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移行できそうでやりきれなかった 10年超えのシステムを葬るための戦略

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March 22, 2025

移行できそうでやりきれなかった 10年超えのシステムを葬るための戦略

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March 22, 2025
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  1. • 2020年 ◦ 新卒でCARTA HOLDINGSに⼊社 ◦ ポイントメディアを扱うDIGITALIOに配属 • 2023年 ◦

    アドテクノロジーを扱うfluctに異動 ◦ 広告配信の設定などを⾏う管理画⾯の開発‧保守をしている 略歴 株式会社fluct 所属 ⽯河 ⻯太 fluct メディア 広告配信をする プラットフォームを提供 fluct経由で広告を表示 fluctのプロダクトの簡単な説明
  2. 10年超えの管理画面のCodeIgniter.php /** * CodeIgniter * * An open source application

    development framework for PHP 4.3.2 or newer * * @package CodeIgniter * @author ExpressionEngine Dev Team * @copyright Copyright (c) 2008 - 2010, EllisLab, Inc. * @license http://codeigniter.com/user_guide/license.html * @link http://codeigniter.com * @since Version 1.0 * @filesource */ // CI Version /** @noinspection PhpUnused */ const CI_VERSION = '1.7.3';
  3. 10年超えの管理画面のCodeIgniter.php /** * CodeIgniter * * An open source application

    development framework for PHP 4.3.2 or newer * * @package CodeIgniter * @author ExpressionEngine Dev Team * @copyright Copyright (c) 2008 - 2010, EllisLab, Inc. * @license http://codeigniter.com/user_guide/license.html * @link http://codeigniter.com * @since Version 1.0 * @filesource */ // CI Version /** @noinspection PhpUnused */ const CI_VERSION = '1.7.3'; 2003年リリース 2010年リリース バージョン 1系... 最新は4.6.0 (2025/03時点)
  4. 01. どうしてこうなった どうして管理画⾯が3つもあるのか 旧管理画面 現社内向け管理画面 現社外向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ 2023年

    バックエンド PHP + CodeIgniter PHP + Slim Go フロントエンド twig React Next.js 補足: 社外向け = メディア向け。広告がどれくらい表示、クリック、収益があったかのレポートを見たり、配信に関する設定ができる。 冒頭のCodeIgniter 1.7.3の 管理画面 あとから生まれた管理画面
  5. DB 旧管理画面 現社内向け 管理画面 現社外向け 管理画面 PHP8.1 コンテナ Go コンテナ

    PHPはコンテナ共通 全部同じ DBを 見ている 01. どうしてこうなった どうして管理画⾯が3つもあるのか
  6. 01. どうしてこうなった 創⽴当初管理画⾯は1つだった(2008〜) 旧管理画面 作られた時期 2008年ごろ バックエンド PHP + CodeIgniter

    フロントエンド twig 社内も社外も この画面で操作していた 旧管理画面が 生まれた
  7. 01. どうしてこうなった 会社をまたいだ操作がしたくなった(2014ごろ) サイト1 サイト一覧 サイト2 サイト3 サイト4 サイト1 A社

    サイト2 サイト3 B社 サイト4 fluctに登録されている全てのサイトを 一覧したいというニーズが登場
  8. 01. どうしてこうなった 社内管理画⾯が⽣まれた(2014〜) 旧管理画面 現社内向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ バックエンド PHP

    + CodeIgniter PHP + Slim フロントエンド twig React 社内のオペレーションは 「基本的に」ここで 行われるようになった 現社内向け管理画面が 生まれた 現社内向け管理画面が 生まれた
  9. 01. どうしてこうなった 社内管理画⾯が⽣まれた(2014〜) 旧管理画面 現社内向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ バックエンド PHP

    + CodeIgniter PHP + Slim フロントエンド twig React 社内のオペレーションは 「基本的に」ここで 行われるようになった 一部の社内向け機能が 旧管理画面にまだある 社外ユーザ → 旧管理画面 社内ユーザ → 旧管理画面 + 現社内向け管理画面 現社内向け管理画面が 生まれた
  10. 01. どうしてこうなった 旧管理画⾯の限界がきた(2022年ごろ) 旧管理画面 現社内向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ バックエンド PHP

    + CodeIgniter PHP + Slim フロントエンド twig React 旧管理画面が見づらい 多言語対応など新しく やりたいことが増えてきた
  11. 01. どうしてこうなった 旧管理画⾯の限界がきた(2022年ごろ) 旧管理画面 現社内向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ バックエンド PHP

    + CodeIgniter PHP + Slim フロントエンド twig React 旧管理画面が見づらい アーキテクチャ 古すぎて辛い 多言語対応など新しく やりたいことが増えてきた
  12. 01. どうしてこうなった 社外向け管理画⾯が⽣まれた(2023〜) 旧管理画面 現社内向け管理画面 現社外向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ 2023年

    バックエンド PHP + CodeIgniter PHP + Slim Go フロントエンド twig React Next.js 社外のオペレーションは 「基本的に」ここで 行われるようになった
  13. 01. どうしてこうなった 社外向け管理画⾯が⽣まれた(2023〜) 旧管理画面 現社内向け管理画面 現社外向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ 2023年

    バックエンド PHP + CodeIgniter PHP + Slim Go フロントエンド twig React Next.js 一部の社外向け機能も 旧管理画面にまだある 社外のオペレーションは 「基本的に」ここで 行われるようになった 社外ユーザ → 旧管理画面 + 現社外向け管理画面 社内ユーザ → 旧管理画面 + 現社内向け管理画面
  14. 01. どうしてこうなった 管理画⾯が3つになってしまった 旧管理画面 現社内向け管理画面 現社外向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ 2023年

    バックエンド PHP + CodeIgniter PHP + Slim Go フロントエンド twig React Next.js 社内、社外向けの機能が残っていため 使わざる得ない 本来はこの 2つで十分なはず
  15. 広告設定を更新する処理 // 旧管理画面の処理(配信される) $result = $this->oldRepository->update( $id, $name, $url, 1,

    ); // 現社内向け管理画面の処理(配信されない) $result = $this->newRepository->update( $id, $name, $url, null, ); • 本来値が入ってあるべきところに社内向け管理画面はnullになっていた • 広告配信に必須なパラメータだったため、配信ができなくなっていた こっちは 1 こっちは null
  16. 01. どうしてこうなった 旧管理画⾯を葬りたい 旧管理画面 現社内向け管理画面 現社外向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ 2023年

    バックエンド PHP + CodeIgniter PHP + Slim Go フロントエンド twig React Next.js 旧管理画面の機能をあるべきところに移して 旧管理画面を葬りたい
  17. • 難易度が高い ◦ 旧管理画面のコードを読み解いて移植するのが大変 • そもそも、問題が山積みでその対応に時間がかかっていた ◦ CodeIgniter 1.7.2をベースにしているのでセキュリティの問題があり 本家のセキュリティパッチの取り込み

    ◦ オンプレからクラウドへの移行 ◦ 認証認可の仕組みの整備 ◦ テンプレートエンジンをクライアントとAPIに分離 01. どうしてこうなった なんで葬れなかったんだっけ? 志半ばでプロジェクトが終わっていた
  18. • 去年の10月くらいから計画が始まり12月から本格着手 ◦ 基本的には私を含めて2人で進めていた • 着手時点で旧管理画面に33の機能が残っていた • 2024/12 から 2025/03

    の間に私は 33,364行 追加して 32,688行 葬っていた 02. 旧管理画面を葬った 旧管理画⾯を葬れそう 補足: 自動生成と思われるコードをざっくり省いたら追加 29,624、削除18,866だった。 旧管理画面 現社内向け管理画面 現社外向け管理画面 作られた時期 2008年ごろ 2014年ごろ 2023年 バックエンド PHP + CodeIgniter PHP + Slim Go フロントエンド twig React Next.js
  19. • 実行した戦略 ◦ 計画を立てる ▪ スケジュールを決める ▪ WBSを作る ◦ 対話をする

    ▪ 運用者と開発者双方と対話をする ◦ デバッグ環境を整える • どういう課題があったのか、なにをしたか、どうだったかを話していく 03. 実行した戦略と振り返り 実⾏した戦略と振り返り
  20. 03. 実行した戦略と振り返り 締め切りを作った • 時間の荒ぶりを抑えることができた • 次はスコープが立ちはだかってくる 荒ぶる四天王[1] [1] JonathanRasmusson

    ; 西村直人; 角谷信太郎. アジャイルサムライ――達人開発者への道 (p.136). オーム社. Kindle 版. 抑えることができた 立ちはだかってくる
  21. • みんなが困っていた ◦ 運用コストも高いし、決まった担当者はもういない ◦ 現管理画面への移行コストも高い • その機能を適切な状態にしたかった ◦ また力を入れると決めて、担当者を決めて、移行をする

    ◦ もう力を入れないと決めて、機能自体を停止して、移行をしない 03. 実行した戦略と振り返り 課題感 ビジネスフローを見直す必要があり、自分だけでは決められなかった
  22. • ビジネスフローを変える判断ができるステークホルダーを巻き込んで    対話をした • 葬りたい旨を最初にステークホルダーに伝えた ◦ 「使います?」だと「使います」と回答されてしまいがち ◦ 「葬りたいです」とコミュニケーションをスタートした •

    集めた事実に加えて機能の代替案を用意した ◦ どうしてもやりたくなったら                    コストはかかるが同等のことはできる状況は残した 03. 実行した戦略と振り返り ステークホルダーを巻き込んだ
  23. • 塩漬けされていた旧管理画面の処理を愚直に追うのはつらすぎる ◦ テストコードから処理を逆算しようにもテストコードがない ◦ fatなController ◦ テンプレートエンジンなのも相まって、時代を感じるソースコード • 大事な機能が残っているので実装漏れを起こしたら一大事

    03. 実行した戦略と振り返り 課題感 どんな処理をしているかを 知りたいだけなのに … 補足: Controllerに直接SQLが書かれていたりもした。社外、社内共用の管理画面だったので権限の分岐もたくさんあった。
  24. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた • サービスやアプリケーションのテレメトリデータを計装、生成、収集、 送信するためのオブザーバビリティフレームワーク ◦ テレメトリデータ = トレース、メトリクス、ログなど

    • 受信して、加工して、送信するものなので、単体ではテレメトリデータを  可 視化できない • トレースを収集して、Webベースの分析UIを提供するOSS 補足: OTel+Jaegerの詳しい説明と導入は https://blog.shin1x1.com/entry/php-opentelemetry-primer が参考になりました
  25. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた PHPアプリケーション ② APIが呼ばれる ⑤ テレメトリデータの送信 ④ テレメトリーデータの送

    信 ③ テレメトリデータを 生成 ① 管理画面で操作 ⑥ テレメトリーデータをブラ ウザで確認 ① 管理画面で操作
  26. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた PHPアプリケーション ② APIが呼ばれる ⑤ テレメトリデータの送信 ④ テレメトリーデータの送

    信 ③ テレメトリデータを 生成 ① 管理画面で操作 ⑥ テレメトリーデータをブラ ウザで確認 ② APIが呼ばれる
  27. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた PHPアプリケーション ② APIが呼ばれる ⑤ テレメトリデータの送信 ④ テレメトリーデータの送

    信 ③ テレメトリデータを 生成 ① 管理画面で操作 ⑥ テレメトリーデータをブラ ウザで確認 ③ テレメトリデータを 生成
  28. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた PHPアプリケーション ② APIが呼ばれる ⑤ テレメトリデータの送信 ④ テレメトリーデータの送

    信 ③ テレメトリデータを 生成 ① 管理画面で操作 ⑥ テレメトリーデータをブラ ウザで確認 ④ テレメトリーデータの送 信
  29. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた PHPアプリケーション ② APIが呼ばれる ⑤ テレメトリデータの送信 ④ テレメトリーデータの送

    信 ③ テレメトリデータを 生成 ① 管理画面で操作 ⑥ テレメトリーデータをブラ ウザで確認 ⑤ テレメトリデータの送信
  30. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた PHPアプリケーション ② APIが呼ばれる ⑤ テレメトリデータの送信 ④ テレメトリーデータの送

    信 ③ テレメトリデータを 生成 ① 管理画面で操作 ⑥ テレメトリーデータをブラ ウザで確認 ⑥ テレメトリーデータをブラ ウザで確認
  31. 03. 実行した戦略と振り返り デバッグ環境を整えた(余談) PHPアプリケーション ② APIが呼ばれる ⑤ テレメトリデータの送信 ④ テレメトリーデータの送

    信 ③ テレメトリデータを 生成 ① 管理画面で操作 ⑥ テレメトリーデータを DATADOGで確認 最後のテレメトリーデータを扱う部分は 任意の分析ツールに置き換えることもできる
  32. • 葬るのは難しい ◦ 直接的なお金にならない ◦ 本当に葬って良いんだっけ? ◦ KIAIでやっていくしかない • 今、移行しきれなかったプロジェクトを持っている人たち

    ◦ 葬りプロジェクトを立ち上げて頑張ってほしい 04. 最後に 最後に 補足: KIAI(気合)はCARTAの社内用語(?)。気持ちをいれるときに単語を UPPERで表現をする。類義語 : YARUKI。
  33. • どうしてこうなった ◦ fluctは歴史的経緯で管理画面が3つになった ◦ 一番古い管理画面は10年以上まえに作られたもので、その管理画面を葬りたかった • 戦略を立てて旧管理画面葬った ◦ 計画を立てる

    ▪ 締め切りを作る ▪ WBSを作る ◦ 開発者と運用者双方と対話をする ◦ デバッグ環境を整える ▪ OpenTelemetry + Jaegerを導入 移行できそうでやりきれなかった 10年超えのシステムを葬るための戦略 まとめ