HL-LHC実験では,その高いルミノシティによって,未解明なヒッグス・セクターについての詳細な情報が得られると期待される.陽子・陽子コライダーでのヒッグス粒子の生成散乱断面積において最も大きいグルーオン融合過程の寄与は,摂動論的QCDの枠組みでnext-to-next-to-next-to-leading order (N^3LO)までパートン散乱断面積が知られている.しかしハドロン・レベルでの散乱断面積を考えたときの理論誤差のひとつは,陽子中のパートン分布関数がnext-to-next-to-leading order (NNLO)までしか知られてないことに起因する.この状況を解消するための第一歩として,本研究ではクォーク・フレーバーの非一重項の場合について現象論的に十分な精度の4ループQCDパートン分岐関数の近似を与えた.