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AIネイティブ企業への変革。パーソルキャリアが挑む「データメッシュ×ガバナンス」のアーキテクチャ戦略

 AIネイティブ企業への変革。パーソルキャリアが挑む「データメッシュ×ガバナンス」のアーキテクチャ戦略

パーソルキャリアは事業の「AIネイティブ化」を目指し、その心臓部となる「インテリジェンスプラットフォーム」の構築を進めています。 将来、数千のAIエージェントが自律的に高精度な推論を行うためには、単にデータが集まっているだけでは不十分です。AIが正しく判断するための「コンテキスト(データの意味や来歴)」の供給が不可欠となります。
本セッションでは、データを価値ある「プロダクト」として流通させるアーキテクチャ構想をお話します。具体的には、プロバイダーとコンシューマー間でSLO(品質・鮮度)をシステム的に保証する「データコントラクト」の実装や、全社リネージを通じたコンテキスト供給など、アジリティとガバナンスを両立するデータメッシュの実践アプローチに迫ります。
大規模エンタープライズ環境において、人間の運用努力ではなく「アーキテクチャ」で自律型エコシステムをどう実現するのか。単発のデータ活用に留まらない「知能循環」を目指す、当社の挑戦についてお話しします。

■ パーソルキャリア IT/テクノロジー職向け採用サイト
技術領域や取り組んでいるテーマ、社員インタビューについてご覧いただけます。
その他職種や会社の事業・サービスについてご関心がある方は、ぜひキャリア採用サイト もご参照ください。
■ techtekt(テックテクト)
「techtekt(テックテクト)」は、パーソルキャリアのDevelopers Blogです。IT・テクノロジーに関する開発組織の「技術や知見」「組織やカルチャー」「はたらき方やキャリア」を発信しています。
■ NUTION(ニューション)
パーソルキャリアのデザイン組織「NUTION」のブランドサイトです。「デザインの力で、はたらくを変え、社会を変えていく。」をステートメントとし、デザインの価値を広める活動をしています。
■TECH Street
パーソルキャリアが主催する各社の現場で活躍しているITエンジニアやテクノロジー人材から、ITテクノロジーに関するさまざまなテーマの事例や知見が学べる勉強会コミュニティです。

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Transcript

  1. 01 AIネイティブ企業への挑戦 02 インテリジェンスプラットフォーム構想 03 Strategy as Code の実現方法 04

    自律だけでは、データは信頼されない 05 Data Contractによる信頼の実装 06 今後の展望 © PERSOL CAREER CO., LTD. 2
  2. 会社概要 社 名 パーソルキャリア株式会社 本 社 東京都港区 創 業 1989年6月

    資 本 金 1,127百万円 事業内容 人材紹介サービス、求人メディアの運営、転職・就職支援、 採用・経営支援、副業・兼業・フリーランス支援サービスの提供 従業員数 6,721名 (有期社員含む グループ会社出向中の者は除く 2026年3月1日時点) © PERSOL CAREER CO., LTD. 3
  3. 渡邉 裕樹 Yuki Watanabe パーソルキャリア株式会社 プラットフォームインフラ統括部 プラットフォーム基盤部 ゼネラルマネージャー EXPERTISE SIerおよび事業会社での経験を通じて、業務システム統合、

    SCM・DW H刷新、CRM・SFAモダナイゼーションなどのプロ • ENTERPRISE SYSTEMS ジェクトを経験。 • DATA PLATFORM 2022年にパーソルキャリアへ入社し、人事データ基盤構築や • PROJECT MANAGEMENT データマネジメント施策を推進。現在は全社横断のインテリ ジェンスプラットフォーム構想をリードし、データ戦略、デー • DATA MANAGEMENT タマネジメント、ガバナンスを担当。Data MeshやData • DATA GOVERNANCE Contractの実践を通じて、AIが活用できる企業知識基盤の構築 • AI & DATA STRATEGY とAIネイティブ企業への変革に取り組んでいる。 © PERSOL CAREER CO., LTD. 5
  4. 01. AIネイティブ企業への挑戦 AIを使う企業から、AIと共に価値を生み出す企業へ AIネイティブ化とは、AI導入ではなく、業務と意思決定の再設計である 現在|人がAIを使う 変革の壁|AIがデータを信頼して 使えない 目指す姿|人とAIが価値を共創 人がデータを探し、整え、AIへ渡す 活用が担当者の力量に依存

    意味・品質・来歴が曖昧 企業固有の知識をAIへ渡せない AIが業務文脈を理解し、 意思決定と実行を継続的に高度化 競争力を分けるのは、AIモデルではなく、自社固有の知識を供給できるかである 次章:企業固有の知識とは何か。結果(WHAT)ではなく、判断の文脈(WHY)に着目する。 © PERSOL CAREER CO., LTD. 7
  5. 01. AIネイティブ企業への挑戦 高性能なAIだけでは、企業固有の判断は再現できない 多くのAIモデルやSaaSが利用可能になるほど、モデルやSaaSだけでは持続的な差別化が難しくなる 1 判断の壁 2 スケールの壁 3 差別化の壁

    データの意味と責任が定義されない データ準備が個別対応から脱却できない 企業固有の知識が資産化されない • データは増えても、意味・定義・来歴は自 然には整わない • 誰が正しさを保証するかが曖昧なまま残る • AIが正しいコンテキストを判断できない • 活用のたびに、探す・整える・確認する作業 が発生する • 個別対応である限り、活用の増加とともに負 荷も増える • 全社展開できない • 現場の判断理由や暗黙知が残らない • AIが「自社らしい判断」を学習できない • モデルやSaaSだけでは差別化できない AIモデルを導入するだけでは、データの意味は定義されず、準備作業は減らず、企業固有の知識も蓄積されない AI投資を事業成果につなげるには、企業固有の知識を「AIが使えるデータ」として整備・流通させる必要がある © PERSOL CAREER CO., LTD. 8
  6. 01. AIネイティブ企業への挑戦 結果を記録するデータから、判断を学習できる知識へ AI時代のデータ戦略は、従来のWHATに加え、現場の専門性・洞察・判断理由であるWHYを資産化する WHAT|結果ログ WHY|文脈ログ これまで蓄積してきたデータ これから資産化すべき知識 Context Gap

    AIに不足しているもの • • • • • • • • • • • どの求人を提案したか 応募・辞退・決定したか 職種・年収・選考結果 売上や成約率はいくらか 「何が起きたか」は分かる 判断した理由 判断時の状況 顧客・候補者の意向 現場の専門的な解釈 • • • • 候補者は何を重視したか なぜこの求人を提案したか なぜ応募を迷ったのか 決定に何が影響したか 「なぜ判断したか」まで分かる 例:人材紹介におけるデータの広がり ※説明用のサンプルシナリオ A社への入社を決定した 候補者が対面でのコミュニケーション機会を重視していたため、 出社とリモートを組み合わせられるA社を提案した 結果の記録から、判断の文脈までを企業の知識資産として残す © PERSOL CAREER CO., LTD. 9
  7. 02.インテリジェンスプラットフォーム構想 企業固有の知識を循環させる Intelligence Platform 単なるデータの置き場ではなく、人とAIの意思決定を継続的に高度化するためのプラットフォーム 01 02 03 発見する 信頼する

    進化させる 必要な知識・アセットにたどり着ける AIも人も安心して利用できる 利用が次の知識になる • データ・ナレッジ・PoCを横断検索 • AI・ツール・コード・共通部品を発 見 • 意味・来歴・利用方法を理解し、再 利用 • 品質・鮮度を継続監視 • 利用条件・権限を自動適用 • 変更影響を可視化 • 判断結果とWHYを蓄積 • フィードバックを知識化 • AIと人が継続的に学習 Intelligence Platform 3つの価値を同時に実現し、AI活用を「実験」から「事業運用」へ移行する © PERSOL CAREER CO., LTD. 11
  8. 02.インテリジェンスプラットフォーム構想 Strategy as Code の実現 経営戦略を資料に留めず、AIが戦略実行を支援する。戦略・判断・実行・学習が回り続ける状態をつくる 経営 AI|戦略解釈 現場利用 AI|学習・分析

    Strategy / KPI / Priority Strategy as Code Action / Decision Knowledge Creation 戦略・重点施策・優先順位・ ガードレールを定義 戦略を解釈し、実行計画・ 判断条件・制約へ変換 顧客接点・業務判断・ 施策実行で活用 結果とWHYからパターン・ 知識・新たな示唆を抽出 実行結果・顧客反応・判断の文脈を経営へ還流 Strategy Loop|戦略をAIが実行可能な形へ変換 Learning Loop|現場の結果から次の戦略を学習 経営 → AI(戦略解釈) → 現場利用 → AI(学習・分析) → 経営を、継続的なフィードバックループとして実装 © PERSOL CAREER CO., LTD. 12
  9. 03. Strategy as Code の実現方法 企業知識の意味と責任を、誰が持つのか データの管理方式ではなく、企業知識を継続的に生み出し、維持するための責任配置を考える 中央で担えること 現場にしか持てない知識 責任を適切な場所に置く

    共通化・標準化・統制 業務文脈・意味・判断 意味を知る場所に責任を置く • データの業務上の意味 • 判断理由・WHY • 顧客・業務のコンテキスト • 変化する業務ルール • 現場が意味を定義する • 品質・公開に責任を持つ • 中央は共通ガードレールを提供 する • 共通ルール • セキュリティ • プラットフォーム 経営の意図を現場へ、現場の結果と文脈を経営へ。AIがその循環を加速する すべてを分散するのではない。意味を知る場所に責任を置き、中央は共通ガードレールを担う © PERSOL CAREER CO., LTD. 14
  10. 03. Strategy as Code の実現方法 責任と意思決定を分散する、Data Mesh型の運営モデルへ 5つの横断ドメイン + ビジネスドメインと3つの設計原則で、企業規模のAI・データ活用を支える

    戦略 DataHub データAIラボ ガバナンス イネーブルメント ビジネス 戦略・知能創出 流通 新しい知識の発見 統制 自走支援 価値創出 戦略的インサイト 知識資産経営 Strategy as Code 収集・配信 来歴管理 標準パイプライン PoC・探索的分析 AIモデル検証 仮説検証と知識創出 品質監視 セキュリティ データコントラクト 共通部品 開発標準 セルフサービス 意味を定義 品質・公開に責任 事業価値を創出 設計原則 1 ドメインによる自律 2 契約による信頼 3 システムによる統制 データの意味を理解する現場が、 品質・意味・公開に責任を持つ 提供者と利用者が、スキーマ・品質・ 鮮度・利用条件を合意する ルールをコード化し、品質と セキュリティを自動適用する 中央がすべてを管理するのではなく、共通ガードレールの内側で、各ドメインがデータの品質と価値創出に責任を持つ。 経営の意図を現場へ、現場の結果と文脈を経営へ。AIがその循環を加速する これが、インテリジェンスプラットフォームで実現するData Meshである。 © PERSOL CAREER CO., LTD. 15
  11. 04.自律だけでは、データは信頼されない 独自性が問題なのではない。共有時の「約束」が見えなければ、利用者とAIは信頼できない 各ドメインは意味・品質・更新方法を自律的に決めてよい。ただし、共有するデータは定義・品質・利用条件・変更責任 を明示する ドメインA ドメインB ドメインC 独自性は許容 約束が見えない 状態が不明

    • 独自の項目名・定義 • 独自の品質基準 • 独自の更新頻度 • 同じ言葉を別の意味で利用 • 変更が利用者へ通知されない • オーナー・責任範囲が不明 利用するなら定義を確認する AI・利用者から見た状態 • 意味・定義を確認できない • 品質水準・鮮度が分からない • 変更内容・影響を追跡できない • 利用可能な目的・範囲が分からない • データの鮮度が不明 • データの品質状態が不明 • 管理外データの利用 | 共有するなら意味・品質・利用条件・変更を明示する | 合意した約束を継続的に守る 経営の意図を現場へ、現場の結果と文脈を経営へ。AIがその循環を加速する 自律はデータ供給を速くする。しかし、共有時の約束が明示されなければ、データの信頼性は下がる © PERSOL CAREER CO., LTD. 17
  12. 04.自律だけでは、データは信頼されない 人間なら補える曖昧さが、AIには致命的になる AIは、データの意味・品質・利用条件を、会話や経験から補完できない 人間による利用 AIによる利用 会話・経験・業務知識で補完 与えられたデータをそのまま解釈 • 「最近、定義が変わった」 •

    「これは速報値である」 • 「欠損には業務上の理由がある」 • 「この用途では利用できない」 • 古い定義と新しい定義を混在 • 速報値と確定値を区別できない • 欠損を事実として処理 • 利用条件を自律判断できない 曖昧なデータ もっともらしい推論 誤った判断・実行 経営の意図を現場へ、現場の結果と文脈を経営へ。AIがその循環を加速する AI時代のデータ品質は、レポートの正確性ではなく、AIによる判断と業務実行の安全性に直結する © PERSOL CAREER CO., LTD. 18
  13. 04.自律だけでは、データは信頼されない 自律を止めずに信頼を担保するには、機械が検証できる約束が必要 人間による個別確認では、企業規模のAI・データ活用を継続的に支えられない 人間による統制 遅い・属人的・事後対応 • 手順書を読む • 会議で確認する •

    申請を人が審査する • 問題発生後に調査する システムによる統制 共通の約束を 機械が検証できる形 へ 品質 | 鮮度 | スキーマ 変更 | 利用条件 | 責任 速い・再現可能・継続的 • スキーマを自動検証 • 品質・鮮度を継続監視 • 変更影響を自動検知 • 利用条件を自動適用 • 違反時に自動通知 経営の意図を現場へ、現場の結果と文脈を経営へ。AIがその循環を加速する 提供者と利用者の約束を明文化し、システムで継続的に検証する。それが Data Contract である © PERSOL CAREER CO., LTD. 19
  14. 05. Data Contractによる信頼の実装 Data Contractは、ProviderとConsumerの「信頼の合意」である 合意をPolicy as Codeとして実装し、信頼を人の確認からシステムの実行へ移す Provider データ提供者

    DATA CONTRACT 提供条件を 定義 意味・品質・変更に 責任を持つ ProviderとConsumerが合意する 品質・鮮度 スキーマ・互換性 意味・算出ルール 公開範囲・責任 利用条件に 合意 Consumer データ利用者 契約に合意し、 適正な利用とフィードバックに 責任を持つ Policy as Code システムが継続的に実行する 自動検証 自動通知 自動ブロック 自動監査 Data Contractは、Providerだけが品質を約束する仕組みではない。 ProviderとConsumerが相互の責務に合意する仕組みである。 © PERSOL CAREER CO., LTD. 21
  15. 05. Data Contractによる信頼の実装 Data Contractは、IF定義書ではない 信頼を実装するには、接続仕様だけでなく「意味」と「統制」まで機械可読にする必要がある Schema Format Interface 接続できること

    Contract別 適用例 当社が目指すデータ連携/公開 の契約 IF定義としての契約 Technical Semantic Governance 接続・運用品質 意味・解釈 統制・責任 • Business Term • KPI Definition • Calculation Rule • Data Meaning • Classification • Access Control • Masking • Ownership • Schema • Freshness / Availability • Compatibility • Lineage Ingestion Contract Data Product Contract Product Usage Contract 接続できることと、理解できることは違う Contractは固定テンプレートではない。目的・提供形態等に応じて、必要な条項を設計する © PERSOL CAREER CO., LTD. 22
  16. 05. Data Contractによる信頼の実装 Data Contractは、固定文書ではなく継続的に進化する知識資産 AIは定義を効率化する。しかし、知識を公式化し、変化に合わせて進化させる責任はドメインが持つ 01 業務情報 02 AIによる提案

    03 Domain Owner AIが参照する材料 入力負荷を下げる • カラム名・値の分布 • 社内用語集 • 既存の説明・リネージ • 論理名・概要 • データ粒度 • 計算ロジック・許容値 • 業務上の正しさを確認 • 提案を編集・公式登録 • 変更後も継続的に責任 提案はまだ公式情報ではない 意味の責任はドメインに残る AIは意味の候補を生成し、定義・更新の負荷を下げる 意味を公式化し、進化させる 04 Contract検証 責任の履行を確認する • 登録内容との一致 • 必須メタデータの充足 • 構造・品質ルールの検証 知識を公式化し、継続的に進化させる責任はドメインオーナーが持つ AIは意味の入力を支援する。人間は意味を決定する。システムは、登録された意味とContractの一致を確認する © PERSOL CAREER CO., LTD. 23
  17. 06. 今後の展望 AI時代に重要なのは、知識の循環である 人が生み出す企業固有の知識を、安全に蓄積・流通させ、AIと共に利用し、結果から次の知識へ進化させる 01|人が生み出す 戦略・KPI/ Strategy as Codeの原則 業務知識/顧客理解

    判断理由・WHY/データの意味 04|AIと人が活用する KNOWLEDGE LOOP Agentによる判断・実行支援 結果と文脈から新たな知識を抽出 企業固有の知識を 循環させ、組織を賢くする 02|知識として蓄積・流通 Metadata・Catalog・Lineage Data Meshによるドメイン責任 03|信頼を実装する Data Contract/Governance as Code 品質・意味・利用条件を検証 Data MeshもData ContractもAIも手段に過ぎない。 人の知識を循環させ、組織全体が学習し続けることで「キャリアオーナーシップを育む社会を創造」を実現する。 © PERSOL CAREER CO., LTD. 25