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JiraをServerからCloudへ移行した 話とその後のCloud活用について

Yosuke Sakaue
November 30, 2021

JiraをServerからCloudへ移行した 話とその後のCloud活用について

Yosuke Sakaue

November 30, 2021
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  1. © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 株式会社セゾン情報システムズ テクノベーションセンター 阪上 要介

    #49 Tokyo Atlassian Community Online MeetUp 2021/11/30 JIRAをSERVERからCLOUDへ移行した 話とその後のCLOUD活用について
  2. 2 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 本日お伝えしたい内容 ◼弊社が約半年かけてJiraをCloudに移行した際のナレッジやハマりポイントなど をStep

    by Stepでシェアさせていただきます ◼移行が完了した現在の運用事例や、課題などもシェアさせていただきますので、 Cloudの先輩ユーザー様がいらっしゃればアドバイス頂けると幸いです ◼移行を検討中の方にとって少しでも参考になれば幸いです
  3. 3 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 阪上 要介(Yosuke Sakaue)

    Business Unitメンバーへの技術支援や技術教育を担当 Jiraを含めたモダンなインフラの管理者業務やその普及活動 前回の発表 #44 Jira APIで管理者業務を自動化しよう! Qiitaやってます https://qiita.com/Yosuke_Sakaue
  4. 4 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 コーポレートプロフィール ⚫ 会社概要

    商 号 株式会社セゾン情報システムズ 設 立 年 月 日 1970 年 9 月 1 日 代表取締役 社長 内 田 和 弘 資 本 金 1,367百万円 事 業 内 容 ‣ HULFTビジネス ‣ リンケージビジネス ‣ 流通ITサービスビジネス ‣ フィナンシャルITサービスビジネス 従 業 員 数 714名(連結)(2021年3月末時点) 本 社 所 在 地 東京都港区赤坂一丁目8番1号 上 場 市 場 東京証券取引所JASDAQスタンダード市場(9640) 主 要 株 主 ( 上 位 3 位 ) ‣ 株式会社クレディセゾン ‣ イーシーエム エムエフ ‣ イーシーエム マスターフアンド エスピーブイワン 認 定 ・ 届 出 総務省 電気通信事業者届出 品質 セキュリティ ‣ プライバシーマーク付与認定取得 ・登録番号 【11820059】 ‣ JISQ27001:2014(ISO/IEC27001:2013) 認証取得 ・登録番号 【JMAQA-S030】 1970年 1992年 ㈱西武情報センター設立・創業 西武流通グループ(当時)の情報処理機能の統合と新しい情報 サービス業の創造を目的として設立。情報処理サービス事業、 ソフトウェア開発事業を開始。 ㈱セゾン情報システムズに商号変更 1993年 JASDAQスタンダードに上場 通信ミドルウェア「HULFT」販売開始 業種・業界を問わず広汎に利用され、国内シェア第1位の実績を 誇るファイル連携ミドルウェアの販売開始。 2005年 世存信息技術(上海)有限公司を設立 中国における生産拠点として位置づけ、上海に現地法人を設立。 2010年 クラウド関連製品・サービス提供開始 セキュアWebデータ連携ミドルウェア「HULFTクラウド(現 HULFT-WebFileTransfer)」、クラウド型ホスティングサービ ス「SAISOS」を提供開始。クラウド&グローバル時代に求め られるニーズに対応するための技術・環境を整備。 2015年 ASEAN拠点 HULFT Pte. Ltd.設立 グローバルビジネス拡大を図るため、 ASEAN地域を設立。 2013年 ㈱アプレッソ株式を取得、子会社化 データ連携ソリューションの強化とともに、先端技術の研究開 発経営の基盤を醸成。 2016年 北米拠点 HULFT, Inc.を設立 グローバルビジネス拡大を図るため、北米拠点を設立。 米国開催 AWS re:Invent 2015で「Think Big」賞を受賞。 2017年 EMEA事務所を設立 グローバルビジネス拡大を図るため、EMEAエリア(ヨーロッ パ、中東、アフリカ地域)拠点を設立。 本社所在地を 東京都港区赤坂に移転 2018年 ㈱フェスをIDホールディングスに譲渡 2019年 ㈱アプレッソを吸収合併 パッケージソフトウェア開発・販売強化のため合併。 2020年 「HULFT DataCatalog」提供開始 散在したデータの収集・整理・カタログ化によりひらめきを生 み出すメタデータマネジメントプラットフォーム 創立50周年 50周年記念スローガン「and always will be」を制定。
  5. 5 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 主な事業内容について クレジットカード会社のシステム開発から運用までを担ってきた 実績と先端技術を駆使し、金融業界における

    デジタルトランスフォーメーション(DX)と新たな決済 関連サービスの構築を支援します。 金融業界におけるDXをリードしお客様のイノベーションを加速 フィナンシャルITサービスビジネス 流通小売業で培ったノウハウをベースに最新ITサービスで お客様のニースにお応えします。 業種を問わず、様々なお客様ニーズに柔軟かつ スピーディに対応しビジネスの拡大に貢献します。 最新ITサービスでお客様のニーズにお応えする 流通ITサービスビジネス IT基盤上を流れるデータの安全性、信頼性を担保し、効率的、効果的 なデータ連携を通じた安定運用を実現、進化するネットワーク社会に 安全と安心を提供します。ファイル連携ミドルウェアを中心に、IoT やRPA、DX時代のお客様ニーズに合わせた 様々なデータマネジメントソリューション を提供します。 お客様企業の価値創造を支援するDX時代のデータ基盤 HULFT セゾン情報システムズの強みであるデータ連携ソフトウェアを中核に お客様の社内システム、クラウド、データをつなぐことで、 デジタルトランスフォーメーション(DX)とお客様の 経営刷新に貢献するサービスを展開しております。 「つなぐ」技術を駆使してお客様の意思決定と経営刷新をサポート リンケージビジネス データ連携基盤 経営情報 の可視化 基幹システム 連携 働き方改革 の推進 サプライ チェーン コーポレート ガバナンス 店舗システム 連携 業務の 自動化 データ サイエンス クラウド サービス 連携 ECサイト 連携
  6. 6 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 本日のアジェンダ ◼Journey to

    Cloud ・調査/計画 ・評価/検証 ・準備 ・テスト ・リリース ◼現在の運用 ◼まとめ
  7. 9 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ATLASSIANからの発表 ◼ 2020年10月

    Atlassian社からSever製品のサポー ト終了のアナウンスが、、 ◼ Serverを運用していた環境が2021年度中に EOSLを迎えるタイミングだったこともあり、 Cloudへの移行を決意 ◼ 2020年末には早速、販売パートナーであるリッ クソフト様に相談をさせていただきました
  8. 11 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 調査・計画 ◼移行方式 大きく分けて移行方式は2つあり、弊社は先行して利用開始していたCloud環境があったため、

    Jira Cloud Migration Assistantを使用する可能性が高かった しかし、一部データが移行できないことがネックとなるのでSite importも検証することに 移行方式 メリット デメリット Jira Cloud Migration Assistant ・クラウド サイトの既存の データを上書きしない ・移行するプロジェクトを選 択して移行可能 ・移行されないデータがある Site Import ・そっくりそのまま移行でき るので考えることが少ない ・移行先のデータを上書きし する ・アプリデータが移行できな い ・外部管理のユーザーが移行 できない
  9. 12 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 調査・計画 ◼セキュリティの要件 •

    クラウドサービス利用時のセキュリティ要件として、SSO(Okta)で認証を行うことが必須 • この要件を満たすためにAtlassian Accessの導入も決定 • ドメインの認証が必要なため、社内インフラチームと連携してDNS設定などを実施 • ServerではオンプレミスのADとLDAP連携していたので、CloudでもAzure ADとAccessの プロビジョニングを実施 ユーザー 社内IPからの接続 に制限 社内LAN Azure AD アカウントの同期 Okta Atlassian Access Jira 製品アクセスの管理
  10. 13 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 調査・計画 ◼見積もり •

    移行前と移行後のコスト比較や社内承認など大変でした。。 • この辺りの話は#47クララオンライン 山崎様の発表が非常に参考になります • 弊社の場合、既存のCloud契約が存在し、どうしてもServerライセンスとの重複期間ができ てしまったが、新規でCloudを契約する際は無料の移行トライアルが利用可能
  11. 14 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 調査・計画 ◼スケジューリング •

    7月末の完全移行を目標にスケジューリングしました • 細かいタスクの管理はもちろんWBSガントチャートプラグインで管理! FY2021 4月 5月 6月 7月 移行検証 セキュリティ審査 運用環境整備 *リハーサル 本番移行 移行対象の選定
  12. 16 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼移行ツールの検証 • 検証項目を作成し、Jira

    Cloud Migration AssistantとSite Importを比較検証 • 検証環境は無料移行プランで作成した環境を利用 Site importでエラー まず、Site importでは外部ディレクトリで管理しているユーザーは移行できない Jira Cloud Migration Assistantでユーザーの移行のみを行おうと思ったが、オンプレAD上にゴ ミユーザー(メールアドレスを持たない、ダミーの重複アドレス)が多数存在した Cloud側ではそのようなユーザーは存在できないため、エラーとなる ⇒この時点でJira Cloud Migration Assistantの利用に絞って検証を進めました。 評価・検証 ハマりポイント
  13. 17 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼Jira Cloud Migration

    Assistant • 検証により移行されないデータを明確化し、対策を検討 評価・検証 移行されないデータ 対策 フィルター ユーザーにJQLのバックアップを取得するように依頼 ダッシュボード フィルターが復元できればガジェットに設定しなおす ボード 一部、単一のSoftwareプロジェクトに紐づいている ボードは移行される それ以外は手動でフィルターから復元 WBSガントチャート ガントが参照しているフィールドは移行されるので復 元可能 通知スキーム 独自のスキームを利用している場合は移行先に手動で 作成するよう手順に追加
  14. 18 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼ Jira Cloud

    Migration Assistant 移行先環境でアカウントにJira権限が付与されない ツールでプロジェクトごとに移行をする場合、そのプロ ジェクトに関連するユーザーおよびグループを移行する オプションを選択すると、jira-software-usersが含まれ ない ⇒移行前にプロジェクトのロールにjira-software- usersを含めるよう手順を追加 評価・検証 ハマりポイント
  15. 19 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼ Jira Cloud

    Migration Assistant 評価・検証 一部課題タイプが移行先でマッピングされず、新規で作成されてしまう 移行元Serverの規定言語が日本語だったため、Epicが「エピック」で作成されており、マッピ ングができなかった(Epicの場合はエピックリンクなども外れてしまう) ⇒Server側の課題タイプ名を英語表記に変更 ⇒JQL等に影響があったのでユーザーへの周知 ハマりポイント 正しい課題タイプ 日本語名で作成された課題タイプ
  16. 20 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼ Jira Cloud

    Migration Assistant 移行先環境で特定のリソースに(migrated)が付与されて重複してしまう 仕様により以下のリソースはマッピングされず、重複されることが確認されています。 ・元のサイトと移行先サイトの両方に存在するデフォルト エンティティ Migration Assistantは移行済みのエンティティ情報を保持しています そのため以下のようなデータも重複する可能性があります ・移行間でリセットされた移行テーブル ・移行間で削除された一部のデータ ⇒検証環境と本番移行先は分けてテストするか、検証終了後にCloudのリセットを実施する ⇒重複してしまったリソースは移行完了後に手動でマージする 評価・検証 ハマりポイント ※Jira Cloud Migration Assistant がデータをリンクする仕組み
  17. 22 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼移行対象の選定 • 段階的な移行を実施すると共に、不要リソースは移行対象外とする方針

    • 同時にユーザーへの説明会やドキュメント類の準備、公開も進めました 準備 ①Serverの プロジェクト一覧を作成し、 ユーザーに配布 ②移行を希望するかの回答 を取得 ③希望プロジェクトの複雑 性や規模、稼働時間を考慮 し、ショット分け ④移行スケジュールを公開 170プロジェクトを約40 ショットに分割してスケ ジューリング
  18. 23 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼運用環境の構築 バックアップ •

    本番環境のバックアップをAPIを使って自動で取得 • バックアップファイルは前回の取得から48時間経過しないと取得できないため、隔日で取 得するように設定 監査ログのバックアップ • Jiraの監査ログとAccessの監査ログも一定期間で消えてしまうためAPIでバックアップを取 得 権限付与の自動化 • 後ほど詳しく紹介します 準備
  19. 25 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼入念なリハーサルを実施 • 事前に移行手順書とチェックリストを作成

    • 移行後の課題数が一致していること • ユーザーがすべて移行されていること etc… • 複数あるショットから一部規模の大きいものを選定して実施 • 事前に作成した手順、チェックリストに不備がないか • 想定時間内に終了するか(課題数が1万件を超えるプロジェクトは1時間以上かかりまし た) テスト
  20. 27 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ◼1か月にわたる本番リリース • 1日に3~4ショットのペースで移行していったので大変でした。。

    • 細かく分けたことにより、問題が発生した際の原因切り分けや、ロールバックもやりやす かったので結果的にはよかったと感じています • 無事スケジュール通りにすべてのプロジェクトが移行完了! リリース 段階的移行の場合、Server環境がしばらく残るため更新を止めたい 移行元でプロジェクトへの参照権限のみに絞った権限スキームを作成し、移行済みのプロジェ クトに適用する ⇒手順に含める ハマりポイント
  21. 29 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ライセンスの付与と棚卸 ◼ Service

    Managementで自動化 • Accessのプロビジョニング機能によりAtlassianアカウントは作成されるが、Jiraへの権限付与は必要 • 全社員に付与してしまうとライセンスコストがすごいことになるので利用する人にだけ付与したい • Azure ADにJiraの権限付与用のグループを作成し、Jiraでは製品アクセスのグループとして登録 • Azure ADグループへの追加・削除でライセンスをコントロール Jira Automation 承認 Webhook Azure Logic Apps Azure Active Directory ユーザーをグループに追加 完了通知 Jira Service Management でリクエストを送信 ユーザー 管理者 ※退職などでアカウントが無 効化されれば自動的に Atlassianアカウントも無効化 される
  22. 30 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 ライセンスの付与と棚卸 Service Managementのカスタマーロール

    にプロビジョニングされたアカウントがす べて所属する「All members for directory」グループを登録しておけばJira のライセンスが無くてもリクエストポータ ルは利用可能
  23. 31 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 課題 ◼Serverではできたことができないと問合せが、、 •

    フィルター、ダッシュボードの共同編集 • プロジェクト管理者の画面やワークフローの一部編集 ◼新機能の啓蒙 • 「チーム管理対象プロジェクト」を推奨していきたい • Jira Automationの活用
  24. 33 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 まとめ ◼時間はかかるが可能であれば移行は段階的に実施することがおすすめ ◼ハマりポイントは多いが公式のドキュメントや移行ツールのIssuesレポート

    を根気よく探せば同じく困ってる人はいる ◼それでもだめならサポートに連絡(本当にお世話になりました) ◼長く厳しい道のりですがCommunityの力で乗り越えましょう!
  25. 34 © SAISON INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD. 2021 参考 ◼Cloud移行ガイド ◼無料のクラウド移行トライアルを試す

    ◼クラウドへの移行方法の比較 ◼Jira Cloud Migration Assistant で移行される情報 ◼日本語環境で Jira Cloud Migration Assistant を利用する前のチェックリスト ◼Jira Cloud Migration Assistant がデータをリンクする仕組み