Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
とあるエラーの調査記録
Search
Satoshi Kaneyasu
August 27, 2023
Programming
0
370
とあるエラーの調査記録
Satoshi Kaneyasu
August 27, 2023
Tweet
Share
More Decks by Satoshi Kaneyasu
See All by Satoshi Kaneyasu
【PHP】破壊的バージョンアップと戦った話〜決断と説得
satoshi256kbyte
0
110
今更聞けないセキュリティ用語の基礎知識 2025新春
satoshi256kbyte
0
94
AWS re:Invent 2024個人的まとめ
satoshi256kbyte
0
150
今年一番支援させていただいたのは認証系サービスでした
satoshi256kbyte
1
290
おもにクラウドの話してます#4 OPスライド
satoshi256kbyte
0
57
AWS認定資格を勉強した先に何があったか
satoshi256kbyte
2
260
Amazon Aurora Serverless v2のアプデと、Amazon Aurora PostgreSQL Limitless DatabaseのGAについて
satoshi256kbyte
0
160
GitHub Actionsのキャッシュと手を挙げることの大切さとそれに必要なこと
satoshi256kbyte
5
470
Amazon Neptuneで始めてみるグラフDB-OpenSearchによるグラフの全文検索-
satoshi256kbyte
4
520
Other Decks in Programming
See All in Programming
ゼロからの、レトロゲームエンジンの作り方
tokujiros
3
1.2k
チームの立て直し施策をGoogleの 『効果的なチーム』と見比べてみた
maroon8021
0
320
Amazon Nova Reelの可能性
hideg
0
270
Pulsar2 を雰囲気で使ってみよう
anoken
0
140
ISUCON14公式反省会LT: 社内ISUCONの話
astj
PRO
0
150
Amazon Bedrock Multi Agentsを試してきた
tm2
1
260
SpringBoot3.4の構造化ログ #kanjava
irof
2
830
さいきょうのレイヤードアーキテクチャについて考えてみた
yahiru
2
610
AWSマネコンに複数のアカウントで入れるようになりました
yuhta28
2
150
Pythonでもちょっとリッチな見た目のアプリを設計してみる
ueponx
1
270
社内フレームワークとその依存性解決 / in-house framework and its dependency management
vvakame
1
510
traP の部内 ISUCON とそれを支えるポータル / PISCON Portal
ikura_hamu
0
240
Featured
See All Featured
The Myth of the Modular Monolith - Day 2 Keynote - Rails World 2024
eileencodes
20
2.4k
Build The Right Thing And Hit Your Dates
maggiecrowley
34
2.5k
Templates, Plugins, & Blocks: Oh My! Creating the theme that thinks of everything
marktimemedia
29
2.2k
Distributed Sagas: A Protocol for Coordinating Microservices
caitiem20
330
21k
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
365
25k
BBQ
matthewcrist
86
9.4k
KATA
mclloyd
29
14k
GraphQLとの向き合い方2022年版
quramy
44
13k
Java REST API Framework Comparison - PWX 2021
mraible
28
8.4k
Understanding Cognitive Biases in Performance Measurement
bluesmoon
27
1.5k
How to Ace a Technical Interview
jacobian
276
23k
Practical Tips for Bootstrapping Information Extraction Pipelines
honnibal
PRO
11
900
Transcript
とあるエラーの調査記録 2022.08.30 SATOSHI KANEYASU
はじめに • とあるプロジェクトにおける結合テストで起きたエラーの、 原因調査記録です • エラー調査の仕⽅は習ったことはありません、全て独学です • このことはあまり⼈に話す機会がないので、 今回テーマにしてみました。
⾃⼰紹介 • ⽒名︓兼安 聡 • 所属︓株式会社サーバーワークス • 趣味︓サックス、筋トレ、CS ゲーム •
資格︓ • X(Twitter)︓@satoshi256kbyte など
• 調査対象のエラーが発⽣したシステム • フロントエンド︓ jQuery(古い実装です) • バックエンド︓Amazon Linux、Apache、PHP(フレームワーク使⽤)、MySQL • 結合テスト中に⾒つかったエラーで、チケットで連絡が来たとします
• 画⾯上でとある操作をすると、予期せぬエラーが出たとします • エラーの最終的な原因は、意図せず⼤量データを取得した故の、 メモリ不⾜エラーとします • 複数の事象を混ぜた話なので、多少⽭盾があるかもしれません。 調査対象の条件
エラー調査とは、少しずつ範囲を狭めること こっちではエラー起きない まだわからない エラー起きない 調査済 まだわからない この辺り? 調査済 何も出てない エラー起きない
①エラーを再現する • 画⾯を操作して、現象が再現できることを確認 • ブラウザの開発ツールを確認 • Consoleタブで、JavaScriptエラーがないことを確認 • Networkタブで、エラーになっている通信があることを確認 •
この時点で、フロント側の問題ではないと推測 • エラーの通信を調べ、URL・リクエスト内容・レスポンス内容を確認 • レスポンス内容から、詳細不明だがやはりエラーを返してることを確認 • URLからPHP側のファイル・クラス・メソッドを⼤体特定 • リクエスト内容は控えておく
②WEBサーバーを調べる • フロント側の問題ではないとの判断から、サーバーの⽅を調査 • PHPのフレームワークのログに、 これといったログがないことを確認 • Apacheのログにて何かエラーが起きてることだけは確認 • OS・
PHP-FPMのログには特に何も⾒つからず • PHPのフレームワークのログをもう⼀度確認すると、 ログが途中で⽌まってるように⾒えることを確認 • この時点でチケットにここまでの調査内容を記⼊して周知 • ここまでで約1時間
[補⾜]RedHat系のログ出⼒先 • Apacheのログ︓/var/log/httpd配下 • PHP-FPMのログ︓/var/log/php-fpm配下 • OSのログ(システムログ)︓/var/log/message配下
③DBサーバーを調べる • ログが途中で⽌まってるように⾒えることから、 DBサーバー側の調査を開始(理由は次ページ) • 画⾯で現象を再現させ、その間のDBサーバーの挙動を確認 • SHOW PROCESSLIST コマンドで実⾏中SQLを確認
• DBサーバーのCPU・メモリなどを監視 • 監視結果から、⾮常に重たいSQLが⾛って完了してないことを確認 • おそらくSQLが終わらないことにより、処理がそこから進んでない、 それによりタイムアウトエラーが発⽣していると推測 • この時点で、ここまでの調査結果をチケットに記⼊して周知 • ここまでで約1時間半
[補⾜] DBサーバー側の調査を開始した理由 • SQLのログは、SQLが実⾏完了してから出⼒されることが多い。 • 従って、ログにSQLが出ていない=まだ実⾏中のSQLがある可能性が ⾼い • SQLは通るが、PHPが処理しきれてないのならば、PHP-FPMあたり に何かエラーが出るはずである
• なお、実⾏完了して初めてログが出るのはApacheのアクセスログも 同様で結構重要なこと
④重いSQLを発⾏している箇所の特定 • SHOW PROCESSLISTを使って控えたSQL、途中で⽌まったログか ら、ソースコード上のあたりをつける • 複雑でソースがさっと追いきれないので、あたりをつけた直前の⾏に ⼀時的にthrow new Exception();を⼊れる
• エラーが発⽣する操作を⾏うと、スタックトレースが出⼒されるので、 あたりは正解だと確信 • 最初に控えたURL・リクエスト内容から、⼊り⼝からソースを追い、 上記スタックトレースと付き合わせ特定した箇所が間違いないことを 確認
⑤修正案の作成 • 取り急ぎSQLのチューニングは決まり • SQLのチューニングしても、今度はPHPでエラーになる可能性がある ので、PHPの修正も視野に⼊れる 具体的には、⼀気にデータを受け取るのでなく、カーソルを使⽤する など • 上記修正に伴い、リグレッションテストが発⽣すると想定
• 以上をまとめてチケットに記⼊し、⼀旦調査完了とする 修正内容の具体的な設計は後⽇⾏う • ここまでで約2時間
⑥重いSQLの調査 • 後⽇調査再開 • 重いSQLが実際に返す件数、実⾏計画、メモリなどの動きを観察 • その結果、実⾏計画がよくない+件数が多すぎる+1レコードのデー タサイズが⼤きい、の合わせ技でメモリを⼤量消費していることが判 明 •
この部分のロジックを⾒直すことを提案。 • リスクもそれなりにあるので、どのように対応するか協議中。 以上。
[補⾜] エラーを共有する場合 • エラーメッセージ、エラーログ、スタックトレースの共有は、 ハードコピーも嬉しいが、テキストの⽅がより嬉しい • 理由は、エラーを検索したり、それを元にGREPしたりするから • ハードコピーだとそれらが⼿⼊⼒になる、エラー対応で余裕がない時 は、些細な⼿間で苦しくなってしまう
以上です。ありがとうございました。