ヒューマンエラーの本を読んだ ~報告会~

Funabashi.dev (https://funabashidev.connpass.com/event/324776/) で発表したものです
本を読んで面白かったところや感想を共有しました

Transcript

1. ヒューマンエラーの本を読んだ 
 報告会 Funabashi.dev #1 Hideki Kinjyo GitHub: o0h / X: @o0h_ [公開用]
2. 自己紹介 • 金城秀樹 / きんじょうひでき • GitHub: @o0h / 𝕏 : @o0h_ • 千葉県生まれ千葉県育ち(下総) • 好きなラーメン屋はなりたけ  
3. 今日の話のきっかけ • 最近読んだ本 → 『ヒューマンエラーを理解する』 • 組織の中で働く・学習を積んでいくにあたって、 
 すごい大事なことを言っている気がする・・！ • 面白そうなので読書メモ的に話します！！   ᴷ Sidney Dekker (ஶ), খদݪ ໌఩ (຋༁), ेُ ༸ (຋༁) 
 ώϡʔϚϯΤϥʔΛཧղ͢Δ: ࣮຿ऀͷͨΊͷϑΟʔϧυΨΠυ
4. 1. 腐ったリンゴ理論 2. 事後分析のアンチパターン、分析モデル 3. ヒューマンエラーの新しい見方
5. 1. 腐ったリンゴ理論
6. 『ヒューマンエラーを理解する』 • 「ヒューマンエラー」とみんなが呼ぶソレが、 
 どうして発生する そんな結論に帰着させたがるのか、を語った本 • ⇔ 「その事故に直接関わった人物の中に起きた、何らかの判断ミス」は 
 本当に大事なことを発見する目を曇らせる、という主張 • 中核的な概念: ヒューマンファクター • 組織や設備などを含む環境・状況によって引き起こされる人間の行動特性 • 「ヒューマンエラーがおきた」時に、「起こるべくして起きた」を説明したい  
7. 腐ったリンゴ理論 • 「カゴの中のりんごが1つ腐っている」 => どうする？ • 1つ腐っていると、周りのりんごも腐りやすくなる 
 "One bad apple spoils the barrel."   参考: 
 腐ったリンゴ - Wikipedia 
 https://ja.wikipedia.org/wiki/腐ったリンゴ
8. 腐ったリンゴ理論 • 「カゴの中のりんごが1つ腐っている」 => どうする？ • その林檎を取り除く？ • 表面的な「結果」だけを取り除いても、実は何も改善されていない  
9. 腐ったリンゴ理論 • 「カゴの中のりんごが1つ腐っている」 => どうする？ • 「なぜりんごが腐ったのか」に着目する必要がある • Tom Demarco 
 "あなたの行動が自分では完全に理解できない力に突き動かされているとき、定 義上あなたは一種の忘我の境(トランス状態)にあるという。あなたを突き動か している力は隠された(影の)規則なのだ。"   [ग़య] 
 ᴷ Tom DeMarco (ஶ), େ໺ ኹ࿠ (ஶ) 
 σϚϧίେ͍ʹޠΔ: ιϑτ΢ΣΞ24ͷર͖ͱࡓ͑ P268
10. "ヒューマンエラーを責めるのか, 
 失敗から学ぶのか, お好きな方をご自由に" ─『ヒューマンエラーを理解する』P17
11. 2. 事後分析のアンチパターン、 
 分析モデル
12. 事後分析のアンチパターン • 後知恵バイアス、〜すべきだったのに • 1つの根本原因や単純化した事由で説明をしたがる  
13. 事後分析のアンチパターン • 後知恵バイアス、〜すべきだったのに • 「今考えてみたら、シグナルは出てたじゃん」というバイアス • 「気づけたのに気づけてなかった(から、当事者のヒューマンエラーだ)」  
14. • その林檎を取り除く [ग़య] 
 ᴷ Sidney Dekker (ஶ), খদݪ ໌఩ (຋༁), ेُ ༸ (຋༁) 
 ώϡʔϚϯΤϥʔΛཧղ͢Δ: ࣮຿ऀͷͨΊͷϑΟʔϧυΨΠυ P46
15. 事後分析のアンチパターン • 後知恵バイアス、〜すべきだったのに→どうする？ • ”データを状況の文脈に当てはめて考えよ” • (IMO) • 「自分が同じ状況でもそうしちゃったよな」と確信を持って分析に臨みたい 
 という確信を持てないか？が大事になりそう • 「自分らしからぬ判断」が生まれた必然性が環境にあるはずだ！！の確信  
16. 事後分析のアンチパターン • 1つの根本原因や単純化した事由で説明をしたがる • あらゆるものは複雑・複合的に絡み合っている • 「1つの根本原因」と呼ぶ時は「そこで分析を打ち切る」のサインでしかない • 「何を原因とするか」は、採用した「事故モデル」に依存する • 事象の連鎖モデル • 疫学的モデル • 相発的モデル  
17.   事象の連鎖モデル • 事象の連鎖モデルは「なにかが起き て、何かを起こす」というモデル • このモデルでは「断ち切るべき連鎖 を特定する」 こちらがかわいいイラストタッチのドミノ倒しの絵です。気に入ってい ただけると嬉しいです！
18.   疫学的モデル • 宿主（人間）・病原体（危険要 因）・環境を特定する • 病原体の特定と、それが蔓延するの を防ぐための複数の防御層を設ける こちらが疫学的モデルをかわいいイラストに例えた絵です。事故分析の 要素がキャラクターとして描かれています
19.   相発的モデル • 何らかの出来事が発生して、その他 の出来事に影響を与えているという 考え • 「出現」と「制御」に区分して説明 を試みる どんなイラストが良いかが思い浮かばなかったので、代わりに船橋に来 てランチに食べたとんかつ定食の中核部分の写真です
20. 3者の比較 • この本の立場は「相発的モデル」 • 事象の連鎖は物事を単純化しすぎかも。 
 疫学的モデルは「欠陥」「落ち度」という感覚から脱却できない。 • 相発的モデルは、「個別の要素は間違っていない」「人はミスしよう としてミスしていない」という世界観に導く • 「悪い事」はない、「良かれと思ってやっている」の方が 
 大変であり、シビアな分析結果を持ってくるはず  
21. 3. ヒューマンエラーの新しい見方
22. ヒューマンエラーの新しい見方 • ヒューマンエラーを事故の原因とみなす選択肢。この場合,状況認識の喪失であ ろうが,手順違反であろうが,(中略)どのようなレベルのものであっても,「ヒュー マンエラー」だということがわかれば,それで結論が出たことになる。 • ヒューマンエラーを真相の問題の1つの現われ、症状であるとみなす選択肢。こ の場合、ヒューマンエラーは、全てのスタートポイントとなる。「エラー」を見 つけることは単なる始まりにしか過ぎないということだ。あなたは、ヒューマン エラーが作業者の道具、業務、そして作業操作や組織環境の諸特性と、どのよう に系統的なつながりを持っていたのかを探り当てていくことになるだろう。   “ [ग़య] 
 ᴷ Sidney Dekker (ஶ), খদݪ ໌఩ (຋༁), ेُ ༸ (຋༁) 
 ώϡʔϚϯΤϥʔΛཧղ͢Δ: ࣮຿ऀͷͨΊͷϑΟʔϧυΨΠυ P5
23. ヒューマンエラーの新しい見方 ヒューマンエラーはトラブルの原因である ヒューマンエラーはシステム内部の深層に潜む問題の現れである 失敗を説明するためには、（エラー、手抜き、能力不足、ミスなどの）失 敗探しをしなくてはならない 失敗を説明するためには、どこで人がうまくいかなかったのかを見つけ 出そうとしないこと あなたは人々の不正確な判断、間違った決定、悪い判断を見つけなければ ならない 人々が考えたことと行ったことが当時どのように意味をなしていたのか を見つけ出す必要がある ヒューマンエラーの古い見方はどのような論拠を持つか ヒューマンエラーの新しい見方はどのような論拠を持つか 複雑なシステムは基本的に安全だ 複雑なシステムは基本的に安全ではない 信頼の置けない人間が、防御壁、規定、規則を弱体化する 複雑なシステムは、安全性と効率性といった相容れない複数の目標のト レードオフに存在している より厳格な手順、自動化、監視によって、人間の関与を制限するしかない 人々は業務の実践を通じて安全を創出する [ग़య] 
 ᴷ Sidney Dekker (ஶ), খদݪ ໌఩ (຋༁), ेُ ༸ (຋༁) 
 ώϡʔϚϯΤϥʔΛཧղ͢Δ: ࣮຿ऀͷͨΊͷϑΟʔϧυΨΠυ P6 (表0.1 ヒューマンエラーの2つの見方)より
24. どんな変化が必要か？ • 例えば「◦◦(作業にあたった特定の誰か)のミス」を原因とした場合、 過失は「◦◦」に属することになる • 新しい見方では、ヒューマンエラーはもっと「再現性がある、必然性 を持って現れるモノ」として扱う • 「by-nameの誰かさん」状のランダム性、「運が悪かった」式反省を否定できる • それと同時に、ヒューマンファクターの視点は「人間が苦手なこと」 があることを認めて、それも踏まえてシステム全体と向き合う  
25. オススメとまとめ
26. 関連しそう・役に立ちそう？って勝手に思うもの • システム思考 • "これから学ぶ" システム思考 / System thinking introduction 
 https://speakerdeck.com/tunepolo/system-thinking-introduction • 「事実(観察)と評価を分けて扱う」的な考え方 • 例: 「今日マネージャーは不機嫌だ」「この部屋はとても暑い」は観察か？ NVCに おける「観察」を考える - アジャイルコーチの備忘録 https://norihiko-saito- 1219.hatenablog.com/entry/2019/11/24/141255 • Norm Kerthの最優先条項 • 「ふりかえり最優先条項」についての議論 - InfoQ 
 https://www.infoq.com/jp/news/2008/03/retrospective-prime-directive/  
27. この本を通じて学べること • いい感じにやっていこうな！  
28. おしまい！ お付き合いいただき ありがとうございました!!