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AI導入は済んだ。次は統制を作り替える番だ_AI×開発組織 Summit 2026

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AI導入は済んだ。次は統制を作り替える番だ_AI×開発組織 Summit 2026

AIツールが普及した今、ボトルネックはコードを書く速さではなく、「誰が何を根拠に決めるか」という組織の意思決定構造に移りつつある。

本セッションでは、7,000人規模・レガシー基幹システムを抱える企業が進める3つの再設計を紹介する。
①ガードレール化による統制改革
②逆コンウェイ戦略による組織再設計
③AI前提の人材・管理職要件の見直し――IT組織を「ゲートキーパー」から「アクセラレーター」へ転換するための実践と、いま直面している課題を率直に共有する。

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Transcript

  1. 背景 私たちの前提条件 身軽な組織の話ではありません。制約の重さを先に共有します。 従業員規模 基幹システム 約6,700名 2系統 エンジニア組織は BAKS /

    ARCS その一部門として存在 巨大モノリスが中核 扱うデータ 統制レイヤー 個人情報 3層 転職希望者情報が 1線 / 1.5線 / 2線 事業の中心にある 積み上がった審査体制 (2026年3月1日時点) AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 2
  2. 背景 本日話すこと / 話さないこと 期待値をここで揃えます。 話すこと 話さないこと 統制の再設計 AIツールの選定・比較 AIに渡してよいデータと環境の事前定義

    どれを入れるかは、もはや論点ではありま せん 組織構造の再設計 プロンプト技法・個人の生産性Tips 目指すアーキテクチャから逆算したチーム 境界 個人の効率は、組織の速度に直結しません でした 人の再設計 成功事例としての総括 人材ポートフォリオと管理職スキル要件の組 み替え まだ途上です。未決着の論点も最後に共有 します スコープは実装だけではありません。 企画・要件定義から、テスト・保守までを対象にします。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 3
  3. 問題提起 導入は済んだ。しかし、浸透していない。 使えない理由は、ツールの性能ではありませんでした。 ツールの導入 完了 実務での浸透 しかし 限定的 環境は整備し、利用は開始している。 使える工程と環境が制約され、

    「入れていない」わけではない。 日常の仕事に組み込まれていない。 「入っていない」のではなく、「入れたが、使えていない」。こ こが我々の出発点です。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 4
  4. 問題提起 どこに入り、どこに入っていないか 工程と環境で切ると、活用できている範囲は驚くほど狭い。 工程 検証環境 本番環境 使えていない主な理由 企画・要件定義 限定的 原則不可

    社内情報を外部に渡してよいかが未定義 設計 活用中 限定的 設計資料に顧客情報が混在している 実装 活用中 原則不可 本番データを参照した開発ができない テスト 限定的 原則不可 テストデータに個人情報が含まれる 保守・運用 未着手 原則不可 障害調査は本番ログの参照が前提になる AIが最も効くはずのテスト・保守と、最上流の企画に、 ほとんど入っていない。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 5
  5. 問題提起 なぜ入らないのか ― 制約の正体 技術的にできないのではなく、判断が決まっていないから使えない。 1 個人情報を扱う環境に持ち込めない 2 渡してよい範囲が定義されていない 本番相当のデータをAIに渡してよいかの基準

    「どこまでなら安全か」が示されないため、 がなく、原則不可の運用でしのいでいる。 現場は常に安全側へ倒す判断をする。 3 責任の所在が決まっていない 4 例外がサービス単位の個別対応 問題が起きたとき誰が負うのかが不明で、承 一部サービスだけが許可され、全社に適用で 認する側も判断を引き受けられない。 きる標準になっていない。 止めているのはセキュリティ部門ではありません。 決めきれていない、という状態そのものです。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 6
  6. 問題提起 使えている領域でも、ボトルネックは制約側 作る時間は縮んだ。しかし、通す時間が縮まなかった。 AIを使えている案件の、着手から本番反映までの時間の内訳(※当社内のイメージ) この8割が、統制に由来する時間 18% 20% 32% 30% 生成・実装

    データ持ち出し の確認 レビュー・承認待ち 本番反映の調整 AIで短縮できた 都度の個別判断 審査サイクル待ち 影響範囲の合意 生成を10倍速くしても、全体は2割しか縮まない。 使える範囲を広げることも、使えた後を速くすることも、どちらも統制側の問題でした。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 7
  7. 問題提起 ゲートキーパー型組織とは何か 誰も間違っていない。だからこそ、止める仕組みは静かに増え続ける。 事故・障害が起きる 再発防止策として ルールを追加する 次の事故で 確認するための また1つ増える ゲートが1つ増える

    このループが積み重なった結果が、いまの体制です 積み上がった統制には、すべて理由があった。 問題は、追加する仕組みはあっても、外す仕組みがなかったこと。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 8
  8. ① 統制 発想の転換:止めるな、先に決めておけ 使うたびに確認するのをやめ、渡してよい条件をあらかじめ定義する。 BEFORE AFTER 都度確認型 事前定義型ガードレール • 利用のたびに可否を個別に確認する

    • 渡してよいデータと環境を事前に定義する • 基準がないため、判断は毎回やり直しに。 • 条件を満たす利用は、確認を通さず認める • 決めきれない場合は「不可」に倒れる • 統制部門は個人情報を伴う利用に集中する • 許可はサービス単位の例外として積み上がる • 例外ではなく、全社の標準として適用する 統制を緩めるのではありません。 判断のタイミングを、利用の手前に移すだけです。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 9
  9. ① 統制 AI利用の可否を、データの性質で決める 一律禁止でも一律許可でもなく、渡すものの中身で線を引く。 区分 高 中 低 対象となるデータ 認める利用

    個人情報を含む本番データ 原則、AIに渡さない 転職希望者・企業の実データ 仮名化を経た場合のみ個別審査 社内限の業務情報 指定した基盤に限り利用可 設計資料・企画資料・ログ 持ち出し記録を残す 非個人情報・公開情報 確認なしで利用可 ソースコード・技術文書 全工程・全環境で標準適用 難しいのは分類ではなく、「低」と「中」を確認なしで通してよいと 組織が合意すること。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 10
  10. ① 統制 確認を消し、全工程へ解放する 個別の例外申請をやめ、区分に応じた自動判定に置き換える。 BEFORE|サービスごとに例外申請し、6つの確認を通す 利用申請 データ区分判定 利用環境の確認 セキュリティ審査 責任者承認

    利用開始 責任者承認 利用開始 AFTER|「低」「中」区分は4つを自動判定で通過 利用申請 データ区分判定 利用環境の確認 セキュリティ審査 自動通過 自動通過 自動通過 自動通過 自動通過の条件:データ区分が「低」または「中」/指定した利用基盤を使う/出力 を本番へ直接反映しない/利用記録が自動で残る AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 11
  11. ① 統制 統制は、誰が持つか 確認を外すには、責任の持ち主を先に決め直す必要がある。 1線 1.5線 2線 実行する現場 支える統制室 監督する統制

    • 区分に沿った利用を自 • データ区分と利用条件 • 個人情報を伴う利用の ら判断する • 利用記録を残し、逸脱 を申告する を設計する • 逸脱を検知して現場に 返す み個別審査 • 枠組みそのものの妥当 性を監査する 最大の変更点は、1線が「自分で判断してよい」と明文化されたこと。 統制室は止める役から、使える条件を作る役に変わります。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 12
  12. ① 統制 何を、どこまで解放するか 達成した実績ではなく、統制の再設計で解放を狙っている範囲です。 適用する工程 現在 実装中心 利用できる環境 現在 検証環境のみ

    利用までの手続き 現在 都度の個別申請 目指す状態 目指す状態 目指す状態 企画〜保守の全工程 仮名化を前提に本番相 当へ 区分に応じた自動判定 テスト・保守を最優先で解 放する PII Vaultと仮名IDを前提条 件に置く 例外対応をやめ、全社標準 に引き上げる ここは成果報告ではありません。 統制を作り替えることで、何が解放されるのかという設計の話です。 AI×開発組織Summit 2026 13
  13. ② 組織構造 目指すアーキテクチャから、逆算する 組織がアーキテクチャを規定するなら、先に組織図を書き換える。 目指す姿:2層分離アーキテクチャ 組織の引き直し方 変化対応層に合わせる 変化対応層 事業ドメインごとにチームを置き、 事業の変化に追随して

    速く作り替える領域 意思決定を内側で完結させる 組織を合わせる API / データコントラクトで分離 境界に合わせる コントラクトの両側を 別のチームが持つと決める 安定基盤層 止められない基幹を、 確実に守り続ける領域 AI×開発組織Summit 2026 安定基盤層に合わせる 基幹を守る専任チームを分離し、 変更要求を契約経由に限定する ©PERSOL CAREER CO., LTD. 15
  14. ② 組織構造 チームの境界を、どこに引いたか 「機能で分ける」をやめ、事業ドメインとエンジニアを同じ責任単位に置く。 BEFORE|機能で分ける 企画 開発 インフラ 品質保証 AFTER|ドメインで分ける

    求人 ドメイン 個人顧客 ドメイン 法人顧客 ドメイン 1つの変更が4部門をまたぎ、 事業の意思決定者とエンジニアが同席し、 合意形成そのものがリードタイムになる。 変更をチームの内側で完結させる。 判断基準はひとつ。「その変更を、そのチームだけで決め切れるか」。 決め切れない線引きは、境界として間違っています。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 16
  15. ② 組織構造 データの責任は、誰のものか AI利用の可否を判断できないのは、持ち主が決まっていないからでした。 Business / Product Owner Data Owner

    System Owner 何を実現するために使う かを決める 定義・品質・公開範囲を 決める 保管・可用性・アクセス 制御を担う 意味と用途に責任を持つ 中身の正しさに責任を持つ 器の安全に責任を持つ 3者が揃って初めて、「AIに渡してよい」と誰かが言える。 この3者が不在だったことが、個別確認が積み上がった本当の原因でした。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 17
  16. ③人 AI前提で、必要な人材構成は変わる 総数はほぼ変えない。変えるのは、役割の構成比です。(※当社内のイメージ) 人員はほぼ増やさない。同じ規模のまま、役割の構成比だけを組み替える。 役割グループ 調整・推進を担う役割 2030年の構成比(現在=100) 45% テクニカルPM /

    PdM / IT推進・サービス企画 体験を設計する役割 69% UI/UXデザイナー 141% つくる・動かす役割 アプリ / プラットフォーム / インフラ・SRE / QA データ・AIを扱う役割 139% データサイエンティスト 160% 設計・統制を担う役割 アーキテクト / セキュリティ / 戦略 / 組織開発 狙い 人手による調整・伝達を AIと仕組みに置き換える 生成を前提に、 型化できる領域は集約する 内製比率を高め、 変化対応層を自力で作り替える 活用の前提となる データ基盤と仮名化を担う ガードレールと境界を 設計する側に資源を寄せる 現在水準 最も減らすのは、つくる人ではなく「調整する人」。 AIは実装ではなく、人と人の間のコミュニケーションコストを削減。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 18
  17. ③人 管理職に求めることが、変わった 本日ここにいる多くの方に、直接関わる変化だと思います。 確認する 人の稼働を管理する 経験で判断する 技術を評価する 条件を設計する 都度の可否判断をやめ、使ってよい 条件を先に定義する役へ

    決め切る速さを見る 工数の消化ではなく、決め切るま での時間を管理指標に置く 判断の根拠を残す 同じ状況で他の誰かが同じ判断に 至れるよう、基準を外に出す 境界を設計する 個々の技術判断はチームに委ね、 責任の線引きに集中する 統制を作り替えるとは、 管理職の仕事の定義を書き換えることでもありました。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 19
  18. まとめ 持ち帰っていただきたい3つのこと 着手できる順に並べています。 1 2 3 適用範囲を、工程×環境で可視化する 「導入した」ではなく「どこで使えていないか」を一枚にする。制約の所在がここで 見えます。 渡してよいデータを、性質で定義する

    一律禁止をやめ、区分で線を引く。低・中を確認なしで通せた瞬間から、範囲は一気 に広がります。 例外の個別対応をやめ、標準に上げる サービス単位の許可を積み上げても、組織の速度にはなりません。全社の条件として 定義し直す。 特に伺いたいのは、個人情報を扱う組織でどこまで解放できたか、という論 点です。ぜひ質疑で。 AI×開発組織Summit 2026 ©PERSOL CAREER CO., LTD. 21