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仕様駆動開発を実現する上流工程におけるAIエージェント活用

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October 30, 2025

 仕様駆動開発を実現する上流工程におけるAIエージェント活用

AI駆動開発カンファレンス 2025秋の登壇資料となります。

https://aid.connpass.com/event/367697/

登壇用資料のため、一部ハイコンテキストな内容や厳密性を欠いた表現がございます。

あらかじめご了承ください。

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October 30, 2025
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Transcript

  1. © 2025 Algomatic Inc. 4 AIコーディング‧Vibe Codingとは AIが解釈 雰囲気=VibeをAIに伝え、対話を通じてコードを生成していく Vibe

    Codingが話題に ⽇程調整アプリを作りたい 作りたいアプリの 雰囲気や直感を伝える コード⽣成 AI
  2. © 2025 Algomatic Inc. 6 開発サイクルとAIコーディング 要件定義 基本設計 詳細設計 総合テスト

    結合テスト 単体テスト 開発 AIコーディングは開発サイクルの中で主に「開発」部分に主眼が置かれている
  3. © 2025 Algomatic Inc. 9 AIコーディングの課題: 出⼒制御の困難とナレッジ管理の⽋如 ソースコード 想定外の挙動が見られる 出⼒制御の困難

    ••機能を 追加して 都合上△△機能を 消し、••機能を 追加しました。 …。△△機能を元に 戻して。 在庫検索アプリを作 りたい わかりました。要件は ••でいいですか? 要件に••も追加して ください。 ソースコード 仕様策定の経緯をドキュメントに残せない ナレッジ管理の⽋如
  4. © 2025 Algomatic Inc. 10 AIコーディングの課題まとめ 複雑な開発への 対応の限界 出⼒制御の 困難

    ナレッジ管理の ⽋如 既存のAIコーディングには課題が残っている
  5. © 2025 Algomatic Inc. 12 AIコーディングの課題への対処可否想定(2025年10⽉) 複雑な開発への 対応の限界 出⼒制御の 困難

    ナレッジ管理の ⽋如 コンテキスト エンジニアリング 責務分割 (ex. Sub agents) テスト駆動開発 仕様駆動開発 モデル改良 ◦ △ ◦:対応可能, △: ⼀部対応可能, ×:対応困難, ◦の中で差あり × ◦ △ × × ◦ ◦ △ ◦ ◦ ◦ △ ◦ 改善⽅針
  6. © 2025 Algomatic Inc. 14 今回の主題: 仕様駆動開発 複雑な開発への 対応の限界 出⼒制御の

    困難 ナレッジ管理の ⽋如 改善⽅針 ◦:対応可能, △: ⼀部対応可能, ×:対応困難, ◦の中で差あり コンテキスト エンジニアリング 責務分割 (ex. Sub agents) テスト駆動開発 仕様駆動開発 モデル改良 ◦ △ × ◦ △ × × ◦ ◦ △ ◦ ◦ ◦ △ ◦
  7. © 2025 Algomatic Inc. 15 仕様駆動開発とは 仕様駆動開発 一般的なAIコーディング 仕様書 (設計書)

    在庫検索アプリを作 りたい わかりました。要件は ••でいいですか? 要件に••も追加して ください。 ソースコード 記述‧ 修正 ソースコード 仕様策定の経緯をドキュメントに残せない 仕様書を中間成果物の形で残すことが可能 記述‧ 修正
  8. © 2025 Algomatic Inc. 17 仕様駆動開発ツール: 例 Kiro • アプリケーションの作成におい

    て、構想段階(要件定義の⼀部)から 仕様駆動開発で進めることができ る • ⼀定提案ベース‧素案ベースで動 いてくれる • EARS形式など適切なフレームワー クを採⽤している  など 特徴
  9. © 2025 Algomatic Inc. 18 (再掲): AIコーディングの課題に対する対処 開発の工夫に加えて、開発から上流方向 ,下流方向に影響範囲を伸ばすことで AIコーディングの課題に対処

    コンテキストエンジニアリング、責務分離 仕様駆動開発, テスト駆動開発 仕様駆動開発, テスト駆動開発 要件定義 基本設計 詳細設計 総合テスト 結合テスト 単体テスト 開発
  10. © 2025 Algomatic Inc. 19 開発サイクルにおける既存AI駆動ツール群における課題 実務レベルの要件定義は膨 ⼤かつ難易度が⾼いため、 既存の仕組みやツールで解 決することは難しい。

    基幹システムとの接続や機 密データへの取り扱いなど セキュリティ‧ガバナンス 観点で難しい。 開発サイクルにおける上流工程、下流工程において対処しきれていない領域がある 要件定義 基本設計 詳細設計 総合テスト 結合テスト 単体テスト 開発
  11. © 2025 Algomatic Inc. 21 開発サイクルにおいて影響度が⾼い部分 要求定義 受⼊テスト 基本設計 詳細設計

    総合テスト 結合テスト 単体テスト 開発 要求定義、要件定義の工程は開発成果物に直結するため影響度が高い 要求定義の影響 要求定義の影響 要件定義 要望: やりたいこと 要求: やるべきこと 要件: やること
  12. © 2025 Algomatic Inc. 22 既存領域と影響度が⾼い領域の⽐較 要求定義 受⼊テスト 要件定義 基本設計

    詳細設計 総合テスト 結合テスト 単体テスト 開発 開発サイクルで影響度が⾼い領域 AI駆動開発ツールでの対象領域 要件定義 基本設計 詳細設計 総合テスト 結合テスト 単体テスト 開発 要求定義 受⼊テスト AI駆動開発ツールでの対象領域と、開発サイクルで影響度が高い領域には ギャップがあるといえる
  13. © 2025 Algomatic Inc. 24 本登壇内容の⽅針 As-Is 要件定義 基本設計 詳細設計

    総合テスト 結合テスト 単体テスト 開発 要求定義 受⼊テスト To-Be 要件定義 基本設計 詳細設計 総合テスト 結合テスト 単体テスト 開発 要求定義 受⼊テスト 仕様駆動開発において、上流工程に対象領域を広げる
  14. © 2025 Algomatic Inc. 25 上流⼯程の業務 要望の⾔語化‧掬い上げ ステークホルダー間の 合意形成 曖昧性‧不確実性の吸収

    抜け漏れない要件整理 ドキュメント作成‧更新 スコープ‧優先順位の線引き + 制約 (期間, リソース) 独⾃性 上流⼯程の業務(抜粋) プロジェクトの特徴
  15. © 2025 Algomatic Inc. 26 上流⼯程の業務とコンテキスト 要望の⾔語化‧掬い上げ ステークホルダー間の 合意形成 曖昧性‧不確実性の吸収

    抜け漏れない要件整理 ドキュメント作成‧更新 スコープ‧優先順位の線引き + 制約 (期間, リソース) 独⾃性 上流⼯程の業務(抜粋) プロジェクトの特徴 上流工程の業務では特に多くの情報 (コンテキスト )を適切に扱う必要がある
  16. © 2025 Algomatic Inc. 27 仕様駆動開発におけるAIエージェント及びデータに関するフロー セッション 蓄積 活⽤ 各種

    ツール 等 セッション イベント: 短期記憶の基本単位での応答結果 セッション: ユーザとエージェントの⼀連のやりとり メモリ: 永続化されたデータ イベント イベント イベント メモリ 仕様書 メモリ 仕様書
  17. © 2025 Algomatic Inc. 28 仕様駆動開発におけるAIエージェント及びデータに関するフロー メモリ セッション 蓄積 活⽤

    各種 ツール 等 セッション イベント イベント イベント メモリ 仕様書 仕様書 ①コンテキスト②メモリの蓄積③期待する出力の設定などの全体設計が肝となる
  18. © 2025 Algomatic Inc. 29 コンテキスト設計におけるポイント 多様性に富んだ質の高い (≒具体的な )コンテキストを入れると良い (Rishabh

    Agarwal et al., 2025) https://manus.im/ja/blog/Context-Engineering-for-AI-Agents-Lessons-from-Building-Manus 多様性を持たせる コンテキスト Many-Shot ICL:⼤量の例(Shot)をプロンプトに⼊れる⼿法
  19. © 2025 Algomatic Inc. 30 メモリの蓄積におけるポイント メモリ (ex.仕様書) 読解‧解釈可能 プログラムを再現可能

    より抽象的 より具体的 ⼈ AI 人が解釈できる &AIが再現可能な粒度で作成する必要がある
  20. © 2025 Algomatic Inc. 31 コンテキスト充⾜化: WhatだけではなくWhy, Why notを⼊れる What:

    ホテルの残室数検索条件に '空室数 > 3' のフィ ルタを追加 Whatのみ What: ホテルの残室数検索条件に '空室数 > 3' のフィ ルタを追加。 Why: 在庫が1〜2室しかないプランは、ユーザーが予 約ボタンを押してから確定までの間に埋まることが多 く、「検索したのに予約できない」状態が頻発してい た検索結果の信頼性とUXを⾼める⽬的。 Why not: 単に在庫ゼロを除外するだけでは「在庫1〜 2室」という不安定なプランが残り、ユーザーが選択し た直後に「満室です」とエラーになるケースが減らな かった。 What + Why,Why not Why, Why notを入れることで背景、前提、仕様が明らかになるため コンテキストを充足させやすく、上流工程の業務がスムーズに実施
  21. © 2025 Algomatic Inc. 32 コンテキスト充⾜化のためのエージェント設計 パターン2: 過去類似情報利活⽤型 パターン1: 質問型

    なぜその優先度にした んですか?(Why) なぜ別の⼿法を取らな かったんですか? (Why not) 聞くことリスト.md • Whyを聞く • Why notを聞く メモリ 過去類似 案件情報 仕様書 過去A案件と状況が同⼀の ため仕様書をアップデート しました。 確認してください。
  22. © 2025 Algomatic Inc. 33 上流⼯程の業務とコミュニケーション 要望の⾔語化‧掬い上げ ステークホルダー間の 合意形成 曖昧性‧不確実性の吸収

    抜け漏れない要件整理 ドキュメント作成‧更新 スコープ‧優先順位の線引き + 制約 (期間, リソース) 独⾃性 上流⼯程の業務(抜粋) プロジェクトの特徴 上流工程の業務ではコミュニケーション・認識合わせが必要な業務が多い
  23. © 2025 Algomatic Inc. 34 コミュニケーション⾼速化のためのエージェント設計 画⾯遷移図作成 Sub Agent 画⾯モック作成

    Sub Agent マルチエージェントな仕組みでコミュニケーション・認識合わせを加速 XX機能を画⾯に追加す る案はどうだろう?
  24. © 2025 Algomatic Inc. 35 上流⼯程におけるAIエージェント活⽤まとめ それぞれの目的によって柔軟に AIエージェントを設計し活用することが重要 なぜその優先度にした んですか?(Why)

    なぜ別の⼿法を取らな かったんですか? (Why not) 聞くことリスト.md • Whyを聞く • Why notを聞く コンテキスト充⾜化 コミュニケーション⾼速化