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中国のオープンソースムーブメント:その現状と可能性
2,3年、中国におけるオープンソースムーブメントが活発化しています。もともと、中国では、知的財産権の重要性が社会や企業で十分に理解されていないまま、既存の製品やアイディアなどのコピーを繰り返すことで事実上「共有」し、新製品の開発にかかるコストを大幅に節約する、という状況が広く見られました。ハードウェアハッカーのバニー・ファンはこの自然発生した知識共有を、「公开GongKai」と呼んでいます。
しかし、近年では、多くの中国企業が、知的財産権の重要性をきちんと理解したうえで、企業戦略としてオープンソースに注力するようになっています。また、政府もオープンソースのライセンスの法的整備を進めたり、オープンソースムーブメントに関する公的な財団を設立したりして、中国発のOSSライセンスが世界標準となることを支援する姿勢を明確にしています。その結果、中国では特に、オープンソース文化に憧れる若者が急速に増えており、GitHubの利用をみても、中国からの利用者は米国に次ぐ規模となっています。
また、米中間の貿易摩擦が激化して以降、中国では政府による輸出規制に左右されないオープンソース開発に注目が集まっているという背景もあります。オープンソースムーブメントは国家間の政治的対立を相対化しつつ、グローバルなイノベーションを促進する可能性を持っているのです。
残念ながらこういった動きは日本国内ではほとんど知られておらず、日本の企業や技術者がどのような形で関与できるのか、という議論も行われていないのが現状です。
今回のイベントでは、オープンソースムーブメントおよび中国のイノベーションに精通した識者の方々にお声掛けして、いま中国とオープンソースムーブメントに何が起きているのか?日本に住む私たちにとってどんなインパクトがあるのか?といったことをじっくり議論したいと思っています。
この問題に関心を持つ方々の積極的なご参加をお待ちします。