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製薬企業R&D領域におけるDXの展望

RIT
June 06, 2022

 製薬企業R&D領域におけるDXの展望

RIT

June 06, 2022
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  1. アジェンダ Agenda 1. 製薬企業のR&Dの課題   1. 製薬企業を取り巻く状況    2. 研究開発の⽣産性 2. 製薬企業のR&D領域におけるDX施策:AI

       . Big Data及びAIの活⽤ 3. 製薬企業のR&D領域におけるDX施策:DTx   1. 事例1:エビリファイ マイサイト(⼤塚製薬)    2. 事例2:CureApp SC(CureApp社)    3. 事例3:Endeavor RX(アキリ社‧塩野義) 4. なぜ製薬企業のR&DはDXが進みにくいのか
  2. 製薬企業のR&D領域におけるDX施策:AI Big Data及びAIの活⽤ R&D内では⼤量のデータがあるものの活⽤できるデータは⼀部に過ぎなかった。AIにより今まで活⽤できなかった⾮構造化データの活⽤ が可能になる。 データ⽣成 データ解析 活⽤ Big Data

    IoT (Internet of Things) ‧エビリファイマイサイト(⼤塚) ‧ウェアラブルデバイス External data ‧遺伝⼦データ ‧研究論⽂ Internal data ‧化合物ライブラリー ‧過去の治験⽂書、研究⽂書 ‧安全性情報 R&D領域のビッグデータ AIによる⾮構造化ビッグデータの解析 AIの活⽤例 候補化合物の探索 Drug repositioning 有害事象報告 個別化医療 ⾮構造化データは、今まで解析不能であったがAIによ りR&D内の⾮構造化ビッグデータも解析可能になる
  3. 製薬企業のR&D領域におけるDX施策:DTx DTx(Digital Therapeutics) DTx ‧近年薬を使わない治療⽅法としてデジタル治療(Digital Therapeutics: DTx)が注⽬され ている ‧従来のデジタルヘルスとの違いは、FDA等の医薬品規制当局の承認を受けているかどうか という点が主 ‧DTxの市場規模は*2025年には69億ドルに到達と予想されており、成⻑市場である

    ‧⽇本は昨年末に最初の承認(CureApp SC)を出したものの⽶国に⽐べ遅れている ‧技術のあるスタートアップ企業でも挑戦できるが、医薬品、医療機器の承認ノウハウがな いため製薬企業、医療機器メーカーと提携することで⽇本型DTxを推進することが可能 *https://www.marketsandmarkets.com/Market-Reports/digital-therapeutics-market- .html
  4. 製薬企業のR&D領域におけるDX施策:DTx 事例3:Endeavor RX(アキリ社‧塩野義) 課題 ‧アメリカでは現在,6歳から11歳まで約400万⼈のADHD患者がいる ‧ADHDの患者には年齢に⾒合わない「不注意さ」、好きなこと以外に対する集中⼒がなく ほとんど関⼼や興味を⽰さない「多動性」、思いついたことをよく考えずに即座に⾏動に移 してしまう「衝動性」が⾒られる ‧ADHDのような発達障害に対する⼩児への投薬は不安に思う親が多い ‧FDAは注意⽋陥‧多動性障害(ADHD)の治療を⽬的としたゲームを初めて承認した。

    Endeavor RXはADHDと診断された8〜12歳児向けのゲームで、医師の処⽅箋によって販売さ れる。 ‧⼦供たちがホバーボードの⼀種に乗ったアニメ⾵のキャラクターを操作することにより、 感覚刺激と運動の課題を通じて神経系の活性化と認知機能の向上を狙っている。 ‧⽇本では塩野義製薬がアキリ社と提携し、独占的開発権‧販売権を取得しており、現在治 験を実施中である。
  5. なぜ製薬企業のR&DはDXが進みにくいのか レギュレーションの厳格さに起因した様々なリスクがあるため、現⾏のプロセスを踏襲する傾向が強く、またDXやスタートアップ 企業 との協業がPOCの段階から先に進まないケースが多い。 要件定義 設計 開発 運⽤ 厚労省やFDAなどのITに関する規制要件 厚⽣労働省の省令(GxPやER/ES指針等)のみならず、FDA

    Part 等を始めとする海外の規制要件に準拠する必要があり、さらに 各社のITに関するコーポレートポリシーに従った開発が求められ、通常の開発案件と⽐較するとリスクや負荷が⾼い。 ベンダー選定リスク データ移⾏リスク プロセス変更リスク スタートアップやベンチャー企業 には製薬関連の規制に従った開発 経験が乏しいケースが多く、開発 スキルやナレッジがあってもリス ク⾯から採⽤されないケースも多 い。 治験関連データはシステムがリタ イアした後も⻑期間の保管が法的 に求められる。データインテグリ ティの観点から旧システムのベン ダーをそのまま採⽤したりするケ ースもあり変⾰が進みにくい。 プロセスの変更は法規制に抵触す るリスクもあり、⼤幅な変⾰が受 け⼊れにくい⼟壌になっている。 グローバルとのシステム統合など においてはチェンジマネジメント が重要成功要因となる。
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