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20180227 イノベーションハブひろしま 講演資料

20180227 イノベーションハブひろしま 講演資料

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TAKASU Masakazu

February 27, 2018
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  1. 「メイカーズのエコシステム」 -イノベーションを生み出す新しい仕組み- 高須正和@tks メイカーフェア深圳 第1章: 21世紀になって誕生した新しいイノベーションの仕組み 第2章: ハードウェアイノベーションのゆりかご「深圳」 第3章: 深圳の成り立ち、歴史

    第4章: 深圳とコミットしていく方法
  2. 講演の趣旨 中国政府はイノベーション支援について、以下の2つに分けている。 「科学技術イノベーション」 大組織が研究の積み重ねによって起こす。 キーワード:助成金、研究開発、長期計画 「社会実装イノベーション」 結果として多くの人が使ったことで社会が変わる 例:iPhone、FacebookほかSNS、Paypal、シェアリングエコノミー 後者のイノベーションは21世紀になるまでほとんどなかったため、どう enforceするかについても語られていなかった。

    (破壊的イノベーションは近い意味) 「メイカーズ」は、社会実装イノベーションの一つの形である。
  3. Facebook,Twitter,Instagramなど、2005年以降 「ビジネスモデルもない中で急に誕生し、普及したことで社会を 変えた」サービスが続々出てきた 研究開発の成果として技術が発展し、結果としてイノベーション が起こった例(飛行機、電話、自動車、ハイブリットカーなど。 科学技術イノベーション、持続的イノベーション)が当てはまら ないイノベーションが、2005年以降たくさんでてきている。 たとえば以下の6企業は、すべて同じシリコンバレーの投資家が企 業資金を出している、科学技術イノベーションではない企業であ る。こうした社会構造はなぜ生まれたのか

  4. 20世紀は、先に組織があり、組織のために目的を 作って仕事をしていた。 21世紀は、先に「やりたいこと」があり、オープンに していれば、多くの人がそこに集まってくる。 そして、結果的に仕事が生まれ、世界が変わる。 ハッカー/メイカーとは、作りたいものを作る人たち 彼らが集まってくるために、オープン性が必要

  5. メイカーたちのお祭り「メイカーフェア」

  6. 高須正和 世界一アジアのメイカーフェアに参加 世界的なDIYの祭典:メイカーフェア深圳(中国)/シンガポールの運営者 スイッチサイエンス グローバルビジネスデベロップメント 現在深圳在住 ニコ技深圳観察会の主催

  7. マレーシアの高性能で安い モータードライバ 深圳で開発されている フルカラーのPCBA基板 (日本から作れるようにがんばってます)

  8. 僕が子供だったときと今はとても違う ・僕は小学生のころ、15人ぐらいの電話番号を書いた手帳を 持っていた。それが僕のともだち全部だった。 そのともだちは、同じ学校の同じクラスで同い年だった。 クラス分けが変わると、ともだちともあまり会わなくなった ・みんなで似たようなゲームをするか、公園に行くかしていた。 ・子供だけじゃなく、僕の親もそんな感じだった。 インターネットで変わった ・インターネットを使うようになって、よく連絡する人がすごく増えた ・年齢もやってることも違うともだちが増えた

    ・他の人と違うことをすることが増えてきた ・外国に友達ができて、そこまで安く行けるようになった 今のほうが楽しい ・他人が自分と違うのは当たり前になった ・得意なことだけやったほうがみんなのためになると思った ・インターネットやコンピュータ、新しいテクノロジーが世界を変えてくれる
  9. たくさんの発明が世界を変えてくれた 発明のやりかたが、今は昔と違う ・電話帳や予定表や電話が全部インターネットになったことで、世界は変わった ・新しい道具やサービスが出てくるたびに、もっと世の中は変わっていく ・今ぼくは初めての場所に行くのが怖くないし、毎月何度も「行ったことのない 場所」にいく ・新しい道具や技術が出てくるたびに、いちばんおおきく変わったのは 「つくるひと、つくること、つくりかた、つくられるもの」 など、作る人たちの世界だった。 今日はそういう、「つくる」話

  10. 第1章: 21世紀になって誕生した 新しいイノベーションの 仕組み

  11. 2005年ぐらいから、 イノベーションを生み出す新しい構造が 生まれ始めた 20世紀型(大組織主導,持続的,科 学技術的イノベーション) 21世紀型(小組織主導マスイノベー ション,破壊的,社会実装的) ・企画書/多数決先行 ・予算確保から始まる ・調査・計画重視

    ・実行部隊は外注 ・リーダーはゼネラリスト ・選択と集中 ・アウトプット先行 ・ヒットすれば予算はあとから ・動き、使えるもの重視 ・自分たちで開発 ・リーダーはエンジニア ・マスイノベーション
  12. ソフト開発費の低下(2000年~) →それまでサーバ+ライセンス費だけで数百万~数千万かかっていた ソフトウェア・Webサービス開発が民主化(初期投資なしでだれでもできるように) 宣伝費の低下(2006年~) →SNSのマーケティングなどにより、宣伝が民主化 大規模化が、後付けでできるように(2006年~) →クラウドコンピューティングにより大規模化が民主化 オープンソースソフトウェアが、 イノベーションを民主化しスタートアップを生んだ 「開発前に数千万円が必要、つまり大量の企画書と多数派の決済」が

    必要な世界から 「500万円あればスタートできる、つまり自己資金や一人が投資すれば スタートできる」世界に 今のイノベーションは、DIYの延⾧に起きる
  13. ニーズのないところにプロトタイプを作る 「自分が作りたいからつくる」 「社会のニーズでなく、自分たちのためにつくる」 同人誌やロックバンドのようなイノベーション 一番いいイノベーションは 趣味、ホビーとしての世界で、 考えるよりも 本能のままに作ることから始まる Dale Dougherty(MakerMedia)

    計画を立てるのでなく、 「すぐに自分たちで」やり、 やりながら変更しよう Joi Ito (MIT Media Lab)
  14. イノベーションを支える投資モデルの進化 「スタートアップアクセラレータ」の誕生 ・企画書ベース ・数千万~数億円で始める ・リーダーはゼネラリスト ・数年単位の投資計画 ・⾧期にわたる計画 ・マーケットの見込みがあることをやる ・先に動くプロトタイプがある ・数百万円で始める

    ・リーダーはエンジニア ・大規模化(スケーリング)はあとから ・⾧期計画でなく、Agile(機敏) ・成功する見込みはわからない 既存の投資モデル スタートアップの投資モデル -多数決/合議制(数字ベース) -ヒット商品の後追い -今あるマーケットの開拓 -直感ベース -多産多死 -まるで漫画家やロックバン ドへの投資
  15. 代表的なアクセラレータ 「Yコンビネータ」 ・先に動くプロトタイプがある ・数百万円で始める ・リーダーはエンジニア ・大規模化(スケーリング)はあとから ・⾧期計画でなく、Agile(機敏) ・成功する見込みはわからない スタートアップの投資モデル プロトタイプあるものにしか投資しない

    投資金額は数百万(後にもう少し増えた) 創業者は伝説的なプログラマ 大規模化はあとから 起業前の会社に多く投資し、つぶれても気に しない Yコンビネータなどのやりかた 10年間で940社に出資、300社はすでに廃業 卒業生の合計時価総額は650億USドル うち8社は10億ドル以上、40社は1億ドル以上 著名な卒業生 Dropbox,Airbnb, Heroku, Docker, Stripe,Twitchなど Yコンビネータ成績(2015年当時) Yコンビネータについての数字は https://venturebeat.com/2015/08/27/y-combinator-startups-have-raised-7b-with-a-65b-total-valuation-8-are-1b-unicorns/
  16. Yコンビネータの創業者たち ロバート T モリス 世界で最初にインターネット上で増殖するウィルス(ワーム)を作り、アメリカ最初のサイ バー法逮捕者 その後グレアムと一緒にViawebを設立 ポール グレアム 伝説的なプログラマ

    作家としても有名で、著書に「ハッカーと画家」 世界で最初のサーバサイドサービスであるViawebを設立 (後にYahooに売却しYahoo Shoppingとなる) エンジニアのアイデア/プロトタイプにエンジニアが 投資する 「Yコンビネータ」は型無しラムダ計算で使われる不 動点コンビネータの名前 (そのプログラミング用語がわかる人たちの場所)
  17. 社会実装イノベーションの特徴 ・エンジニアが考え、エンジニアがやり、エンジニアが売る ・動かないもの(プロトタイプないもの)は企画じゃない ・賛成する人間が少ないこと(今ないこと)をやる ・「市場に出さないとわからない」ことをやる ・失敗は必要。失敗しないようなことは小進歩で革命ではない ・そのために極力小さく始めてスケールさせる 現時点では市場にない、合理性では判断できないものを、小さ くはじめてスケールさせ、ダメなら別のことをする 20世紀には、そもそも大組織しかイノベーションを起こせな

    かったので、これまで注目されてこなかった 宮廷音楽家→ポップミュージック、そして初音ミクへ
  18. 合理的なこと =アタマのいい人なら、誰でも同じ結果が出る =コストの高い先進国では難しくなる 世界を変えるようなイノベーションは、 最初は「キョトン?」と困惑するような、言葉で説明できない =新聞などで見ても良さがわからないものが多い iPhone,Twitter,Instagram,, 社会実装イノベーション =理由はともかく、社会実装されたことによりイノベーション が起こる

    =大ヒットしても、良さが言葉で合理的に説明できない。 機能的・科学技術的にそっくりのサービスが多種存在する (が、社会実装されないとイノベーションではない)
  19. 2012年ぐらいから、 オープンソースの生んだスタートアップ ムーブメントが、ハードウェアに及ぶ 「メイカームーブメント」 20世紀型(大組織主導) 21世紀型(メイカー主導) ・企画書/多数決先行 ・予算確保から始まる ・調査・計画重視 ・実行部隊は外注

    ・リーダーはゼネラリスト ・選択と集中 ・アウトプット先行 ・ヒットすれば予算はあとから ・動き、使えるもの重視 ・自分たちで開発 ・リーダーはエンジニア ・マスイノベーション
  20. ハードウェアイノベーションの民主化 アイデアのみで製造0のドリーマーは、Web のチュートリアルやキットが入手できる クオリティの足らないモノしか作れない プロトタイプメーカーに、 3Dプリンタなどのデジタル工作機械 発明はできるが量産できない大学教授 などに、量産請負サービスが 1000個単位での製造に必要なコストと マーケティングが、クラウドファンディン

    グで 宣伝・販売などのサプライチェーンが、 オンラインとSNSベースに -Seeedstudio 製 品 製 造 ロ ッ ト ソフトウェアに比べると設備も初期投資も必要なため、20世紀スタイルの研究開発(専門 家=大メーカー中心)だったハードウェアのイノベーションが民主化されつつある
  21. 第2章: ハードウェアイノベーション のゆりかご「深圳」

  22. 20世紀的なprofessional 科学技術イノベーション的 21世紀的なMAKERS 社会実装イノベーション的 Idea/R&D/ Prototype 大学や大企業の研究所 インターネットやコミュニティで 学び、作る Produce

    会社の企画部が企画し、 技術部門が作る ホビイスト達がコミュニティで作 り、評価しあう Promotion 広告代理店を使って宣伝、 プロのセールスマンが売る クラウドファンディングなどで、 愛好家が発明を大きくする ソフトウェアと同じく、 ・大学の研究室で細々とやってた ・ガレージでやってた趣味が嵩じた 人たちが、スタートアップを起こしてハードウェア企業になる ガレージからのハードウェア
  23. ソフトウェア開発 ハードウェア開発 課題 開発環境 ・オープンソースのソフト ・パーソナルコンピュータ ・オープンソースのハード ウェア ・デジタル工作機械 プロトタイピングに関するハードウェア

    はオープンソース化されているが、量 産品の情報はオープン化されていない スケーリング (大規模化) ・クラウドコンピューティング ・EMS(製造請負企業) 発注できるようにはなったが、まだ「誰 でも手軽に」とは言えない スタート時の 資金調達 ・アクセラレータ ・アクセラレータ ハードウェアのほうがスケール時に資 金が必要 マーケティング ・SNS ・コミュニティ ・SNS ・コミュニティ ハードウェアのほうは、大規模になる ほど実店舗とのつきあいがある ハードウェアスタートアップは大規模化に課題がある ハードウェアのスタートアップは、ソフトウェア(Web)に比べて大規模化が難しい。 Dropboxは2017年にクラウドサービスから独自のサーバー群に移行したが、つまりそれぐらい 巨大化するまでクラウドコンピューティングの利用が可能だった。 比べてハードウェアは、数千個単位の量産から、手探りでEMS工場達とつきあわなければなら ず、大規模になるとオンライン販売以外も必要になる。 その要素を埋めるために深圳が登場してきた。 深圳が必要とされている部分
  24. 深圳のエコシステムを使って開発した場合と国内開発の差 JENESIS提供 同社は深圳で日本向けのEMSサービスを行い、 日本交通タクシーのドライブレコーダなどを受諾している 日本向け・認証済みのハードウェアを日本で製造すると1万個・価格1万円・7ヶ月 (初期投資1億円) 深圳のIPシステム+サプライチェーンを使うと1000個・5000円・3ヶ月(初期投資500万円) 世界のハードウェアスタートアップが深圳に集まる理由がここにある

  25. なぜ深圳か ・多種多様な工場(EMS製造請負企業)が存在し、小ロットで受け付ける会社も多い ・発送、検品、世界中の基準に合わせた適合検査など、ハードウェアの製造に関する業種が すべて集まっていて、飛び込みでも話ができる程度にオープンである (いくつかの会社は欧米企業相手の仕事実績がある) ・ハードウェアに関する情報が可視化され、集積されている ・IP(知的財産)がオープン化されている独特のシステムが小企業を助ける(後述) ハードウェアを少量生産し、世界に届ける最適な 場所 「世界中から工場が集まっている」

    Seeed社⾧エリック・パン 部品問屋が集結している 深圳の電気街 「深圳の1週間はシリコンバレーの 1ヶ月」 HAXのpartner ベンジャミン
  26. 深圳独特のIP管理システム, 公開(Gongkai) 資料はMIT研究員のAndrew Bunnie Huang著「The Hardware Hacker」(2017)の、 Gongkai Innovation章から。同書籍は高須の翻訳にて2018年出版予定 知財は単一の所有者をもち、知財に対して金銭を

    受け取るのが西洋・日本のIPモデル 知財が商品に付随し単体で流通しない (モノを買うと知財がついてくる)のが深圳のIPモデ ル 知財とセットで販売される公板(GongBan) 1枚から、量産可能な数千枚単位まで販売され、製品 化に必要な部品リスト、ソフトウェア、データシートも添 付される チップセットメーカーの周辺にあるデザインハウスが製 造するほか、EMSが不正に流出させることもある。同様 の外装プラスチック 公模(GongMo)も存在する
  27. 完成品がラベルだけ貼られる「貼牌」 香港のトレードショーでは、 さまざまな「ノーブランド 家電」(白牌と呼ばれる)が 出展されている。 こうした白牌を自分のブラ ンドで売り出すことを 貼牌(TiePaiティエパイ) と呼ぶ。 「作らないメーカー」

  28. Prototypeのための部品をつくる「公板」 CPU,マザーボードなどの規格品の存在で、多くの人が 「自作PC」がつくれる(それなりにノウハウは必要) チップメーカー(画像処理チップやスマホのCPUなど)+つきあいのあるデザイン ハウスが作成し流通する「公板」 自作PCのように、自作スマホや自作カメラを作れる さまざまなモジュールが流通している ヒットしたモジュールはコピーされ、価格が(たいていは品質も)下がったものが さらに流通する

  29. タブレット端末のコモディティ化が起こしたイノベーション ラジカセ型端末 バックミラー+ドライブ レコーダー+Android 地図サービス会社が専用 インターフェイスを開発 続々と新しいプレイヤーが開発競争に参加

  30. ほぼ日刊で、新しくOEM可能になった(コモディティ 化した)公板を紹介する広告誌が出ている

  31. 20-30ページほど、隔週発行

  32. 中国IPシステムの光と影 $20 $19 $2 $0.6 いわゆる「アイデア一発製品」と中国コピーとの相性はと ても悪く、「クラウドファンディングに出されたアイデア 製品が、クラウドファンディングが終わる前に90%引きの 値段で中国で売られている」ことはよくある。 中国のIPシステムでは、見ただけでコピーされるようなも

    のはコピーされてしまう。 一方で、以下のようなハードウェアも深圳で製造されている ・オンラインに価値があり、ハードはそこまで差別化してな い (Amazon KindleやiPhoneとiTunesなど) ・ビジネスに価値がありハードは差別化してない (BtoBのハードウェア、前述日本交通のドライブレコーダ、 学校とパスがないと売れない教育用ハードウェア等) ・製造難易度が高く、少量をコピーするのはコストパフォー マンスに合わない(DJIのドローンなど) コピーされるのは、深圳の外で作った製品でも変わらない
  33. You can choose any price and quality! $40 $7

  34. 代表的なプレイヤー 「深圳発→世界のイノベーション」Seeed 2008年~深圳で創業。創業者はEric Pan、社員もだいたい中国人 世界(主に欧米。近年まで中国語のサイトはなかった) ・オープンソースの開発ツールの販売 ・個人が自分のコンピュータで設計した基板データをオンラインで受注し、現物をおくる 「クラウド基板製造サービス」を展開 ・個人の発明家のアイデアを自社で請けおい、製造販売する 「世界から深圳へ」HAX

    2012年~シリコンバレーで創業。アメリカのVC SOSVの傘下。社員は世界中から集まってい るが欧米人が多い。深圳に開発ラボをもつ、世界最初のハードウェア専門アクセラレータ。 ・世界中からハードウェアの企画を持ち込むチームを集め、2000件の応募から半年ごとに 15組の起業家を選考 ・中国深圳のラボで111日間の開発を行う。
  35. Fusion PCB,PCBA(基板のオンライン製造) 世界中からデジタルデータを受け取り、実際の基板にして送り返す。10枚で わずか$9.9、見積もりはオンライン。 さらに、指定のパーツリスト+提携の部品屋をつかうことで、ハンダ付け済み の製品を送ってくれる キットの販売、世界の人たちの販売委託 「自分の携帯電話が作れるキット」「ラジオが作れるキット」など、多くの マイコンキットを販売している。自社製品のほか、世界中の発明家(欧米が 多い、上記のFusion

    PCBを使ってプロトタイプしている人たちが多い)からの アイデアを製造受託している 「自分の携帯電話が作れるキット」 Re-Phone Seeedは世界のメイカームーブメントを牽引している
  36. Seeedの目指す「同人デザイン」「同人ハードウェア」 -Seeed 供給側の変化: ・アジャイルなサプライチェーン、スケーラブルな製造 ・フリーの開発ツールと、オープンソースで入手できる技術 ・レビューや協力者を見つけられる可能なコミュニティ 需要側の変化: ・SNSによるコミュニティベースのマーケティング ・多様な需要 ・クラウドファンディングによる資金調達

    インディーデザイン(同人デザイン)の誕生
  37. HAX ハードウェア専門のアクセラレータ(2012年~) サンフランシスコに本拠地、深圳にラボを置く 「直観に基づいた投資」 「アーリーステージの投資では、売り上げや具体的数値を評価できる訳ではない。」 (創業者ショーン、2017年,Forbus) 世界から半年に15組のアイデアを集め、9%と引き替えに10万ドル投資、 111日間深圳でプロダクト制作合宿を行い、 BtoC向け製品はKickstarterへ 現在成功率100%

    HAX卒業生の例:Makeblock 2013年5人で起業 現在は450人 セコイアキャピタ ルから出資を受け、世界を代表するロボティクス教 育会社に ソフトバンクと提携して日本法人を立ち上げ、日本 の教育マーケットに進出
  38. Makeblock 2015年 社員200人のころ

  39. Makeblockは今も毎月36時間の社内ハッカソンをして製品を増やしている

  40. TEAMOSA 2016年創業、超音波+温度でもっともおいしくお茶を入れ られるシステム。 台湾で代々茶農園を経営している3代目が家族経営で創業

  41. DARMA

  42. 20世紀型の製品開発がすべてなくなったわけではなく、 「数値でわかる世界最高性能」を目指す、大企業中心の世界は今も存在しているが、 コンシューマが買うハードウェアは数値で判断されないものが増え続けている 20世紀には、そもそも大組織しかイノベーションを起こせなかったので、これまで注 目されてこなかった 伝統的な製品開発 科学技術イノベーション的 コミュニティベース 社会実装イノベーション的 team

    大きい組織が承認ハンコを集めな がらつくる 小さい組織がagileにつくる Focus 数値で評価され、機能的 感覚的でセンスの善し悪しで判断 される Customer 自組織のボスor会社外の消費者 自分たち Typical Product 機能的な製品や、 CCD、抵抗、マイクロチップといった コンポーネント ガジェットや、自分たちのための プロトタイピングツール
  43. 中国政府は、この「多産多死・計画できない時代」を理解し、 深圳をイノベーションのゆりかごとして活用している 重点スローガン「大衆創業・万衆創新」(誰でも起業できる、みんなでイノベー ション)は、深圳のDIYメイカースペースを李克強首相が訪れたことで始まった。 「大衆創業・万衆創新」の8つの重点政策の最後は、 「 社会を失敗に寛容にする」で、メディアで再起した起業家をス ター扱いするなど、キャンペーンが行われている 深圳の創業スペースには、 「党と一緒に起業・スタートアップし

    よう」 のスローガンが並ぶ
  44. JST調査 2017年9月 周少丹

  45. JST調査 2017年9月 周少丹

  46. JST調査 2017年9月 周少丹 もと資料は中国政府の「双新・双業政策専門サイト」から 北京のイノベーション支援詳細は高須のレポートを参照 https://medium.com/ecosystembymakers/beijing-venture-f2e77d93c313 北京=科学技術イノベーションに最適化 深圳=社会実装イノベーションに最適化

  47. R&D都市としての深圳 自動運転バス

  48. 自動運転バス 開発チームに聞く • この自動運転バスには、LIDER(光の点で測距する技術)やカメラによるセンシング、人口知能による SLAM(自己位置推定、まわりの環境地図作成)など、最先端の技術が投入されている。もちろん何をどう 使っているか具体的には言えないけど。 • とはいえ、今の最先端の技術を導入しても、人間のように運転できるわけではない。本当に人間並みに なるのはいつかまだわからないし、「人間並み」というのがどういう状態かもまだもやもやとしている。 •

    この実験道路は本当に公道で、けっこう普通のクルマも走る。路上駐車もある。今も実験には気をつか う。 • もちろん実験なので、実際に道を走らせている時間よりも調査開発をしてる時間の方が長い。何度も来 ればそのうち動いているのを見られる、ぐらいのレベルだと思う。 • このためにバス停や、QRコードによって指定バス停に止まるシステムも作っていて、実際に動作する が、一般人を乗せて運行する予定はない。今のところVIPや正式な取材、そしてもちろん実験のために 使っている。 • 実験をやっていれば事故が起こることもあるし、手戻り(問題が生じて作業をやり直すこと)することもあ る。深センはそういう実験を、たとえば北京に比べるとやりやすいのがありがたい。 • 北京だと、「まず失敗しない」段階まで仕上げてからでないと実験さえできないが、深センでは現段階で の実験でできる。うまくいかないことまで含めて、実験から得られるものはたくさんある。
  49. 第3章: 深圳の成り立ち、歴史

  50. 香港の隣 人口は1500万人、人口・広さとも、「ざっくり東 京ぐらい」 近隣の東莞,佛山などとあわせて、「珠江デルタ」 と呼ばれる4000万人規模の「世界の工場」

  51. http://www.huntersourcing.net/china-cheap-expert/ 深圳1980と2017 同じ山が映っている、 同じ風景

  52. 深圳1985(人口30万人) 当時の中国は計画経済 存在しなかった概念 ・就職 ・貯金 ・起業 ・会社 ・スキル 何もない漁村 Leroy

    W. Demery, Jr. Follow By the water, Shenzhen, 1980
  53. 1980年代 中国の改革開放が始まる ・計画経済から自由経済へ ・「お金」「就職」という概念が生まれる ・明治維新に匹敵する社会変革 ・1969年の毛沢東語録 価格は6円 当時の中国はお金の要らない国だった

  54. かつては香港に逃げるのは重罪 1980年代 香港との国境が開放される 改革開放後、香港から マネジメントや経営、契約と 行ったノウハウが流れ込んでく る 黒船に匹敵する改革 深圳博物館

  55. 高度成長 株式会社ラブロス http://www.labros.co.jp/html/ceobbs_view.php?page=17 &number=139&keyfield=&key= 広東省の一人あたり GDP 95-04年で三倍 年間で3割ずつ給料 が上がる

  56. 深圳1985(人口30万人) 2012(1200万人) 黒船と明治維新と高度成長が一気に来た 地形まで変わるリアルポピュラス 同じ山が映っている、 同じ風景 深圳博物館 新しい土地

  57. 深圳の人口構成: (縦軸は合わせたけど、横軸は人口が違うので単位が違う、割合をみてください) 高齢者率2% 20代が大半、30代と合計して65%を占める 深圳2010: (出所)日本総研大泉啓一郎氏提供 (原出所)『広東省2010年人口普査資料』 0 500,000 1,000,000

    1,500,000 0-4 5-9 10-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 90-94 95-99 100+ 男性 (千人) (歳) 0 500,000 1,000,000 1,500,000 女性 (千人) 深圳男 深圳女 東京男 東京女 60歳ライン 20歳ライン 東京2015: 統計メモ帳 https://ecitizen.jp/Population/PrefPyramid/13
  58. 高度成長(先進国のコピー)から高度化へ By 伊藤亜聖「Shenzhen as Innovation City」

  59. None
  60. None
  61. 第4章: 深圳とコミットしていく方法

  62. ニコ技深圳観察会が深圳でやっていること 1.メイカースペース「SEG+出張所」の運営 2.東京および深圳で中国の企業と連携してイベント (トーク、ワークショップなど。月1回以上、毎回50人以上を集める) 3.3冊の関連書籍の刊行 4.東京で日本人を対象にした技術者向け中国語教室 5.JETROと協力しての学術研究プロジェクト 6.深圳で日本人が自主的に100人規模で集まるミートアップ 7.メイカーフェア深圳への出展 現地と連携して(日本人だけでなく)もっともアクティブに活動している

    コミュニティ
  63. 運営ノウハウ「当事者としてできることをコミットする」 ・自己決定できる人中心。ビジネスで来ている人間は、自分の意思と権限 で来ている。 「会社の命令で来ました」という人間がいない。 ・全員がSNSで直接つながる。 ・情報のオープン化。会社訪問、イベントなどは極力共有しお互いコミットす る。 ・「勉強しに」行かない。イベントは極力レポートし、フィードバックを得る。会 社訪問は相手先の製品をあらかじめ購入してから行き、日本での販売の 手伝いなどをする。

    このように活動していると、 -先方の社員が日本に来るときに紹介依頼が来る -アパートを一緒に探す -先方の創立記念パーティーに呼ばれる などの交流が自発的に生まれる 日本のサラリーマンぽく動かない。深圳の人間と同じように動く。
  64. 深圳の環境は他国で再現しづらいが、外国人にもオープン ・イノベーションをしやすいIPのエコシステム ・多種多様な工場を系列を無視して使えるサプライチェーン ・ハードウェアに関する部品と情報の集積 深圳を自分たちのエコシステムに組み込む ・シリコンバレー出身のHAXなどは、「ビジネスは欧米、ハードウェア研究開発は深 圳」とうまく棲み分けている ・欧米のDIYメイカーズも、趣味ベースではオンラインで深圳に受発注し、「起業し て大量生産」となってから深圳に移り、マーケティングは自国で行う ・前述のJENESISも、日本の事業会社からの多様なハードウェア受託開発要求を深圳

    のリソースで実現するビジネスモデル ・フランスのFrench Tech、フィンランド、韓国のKOTRAなどが深圳にオフィスを作 る&深圳在住の自国人をキーにし、自国のスタートアップに「製造は深圳、マーケ ティングは世界」を訴えている
  65. 深圳を舞台にするほとんどのプレイヤーが多国籍 ・Seeedの従業員はほとんどが中国人だが、資料やWebサイトはほぼ英語で、顧客は欧米人。 (最近、Seeed Japanとして日本企業も立ち上げ、日本語サイトも) ・メイカーフェア深圳の運営は、日本人の僕をはじめ、台湾人や欧米人がいる ・Makeblock,DJIほか深圳発の世界企業も同じ。海外の留学帰りも多い。 HAXは世界中から従業員が集まっている。リーダーはフランス人、ほかアメリカ、イギリス、 最近は中国からのスタートアップが多いので中国人が増えてきた ・中国の半国営企業とか、中国だけを市場にしてる会社とは、同じ都市でも違う文化圏 海外と働く会社は海外ルールに合わせている

    ・欧米のスタートアップ対象の製造請負工場ツアー(深圳/大阪/京都)に行くと、深圳ではど こも英語で 「メインビジネス/それを支えるプロセス/受注実績」 の資料と、見積もりがそ の場で出てきて、資料はコピーしてかまわない。 ・日本では「社⾧が挨拶を日本語で語る資料の英語吹き替え」みたいな資料が出てきて、見 積もりがその場で出てこない。資料もコピーできない。 ・日本でも海外ルールで説明できる会社は世界から受注ができている
  66. 深圳との関係の作り方 まず「来る」 ー決定権者のある人が ー深圳で見たもので、それまでの行動を具体的に変えるつもりで (たとえばまた来るとか、深圳の人間を呼ぶとか) 自分の判断で具体的に何かを始める ーKickstarterの製品を自腹で買う、他人に勧める ーファンのイベントを日本で開く など 具体的な仕事にしていく

    ー自分たちにしかできないこと(たとえば公立学校での教育がらみで実験など) は、深圳の人たちも興味を持つ 深圳に限らず、中国のイノベーターは日本に興味を持っているが、 「勉強になりました」だとそのあとが続かない 大事なのは「社会実装すること」
  67. -過去7回の観察会実施 -月2-4本程度の深圳レポートをメディア掲載 -日本、深圳でのイベント、国際ワークショップの開催(多数) -深圳ベンチャーの日本進出の支援 -深圳イノベーション活動に関する官民連携の研究(JETRO) -中国でのメイカーフェア運営協力、深圳、成都、西安 -深圳SEG+出張所の運営(深圳に常設の出張所) -深圳で100人規模の日本人ミートアップ -ハコスコ,AnyPay, JENESIS,JETROからのスポンサード

    ニコ技深圳観察会 3年間の実績 オープンで非営利でも、自己判断で動ける活動の積み重ねで こういう成果ができる 僕らの仲間は、この3年で7人、日本から深圳に移住して住んで いる。だれも3年前は中国なんて興味なかった
  68. 2冊の著書 世界ハッカースペースガイド(2018年) 好きなものづくりをする人たちが集まる「ハッカースペース」を、世界14カ 所、イベントのついでに訪ねて書いた アメリカ ニューヨーク、サンフランシスコ ヨーロッパ パリ2カ所、コペンハーゲン(デンマーク) アジア バンコク2カ所、チェンマイ(タイ)

    台北、台南(台湾) シンガポール 中国 深圳 メイカーズのエコシステム (2016年) 今日のプレゼンの内容、好きなものづくりをする人が、どうやってはじめ、 どうやって仲間を増やし、お金を集め、世界をメイカー達がより便利で楽 しいものにしていくかの様子が書かれたもの。 今日プレゼンした藤岡淳一社長の章、山形浩生さんの解説もある。
  69. 昨日のイノベーションが今日はありふれたものに

  70. 深圳での1週間はシリコンバレーでの1ヶ月

  71. 深圳を見て思ったのは「ビジネスだって遊びになる」ということだ。でなけ れば、SeeedのエリックやHAXのベンジャミン、そのほかプロジェクト主の皆 さんが、かくもキラキラした目で働くはずがない。消費者の財布を燃料とし て燎原の火のごとき連鎖反応を引き起こし、世界を革新しようとする―― これはそういう遊びなのだ。 そんな遊びができるとは、我々はなんと素晴らしい時代に生きているの だろう。(第1回ニコ技深圳観察会にて SF作家・メイカー野尻抱介)

  72. どうもありがとうございました。 詳細はこちら「メイカーズのエコシステム」 「世界ハッカースペースガイド」にて。 株式会社スイッチサイエンスではメイカーになるた めのキットをたくさん扱っています。 連絡先: 高須正和 takasumasakazu@gmail.com Twitter: @tks

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