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Effective Retrospective とにかく楽しいふりかえり

Effective Retrospective とにかく楽しいふりかえり

2019/01/10 Regional Scrum Gathering Tokyo 2019
Day2 13:00~13:45 HallB にて登壇した際の資料です。

楽しいふりかえりを作るための価値・原則を皆さんに共有します。

viva_tweet_x

January 10, 2019
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Transcript

  1. あなたのふりかえりはどうでしょうか 楽 し い 楽 し く な い 効果的ではない

    効果的である ※現在チームを組んでいない方は、過去のふりかえりを想像してください
  2. あなたのふりかえりはどうでしょうか ※現在チームを組んでいない方は、過去のふりかえりを想像してください ① 楽しく、 よい効果も得られている ③ 楽しいが、 よい効果は得られていない ② 楽しくないが、

    よい効果は得られている ④ 楽しくなく、 よい効果も得られていない 楽 し い 楽 し く な い 効果的ではない 効果的である 楽しさがふりかえりの効果を増大させる
  3. あなたのふりかえりはどうでしょうか ※現在チームを組んでいない方は、過去のふりかえりを想像してください ① 楽しく、 よい効果も得られている ③ 楽しいが、 よい効果は得られていない ② 楽しくないが、

    よい効果は得られている ④ 楽しくなく、 よい効果も得られていない 楽 し い 楽 し く な い 効果的ではない 効果的である 本日の お話する部分 楽しさがふりかえりの効果を増大させる
  4. 今日のスライドはURLを公開しています Twitter / Facebook にて投稿しています (@viva_tweet_x) • スライドの写真は撮っていただいて構いませんが、 周りに迷惑にならないようにお願いします •

    Twitter/Facebookでの実況は大歓迎です • みなさんのふりかえりの材料になります • 私の励みになります • 私のふりかえりの材料になります (もちろん、ほかの講演も!)
  5. 部分最適と全体最適 通常時 A 30個/h B C 20個/h 10個/h 失敗時 受け渡し

    受け渡し 最終成果 10個/h 25個/h 20個/h 10個/h 受け渡し 受け渡し 最終成果 10個/h ミスが原因で 生産性ダウン
  6. 部分最適と全体最適 通常時 A 30個/h B C 20個/h 10個/h 失敗時 受け渡し

    受け渡し 最終成果 10個/h 30個/h 20個/h 10個/h 受け渡し 受け渡し 最終成果 10個/h ミスが原因で 生産性ダウン ミスが起こらないように マニュアルを徹底しました
  7. 部分最適と全体最適 通常時 30個/h 20個/h 10個/h 失敗時 受け渡し 受け渡し 最終成果 10個/h

    30個/h 20個/h 10個/h 受け渡し 受け渡し 最終成果 10個/h ミスが原因で 生産性ダウン ミスが起こらないように マニュアルを徹底しました チーム全体の成果には つながらない A B C
  8. 部分最適と全体最適 真の改善案 20個/h 20個/h 15個/h 受け渡し 受け渡し 最終成果 15個/h 最終成果は

    5アップする Aの生産性を10犠牲にし てでも、Cを助ける AとCが一緒に実施 5アップ A B A+C
  9. 部分最適と全体最適 真の改善案 20個/h 20個/h 15個/h 受け渡し 受け渡し 最終成果 15個/h 最終成果は

    5アップする Aの生産性を10犠牲にし てでも、Cを助ける AとCが一緒に実施 5アップ • 実際はこう単純ではないが… • 実際の現場でも起こりがちな部分最適なアクション • 全体最適に向かうように関係の質を高めておく A B A+C
  10. コミュニケーション・コラボレーション チームの成長の鍵 • どんなコミュニケーションが望ましいか • どんなコミュニケーションがよかったか • それをチーム全体に広げるにはどうすればいいか • よりよいコミュニケーションをとるためには

    どうすればいいか • どんなコラボレーションがよかったか • どこがよかったのか、どこがうれしかったのか • つぎもコラボレーションを起こすためには? ふりかえりの中で重点的に聞いていく(例:KPT)
  11. 自己承認と他己承認 自己承認 • 自分のうまくいったことを「認める」「ほめる」 • モチベーションがアップする効果 • 他者のいいところを見つけるのがうまくなる 「他己承認」につながる 他己承認

    • 他者のいいところを「認め合う」 • 他者が気づいていない「自分のよいところ」に気づく • 他己承認しあうことによる正のループ
  12. ふりかえりの3つの目的・3ステップ 立ち止まる チームを成長させる プロセスをカイゼンする  視野を広げる  みんなで止まる  「人」「関係」に着目する

     部分最適と全体最適  関係の質を高める  コミュニケーション  コラボレーション  改善とカイゼン  問題をすべて解消する必要はない  よいところを伸ばす  自己防衛本能に逆らう  自己承認と他己承認
  13. アクティビティ:DPA • Design the Partnership Alliance • ふりかえりの雰囲気をどうするかを全員で決める • 「どんな雰囲気でふりかえりたいか」

    • 「その雰囲気を作るために何をするか」 ルールの例 • 楽しい雰囲気 ⇒いい意見だと思ったら「イイネ!」と言う • 意見を尊重する雰囲気 ⇒発言をさえぎらない ⇒批判・否定しない
  14. 場を設定するアクティビティいろいろ Moving Motivators 価値観を共有する DPA 場の雰囲気と、そのためにする行動を合意する One Word 一言で今の気持ちを表す Focus

    On / Focus Off 生産的なコミュニケーションのやり方について共有する Working Agreements チームのルールを新しく決める 希望と懸念 ふりかえりに対する希望と懸念事項を共有する Six Thinking Hats(Blue Hat) ふりかえりの目的を話し合う Happiness Rader テーマに対する気持ちを顔文字で表す Happiness Rader for Timeline 今週の日ごとの気持ちを顔文字で表す 3 dots ふりかえり前の気持ちを3段階のドットで表す 連想ゲーム 今週起こったことについて一言ずつ発言し、1~2分間回す Keep + Wakattakoto よかったこと、分かったことを共有する Good & New よかったこと、新しい気づきを共有する 感謝 感謝を言い合う
  15. 楽しいふりかえりを構成する3つの要素 場 学び 成長 心理的な場作り • 前向きスイッチ • 議論と対話 •

    ルールを自分たちで作る • (Good&New) • (DPA) 物理的な場作り • 人対問題の構図 • 空間の利用 • リラックスがアイデアを生む
  16. アクティビティ:Celebration Grid • 成功・失敗から得られた学びを祝いあう 出典:Management 3.0 失 敗 成 功

    outcome 行動・振る舞い ミス 実験 プラクティス 運がよかった 良質な学びが あったよね どうして そうして しまったのか 失敗からも 学びが多い 運が悪かった 正しい行動! 気づきは あった?
  17. 楽しいふりかえりを構成する3つの要素 場 学び 成長 心理的な場作り • 前向きスイッチ • 議論と対話 •

    ルールを自分たちで作る • (Good&New) • (DPA) 物理的な場作り • 人対問題の構図 • 空間の利用 • リラックスがアイデアを生む • 学びを大切にする • 学びの共有 • (学習マトリックス) • (Fun / Done/ Learn) • (Celebration Grid)
  18. 自己効力感・集団効力感 • 成功(うまくいったこと)を自覚する • 成長を自覚する • 自身のスキルの成長 • チームメンバーとしての成長 •

    チームの成長 • 「自分たちはここまでできる」というボーダーを 引けるようになる • 自信につながる • チャレンジにもつながりやすくなる
  19. 楽しいふりかえりを構成する3つの要素 場 学び 成長 心理的な場作り • 前向きスイッチ • 議論と対話 •

    ルールを自分たちで作る • (Good&New) • (DPA) 物理的な場作り • 人対問題の構図 • 空間の利用 • リラックスがアイデアを生む • 学びを大切にする • 学びの共有 • (学習マトリックス) • (Fun / Done/ Learn) • (Celebration Grid) • 自己効力感 • 集団効力感 • モチベーション • エンゲージメント
  20. ふりかえりの3つの目的・3ステップ 立ち止まる チームを成長させる プロセスをカイゼンする  視野を広げる  みんなで止まる  「人」「関係」に着目する

     部分最適と全体最適  関係の質を高める  コミュニケーション  コラボレーション  改善とカイゼン  問題をすべて解消する必要はない  よいところを伸ばす  自己防衛本能に逆らう  自己承認と他己承認
  21. 楽しいふりかえりを構成する3つの要素 場 学び 成長 心理的な場作り • 前向きスイッチ • 議論と対話 •

    ルールを自分たちで作る • (Good&New) • (DPA) 物理的な場作り • 人対問題の構図 • 空間の利用 • リラックスがアイデアを生む • 学びを大切にする • 学びの共有 • (学習マトリックス) • (Fun / Done/ Learn) • (Celebration Grid) • 自己効力感 • 集団効力感 • モチベーション • エンゲージメント
  22. ふりかえりの10つのステップ 参考:「ふりかえりのファシリテーションを考えてみる」 https://qiita.com/viva_tweet_x/items/400cf1e1e6b1dffbd140 1. 目的を考える 2. 構成を考える 3. 事前準備をする 4.

    物理的な場を作る 5. 心理的な場を作る 6. データを収集する 7. アイデアを出す 8. アクションを決定する 9. ふりかえりを終了する 10.ふりかえりをふりかえる 書籍 アジャイルレトロスペクティブズ に準拠
  23. 1. 目的を考える • チームの状況によって、どんなことをしたらチーム の成長に結びつくか、は異なる • 毎週ふりかえりを行っているチームでも、目的は 毎週少しずつ異なる 目的は以下の7つに分類される 1.

    チームビルディングをしたい 2. 成功を共有・活かしたい 3. 学習を共有・活かしたい 4. 失敗を共有・カイゼンしたい 5. 課題を共有・対策を考えたい 6. 成果を共有・活かしたい 7. 過去のアクションができているかを確認したい
  24. 2. 構成を考える アジャイルレトロスペクティブズのやり方に踏襲する 1. (心理的な)場を設定する 2. データを収集する 3. アイデアを出す 4.

    アクションを決定する 5. ふりかえりを終了する フェーズごとに複数のアクティビティが存在する。ふ りかえりの目的によって適切なアクティビティは異な るため、慣れないうちはどのアクティビティがよいか をじっくり考える必要あり
  25. 3. 事前準備をする • アクティビティに必要な道具をそろえる • (例)「KPT」を行う場合 • 「K/P/T」が書かれたホワイトボード • 「K/P/Tを出す際に鍵となる質問の一覧」が書

    かれたホワイトボード • 汎用的に使える道具 • ホワイトボード(どこでもシート) • ホワイトボードマーカー • ポストイット強粘着 • 付箋用のペン • ドットシール • タイマーとベル • 飲食物 • 音楽をかける道具
  26. 8. アクションを決定する • アイデアのなかから、次に取り組むアクションを皆で決定 する。 • アイデア全てを「アクション」としないことと、具体的な アイデアに落とし込むこと • 一度に多くのことを変えようとすると、それぞれの

    アクションがどういい方向に結びついたのかが観測 できなくなる • 最もコアな問題から、だれが、どのように、いつまでに変 えていくのか、を出来る限り具体的に落とし込んでいく ことを意識する
  27. 10. ふりかえりをふりかえる • ここまでの一連の流れで行ったふりかえりを、 今一度見つめなおす • どんな目的をもって、どのような構成にしたか。それは うまくいったか • それぞれのアクティビティの特性はなんだったか。次は

    どこを改善すればよりよくなるか など • ふりかえりのふりかえりにより、ふりかえりは加速度的に よいものになっていく • ふりかえりの写真を残しておくだけでも、ふりかえりの 変化を定性的に測ることができる • ふりかえりを企画・ファシリテートした人が重点的に行う べき活動 • チーム全員でできるとなおよい
  28. 心理的な場を作るアクティビティ Moving Motivators 価値観を共有する DPA 場の雰囲気と、そのためにする行動を合意する One Word 一言で今の気持ちを表す Focus

    On / Focus Off 生産的なコミュニケーションのやり方について共有する Working Agreements チームのルールを新しく決める 希望と懸念 ふりかえりに対する希望と懸念事項を共有する Six Thinking Hats(Blue Hat) ふりかえりの目的を話し合う Happiness Rader テーマに対する気持ちを顔文字で表す Happiness Rader for Timeline 今週の日ごとの気持ちを顔文字で表す 3 dots ふりかえり前の気持ちを3段階のドットで表す 連想ゲーム 今週起こったことについて一言ずつ発言し、1~2分間回す Keep + Wakattakoto よかったこと、分かったことを共有する Good & New よかったこと、新しい気づきを共有する 感謝 感謝を言い合う
  29. データを収集するアクティビティ KPT (Keep, Problem) よかったこと、問題を収集する Six Thinkng Hats (White Hat,

    Red Hat, Yellow Hat, Black Hat) (白)事実・情報/(赤)感情/(黄)よいこと/(黒)悪いこと をそれぞれ洗い出す Timeline 時系列の事実、感情を収集する Story of Story 時系列の事実、続けること、改善、コミュニケーション・コ ラボレーションを収集する Value Stream Map プロセスを洗い出し、ムダを収集する 555 (Triple Nickels) 交換日記形式で事実・アイデアを収集する 喜、怒、哀 感情を収集する Five-Whys 「なぜ」を繰り返して1つの問題の根本原因を探る FMEA 「Failure」「Analysis」「Evaluation」「Action」 「Validation」に分かれて重要度の高い課題に対してアク ションを決める 熱気球 我々の活動を早くするもの、遅くするもの、を分析する YWT (Yattakoto, Wakattakoto) やったこと、わかったことを収集する ORID (Objective, Reflective) 事実、感情を収集する
  30. アイデアを出すアクティビティ KPT (Try) Keepの強化、Problemの解消を考える Six Thinking Hats (Green Hat) アイデアを考える

    ブレインストーミング アイデアをブレストでたくさん出す パターンとシフト Timelineからどんなパターン、シフトがあったかを 考える 学習マトリックス 続けること、改善すること、新しい気付き、感謝を 考える Repeat / Avoid 繰り返す/避けることを考える 4Ls (Liked, Learned, Lacked, Longed for) 好きなこと、学んだこと、欠けていること、 望むことを考える Marginal Gain 1%の改善をたくさん出す なぜなぜ分析 なぜ失敗したのか、なぜ成功したのかを深堀する Following up on Action Items 過去のアクションが出来ているかを見直す Celebration Grid 行動と成功失敗のマトリックスより、 学習と課題を考える YWT (Tsugiyarukoto) つぎやることを考える ORID (Interpretative, Decision) 学習を出し、やることを考える ドットによる優先付け 優先付けをしてアイデアを絞る
  31. アクションを決定するアクティビティ KPTA (Action) Tryの中からActionを決定する Six Thinking Hats (Red Hat) アクションを話し合う

    SMART Goals 具体的なアクションをチームで1つ決める SSC (Stop, Start, Continue) やめること、始めること、続けることを決める DAKI (Drop, Add, Keep, Improve) やめること、始めること、続けること、改善を決める Starfish やめること、始めること、続けること、 強化すること、無駄の削減を決める Small Starfish 続けること、強化すること、無駄の削減を決める Circle of Questions 対話によりやることを決める Effort and Pain 努力が少なく、痛みを軽減するアクションを選ぶ Feasible and Useful 実現可能性が高く、役に立つアクションを選ぶ ドット投票 投票によりアクションを選ぶ アクションプランの作成 個別にアクションを決める
  32. ふりかえりを終了するアクティビティ Six Thinking Hats (Blue Hat) ふりかえりの目的が達成できたかを話し合う プラス/デルタ よかったこと/改善点をフィードバックする 感謝

    お互いに感謝を言い合う 温度計 感謝、新しい情報、興味のあること、提案、希望 をそれぞれ言い合う 投資対効果(ROTI) ふりかえりの投資対効果を聞き、フィードバック を受ける 役立った、邪魔した、仮定した ふりかえり中に役立った、邪魔した行動、改善点 をフィードバックする 360度感謝 全員が全員に感謝を言い合う 360度フィードバック お互いにフィードバックをしあう 3 dots ふりかえり後の気持ちを3段階で表す Note to Self 努力が少なく、痛みを軽減するアクションを選ぶ ドット投票 自分のためにメモで残す
  33. 参考:4タイプのふりかえり 個人 チーム 自分自身で「学んだこと」をふりかえり、 学習を強化する チームの動き方・プロセスをカイゼン する プロジェクト プロジェクトの成功・失敗を分析して次に 繋げる

    組織 組織の活動結果を分析して今後の方向性を 決める 期間 タイプ やること 1日~ 1週間 時間 5分~ 30分 1週間~ 1ヶ月 60分~ 120分 1ヶ月~ 3ヶ月 120分~ 240分 1ヶ月~ 1年 120分~ 240分
  34. 参考:4タイプのふりかえり 個人 チーム 自分自身で「学んだこと」をふりかえり、 学習を強化する チームの動き方・プロセスをカイゼン する プロジェクト プロジェクトの成功・失敗を分析して次に 繋げる

    組織 組織の活動結果を分析して今後の方向性を 決める 期間 タイプ やること 1日~ 1週間 時間 5分~ 30分 1週間~ 1ヶ月 60分~ 120分 1ヶ月~ 3ヶ月 120分~ 240分 1ヶ月~ 1年 120分~ 240分 状況に応じて組み合わせて使っていく
  35. 【参考書籍】 これだけ!KPT アジャイルレトロスペクティブズ FUN RETROSPECTIVES ふりかえり読本 場作り編 さいごに 野村総合研究所では、「bit Labs」という組織で、ふりかえり、スクラムなど、

    チームへのコーチングを行っております。 気になること、ご相談がありましたら気軽にご相談ください。 ふりかえりのファシリテーター向けの考え方については Qiita記事も参考にしてください https://qiita.com/viva_tweet_x/items/400cf1e1e6b1dffbd140 「ふりかえりのファシリテーションを考えてみる」 野村総合研究所 bit Labs 森一樹 [email protected] @viva_tweet_x (びば) https://www.facebook.com/kazuki.mori.12 ふりかえりをもっと知りたい、という方はぜひ 「ふりかえり実践会」にご参加ください。 https://retrospective.connpass.com/