒントに もなる l

    特に業務向けサービスなど、業務内容や現場の様子が想像しにくい時にも有効 l ポイント l アンケートやインタビューと違い、ペルソナが気づいていない(意識していない)課題 を見つけることができる l 現場に赴くことが難しい場合は、ビデオなどに録画して観察する l 観察していることを観察対象者に気づかれないようにする l バレてしまうと本人や周りの人々が意識してしまい、普段通りの行動を取らなくなってしまう l 周りに紛れて観察すると良い
  15. 体験 l 概要 l 自分自身がペルソナと同じ体験をしてみる l 実際に体験してみることで、ペルソナの行動や気持ちをより理解できる l ポイント l

    自分がペルソナとかけ離れている場合は、体験が難しい l 車椅子や妊婦体験ジャケットなど、道具を使用することでペルソナ体験をする方法 もある l 行動観察と体験のミックス l 接客サービスなどで良く利用する l 自身が客または販売員となり、実際にやり取りを体験する 24
  16. Business Model Canvasサンプル l 記載されている番号の順番に埋めていく l 中心にあるValue Proposition が最も大切 28

    28 28 28 ①ターゲット顧客は? ②選定されたアイデアの 価値は? ③どうやってその価値を 顧客に届けるか? 販売チャネルは? ⑤どんな収益が得られるか? どんなお金を顧客は出すのか? ④どうやって顧客との 関係性を作り、継続させ るか? ⑥価値を創造するための リソースは? ⑦主要なビジネス活動は? ⑧主要なパートナー、 サプライヤーは? ⑨主なコストとそのボリュームは? 都内で働く 一人暮らしの 30代男女 意識せずに食事面での 健康が保たれる 食事内容を考える 必要がない 中食の割に値段が安い ECサイト、 スマホアプリ マーケティング活動 配送手段、 献立リスト、 食材を安く仕入れる仕組み マーケティング、 管理 食品加工業者、 配送業者、 食材卸業者、 食材費、食材加工費 配送費、 サービス運営費 サービス使用料 献立を決める のをAIを活用 できないか ①食事自動配達の例 アウトレット 食品を使用す る
  17. ビジネスモデル検証とUX検証の違いの具体例 l ビジネスモデル検証とUX検証の違いの具体例 l ビジネスモデル検証 l 事業制の判断(もうかるかの計算) l 月1000円を支払って1万ユーザーに使ってもらう想定 l

    1000円×1万人=1千万円/月 l UX検証 l ユーザーになりきって本当に月1000円払うか検証 l カスタマージャーニーマップでペルソナの行動と感情を可視化 30
  18. 31 カスタマージャーニーマップサンプル Insight 昼⾷のこと考えるの めんどくさい Think 満員電⾞き つい 早く終わら ないかな

    急がないと 午後に間に 合わない 困った 時間ないか らデスクで ⾷べよう 困った もう⾷べる 時間ない 最初からコ ンビニによ かったすれ ば 全然休めな かった 今⽇も忙し そう お昼休みな くなる ついてない 最悪だ とりあえず 飲み物買お う お腹すいた DO 会社に出社して昼⾷を⾷べる STORY 空いている といいな 急げ〜 オフィスに 戻る 会社に⾏く ⾏きつけの 店に向かう ⾏こうとし た店が混ん でる 弁当が売り 切れ 最後コンビ ニ寄る 飲みものだ け買う 会議が伸び る お弁当屋さ んに向かう 他のお店探 さないと 確実に⾷べられる/買えるようにしたい ランチは楽しみというより 時間との戦い 結局このペルソナにとっての 本⾳は何なのか?
  19. l 概要 l ペルソナの行動を想像・定義し、その行動の際の考えているであろうことや思っているであろ うことを抽出し、ペルソナの感情・心理状態を可視化する l 手順 l ストーリーを抽出する l

    ストーリーに基づきペルソナの行動を列挙する l ペルソナの行動を列挙した後、各行動時にペルソナが考えるうる可能性のある気持ちをできる だけ多く列挙する l ポイント l ペルソナになったつもりで想像を膨らませ、ジャーニーマップを作る l ストーリーは検討中のサービスや該当するサービスがない状態(現状)で考える 32 カスタマージャーニーマップ作成
  20. l 新規事業のサービス立案に向けて、大きく3つのフェーズに分かれ ています ③事業展開 フェーズ ②事業アイデア実証 フェーズ ①事業アイデア創出 フェーズ 新規ビジネス創出から実現までの流れ

    事業性 評価 ビジネス モデル 評価 アイデア 創出 PoC評価 PoCシステム開発 販売戦略検討 運用方法検討 展開 サービススタート 向けシステム開発 35 UX 検証
  21. 解決策や機能の抽出 l カスタマージャーニーマップを使って解決策や機能を抽出し、 ユーザーテストやPOCなど、この後の工程に繋げていく 36 Insight 昼⾷のこと考えるの めんどくさい Think 満員電⾞

    きつい 早く終わ らないか な 急がない と午後に 間に合わ ない 困った 時間ない からデス クで⾷べ よう 困った もう⾷べ る時間な い 最初から コンビニ によかっ たすれば 全然休め なかった 今⽇も忙 しそう お昼休み なくなる ついてな い 最悪だ とりあえ ず飲み物 買おう お腹すい た DO 空いてい るといい な 急げ〜 オフィス に戻る 会社に⾏ く ⾏きつけ の店に向 かう ⾏こうと した店が 混んでる 弁当が売 り切れ 最後コン ビニ寄る 飲みもの だけ買う 会議が伸 びる お弁当屋 さんに向 かう 他のお店 探さない と 確実に⾷べられる/買えるよう にしたい ランチは楽しみというより 時間との戦い スケジュールに 合わせて ⾃動で⾷事を提 供 お店の混雑 具合が事前 に分かる お弁当の 事前予約/決 済 空いてるお 店を教えて くれる その⽇の体調や気 分に合わせて ⾷事をレコメンド デスクまで お弁当を配 達してくれ る
  22. POC検証 l プロトタイプを作るなどして、よりリアルに検証 l できるだけ工数が少なく検証できる部分から進めるのがコツ l 開発(プログラミング)するのは最終手段くらいのつもりで計画する 37 実現方法 工数感

    検証例 画面モックのみ(開発が不要) 小 • 画面モックを触ってもらった後にアンケートやインタ ビューを行ってユーザーニーズを検証する • システムの画面遷移などの使用性を検証する 商用のSaaS利用(開発が不要) 小 • SaaSでも検証ができるような場合、アンケートやインタ ビューを行ってユーザーニーズを検証する ノーコード・ローコードツール (多少の開発が必要) 中 • 使用してもらった後アンケートやインタビューを行って ユーザーニーズを検証する システムに組み込まれていない AIモデル 中 • AIの精度の検証を行う Raspberry Piなどの小型コンピュ ターを使ったアプリケーション 中 • 技術的な実現可能性の検証を行う 検証のために必要な部分をPaaS 等を活用して開発する 中 • 技術的な実現可能性の検証を行う • 短期間使用してしてもらい、その後アンケートやインタ ビューを行ってユーザーニーズを検証する
  23. サービスイメージのビジュアル化 l アイデア創出フェーズで生み出されたアイディアを、目に見える ものにする l サービスのイメージ画(ストーリーボードなど)を作成 l サービスのフロー図 l コンセプト動画の作成

    l プロトタイプの作成 42 ・ビジュアル化することで、よりサービスのイメージがしやすくなる ・ユーザーへのヒアリングや社内外のプレゼン資料としても使用できる