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夜空の暗さの定量的計測とツーリストの星空評価の比較分析~ みさと天文台における予備調査と今後の展望 ~

夜空の暗さの定量的計測とツーリストの星空評価の比較分析~ みさと天文台における予備調査と今後の展望 ~

夜空の暗さの定量的計測とツーリストの星空評価の比較分析 ~ みさと天文台における予備調査と今後の展望 ~

http://www.sti-jpn.org/conf/sti2022/program.html

Tatsuki Yonezawa

October 03, 2023
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Transcript

  1. 夜空の暗さの定量的計測とツー
    リストの星空評価の比較分析
    ~ みさと天文台における予備調査と今後の展望 ~
    米澤 樹(紀美野町みさと天文台)
    澤田 幸輝(和歌山大学大学院観光学研究科)
    尾久土 正己(和歌山大学観光学部)

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  2. アストロツーリズム
    「美しい星空や天体を見上げるために居住地を離れる諸活動(澤田・
    尾久土,2020)」
    例)公開天文台や観光地の星空ツアー、プラネタリウム、オーロラツアー等

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  3. アストロツーリズムの流行

    「星空を眺めるための旅行への参加」に
    興味がある人数は全国で1,440万人
    (宙ツーリズム推進協議会,2019)

    公開天文台で夜間に星を見る人は年間
    55万人(全国公開天文台協会,2006)
    • 2018年は72万人(※予備集計)
    星空を眺めるツアーの例)阿智村

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  4. アストロツーリズムで求められるもの
    「望遠鏡を覗く」や「天文知識に関する学び」よりも「綺麗な星空」を求める
    アストロツーリズム未経験者に対する意識調査(n=163) (澤田他,2021)

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  5. 星空について

    星空の「きれいさ」は日々変化する

    「月齢」「光害の量」「雲量」「風」「空気中のちりの量」「湿度」など様々な
    環境要因により変化する(下記は月齢だけ変化させた例)
    7/29
    新月期の星空
    ※輝度を補正
    しています。
    7/13
    満月期の星空
    ※輝度を補正
    しています。

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  6. 目的

    星空の「きれいさ」は何によって決まるのか

    環境要因と観光客の星空評価を比較
    仮説1
    観光客の星空評価は、空の暗さと相関がある。
    仮説2
    観光客の星空評価は、気温や雲量、月明かりなど個別事象よりも総
    合的な事象である空の暗さと相関がある

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  7. 調査地:みさと天文台

    町立天文台(教育課)

    大人1,500円 子ども200


    プラネタリウムもあり

    2021年リニューアル

    「天の川」を前面に売り出した
    観光施設(山内,2022)

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  8. 空の明るさの計測について

    かつては裸眼測定(何等級まで見えているか・主観的)

    環境省が毎年実施している「全国星空継続観察」はデジタルカメ
    ラを使用
    →基準星と空の暗さを比較し算出
    →算出に時間と手間がかかる

    連続した計測は必要な調査ではSQM-LE を使用した例が多数
    報告されている(山本ほか,2017)

    本調査でもSQM-LEを使用

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  9. SQM-LE

    Unihedron 社が開発

    夜空の表面輝度(以下 NSB)を計測
    する機器

    天頂20度の単位立体角あたりの等
    級値 (mag/arcsec2) の計測可能

    簡単に継続観測が可能、安価である
    ため国内外で広く使用されている
    (Sánchez,2017)

    雲や霧の影響を受けていることを考
    慮する必要がある(山本ほ
    か,2017)

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  10. Open Weather Map

    世界中の任意の地点について、天気
    データを提供

    世界中の気象機関の予測モデル、観
    測データを使用しAPIにて提供
    本調査では、下記理由により使用した

    気象機関の観測地点がない

    雲量を取得するため(気象庁は11地
    点のみ観測)

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  11. 環境要因データ収集
    SQM-LE
    -NSB
    Open Weather map
    API
    -雲量
    -気温
    -天気
    Astrotourism.jp 分析

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  12. 計測例:月齢7.3-9.3
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    NSB(mag/arcsec2)
    時刻
    5月3日 5月4日 5月5日

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  13. ツアー参加者による星空評価の予備調査
    場所:和歌山県紀美野町 みさと天文台
    期間:5/1(月齢7.3) - 6/12(月齢12.6)
    休館日及び悪天候時は実施せず
    人数:250人
    現在の星空の美しさを5段階評価してもらう。
    -バイアスの掛からぬよう、ガイドは星空の状況に言及せず
    -暗順応してからの実施

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  14. 18.80
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    19.20
    19.40
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    NSB(mag/arcsec2)
    参加者評価
    相関係数:0.658(p<0.001)
    仮説1観光客の星空評価は、空の暗さと相関がある
    結果:参加者評価の平均とNSBは正の相関がある

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  15. NSB 気温 雲量 月の等級
    相関係数 .658*** .058 -0.486*** .383*
    ※p 値 ***p<.001, **p<.01, *p<.05
    NSBだけでなく、月の等級と正の相関あり
    雲量と負の相関あり
    来館者評価とNSB、雲量、月の等級それぞれの相関係数の差を検定したとこ
    ろ、有意な結果とはならず
    →仮説2は棄却された
    仮説2:観光客の星空評価は、気温や雲量、月明かりな
    ど個別事象よりも総合的な事象である空の暗さと相関
    がある
    ※月の等級は『天文年鑑2022』を参照

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  16. 予備的考察
    Min 19.06
    Max 20.70
    SQM計測の値
    星の数
    星の等級
    5等級から6等級の違いを認知
    ⇒星の数の違いにより星空を
    評価していると示唆される
    Dark Skies AwarenessのHPより引用

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  17. まとめ・今後の展望
    1. 星空ツアー実施中に行なったため、属性を踏まえた分析ができ
    なった。
    2. 評価の際に周りの意見に同調して答える例が見られた。
    3. ツアーガイドに配慮しているのか、極端に悪い評価をする例が
    少なかった。
    4. 調査時期に見られる春の星空は明るい星の少ない季節であり、
    評価に影響を 与えた可能性がある。
    みさと天文台以外の星空体験での調査や属性を含めて分析など、今
    後も継続して調査する必要がある
    結果:参加者評価の平均とNSBは正の相関がある
    →5等から6等の夜空の違いは認知

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  18. 参考文献
    • 澤田幸輝・尾久土正己ほか(2021)「アストロツーリズムに対する日中間の認識ギャップに注目した
    意識調査」 『2021年日本天文教育普及研究会年会集録』
    • Sánchez de Miguel, A., et al. "Sky Quality Meter measurements in a colour-
    changing world." Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 467.3
    (2017): 2966-2979.
    • 山内千里(2022)「みさと天文台の”令和の大改修”に至るまで」『21世紀WAKAYAMA』100, 9-
    16.
    • 小野間(2017)「星空環境の評価指標の比較」
    • 澤田幸輝・米澤樹・尾久土正己(2022)「アストロツーリストの夜空評価をめぐ
    る予備的考察― Sky
    Quality Meter」『観光学術学会第 11 回大会要旨集』pp. 31-32.
    • 山本・小林・藤井(2017)SQMで福井の夜空の明るさを測る : 測定方法とその 問題点『福井大学地
    域環境研究教育センター研究紀要 「日本海地域の自然と環境」』
    • 田村・安藤(2018)徳島の星空:定点観測による光害の時間的変化

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