Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

PHPerがこれから「型」とお付き合いしていくために

penguin045
February 11, 2020

 PHPerがこれから「型」とお付き合いしていくために

PHPerKaigi 2020登壇資料

penguin045

February 11, 2020
Tweet

More Decks by penguin045

Other Decks in Programming

Transcript

  1. PHPerがこれから「型」と
    お付き合いしていくために
    やなせ たかし

    View Slide

  2. 自己紹介
    やなせ たかし
    株式会社ラクスで働いています。
    PHP

    1
    年未満
    Scala
    大好きマン
    ギターを嗜みます。ギターと技術で何かしたい
    (
    願望
    )
    2

    View Slide

  3. 今日話すこと
    ● 型システムとは何なのか
    ● 型システムとプログラミング言語

    PHP
    と型
    ● 今から型システムとお付き合いを始めるには
    3

    View Slide

  4. 型システムとは何なのか
    4

    View Slide

  5. 型システムとは何なのか
    ● 本セッションでの前提
    ● 定義
    ● 型システムでできること
    5

    View Slide

  6. 型システムとは何なのか
    ● 元は型理論という分野
    ○ コンピューターが存在する前からある
    ○ 数学、論理学などで用いられる
    ● ここでは、プログラミングに関することを話します
    6

    View Slide

  7. 型システムとは何なのか
    ● プログラムのふるまいを推論するためのツール
    ● 始めは
    int

    float
    の違いを区別するようなもの
    ○ 効率よく計算するため

    1970
    年ごろからより高度な概念が研究される
    ○ 部分型
    ○ 再帰型
    ○ 多相
    ○ 高階型
    ○ などなど
    7

    View Slide

  8. 型システムでできること
    ● エラー検知
    ● 構造を明らかにする
    ● 安全性を高める
    ● プログラムの効率性を高める
    8

    View Slide

  9. ● データ構造の不整合を検知してくれる
    ○ しかも実行前にわかる
    ● 特定のバグがないことを保証できる
    ○ 静的に型検査をしている場合
    エラー検知
    9

    View Slide

  10. ● データ構造の不整合を許容しない
    ○ 柔軟性を持たせるのには工夫が必要
    ○ とはいえ、全てを汎用的な型で実装すると恩恵が受けられない
    ● 特定のバグがないことを保証しなければならない
    ○ 絶対に実行されないコードのエラーも検知してしまう
    エラー検知(裏の顔)
    10

    View Slide

  11. 構造を明らかにする
    ● 利用側と実装を分離できる
    ○ インターフェイスを型として扱うことで、利用する型を保証できる
    ● ドキュメント化しやすい
    ○ シグネチャーの型が正しいことは保証されている
    11

    View Slide

  12. 安全性を高める
    ● 自身が抽象化した操作を保護できる
    ○ 型検査の時点で不整合があるとエラーになる
    ○ たとえば、配列を使っているだけではメモリ破壊を起こさない
    12

    View Slide

  13. 安全性を高める(裏の顔)
    ● 多くの言語では、抜け道が存在する
    ○ たとえば、メモリ操作
    API
    があるとか
    ○ 低レベル
    API
    はそういうのがありがち
    ● 「安全」の定義がまちまち
    ○ 型安全?
    ○ メモリ安全?
    13

    View Slide

  14. プログラムの効率性を高める
    ● 実行時に効率的なバイトコードを生成する
    ○ 静的型付き言語をコンパイルする
    ○ 低レベルで最適化できるので効率が良くなる
    ○ 動的型付き言語でも、
    JIT
    をで型情報を集めてコンパイルしていることも
    14

    View Slide

  15. 型システムがもたらすもの
    ● 安全性と
    (
    実行時の
    )
    効率
    ● ただし、柔軟性とはトレードオフになりがち
    15

    View Slide

  16. 型システムとプログラミング言語
    16

    View Slide

  17. 型システムとプログラミング言語
    17
    ● 静的型付け・動的型付けとは
    ● 静的型付き言語
    ● 動的型付き言語
    ● 両者を比較してみる

    View Slide

  18. 静的型付け・動的型付けとは
    型検査がいつ行われるかの違い
    ● 静的型付けはコンパイル時に型検査が行われている
    ● 動的型付けは実行時に型検査が行われている
    18

    View Slide

  19. 静的型付き言語の特徴
    ● コンパイル時に型が検査されている
    ● コンパイルされたら効率的なバイトコードになる
    ● 型に不整合があるプログラムは実行できない
    ● 型を書く必要がある言語もある
    ○ 昔の
    Java
    とか

    (
    一部
    )
    型を書かなくてもいい言語もある

    Scala
    とか
    ● 型を書くのがデメリットというわけではない
    19

    View Slide

  20. コンパイルされたらどうなるの
    ● コードが直接低レベルな命令に翻訳されている
    ● 一方インタープリターはコードを解釈しながら実行
    型がわかっていれば、翻訳時に最適化が効く。
    =>
    何らかの原因で型検査が入ると効率が悪くなる
    ● キャストやリフレクション
    20

    View Slide

  21. 動的型付き言語の特徴
    ● 型検査は実行時に行われる
    ● 型の不整合は実行時にエラーとなる(こともある)
    ● 型を書ける言語も増えてきた

    PHP
    も型を書けるようになってきましたね
    21

    View Slide

  22. 両者を比較してみる
    ● 型を書くの?書かないの?
    ● 型推論ってあるけど、動的言語と何が違うの?
    ● 静的解析するから、静的型付き言語は不要では?
    ● 結局どっちがいいの?
    22

    View Slide

  23. 型を書くの?書かないの?
    静的型付き言語
    ● 書くし、書かないこともある
    動的型付き言語
    ● 書かないが、書くこともある
    23

    View Slide

  24. 型をアノテーションへのモチベーション
    静的型付き言語
    ● 自明なものは書かないでいいようにしていきたい
    動的型付き言語
    ● 安全のために型を書こう
    24

    View Slide

  25. 型推論ってあるけど、動的言語と何が違うの?
    型推論
    ● 静的型付き言語で、コンパイラが型を推論する
    ● 実行時は型検査のないただの命令に翻訳されている
    動的型付き言語
    ● 実行時まで型が決まっていない
    ● 実行時に型検査をする
    25

    View Slide

  26. 横道:型推論について
    ● 右辺の型を計算し、左辺の型を推論します

    var a = hoge;
    だけではない
    def map(ls, f) = ls match {
    case h::t => f(h) :: map(t, f)
    case Nil => Nil
    }
    ● 上の疑似コードの型が決まるのが型推論のすごさ
    26

    View Slide

  27. 静的解析するから、静的型付き言語は不要では?
    ● 静的型付き言語と比較すると恩恵は限定的
    ● ある程度の恩恵は受けられる
    ○ 静的解析できる範囲では型安全に実装できる
    ○ 実行時の恩恵は受けられない
    =>
    漸進的型付け などと表現される
    27

    View Slide

  28. 結局どうなの
    優劣はない
    その場その場の有利不利はある
    プロダクトのフェーズによっても変わる
    文化によっても変化する
    多分いつまでも優劣はつかない
    ただし、超えられない壁はある(双方ともに)
    28

    View Slide

  29. PHPと型
    29

    View Slide

  30. PHPと型
    ● どういう言語

    PHP
    の型
    ● 漸進的型付けの言語として
    30

    View Slide

  31. PHPってどういう言語
    ● 弱い型付けの動的型付き言語
    ○ ここが柔軟性に聞いてくる
    ● インタープリターで実行される

    Opcache
    はあるけどね
    ● 型に関する改修が最近多いのはご存知の通り
    31

    View Slide

  32. 型システムを強化することへの期待
    ● 型宣言が性能を上げる

    JIT
    で型宣言の情報を使う
    ○ タイプヒンティングをすると性能が悪いのは過去の話
    ■ すでに
    Opcache
    で性能向上に利用されている(と言えなくもない)
    ● 開発のしやすさの向上
    ○ もちろん動的型付き言語のメリットはある程度犠牲になる
    ○ プロダクトの長い成長に耐えるコードベースの基礎ができる
    32

    View Slide

  33. PHPが型を手に入れるべきか
    後方互換性との兼ね合いが心配
    新規開発ならまだいいかも知れない
    言語の進化としても気になるところがある。
    =>
    進化がドラスティックなわりに、根本的な課題
      
    array
    の扱いが難しいなど
    33

    View Slide

  34. ケース1
    設定
    ● 既存システムの開発者
    ● 動的型付き言語として普通に開発されていた
    ● レガシーシステムかもしれない
    ● 開発環境は
    phpStorm
    =>
    型宣言より
    phpDoc
    をまず書く
    34

    View Slide

  35. ケース1
    ● 既存システムに型宣言を書くのは難しい
    ○ 柔軟な運用をしている場合は特に

    PHPDoc
    なら動作を制限しない
    ○ しかし、
    IDE
    の支援は受けることができる
    =>
    ある程度型システムの恩恵を受けられる
    35

    View Slide

  36. ケース2
    設定
    ● スクラッチ開発
    ● 既存コードなんてない
    =>
    型宣言を積極的に使っていく
    36

    View Slide

  37. ケース3
    設定
    ● 既存システム
    ● 型は意識していない
    ● 型宣言されたライブラリを使うことになった
    =>
    オーバーロードする場合は注意
    型を明確にしたい場合は
    DTO
    用意するのも良し
    37

    View Slide

  38. ケースバイケース
    38

    View Slide

  39. 以上
    39

    View Slide

  40. Any Questions?
    40

    View Slide