Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

開発者にもコーディングエージェントにも働きやすい環境を整える

 開発者にもコーディングエージェントにも働きやすい環境を整える

プロダクトヒストリーカンファレンス2026の登壇資料です

Avatar for yudppp

yudppp

June 26, 2026

More Decks by yudppp

Other Decks in Programming

Transcript

  1. 鈴木 悠大 株式会社HRBrain 専任執行役員 CTO 2013年 東京理科大学を卒業し、サイバーエージェントへ新卒入社 Ameba 事業で、スマホアプリ基盤やアメーバブログ、新規プロダク トをバックエンド中心に開発 2016年

    HAROiD(日テレ×バスキュール)へ。dボタン連動など高ト ラフィックな放送局向け SaaS を、フロント〜インフラまで担当 2018年 HRBrain 入社・CTO 就任。創業初期からプロダクト開発を牽 引し、いまも自ら実装する Platform プロダクト開発 AI PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 自己紹介 2
  2. Power to the People — 企業はますます人なり 会社名 株式会社HRBrain 設立 2016年3月

    代表 代表取締役 堀 浩輝 事業内容 タレントマネジメントクラウド「HRBrain」の開発・提供 拠点 東京・大阪 技術スタック Go / TypeScript / React / Google Cloud PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 会社紹介 3
  3. 01 Monorepo 全プロダクトを1つのリポジトリで管理。共通化や横断変 更が容易になり、影響範囲も一目で把握できる。 02 ブランチデプロイ PRごとに検証環境を立ち上げる。変更したサービスだけ をデプロイし、個別URLで確認。 03 Feature

    Flag main に入れたコードをフラグで隠す。デプロイと公開の タイミングを分けられる。 04 Tilt 依存サービスを気にせず動かせる。必要なものがまとめて 立ち上がる。 05 Cloud Workstations 手元PCに寄せず、クラウド上の標準環境で重い構成を動か す。 06 OpenTelemetry トレースやメトリクスを入れやすいよう、自社ライブラリ も整備。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 開発者のために環境を整えてきた 8
  4. 開発者のために整えた環境の多くが、AIにもそのまま役立っていた。 人のための投資が、AIの実装を支える土台になっていた。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 人のために整えた環境がAIにも効いた Monorepo ― 全体を横断で見渡せる。AIもコンテキストをつかみ、影響範囲を追える

    - Cloud Workstations ― 標準環境がクラウドにある。手元のPCを閉じても、クラウド上で AIは動き続ける - ブランチデプロイ ― PRごとに検証環境。AIの変更もその場で動かして確かめられる - 11
  5. 人の新人と同じように、順番に整えていく。 コンテキストを渡す 規約ファイル / README / ADR。 規約や前提だけでなく、設計判 断の背景までたどれる。 道具に接続する

    MCP / 社内ツール。散らばった 情報を、安全な経路でその場で 取りに行く。 長いタスクを支える仕組み をつくる サブエージェント / ハーネス / 評 価役。長いタスクでも、計画・ 実装・検証の流れが崩れない。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 AIオンボーディングは3つの層で整える 14
  6. 良かれと思って増やしたルールが、いつの間にかAIの判断を鈍らせる。これが、いわゆる context rot (コンテキストの腐敗) 。 だから足すにも消すにも根拠がいる。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026

    コンテキストは足しすぎると効かなくなる よくある光景 育ちすぎた規約ファイル 古い前提、重複、矛盾したルール。大事な判断基準が 埋もれていく。 あるある 全部消したら、なぜか直った 何が悪さをしていたかは分からない。また手探りで育 て直す。 15 →
  7. 実装が一区切りした push の節目に、エージェント自身がこの1行を残す。 { "ease": 3, "blockers": [ {"type": "docs_missing",

    "weight": 45, "comment": "権限まわりの設計判断がどこにも書かれていない"}, {"type": "stale_context", "weight": 30, "comment": "古い手順に沿って実装しbuildが通らなかった"} ], "note": "設計意図がコードから辿れず、推測で実装した", "improve_request": "権限まわりの設計方針を 規約ファイル / ADR に明記してほしい" } app / phase / branch は自動で付く。書かせず、フックの節目にエージェント自身が残す。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 迷いがデータに残る 23
  8. 9人・305回の節目を集計。全体 ease は 3.84、その詰まりの内訳がこれ。 ドキュメントがない 22% 設計判断が残っていない 11% 既存コードが複雑 21%

    サービス間の調整が必要 7% 環境セットアップが手間 6% ツールが未整備 6% その他 27% 「次に直す場所」を、感覚ではなくデータで見にいける。  ease は自己申告。個人評価には使わない。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 AIが一番詰まったのは「ドキュメント不足」 33% ドキュメント不足 24
  9. 課題に応じて使い分ける。その場で済む詰まりはすぐ直し、横断で直すべき詰まりは集めて、プラット フォームで一度に直す。 AXサーベイ結果 plan / push / subagent ブロック要因・改善依 頼

    → → その場で 開発者がすぐ見る 例 Notionの手順が古い → その場で直す docs を最新化する 集計して 集めて横断で見る 例 worktree 準備に毎回手間取る → 基盤側で一度に直す 全appに効かせる 集計に回す前に、別エージェントで機微情報を除く。個人評価には使わず、開発環境の改善だけに回す。自動化の範囲は調整中。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 詰まりのデータで開発環境を直す 28
  10. 返ってくるのは抽象的な感想だけではなく、そのまま着手できる具体的なタスク。しかも種 類はさまざま。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 サーベイ結果を改善タスクに変える 設計意図を ADR /

    規約ファイルに ― コードからは判断の背景が辿れない - ビルド系コマンドを sandbox 許可リストへ ― 毎回弾かれて反復が遅い - ローカルテスト手順を明記 ― DB起動・環境変数にチームの暗黙知が要る - 移行戦略を ARCHITECTURE.md に ― 旧基盤→新基盤が複数appにまたがる - 29
  11. app ごとに直すのではなく、基盤側で一度直せば全員に効く。どれを横断で巻き取れるか は、AX が教えてくれる。 PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 横断で効く詰まりはプラットフォームで一度に直す worktree

    の初期化を自動化 ― 依存セットアップの手作業をなくす(横断で最多の声) - ビルド系コマンドを許可リストへ ― go build / generate のたびに止まらない - codegen を CI と揃える ― 生成ツールのバージョン固定で生成物のズレを消す - 共通ヘルパを基盤に置く ― 各サービスが同じコードを書き写さない - シェル / CI の地雷を除く ― スナップショットの不具合や lint 設定を全体で直す - 30
  12. PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2026 まとめ 人には毎回は聞けない。エージェントなら、何度でも聞ける - だから、言葉にならない"詰まり"が見えるようになった - 一番の詰まりは、手順じゃなく

    「なぜ」=設計意図 だった - その詰まりが、声を上げなくてもプラットフォーム側に届くようになった - AIのために整えた環境は、そのまま開発者にも効いた - いまは「詰まりが見える」まで。直して ease が上がるかの効果検証はこれから - AIに任せるほど、この"見えない詰まり"は増えていく。だから、測り続け、改善し続けたい - 32