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Redmine 20周年に向けて: 現在の課題と未来のための取り組み

Redmine 20周年に向けて: 現在の課題と未来のための取り組み

2025年6月、Redmineは19周年を迎えました。これはオープンソースのプロジェクト管理ツールとして、極めて長寿な部類に入ります。そして来年にはいよいよ20周年という大きな節目が訪れます。
Redmineにこれまで情報発信・ビジネス活用・開発貢献など様々な面から18年近くかかわってきた者の視点から、これまでの歴史、現在の課題、そしてRedmineが20年目以降も実用的なツールとして愛されるために必要な取り組みを考えます。

2025年7月25日開催 Redmine Japan Vol.4 講演資料

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July 25, 2025
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  1. ▪ Redmine 非 公式情報サイト「Redmine.JP」創 立 者(2007) ▪ 書籍「 入門 Redmine

    第6版」監修者(2024) 第1版〜第5版 著者(2008, 2010, 2012, 2014) ▪ Redmineコミッター(2017-) ▪ ファーエンドテクノロジー株式会社 代表取締役(2008-) http://linktr.ee/maeda.go  自己 紹介 前 田 剛 Redmineのクラウドサービスを 提供している会社です Redmineを使い始めてもうすぐ18年です。
  2. Redmine 0.1.0で既に実装されていた重要機能  == 06/25/2006 - v0.1.0 * multiple users/multiple

    projects * role based access control * issue tracking system * fully customizable workflow * documents/files repository * email notifications on issue creation and update * multilanguage support (except for error messages):english, french, spanish * online manual in french (unfinished) Redmineを特徴づける重要な機能のいくつかが最初のリリースで既に実装されてい たことがリリースノートからわかる。
  3. == 06/25/2006 - v0.1.0 * multiple users/multiple projects * role

    based access control * issue tracking system * fully customizable workflow * documents/files repository * email notifications on issue creation and update * multilanguage support (except for error messages):english, french, spanish * online manual in french (unfinished) 複数プロジェクトのサポート 
  4. == 06/25/2006 - v0.1.0 * multiple users/multiple projects * role

    based access control * issue tracking system * fully customizable workflow * documents/files repository * email notifications on issue creation and update * multilanguage support (except for error messages):english, french, spanish * online manual in french (unfinished) ロールベースアクセス制御 
  5. == 06/25/2006 - v0.1.0 * multiple users/multiple projects * role

    based access control * issue tracking system * fully customizable workflow * documents/files repository * email notifications on issue creation and update * multilanguage support (except for error messages):english, french, spanish * online manual in french (unfinished) カスタマイズ可能なワークフロー 
  6. == 06/25/2006 - v0.1.0 * multiple users/multiple projects * role

    based access control * issue tracking system * fully customizable workflow * documents/files repository * email notifications on issue creation and update * multilanguage support (except for error messages):english, french, spanish * online manual in french (unfinished) 多 言 語対応 
  7. 20年続くオープンソースソフトウェア  オープンソースソフトウェアが20年続くのは容易ではない。多くのユーザーに活 用 され、かつ継続的に保守・リリースされることが必要。 ▪ 1998 (27年前): Bugzilla ▪

    2000 (25年前): MantisBT ▪ 2004 (21年前): Trac, Ruby on Rails, Nginx ▪ 2005 (20年前): Git, Django ▪ 2006 (19年前): Redmine, jQuery 【ファーストリリースから20年前後経過したOSSの例】
  8. 先 行 するソフトウェアTracを参考にした設計  Tracは当時 高 い 人 気を誇っていたバグトラッキングツール。RedmineはTracの影響 を

    大 きく受けた印象があるが、当時のTracにはない優位点があった。それが初期の 普及に貢献した。 ▪ 複数プロジェクト対応 ▪ ワークフロー ▪ 多 言 語対応 ▪ コマンドラインではなくWebの管理画 面 でほとんどの設定が可能 ▪ Out-of-boxで多数の機能が使える
  9. 題名 説明 題名 新規 進 行 中 終了 新規 進

    行 中 承認待ち 終了 適 用 待ち 担当者 トラッカー「タスク」 トラッカー「不具合」 説明 不具合 原因 処置 トラッカーとワークフローを活 用 することでRedmineのチケットを業務にあわせて カスタマイズできる。 
  10. Jean-Philippe Lang 氏 を中 心 とした継続的な活動  Redmineの開発者Jepan-Philippe Lang 氏

    を中 心 に継続して開発が継続。また、 Redmineのホスティングを 行 う企業による開発貢献もあった。多数の貢献者の協 力 によりメンテナンスが継続した。
  11. SaaS型ツールの台頭  Jira、Backlog、Trello、GitHub IssuesなどSaaS型ツールが台頭。 ▪ 運 用 の 工 夫をせずともアジャイル開発など特定

    用 途にすぐに適 用 できる ▪ モダン・直感的なユーザーインターフェイス ▪ 一方 、Redmineはユーザーインターフェイスの 大 きな改善は 行 われておら ず、 一 般のWebアプリケーションのモダン化との間にギャップが発 生
  12. ▪ 現時点では 高 い知名度を維持 ▪ 多様な 用 途に対応できる 高 い柔軟性は今なお有効

    特に、カスタムフィールド、ステータス、トラッカー、ワークフローを 使いこなす必要がある 用 途で真価を発揮 ▪ セルフホスト可能なOSSのプロジェクト管理ツールとしては重要な選択肢 ▪ ただ新規のユーザーをひきつけることができているかは不明 
  13. 開発体制の充実  ▪ アクティブなコミッターはオーナーのJean-Phillipe Lang 氏 を含めて 3 人 。もっと必要

    ▪ 開発チームが組織化が必要。現状は各コミッターがバラバラに動いて いる。また、決定プロセスが存在しないため、 大 きな意思決定が 行 わ れにくい ▪ Jean-Philippe Lang 氏 個 人 に依存しない www.redmine.org の運 用 (サーバ強化、最新バージョン使 用 、恒久的に維持できる仕組み) 恒久的にRedmineの開発が維持できるようにするための体制の整備が必要。
  14. Redmineの情報発信の改善  新規利 用 者を増やすため、またRedmineを使いこなしてもらうための、利活 用 のた めの情報発信が必要。 ▪ 現在は

    www.redmine.org のドキュメントはメンテナンスが停滞。古い 情報・記載されていない情報が多い ▪ カスタムフィールド・ステータス・トラッカー・ワークフローを活 用 し た使い 方 に関する情報は特に少ない → Redmineの強みが伝わっていない ▪ Redmineを使うハードルを 高 めている要因の 一 つ
  15. 使いたくなるユーザーインターフェイス  日 々積極的に使いたくなるような外観とユーザーインターフェイスが必要。 ▪ デフォルトテーマはRedmine 6.0で若 干 改善されたものの、まだまだ改善 が必要

    ▪ Web 1.0時代 風 の操作感は、現代のものへのキャッチアップが必要 ▪ テキスト 入力 はブラウザ標準のTEXTAREAそのままではなく、気持ちよく 入力 できる 入力支 援が必要
  16. ▪ Redmine 非 公式情報サイト「Redmine.JP」創 立 者(2007) ▪ 書籍「 入門 Redmine

    第6版」監修者(2024) 第1版〜第5版 著者(2008, 2010, 2012, 2014) ▪ Redmineコミッター(2017-) ▪ ファーエンドテクノロジー株式会社 代表取締役(2008-) http://linktr.ee/maeda.go  ありがとうございました 前 田 剛 Redmineのクラウドサービスを 提供している会社です