Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
プロダクト開発でも使おう 関数のオーバーロード
Search
yoiwamoto
June 06, 2025
Programming
0
550
プロダクト開発でも使おう 関数のオーバーロード
yoiwamoto
June 06, 2025
Tweet
Share
More Decks by yoiwamoto
See All by yoiwamoto
標準最高!標準はださくないぞ! at fukuoka.ts #1
yoiwamoto
1
550
Other Decks in Programming
See All in Programming
テーブル定義書の構造化抽出して、生成AIでDWH分析を試してみた / devio2025tokyo
kasacchiful
0
250
フロントエンド開発のためのブラウザ組み込みAI入門
masashi
7
3.3k
CSC305 Lecture 06
javiergs
PRO
0
270
CSC509 Lecture 05
javiergs
PRO
0
310
Claude Agent SDK を使ってみよう
hyshu
0
1.3k
XP, Testing and ninja testing ZOZ5
m_seki
3
790
実践Claude Code:20の失敗から学ぶAIペアプログラミング
takedatakashi
16
6.4k
Go言語はstack overflowの夢を見るか?
logica0419
0
510
The Past, Present, and Future of Enterprise Java
ivargrimstad
0
360
Writing Better Go: Lessons from 10 Code Reviews
konradreiche
2
5.2k
Domain-centric? Why Hexagonal, Onion, and Clean Architecture Are Answers to the Wrong Question
olivergierke
3
940
いま中途半端なSwift 6対応をするより、Default ActorやApproachable Concurrencyを有効にしてからでいいんじゃない?
yimajo
2
450
Featured
See All Featured
The World Runs on Bad Software
bkeepers
PRO
72
11k
Fashionably flexible responsive web design (full day workshop)
malarkey
407
66k
Leading Effective Engineering Teams in the AI Era
addyosmani
7
550
I Don’t Have Time: Getting Over the Fear to Launch Your Podcast
jcasabona
34
2.5k
Scaling GitHub
holman
463
140k
Gamification - CAS2011
davidbonilla
81
5.5k
BBQ
matthewcrist
89
9.8k
Java REST API Framework Comparison - PWX 2021
mraible
34
8.9k
10 Git Anti Patterns You Should be Aware of
lemiorhan
PRO
657
61k
The Web Performance Landscape in 2024 [PerfNow 2024]
tammyeverts
10
880
Typedesign – Prime Four
hannesfritz
42
2.8k
How to Ace a Technical Interview
jacobian
280
24k
Transcript
プロダクト開発でも使おう 関数のオーバーロード Yo Iwamoto プロダクトエンジニア @SmartHR 2025.06.6 TSKaigi 2025 事後勉強会
LT
Yo Iwamoto / 岩元 陽 自己紹介 ❏ SmartHR で勤怠管理機能を作っています ❏
近況: Switch 2 って本当に当たるんですか? @yoiwamoto
None
話したいこと 1. 関数のオーバーロードについて 2. プロダクト開発で役に立った話 3. オーバーロードの性質と使いどころ
Function Overloads
関数のオーバーロード (Function Overload) https://www.typescriptlang.org/docs/handbook/2/functions.html#overload-signatures-and-the-implementation-signature 関数宣言を複数記述するような形式で関数のシグネチャを列挙し、 パターンマッチにより動的にシグネチャを決定させるような機能。
関数のオーバーロード (Function Overload) e.g. react-hook-form の watch() にキー、キーの配列、コールバックが渡せたりするあれ
❏ ライブラリとかでよく使われててなんか便利 ❏ 便利だけど、まあメタプロの類 プロダクト開発で使うかと言われるとあんまり? なイメージ。
うまく使うと実装がとても簡潔になったり 最強関数(いい意味)を作れる素敵な機能なので、 改めて概要 & 使い所を紹介します!
オーバーロードのモチベーション 特に型を工夫しない場合 🤔 引数が string なら string、 number なら number
を返すような関数 → 実際に渡した引数の型から動的に推論さ せることができず、常に `number | string`
Generics で対応してみる 💭 value を T と置いて、返り値型を分岐する (改行の問題ももちろんあるけど、) - 一定、実装が複雑になる。
- as T extends number ? number : string のような as の使用が避けられない オーバーロードのモチベーション
オーバーロードで解決 ✨ 宣言された順の優先度でパターンマッチでシグ ネチャを特定。 実装も型定義もとてもシンプル オーバーロードのモチベーション
要するに、 単一の宣言だと限界がある関数シグネチャを、 分割して宣言することによって容易に表現するめの機能 であって、場合によって単に関数を分割したり、Conditional Type を工夫した り、引数のみの分岐であれば Discriminated Union で表現するなど、
基本的に他の方法が取れる。 → より簡潔な型表現にする / ユーティリティ関数のカバーする ユースケースを増やして便利にするために使う
最近オーバーロードが 役に立った話
作りたかったもの routes 定義のヘルパ。 パスパターンを literal で渡すだけで、必要なパラメータを受け取る path() 関数を返してほしい (こういうものを自前で作ってる経緯は割愛)
実現方法 ざっくりこんな感じで実現できる。 ポイントを分解すると、 ① Template Literal Types ② infer による
literal からの型の抽出 ③ 関数のオーバーロード キモは、パスパラメータを含まないパター ンの route では、引数を渡さなくてもエ ラーにならないこと
よくある使い方 ...は省略
一般化すると
① 引数型を分岐したい場合 → Union がハマらなければ使う! ② 返り値型などを分岐したい場合 → 以下の場合を除いてまず使ってみる! 関数のオーバーロードの使いどき
➢ 同じ関数でカバーできるメリットがないかも ➢ Template Literal Types などでパターン量が爆発するかも
引数にパターンがあるだけであれば、理論上ただの Union でほぼ表現できる。 が、Positional Argument の構造が分岐できない! ⚠ 使いどき ① 引数型を分岐したい場合
公式のサンプルコードでは Positional Argument の構造が分岐していて、 makeDate(1749198911) とも呼べるし、 makeDate(6, 6, 2025) とも呼べる
これは Union の場合、以下のようにオブジェクト形式にする、あるいは第二引数を optional にするなどでしか実現できない。 使いどき ① 引数型を分岐したい場合
最初の例で言うと、 PathParameter が `{}` であるような場合に第一引数を required にしたり optional にしたりできているのはオーバーロードのおかげ。 使いどき
① 引数型を分岐したい場合
使いどき ② 返り値型などを分岐したい場合 基本的には使える が、なんでもありのオーバーロードは正直全く関係のない関数もまとめられるもので、 (理論上は)アプリケーションの全ての関数を 1つでカバーできたりする 秩序を保つために、以下は考える - 同じ関数であるメリットがあるか?
- Template Literal Types などでパターン数が爆発しないか? - 推論の度に動的にパターンマッチが実行される - 極端にパターンの多い計算を含んでいると、通常の関数定義より負荷がかかる
おわり