MN-Core™勉強会: MN-Core Architecture Deep Dive

MN-Core™勉強会: MN-Core Architecture Deep Dive

2024年2月21日にPreferred Networsが開催したMN-Core勉強会のスライドです(発表者: Ryo Sakamoto)

Preferred Networks

February 22, 2024
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  1. 7 深層学習をはじめとするPreferred Networks (PFN)の中核技術は膨大な計算 を要求します PFNでは、多量の計算を効率的に実行するために独自の計算機クラスターを 複数運用しており、現在はMN-2、MN-3が稼働しています MN-3は、PFNが自社開発した深層学習用プロセッサーMN-Coreを初めて用 いた計算機クラスターです MN-Core

    MN-Core Board x 4 CPU Intel Xeon 8260M 2way (48物理core) Memory 384GB DDR4 Storage Class Memory 3TB Intel Optane DC Persistent Memory Network MN-Core DirectConnect(112Gbps) x 2 Mellanox ConnectX-6(100GbE) x 2 On board(10GbE) x 2 MN-3のサーバ1台あたりのスペック(MN-3は、以下サーバが48台で構成) 深層学習用プロセッサーMN-Core 深層学習用に設計したスーパーコンピューター MN-1 MN-2 MN-3
  2. Our MN-3 supercomputer is certified as the world’s most efficient

    supercomputer (Green500 List Nov. 2021). Important effort towards achieving carbon neutral AI datacenter MN-Core Accelerates World’s Most Efficient Supercomputer Deep learning processor MN-Core 8
  3. ͦΕͧΕͷҐஔ͚ͮ͸ʁ MN-Core 第一世代 MN-Core • TSMC 12nm • 500MHz /

    500W Flops GFlops/W 倍精度 32.8 T 66 単精度 131 T 260 半精度 524 T 1000
  4. それぞれの位置づけは︖ MN-Core 2 第二世代 MN-Core • TSMC 7nm • 750MHz

    / 322W Flops GFlops/W 倍精度 12 T 37.24 単精度 49 T 148.9 疑似単精度 98 T 297.9 半精度 393 T 1192
  5. MN-Core シリーズの位置付け MN-Core 実証実験モデル 実際にどういった用途で使えるのか どういったモデルが動くのかを実証 した MN-Core 2 実験

    + 普及モデル MN-Coreを取り回しが良くなるよう に修正・改良。実ワークロードへの 適用を目指す
  6. • Himeno Benchmark ◦ 某アクセラレータ比で 4.7倍の実行性能(19.6倍の実行効率) を達成 Himeno bench on

    MN-Core 某Accelerator MN-Core メモリ帯域 4.8 TB/s 400 GB/s 理論性能 33.5 TFlops 8.2 TFlops 実行性能 1.27 TFlops 5.99 TFlops 実行効率 3.79 % 73.05 %
  7. MN-Core独⾃の設計思想 “Fully-Deterministic Architecture” 1: 高いシリコン利用効率を狙った チップ設計 時間方向および空間方向の両方での資源利用効率を 意識した設計 + 2:

    ソフトウェア最適化を前提とした アーキテクチャ ハードウェア資源をソフトウェアで細粒度制御できるMN- Coreアーキテクチャ 完全に事前スケジューリング可能な深層学習/AIワークロードを前提とした 計算機アーキテクチャの進化 2つの特徴 ソフトウェアから透過的/確定的に動作 ハードウェアを最大限活用
  8. • PE ◦ 実際に演算を担当するコア部分 ◦ ALUでは整数演算を処理可能 ▪ 特殊な命令ではReLUやBlock Float変換など ◦

    PE内 64bit SIMDもある ▪ double: 64x1 ▪ float: 32x2 ▪ half: 16x4 ◦ たくさんのSRAMにより構成されている PE
  9. • MAB(Matrix Arithmetic Block) ◦ 4つのPEと、1つのMAU(Matrix Arithmetic Unit)で構成されて いる。 ◦

    MAUはPEから入力データを受け取り、浮動小数点演算を行 い、PEに戻す。 ◦ MAUは行列演算用の行列レジスタを持っており、行列ベクト ル積で使うための行列を保持する。 ▪ 行列レジスタは2面あるので、行列のdouble-buffering が可能 • MAUでできる演算 ◦ 積和演算 ▪ ベクトル積和(A x B + C) :半精度、単精度、倍精度 ▪ 行列積和(A x 行列レジスタ+ C) :半精度、疑似単精度 、単精度、倍精度 ◦ 行列レジスタ書き込み:半精度、疑似単精度、単精度、倍精度 ◦ 行列レジスタ転置読み出し:半精度、疑似単精度、単精度、倍 精度 MAB
  10. L1B

  11. L2B

  12. • MN-Coreにおける命令とは以下のように定義されている ◦ PE命令 ◦ MAU命令 ◦ L1B 転送命令(L1B <=>

    MAB間転送命令) ◦ L2B 転送命令(L2B <=> L1B間転送命令) ◦ DRAM / PDM 転送命令(DRAM <=> L2B間転送命令) • これらは、すべて同時に発行することができる MN-Coreにおける命令とは︖ PE命令 MAU命令 L1B転送命令 L2B転送命令 DRAM転送命令 Very Long Instruction Word
  13. • PE命令, MAU命令は更に、4サイクルの間、同一命令を実行する ◦ サイクルごとにアドレスをインクリメントする仕組み、または異なるアドレスを 指定する仕組みが存在する ◦ dvadd $lm0v $lr0v

    $ln0v ▪ LM0のアドレス0とGRF0のアドレス0を開始位置として、64bit長単位でアクセスし、読 み込んだ2つの64bit長データに対して倍精度加算を行う。結果を64bit長単位でアクセス し、LM1のアドレス0を開始位置とする場所に書き込む。各アドレスは毎サイクル1ず つインクリメントされる。 ◦ hvmul $lm0v $lr0v $ln0v ▪ LM0のアドレス0とGRF0のアドレス0を開始位置として、64bit長単位でアクセスし、読 み込んだ2つの64bit長データに対して、半精度 * 4と見なして半精度乗算を行う。結果 を64bit長単位でアクセスし、LM1のアドレス0を開始位置とする場所に書き込む。各ア ドレスは毎サイクル1ずつインクリメントされる。 MN-Coreにおける命令実⾏
  14. • 条件分岐は、Maskとして表現できる ◦ 各種SIMD命令によくある、フラグを見て特定のスロットのみ出力するcmp + selectと同様のイメージ ◦ dvadd/0101 $lm0v $lr0v

    $ln0v ▪ LM0のアドレス0とGRF0のアドレス0を開始位置として、64bit長単位でアクセス し、読み込んだ2つの64bit長データに対して倍精度加算を行う。結果を64bit長単 位でアクセスし、LM1のアドレス0を開始位置とする場所に、2サイクル目と4サ イクル目のみ書き込む。各アドレスは毎サイクル1ずつインクリメントされる。 MN-Coreにおける命令実⾏
  15. • Himeno Benchmark ◦ 某アクセラレータ比で 4.7倍の実行性能(19.6倍の実行効率) を達成 Himeno bench on

    MN-Core 某Accelerator MN-Core メモリ帯域 4.8 TB/s 400 GB/s 理論性能 33.5 TFlops 8.2 TFlops 実行性能 1.27 TFlops 5.99 TFlops 実行効率 3.79 % 73.05 %
  16. • どのようにしてHimeno benchmarkを高速化したのか? ◦ Himeno benchmarkはStencil計算のベンチマーク ▪ 計算特性としてメモリ帯域で律速する ▪ 計算の並列化を行うためには袖領域の交換が必要になる

    ▪ ナイーブに実装すると、袖交換にはかなり時間がかかる • これを解決するために… ◦ Near-memory Computing ◦ 演算とデータ転送のオーバーラップ Himeno bench on MN-Core ステンシル計算の高速化のための C++テンプレートによるGPUカーネル生成 https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=142401&file_id=1&file_no=1
  17. • 演算器近傍の高速なメモリの活用こそが、MN-Coreの高速化の鍵 Near-memory Computing MN-Core 2ボード L1 64K x 64

    = 4MB 演算器 384MF x 1024 = 計393TF/s 144MBローカル メモリ L2 1MB x 8 = 8MB DRAM (16GB) SRAM (156MB) GRF0, GRF1: 2KB/unit 1 read 1 write / cycle = 32Byte / cycle LM0, LM1: 16KB/unit 1 read or 1 write / cycle = 16Byte / cycle
  18. • 演算器近傍のメモリが巨大だと、計算にどういった影響がある? ◦ DRAMへのアクセスを緩和することができる ▪ メモリ帯域ネックのアプリケーションの性能を向上させうる可能性があ る ▪ Temporal Blocking

    ◦ DRAMにデータを退避するのではなく、再計算してデータを再構成する ▪ 再計算を用いたMN-Core向けコンパイラの最適化 Near-memory Computing
  19. • ただし、これを行うためには、制約を満たすレジスタ割り付け問題を解く必要が ある 演算とデータ転送のオーバーラップ GRF0, GRF1: 2KB/unit 1 read 1

    write / cycle = 32Byte / cycle LM0, LM1: 16KB/unit 1 read or 1 write / cycle = 16Byte / cycle PE : ladd $lm0 $ln0 $lr0 MAU: dvadd $lm2 $ln2 $lr2 L1B : l1bmp $lb0 $ln16
  20. • ただし、これを行うためには、制約を満たすレジスタ割り付け問題を解く必要が ある 演算とデータ転送のオーバーラップ GRF0, GRF1: 2KB/unit 1 read 1

    write / cycle = 32Byte / cycle LM0, LM1: 16KB/unit 1 read or 1 write / cycle = 16Byte / cycle PE : ladd $lm0 $ln0 $lr0 MAU: dvadd $lm2 $ln2 $lr2 L1B : l1bmp $lb0 $ln16 SRAMのアクセス制約に引っかかっている!
  21. • SRAM割り付けパズル ◦ GRF0, GRF1: 1 read and 1 write

    / cycle ▪ 書き込み後に同一アドレスから読めるようになるまでに2サイクル必要 ◦ LM0, LM1: 1 read or 1 write / cycle ▪ 書き込み後に同一アドレスから読めるようになるまでに2サイクル必要 ◦ T register ▪ 書き込み後に読めるようになるまで1サイクル必要 ◦ Forwarding Path 演算とデータ転送のオーバーラップ
  22. • Himeno Benchmark ◦ 某アクセラレータ比で 4.7倍の実行性能(19.6倍の実行効率) を達成 Himeno bench on

    MN-Core 某Accelerator MN-Core メモリ帯域 4.8 TB/s 400 GB/s 理論性能 33.5 TFlops 8.2 TFlops 実行性能 1.27 TFlops 5.99 TFlops 実行効率 3.79 % 73.05 %
  23. MN-Coreのソフトウェア開発環境 MNGraph L3IR DNN op level, SIMD parallelism strategy, …...

    Global Layout Planner Re- computation Scheduler L2IR ndarray op level, optimized DNN op impl, …... Generic Conv Impl. MNTensor PEVector Reshape Impl. L1IR MN-core op level, memory allocation, scheduling, optimization, …... Layer Impl. Scheduling Graph Instruction Merger ONNX model
  24. • MN-Core Architecture について解説しました。 • MN-Core でHimeno benchmarkが高速に動作することを示しました。 ◦ MN-CoreでのHimeno

    benchmarkの詳細については、また別途どこかで論文等にしま す • MN-Core のソフトウェア開発環境を示しました ◦ ソフトウェア開発環境を開発する人も、MN-Core上のアプリケーションを開発する人 も絶賛募集中です。ぜひ皆様ご一緒しましょう まとめ