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カスタマーハラスメント対応マニュアル_20261001.pdf
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September 26, 2026
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カスタマーハラスメント対応マニュアル_20261001.pdf
SWU_soumu
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INDEX 1 2 3 4 5 6 はじめに (1)カスタマーハラスメント対策の背景 1
(2)カスタマーハラスメントの定義 2 (3)カスタマーハラスメントに該当しうる行為 3 本法人の取組(基本方針・規程) (1)本法人の基本方針 5 (2)本法人規程に基づくカスタマーハラスメント防止体制 7 基 礎 知 識 ・ 本 法 人 の 取 組 ステークホルダーへの理解 (1)ステークホルダーに対する心構え 8 (2)ステークホルダーの権利の尊重 8 カスタマーハラスメント対応の基本 (1)カスタマーハラスメント対応の原則 10 (2)カスタマーハラスメントの判断 11 (3)カスタマーハラスメント対応の大まかな流れ 12 カスタマーハラスメント対応例 【カスタマーハラスメント対応フロー(全般) 】 13 (1)対応例~面接の場合 14 (2)対応例~電話の場合 16 (3)対応例~突然の来訪の場合 19 (4)対応例~インターネットへの書込み・SNS 投稿の場合 20 (5)警察への通報~110 番について 20 (6)警察への相談~#9110 について 21 相談体制 (1)昭和女子大学の相談体制 22 (2)再発防止の取組 23 7 メンタルケア 24 8 カスタマーハラスメントの禁止 (1)取引先に対するカスタマーハラスメントの禁止 25 (2)求職者に対するカスタマーハラスメントの禁止 25 (3)カスタマーハラスメントの事実確認 26 付録1~日本私立大学連盟提供 カスタマーハラスメント対応事例 29 付録2~本マニュアル作成にあたり参考にした資料 57 対 応 の 基 本 実 際 の 対 応 例 相 談 ・ ケ ア 禁 止 事 項 付 録
1 1 はじめに (1)カスタマーハラスメント対策の背景 近年、学校を取り巻く社会環境は大きく変化しており、教職員には教育・研究活動に加 え、多様化・複雑化する課題への対応が求められる場面が増えています。 本法人におけるステークホルダーは、規程に定める学生・生徒・児童・園児、保護者、 入学志願者、卒業生、求職者、地域社会及び取引先その他の関係者であり、教育・研究活 動を円滑に推進するためには、これらのステークホルダーとの相互理解と信頼に基づく良 好な関係を築くことが極めて重要です。
一方で、社会全体では、ステークホルダーによる著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマ ーハラスメント」が深刻な社会問題となっています。このような状況を踏まえ、東京都で は令和 6 年 10 月に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が制定され、都内で事 業を営む事業者には、カスタマーハラスメントの防止に向けた取組が求められることとな りました。 さらに、令和 7 年 6 月には「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職 業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法) 」の改正(いわゆる「カスハラ法」) が成立し、同法が施行される令和 8 年 10 月 1 日からは、事業主に対し、ステークホルダ ーの言動に起因する問題について必要な体制整備等を行うことが雇用管理上の措置義務と して課されることとなりました。 こうした社会的要請を踏まえ、本法人では、 『学校法人昭和女子大学カスタマーハラス メント防止規程』及び『学校法人昭和女子大学におけるカスタマーハラスメントに対する 基本方針』を制定するとともに、カスタマーハラスメントへの対応を適切かつ組織的に行 うため、本マニュアルを整備しました。 なお、本マニュアルは、前述の東京都条例及び改正労働施策総合推進法の趣旨を踏まえ るとともに、法施行に先立ち令和 8 年 2 月に東京都教育委員会が公表した「学校と家庭・ 地域とのより良好な関係づくりに係るガイドライン」及び厚生労働省が策定した「事業主 が職場におけるステークホルダーの言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置 等についての指針」 、同年 8 月に文部科学省が公表した「学校と保護者・地域住民等との より良い関係構築のためのガイドライン」を参考として作成しています。 本法人は、あらゆるステークホルダーとの相互理解と信頼関係を大切にしながら、教 育・研究活動を支える教職員が安心して職務に専念できる就業環境の確保に努めます。そ のために、本マニュアルを活用し、カスタマーハラスメントに対しては教職員個人に対応 1
を委ねることなく、組織として適切かつ一貫した対応を行うことにより、教職員の尊厳を 守るとともに、健全な教育・研究環境の維持・向上を目指します。 (2)カスタマーハラスメントの定義 東京都では、カスタマーハラスメントについて、次のとおり定義づけています。 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 第2条第4号 著しい迷惑行為 暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な 行為をいう。 第2条第5号
カスタマー・ハラスメント ①顧客等から就業者に対し、②その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、 ③就業環境を害するものをいう。 【下図参照】 (資料)東京都「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン) 」より 本マニュアルでは、労働施策総合推進法や東京都カスタマー・ハラスメント条例で用いられ ている各種用語を、次のとおり読み替えることとします。 ▪ 顧客等= ステークホルダー 学生・生徒・児童・園児(留学生、科目等履修生、聴講生等を含む。以下「学生・生徒等」 という。)及びその保護者・保証人、入学志願者、卒業生、求職者、地域住民及び取引先企業 その他の関係者等 ▪ 就業者= 教職員 本法人の業務に従事する者をいい、本法人が雇用する教員及び職員のほか、次の(1)~(4) 2
並びにこれらに準ずる者を含むものとします。 (1) 外部役員・外部評議員・客員教員・客員研究員等 (2) パートタイム従業員、業務委託先職員、契約職員、派遣職員その他の非正規雇用労働者 (3) 法人の教育、研究並びに業務に従事する実習生・インターンシップ生 (4) その他法人の業務遂行に関係する者 なお、被害を受けた教職員を「被害教職員」と表記することとします。
▪ 就業環境=就業時間の内外を問わず、教職員が教育、研究その他の業務を遂行し、 又はその延長上にある行為を行うすべての場所及び場面 キャンパスその他法人が保有・管理する施設内に限らず、教職員が、学生・生徒等、そ の保護者・保証人、取引先等と打合せをするための飲食店、取引先等の事務所、懇親を図 るための飲食の席、合宿における宿泊施設等、教職員が職務を遂行する場所一切を意味し ます。 なお、「就業環境を害する」とは、従業員が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環 境が不快なものとなったため、従業員が業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じ ることを指します。 判断に当たっては、被害教職員以外の教職員が同様の状況で当該行為を受けたとした場 合、業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じたと感じる行為であるかどうかを基 準とします。 ▪ その他(法律・条例・規程等) 本マニュアルでは、それぞれ次のとおり略表記することとします。 ① 改正労働施策総合推進法=改正法 ② 事業主が職場におけるステークホルダーの言動に起因する問題に関して雇用管理上講ず べき措置等についての指針(厚生労働省)=厚労省指針 ③ 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例=条例 ④ 学校法人昭和女子大学カスタマーハラスメント防止規程=規程 ⑤ 学校法人昭和女子大学におけるカスタマーハラスメントに対する基本方針=基本方針 (3)カスタマーハラスメントに該当しうる行為 規程では、カスタマーハラスメントに該当する著しい迷惑行為として、以下の 12 例を挙 げています。ただし、これらに限られるものではありません。 (1) 暴行、傷害その他の身体的な攻撃 (2) 暴言、侮辱、人格否定、誹謗中傷その他の精神的な攻撃 (3) 威嚇、脅迫、恫喝その他の威圧的な言動 3
(4) 長時間の拘束又は執拗な電話、電子メール若しくは面談の要求 (5) 勤務時間外における継続的又は執拗な連絡 (6) 合理性を欠く不当又は過剰な要求 (7) 謝罪、土下座、退職、金銭補償等の不当な要求 (8) 教職員の個人情報の取得若しくは公開又はプライバシーの侵害
(9) SNS その他の媒体を利用した誹謗中傷、名誉毀損又は信用毀損 (10) つきまとい行為又はストーカー行為 (11) セクシュアルハラスメント、SOGI(※)ハラスメントその他のハラスメント行為 (12) 無断での録音、撮影又は録画その他教職員の安全又は尊厳を害する行為 ※「SOGI」 (ソジ): 性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity)の頭文字をとった略称 4
1 2 本法人の取組(基本方針・規程) (1)本法人の基本方針 本学では、以下の基本方針を制定、学内外に公表しています。 学校法人昭和女子大学におけるカスタマーハラスメントに対する基本方針 1.はじめに 学校法人昭和女子大学(以下、 「本法人」 )は、建学の精神のもと、学生・生徒・児童・
園児(以下、 「学生・生徒等」 )の成長と社会の発展に寄与する教育・研究活動を推進し ています。その実現のためには、教職員一人ひとりの人格と尊厳が尊重され、安全かつ 安心して教育・研究及び業務に専念できる環境を確保することが不可欠であると考えて います。 本法人は、学生・生徒等及びその保護者、入学志願者、卒業生、求職者、地域住民及び 取引先企業その他の関係者等、あらゆるステークホルダーの皆様から寄せられるご意見 やご要望を真摯に受け止め、教育・研究活動及び法人運営の改善に活かします。 一方で、社会通念上相当な範囲を超える要求や言動により、教職員の就業環境や教育・ 研究活動が害される行為は容認できません。 本法人は、教職員を守るとともに、すべてのステークホルダーとの健全な信頼関係を維 持し、より良い教育・研究環境を実現するため、カスタマーハラスメントに対して毅然 と対応します。 2.カスタマーハラスメントの定義 本法人におけるカスタマーハラスメントとは、法人が設置する学校に在籍する学生・生 徒等及びその保護者、入学志願者、卒業生、求職者、地域住民、取引先企業その他の関 係者等、法人の業務遂行に関係する者による要求又は言動のうち、その内容の妥当性に 照らして、要求を実現するための手段又は態様が社会通念上不相当であり、教職員の就 業環境又は教育研究環境を害するものをいいます。 (教職員には、パートタイム従業 員、契約社員等非正規雇用労働者及び本法人業務に従事するインターンシップ生等を含 みます。 ) 3.カスタマーハラスメントに該当し得る行為 以下は例示であり、これらに限られるものではありません。 (1)暴行、傷害その他の身体的な攻撃 (2)暴言、侮辱、人格否定、誹謗中傷、差別的言動その他の精神的な攻撃 5
(3)威嚇、脅迫、恫喝その他の威圧的な言動 (4)長時間にわたる拘束、執拗な電話、メール又は面談の要求 (5)勤務時間外における継続的又は執拗な連絡 (6)合理性を欠く不当又は過剰な要求 (7)謝罪、土下座、退職、金銭補償等の不当な要求 (8)教職員の個人情報の取得又は公開、プライバシーの侵害 (9)SNS、インターネット等を利用した誹謗中傷、名誉毀損又は信用毀損行為 (10)つきまとい行為、ストーカー行為 (11)セクシュアルハラスメント、SOGI ハラスメントその他のハラスメント行為
(12)無断での録音、撮影又は録画その他教職員の安全や尊厳を害する行為 4.本法人の基本姿勢 本法人は、カスタマーハラスメントに対し、教職員個人に対応を委ねることなく、組織 として対応します。 教職員は一人で抱え込むことなく、上司及び関係部署と連携しながら対応し、本法人は 被害を受けた教職員の心身の健康に十分配慮し、必要な支援を行います。 また、本法人は、教職員が自らハラスメントの加害者とならないよう、適切な教育及び 啓発に取り組みます。 5.本法人の取組 本法人は、カスタマーハラスメント防止のため、次の取組を推進します。 (1)本基本方針の周知及び啓発 (2)相談・報告体制の整備 (3)教職員に対する研修及び教育 (4)事案発生時における組織的な対応及び情報共有 (5)再発防止に向けた検証及び改善 (6)必要に応じた弁護士、警察その他の外部専門機関との連携 6.カスタマーハラスメントへの対応 本法人は、カスタマーハラスメントに該当すると判断した場合には、状況に応じて、電 話や面談の終了、対応の中止、施設への立入りの制限その他必要な措置を講じます。 また、悪質な事案については、弁護士、警察その他の関係機関と連携し、法的措置を含 め厳正に対処します。 本法人は、学生・生徒等及びその保護者、入学志願者、卒業生、求職者、地域住民及び 取引先企業その他の関係者等、あらゆるステークホルダーの皆様との相互理解と信頼関 係を大切にしながら、安心かつ安全な教育・研究環境の維持・向上に努めます。 2026 年 10 月 1 日 学校法人 昭和女子大学 6
(2)本法人規程に基づくカスタマーハラスメント防止体制 前出の基本方針に基づき、カスタマーハラスメントに対して組織的対応を図るため、根拠規 程として「学校法人昭和女子大学カスタマーハラスメント防止規程」を定めました。防止体制 の全体像は以下のとおりです。 7
3 1 ステークホルダーへの理解 (1)ステークホルダーに対する心構え ステークホルダーから寄せられる意見・要望・要求の全てがハラスメントではありません。 大学における事業運営等に関する指摘、窓口対応等における態度への不満など、正当な意見・ 要望・要求は、業務の改善等につながる貴重な機会でもあります。 そして、 意見・要望・要求に対する教職員の適切でない言動が端緒となって、ステークホ ルダーからのハラスメントを発生させる可能性もあります。
本法人は、以下の基本的な心構えに基づき、ステークホルダーへの適切な対応に努めること とします。 ① 気持ちを理解して傾聴する ・ステークホルダーと良好な関係を築くため、相手の気持ちを理解する。 ・孤独・ストレス・不安など、ステークホルダーの背景を推し測る傾聴を行う。 ② 誠実に対応する ・第一印象が重要であり、表情や言葉遣いなどに注意する。 ・不誠実な言動をしたりステークホルダーをクレーマー扱いしたりしない。 ③ 共感を伝える ・相手との共感を深める上で効果的な「あいづち」を活用する。 ・具体的には、 「なるほど」 「よくわかります」 「そうなのですね」など、声に出して傾 聴する姿勢を見せる。 ④ 限定的な謝罪を行う(責任が不明確な場合) ・責任が不明確な初期段階では対象を限定した謝罪を有効に活用する。 ・具体的には「ご心配をおかけし(ご不快な思いをおかけし)申し訳ありません」と謝 罪する。 ⑤ 対応者を代わる ・相手の怒りが収まらない場合、躊躇せず別の担当者や上位者に代わる。 ・対応する従業員が感情的になって対応を代わらないことは避ける。 ・自分が全て悪いと思わない。 (2)ステークホルダーの権利の尊重 ステークホルダーからの意見・要望・要求への対応に当たっては、権利を十分尊重した対 応が求められます。 なお、令和6年4月1日から、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化 (※)されており、適切な対応を行う前提として、基本的な考え方を理解しておく必要があ ります。 (※障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(=障害者差別解消法)の改正) 8
ただし、ステークホルダーにどのような背景や事情があっても、暴力や暴言などの行為に 耐える必要はありません。 (参考)政府広報オンラインHPより抜粋 ◦不当な差別的取扱いとは? 障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会 の提供を拒否したり、サービスなどの提供に当たって場所や時間帯を制限したりするな ど、障害のない人と異なる取扱いをして障害のある人を不利に扱うことをいいます。障 害者差別解消法では「不当な差別的取扱い」を禁止しています。 ◦「合理的配慮の提供」とは? 社会生活において提供されている設備やサービスなどは障害のない人には簡単に利用で
きる一方で、障害のある人にとっては利用が難しく、結果として障害のある人の活動を 制限してしまっている場合があります。このような、障害のある人にとっての社会的な バリアについて、個々の場面で障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほし い」という意思が示された場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリア を取り除くために必要かつ合理的な対応をすることとされています。これを「合理的配 慮の提供」といいます。 ◦合理的配慮の範囲 合理的配慮は事業者等の事務や事業の目的・内容・機能に照らし、次の三つを満たすも のでなくてはなりません。 1. 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること。 2. 障害のない人との比較において、同等の機会の提供を受けるためのものであること。 3. 事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと。 また、先述のとおり合理的配慮の提供については、その提供に伴う負担が過重でないこ とも要件となります。 ◦「過重な負担」かどうかの判断は? 合理的配慮の提供が、各事業者にとって「過重な負担」かどうかの判断は、以下の要素 などを考慮して、個別の事案ごとに具体的な場面や状況に応じて総合的・客観的に判断 することが必要です。 1. 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) 2. 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 3. 費用・負担の程度 4. 事務・事業規模 5.財政・財務状況 9
1 4 カスタマーハラスメント対応の基本 (1)カスタマーハラスメント対応の原則 カスタマーハラスメントを防止又は被害を最小限に抑えるため、初期段階で、以下のとおり 対応します。 ① 相手に寄り添う ・教職員による対応の不備、施設の瑕疵等を起因とするなど、代替措置や補償の要求 自体は、社会通念上妥当であると判断される場合には、真摯に受け止める。
・傾聴し、時には寄り添いながら相手の主張を正確に聞き取る。 ② 要求内容を特定する ・要求内容を明確に特定した上で、議論を限定する。 ・特定した要求内容を踏まえ、対応の可否を検討する。 ・電話でのクレーム対応の場合、相手の氏名や連絡先等を確認、可能な範囲で特定。 要求内容を聞いた上で、同じ内容を復唱し、要求内容を特定する。 ③ 事実関係を確認する ・5W1H(※)により正確な事実関係を確認する。 ※When(いつ)/Where(どこで)/Who(誰が)/What(何を)/Why(なぜ)/How(どのように) ・事実を確認しないまま、ステークホルダーの要求内容を認める発言はしない。 ・事実関係の確認前の段階では限定的な謝罪(例:嫌なお気持ちを与えてしまい誠に 申し訳ございません。 )にとどめる。 ・組織的な調査・確認が必要である場合は、必要な調査等を行った上で回答する旨を ステークホルダーに伝える。 ・調査・確認に時間を要する場合、具体的な日数(〇日間、〇週間程度)を伝える。 ④ 複数人で対応する ・組織で対応することを明確にするため、原則、複数人(※)で対応する。 ※相手が複数の場合、できる限り同数以上の複数人 ・役割分担(応対、記録等)を定め、各自が役割を遂行する。 ・訪問でのクレーム対応の場合、カスタマーハラスメントの発生を未然に防止するた め、複数人で訪問する。不測の事態が発生した場合に早急な援助を期待できないこ とから、単独行動を取らない。 ・電話でのクレーム対応の場合、初期対応した教職員の対応を原則としつつ相手の 要求が著しく相当性を欠く内容であれば、1人で抱え込まず上司に対応を代わる。 10
⑤ 対応場所を選定する ・原則、オープンスペースで対応する。 ・やむを得ない場合、次の措置を講じた上で、会議室等で対応する。 ✓密室状態にしない。 ドアを開けて室内の状況を周囲が確認できるようにする。 ✓すぐに退室できるように、従業員は出入口側に着席する。 ✓退去しない場合に不退去とみなすため、管理権の範囲内の場所(例:構内の 会議室)を選定する。 ・相手を訪問してクレーム対応する場合、可能な限り、相手の自宅やオフィスでの対
応は避ける。難しい場合、第三者がいる場所で対応する。 ⑥ 対応内容を記録・情報共有する ・相手への対応内容を可能な限り詳細に記録する。 ・対応内容は速やかに部署内で情報共有する。 ・相手との会話を録音(※)する。 ※事前承諾を得ることが望ましいが、同意を得ない録音でも直ちに違法ではないとされる。 ・相手が同じ話を何度も繰り返す場合、記録を基にいつ、何回、何を回答(説明) しているかを具体的に伝え、経過を把握して対応していることを示す。 ・インターネット上でのクレーム対応の場合、書き込まれた内容を正確に記録し証拠 として残す。記録内容は、投稿者の属性、対応年月日・時間、要求内容、対応状 況などで、投稿者のプロフィールやリンク、関連するやり取りも保存する。 ・SNS の投稿やメッセージはすぐに削除される可能性があるため、スクリーン ショット等を活用し保存する。 (2)カスタマーハラスメントの判断 カスタマーハラスメントの判断に当たり、①要求態様、②要求内容、③時間・回数・頻度に 着目し、教職員の就業環境を害する行為であるか検討します。 ① 要求態様 ・侮辱的な暴言、差別的・性的な言動、暴力や脅迫を伴う苦情か (例)馬鹿、死ね、◦◦、◦◦・・・など ・恐怖心を与えるような口調、大声、個人を攻撃する意図がある要求等か (例)SNSに写真をアップする、◦◦する、◦◦する・・・など ・教職員の顔等を無断で撮影する、写真等をインターネット上で公開する行為か ② 要求内容 ・不当な金品の要求があるか ・土下座又は書面での謝罪の要求があるか 11
・教職員の解雇の要求があるか ③ 時間・回数・頻度 ・著しい迷惑行為(大声を上げ続けるなど)が「30 分」を超えているか ※侮辱的・差別的・性的な言動は時間の長さに限らず判断 ・ 「2 回」退去命令したにも関わらず居座り続けているか ・対応できない要求が「3
回」に渡って続いているか ・業務時間外である早朝・深夜に苦情の電話があるか (3)カスタマーハラスメント対応の大まかな流れ 個別の事情を十分に配慮し、真摯かつ丁寧に対応したにも関わらず著しい迷惑行為が収まら ない場合、所属長等を含め、組織的な対応に移行します。 ① 一次対応者(現場教職員)の判断 ・相手のクレームが止まらない、大声を上げ続ける、教職員の顔等を無断で撮影し 続けるなどの迷惑行為が続く場合、行為の中止を求めるとともに対応を中断し、 複数人での対応、やり取りの記録(録音含む)など、組織的な対応に移行する。 ・カスタマーハラスメントの可能性があると判断した場合、所属長に報告の上、対 応の中止を含めた方針を相談する。 ② 二次対応者(所属長)の判断 ・一次対応者からの報告を踏まえ、相手からも聞き取りを行う。 ・カスタマーハラスメントに該当すると判断した場合、対応を代わる。 ・一次対応者と相手を引き離し、安全を確保する。 ・ 「組織としての回答であること」 「説明を尽くしていること」 「これ以上の議論はで きないこと」を相手に伝達する。 ・このまま対応を継続すると業務に支障が生じると判断した場合、対応の中止を検 討する。 ③ 警告・退去の命令 ・所属長は、膠着状態に陥って「30 分」を目安に対応を中止する旨を相手に伝達す る。それでも迷惑行為が続く場合、警告の上、退去を命令する(電話であれば、 切電) 。 ・相手が暴力を振るおうとしている場合は、その時点で対応を中止し、退去を命令 する。 ・それでもなお、相手が退去しない場合、最終警告の上、従わない場合は警察への 通報を検討する(電話の場合は教職員や学生・生徒等に危害を与える旨の脅迫的 な文言が出た段階で、警察に即通報する)。 12
1 5 カスタマーハラスメント対応例 【カスタマーハラスメント対応フロー(全般)】 本章では、カスタマーハラスメントについて、 「面接」、 「電話」、「突然の来訪」、 「インター ネット・SNS」のパターン別に、対応方法を例示していきます。 教職員
WEB で、各対応のおおまかな流れを1枚にまとめたフロー図も公開していますので、 適宜ご活用ください。https://sites.google.com/swu.ac.jp/soumu/cus-harass 13
(1)対応例~面談の場合 ステークホルダーとの関係構築のために面談は非常に重要ですが、教職員が長時間を費やし た上、弁護士と連携しながら対応せざるを得ないような複雑な事案が増えてきています。 こうした状況を受けて、東京都教育委員会により策定された公立学校向けの指針を参考に、 対応例を示します。ここでは、学校現場を想定していますが、他のシチュエーションにおける 面談についても、以下に準じて対応を行ってください。 要望の申し出 社会通念を超える要望等があった場合、まずは日程調整のみに留める 「就業時間内」+「1 回の面談
30 分」 面談の実施 [各段階に共通する留意事項] □オープンスペースで(又はドアを開放して)複数で対応 □教職員は即退避可能な出口側に着席 □相手に面談時間は「業務時間内の 30 分」に限定 □録音することを予め丁寧に説明(可能な場合に限る) □相手からの録音の要望は了承し、録画は断る 1・2 回目 ①2 人以上で対応 ②進行役・記録役の役割分担を決定、それぞれ役割に従事する。 ③相手の言葉を復唱するなどして、要望内容を正確に特定(議論を拡散させ ない) ④5W1Hにより事実関係を確認、「事実」と「推測」の整理 ⑤相手が同じ話を何度も繰り返す場合、記録を基にいつ、何回、何を回答し ているかを具体的に伝え、経過を把握して対応していることを示す (例) 「◯日と◯日に、2 度ほど~である旨お伝えしているところですが、 その後も変更はございません」 ⑥面談(最長 30 分)終了時点での話し合いの到達点と、次回に話し合う事 項の確認 [注意:対応方針を即断しない] ⑦2 回の面談を経て難航が予想される場合には、所属長経由で部門長へ一報 を入れて、今後の対応を協議。部門長は必要に応じて総務部との連携を指 示する。 3 回目 [事前対応] ①管理職がメインで対応することとし、必要に応じ総務部の同席を設定 ②対応パターンを事前にシミュレーションする。 (必要に応じ、総務部経由で弁護士等外部専門家に事前相談) ③この段階で、対応が難航し、今後に法人運営に影響が及ぶ恐れがある場合 14
には、間に合えば常勤役員会に上申し、対応方針を決定 [面談時] ①前回同様に論点整理。 本法人として対応可能な事項、対応困難な事項を整理して伝え、 特に後者については、論理的に丁寧に説明する。 ②今後の対応等について伝達 対応可能な場合 =必要に応じて、その対応事項に限定して謝罪を行う 要求が社会通念を超えている(※)場合 =要求に応じられない旨を明確に伝える。
相手が納得しない場合には、4 回目以降の対応へ移行 ※判断基準 要求内容を実現するための手段・様態が不適当 事実関係、因果関係を踏まえて、要求内容が妥当性を欠く 時間・回数・頻度が社会通念上不相当 目安: 「30 分」 「同じ議論を 3 回以上繰り返す」 「1 日 3 回以上超えてコンタクトを求めてくる」 4回目 5回目以降 原則、事案に関係する管理職が応対し、総務部と専門家(弁護士等)が同席 [事前対応] ①総務部は学園本部長に報告の上、常勤役員会に対応の方向性について上申、 判断を仰ぐ [面談対応] ①弁護士等専門家が法人の代理人として対応。 ②状況に応じて ADR(=裁判外紛争解決手続)等の打診 対応終了 ①当該行為やめるように正式要請。2回繰り返し、3回目で最終警告。 内容証明郵便等の文書対応も検討する。 ②対応を終了する。 ③相手が他の関係部署に要望を申し入れる可能性があるため関係各所に情報 を共有する。 (できるだけ窓口は一箇所に集中させる) 15
(2)対応例~電話の場合 電話対応 共通事項 [各類型に共通する留意事項] □「不快な思いをさせたこと」に対してのみの限定的な謝罪をする □相手の言葉を復唱するなどして、要望内容を正確に特定(議論を拡散させない) □5W1Hにより事実関係を確認、 「事実」と「推測」を整理し記録をとる。 □ハラスメント行為に対しては、はっきりと NG
を出す □「30 分」を目安に管理職が対応を交代。なお、業務とは全く関係のないハラスメント、 などは、目安時間の経過を待たずに対応を終了する。 □頻度によるハラスメント該当・非該当判断は「1 日 3 回を超える回数(=4 回以上)」 □電話を終了する際に、いきなり切らず、明確に「これ以上は対応いたしかねますので、電 話を切らせていただきます」と言葉にしてから電話を切る □危害を加える発言(予告含む)があった場合、迷わず 110 番通報し、守衛と連絡の上警備 の強化を図る。 (所属長⇒総務部⇒通報が基本。ただし緊急の際は前後してもよい) 時間拘束型 (例)繰り返し説明しても納得せず、電話で「30 分」以上のやりとりが続 いている ① 時間の上限設定を予告(長引く兆候を見せた時点で) 「他の皆様への対応もございますので、対応は〇〇分までとさせていただ きます」 ② ループ話法の遮断 「すでに回答した通りです」 「これ以上同じお話を頂戴してもお答えいたしかねます」 ※膠着状態となった場合は管理職が対応を交代する。 ③ 切電 「まもなく約束の時間が参ります。電話を切らせていただきます」(警告) 「業務に支障をきたしますので、これにて失礼いたします」 (切電) リピート型 (例)同一人物から、何度も繰り返し電話がある。 ① 本法人業務との関連の有無を確認 ⇒関連ない場合:初期段階で対応できない旨を明確に伝える。 「弊学と全く関わりのない話であるため、対応しかねます」 ⇒関連がある場合:過去のやりとりを確認し、これ以上対応できない旨を 明確に伝える。 「すでに〇〇の件につきましては、〇月〇日にご案内いたしました通りで ございます」 「申し訳ございませんが、そのご要望にはお応えいたしかねます」 「これ以上同じご発言(ご要望)を繰り返されるようであれば、誠に 恐れ入りますが、お電話を切らせていただきます」 16
「申し訳ございませんがこれ以上の対応はいたしかねますので、電話を切 らせていただきます」 ② 原則、対応部署を一箇所に絞る。 ただし他部署に架電があっても対応できるように、関係部署間で情報を 共有し、組織として統一的対応を図る。 ③ 社会通念上、1 日に 3
回を超える(※)電話が繰り返される場合、刑法第 233 条の業務妨害罪に該当する可能性があるため、警察や弁護士に相談 する。 ※3 回目 「再度同じ件でお電話をいただくことがあれば通報いたします」 (警告) ※4回目(同件であることを確認) 「前回お伝えいたしましたとおり通報いたします」 暴言型 (例)怒鳴る・ 「バカ」などの侮辱的な発言 ①挑発に乗らず、怒声や罵声に慌てたり感情的にならない。 ②丁寧な言葉を用いて冷静・沈着に対応する。 「乱暴な言葉はお控えください。」 「大変恐縮ですが、少しお声を小さくしていただけますでしょうか。 」 ※暴言が続くようであれば、管理職が対応を交代 ③相手を挑発し感情を害する言動をしない。 ④不用意な発言をしないよう細心の注意を払い、発言は必要最小限にとど め不必要な議論に立ち入らない。 ⑤ 迷惑行為であることを明確に伝え、対応できない旨を伝える。 「申し訳ございませんが、そのような強いお言葉で話されますと、これ以 上の対応はいたしかねます。 」 ⑥ それでもなお暴言が繰り返される場合、対応を打ち切る。 「対話が不可能と判断いたしますので、電話を切らせていただきます。」 要求型 (例)謝罪・土下座を要求する ①管理職が対応する。 ②相手の言葉を復唱するなどして、要望内容を正確に特定(議論を拡散さ せない) ③5W1Hにより事実関係を確認、 「事実」と「推測」を整理する。 ④組織対応に不備があった場合は、そのことについてのみ限定的に謝罪 ただし個人攻撃については毅然と対応する。 「申し訳ございませんが、私個人の対応についてのお叱り(個人への攻 撃)にはお答えいたしかねます。」 ⑤対応に不備がない場合は、謝罪の必要はなく毅然と対応 「その要求につきましては、規定(又は法令)の範囲外となりますため、 お応えいたしかねます。 」 17
⑥膠着する場合は時間(目安:30 分)で切る。 「これ以上同じご発言(ご要望)を繰り返されるようであれば、誠に 恐れ入りますが、お電話を切らせていただきます」 ⑦切電 威嚇・脅迫型 (例1) 「襲う」 ・ 「殺す」といった脅迫
①対応を管理職に交代する。 ②可能な限り、相手の要望内容を確認する。 「なぜそのようなことを仰るのですか?」 ③教職員や学生・生徒等に危害を加える旨の発言が出た場合は、迷わず即 110 番通報する。 (↑電話を受けている最中に別の人が通報すると尚良い) 余裕があれば、簡単なやりとりの記録ほか、以下についても記録する。 ・性別、年代、声のトーン(興奮している or 冷静)、 ・電話の背景の音(バックに電車や踏切の音、店舗の BGM 等) ・電話のディスプレイ表示(「XXX 電話番号・ “非通知” ・ “公衆電話” 」 ・電話のかかってきた時間、切れた時間 ④守衛に警備強化要請で学生・生徒等及び教職員の安全確保を優先する。 (例2)金品要求 ①要求に応えるかどうかについて回答せず、次のとおり伝える。 「上司が不在で私では判断がつきかねます。折り返し上司から返答させま すので、お名前とご連絡先をお教えいただけますか」 ⇒「いつ戻るか」 「 (連絡先を言わず)いつかけ直せばよいか」等と 執拗に訊かれた場合、 「3 時間ほどで戻る」旨を目安として伝える ②警察に通報。警察に次の電話の対応について指示を仰ぐ セクシュアル (例)性的な内容の発言や質問をする。 ハラスメント ・ 「業務内容に関係ないお話ですので、電話を切らせていただきます。 」 と 型 伝え電話を切る。 ・基本的に回答する必要は無い。 18
(3)対応例~突然の来訪の場合 突発の来訪対応 共通事項 [各類型に共通する留意事項] □教職員は即退避可能なオープンスペース、又は出口側で応対する □「不快な思いをさせたこと」に対してのみの限定的な謝罪をする □相手の言葉を復唱するなどして、要望内容を正確に特定(議論を拡散させない) □5W1Hにより事実関係を確認、 「事実」と「推測」の整理 □ハラスメント行為に対しては、はっきりと
NG を出す □「30 分」を目安に管理職が対応を交代。なお、業務とは全く関係のないハラスメント、 などは、目安時間の経過を待たずに対応を終了する。 □危害を加える発言(予告含む)があった場合、迷わず 110 番通報し、守衛と連絡の上警備 の強化を図る。 (所属長⇒総務部⇒通報が基本。ただし緊急の際は前後してもよい) 居座り ①対応時間(目安:30 分)を超過した場合は退去要求する。 ②それでもなお聞き入れられない場合、所属長から警察に通報する 【ポイント】 退去を要求する際には、総務部に連絡(総務部は守衛室に連絡)し、不測の事 態の発生に備える。 ・退去要求に従わない場合、特に相手が犯罪行為(※)に及んだ場合、直ちに 警察に通報して教職員の安全を確保する ※担当者は自分や他の教職員、学生・生徒等に身の危険を感じた場合、躊躇せ ずに、直ちに警察に通報 暴行 ①退避の上、身の安全を守り、警察に通報する。 (刑法第 208 条の暴行罪に該当するため、上司の判断を待つことなく、ただち に警察に通報する) ②原則的には相手に対して冷静に対応する。 • 学生・生徒等や他の教職員に危害が及ぶ可能性があるため、所属長含め、複 数人で対応する。 • 録音・録画・対応記録などを残し、証拠として提出できるようにする。 19
(4) 対応例~インターネットへの書込み・SNS 投稿の場合 インターネットへの書込み・SNS の投稿への対応 共通事項 □インターネット・SNS の投稿はすぐ削除される可能性があるためスクリーンショットによ る画像や PDF
形式で保存する。 □投稿者の属性、対応年月日・時間、要求内容、対応状況などで、投稿者のプロフィールや リンク、関連するやり取りも保存する (例)名誉を毀損又はプライバシーの侵害となる情報をインターネットに投稿された。 ①総務部や企画・広報部と連携し、投稿について外部から問合せを受けた場合の対応を決定 する。 ②掲載先のホームページ等の運営者(管理者)に削除を求める。 ③投稿者に対して損害賠償等を請求する場合は、弁護士に相談の上、運営者に情報開示を請 求する。 ④投稿者に対する処罰を求める場合には弁護士や警察に相談する。 ⑤解決策や削除の求め方が分からない場合は、以下の専門機関に相談する。 【違法・有害情報センター】 インターネットによる相談受付⇒ https://ihaho.jp/ 【世田谷田谷総合支所:人権擁護相談】 第1木曜日 午後1時30分~午後4時30分(相談希望日の前日午後5時までに申込み) 【東京法務局人権相談】 0570-003-110(ナビダイヤル)平日8時30分~午後5時15分 【法務省人権相談受付窓口】 相談フォームに必要事項を記入して送信⇒最寄りの法務局から後日、メール、 電話又は面談により回答 (5)警察への通報~「110 番」について ① 110 番通報で伝えること 係員が以下のような質問をしますので、落ち着いて状況を伝えてください。 ・何があったか ・通報の何分前のことか ・場所(住所や目標となる店舗や建物、階数等) ・被害や目撃の状況、けが人の有無 ・犯人について(性別、人数、年齢、服装や逃走方向等) ② 学外で、その場所がわからない場合 外出先等で被害にあい、その場所がどこであるかを説明出来ない場合は、交差点や 近くの建物や施設・店舗の名前、電柱番号を伝えると、警察が場所を特定します。 20
⇒「110 番映像通報システム」の活用 現場の状況をスマートフォンで撮影した映像や画像で伝えることができます。 (1) 110 番通報時にオペレーターにその旨を伝えると、警察から SMS で専用の ワンタイム URL
が送信されます。 (2) 利用規約に同意すると、カメラが起動しリアルタイムの映像や撮影済みの 画像を警察へ送信できます。 ③ 110 番につながらない時は 次の方法をとってください。 ・近くの警察署や交番に直接訴え出る。 (あらかじめ、自宅や勤務先等の周辺の警 察署や交番の所在地を確認しておくとよい) ・パトロール中の警察官やパトカーに直接訴え出る。 災害、停電、携帯電話回線のトラブルなどの影響により通信障害が発生し、通報で きなくなった場合は、慌てることなく、周囲に助けを求めて、他のキャリアの携帯 電話、固定電話、公衆電話を利用して通報してください。 (6)警察への相談~#9110 について 警察に相談したいことがあるときには、110 番の前に「#9」をつけて#9110 にかけてく ださい。都内の場合は「警視庁総合相談センター」に繋がります。 ただし都境で#9110 にかけると、近接している他県の警察に繋がる場合があります。 その場合は、 「03-3501-0110」に電話をしてください。 21
1 6 相談体制 (1)昭和女子大学の相談体制 本法人では、カスタマーハラスメントへの対応を現場任せにすることなく、学園全体の問題 として組織的に対応します。教職員の心の健康にも配慮するため、カスタマーハラスメントに 関する相談を受け付ける相談窓口を設置します。 相談に当たっては、規程に基づき、相談者や相談内容に関係する者のプライバシーや名誉を 尊重し、知り得た事実の秘密を厳守します。また、相談等を理由に不利益な取扱いをされるこ とは一切ありません。
① 相談窓口 ・カスタマーハラスメントに関してとして以下の相談窓口を設定する。 相談者は、いずれの相談対応者への相談も可能とする。 【学内】学園本部総務部 部長 菊地原賢一 (内線 1110) 学園本部総務部 総務課 岡部友子 外線直通:03-3411-5123 (内線 1114) 総務課に繋がりますので上記担当者をご指名ください。 メ ー ル:
[email protected]
【学外】晝間法律事務所 担当:晝間光雄弁護士(本法人顧問弁護士) (総務部が取次ぎます) ② 相談方法 ・対面、電話、オンライン、メールで実施する。 ③ 相談対応の手順(所属長・総務部 共通) ・以下の手順で相談対応を実施する。 ✓相談者から聞き取りを行い、発生時の事実関係を確認する。ただし、フラッシュ バックによる二次被害が生じないよう、事案に応じて、状況を把握する他の教職 員(同僚・所属長等)に確認する。 ✓相談者が証拠(対応記録メモ、写真、録音・録画データ等)を保有していれば、 内容を確認する。 ✓客観的な証拠等に基づき、相手方の要求内容の妥当性、要求態様の相当性などを 検討し、カスタマーハラスメントに当たる行為か判断する。 ✓カスタマーハラスメントであると判断した場合、「4 カスタマーハラスメント対 応の基本」及び「5 カスタマーハラスメント対応例」に準じた、適切な対応方 法を指示する。 ✓学園全体に影響が及ぶ可能性のある重大事項であった場合、総務部長は学園本部 長に報告・協議し、常勤役員会に対応方針を上申、理事長が方針を決定する。 ✓カスタマーハラスメントではないと判断した場合、通常のクレーム対応として、 適切な対応方法を指示する。 22
✓相手方によるつきまといや暴力が想定されるなど、緊急性を伴う状況を確認した 場合、所属長又は相談対応者が対応を代わり、相手から教職員を引き離す。ま た、状況に応じて警察や弁護士と連携しながら、安全を確保する。 ④ 相談対応者の留意事項(所属長・総務部 共通) ・相談対応者は、以下の事項に留意して相談対応を実施する。 ✓初期対応が非常に重要であり、適切、迅速に対応する。 ✓相談者にプライバシーを保護し不利益な取扱いをしない旨を伝える。 ✓相談者が対面の相談を望まない場合、他の方法を教示する。
✓相談者の心身の状況に配慮するとともに、話に真摯に耳を傾け、意向に沿い ながら、詰問にならないよう丁寧に聞く。 ✓相談者に心身の不調の兆候がある場合、人事部と連携し産業医、産業カウンセ ラー、臨床心理士等の専門家に相談対応を依頼する。 ✓相談者がステークホルダーからセクシャルハラスメントを受けた事案の場合、 相談者の希望に応じて同性の相談対応者が対応する。 加害者が学生である場合、学生の所属学科及び学生支援課と今後の対応を協議 する(必要に応じて学生相談室とも連携する) 。 (2)再発防止の取組 カスタマーハラスメントの発生後、再発防止に向けて以下の取組を実施します。 ① メッセージ発信 ・教職員、特に所属長に向けて注意喚起等のメッセージを発信する。 ・カスタマーハラスメントは、所属長や教職員の責任ではないこと、事案の報告や相談 によって人事評価が下がることはないこと、適切に報告した場合はむしろ正当に評価 されることなど、併せて周知を徹底する。 ② 事例の検証 ・実際の事例を検証し、新たな防止対策の検討、対応マニュアルの改定、研修の見直し や改善等に役立てる。 ・教職員のプライバシーに配慮の上、同様の問題が発生しないよう情報共有する。 ・カスタマーハラスメントの端緒が、教職員の不適切な言動や対応にあった場合、その 問題点等を改善するための取組を検討する。 ③ 研修の実施 ・事例発生に関わらず定期的な研修を実施する。 ④ カスタマーハラスメント防止体制の見直し ・過去の教職員の相談内容の変化、相談件数の推移、相談対応者の感想等を材料にし て、定期的にカスタマーハラスメント防止体制の見直しを図る。 23
7 1 メンタルケア 本法人は、被害教職員の所属長・相談窓口である総務部・人事部と連携して、産業医などの 外部の専門家も活用しながら、以下の概念に基づき、被害教職員とコミュケーションを図りな がらメンタルケアを行います。 1.「心の境界線」を保つ メンタルケアでは「心の境界線」を保つことが重要です。理不尽な要求や怒りをぶつけ られることでハラスメントの応対者は心理的に消耗します。行為者の感情と自分(教職 員)の感情を切り離し、
「ステークホルダーの怒りは自分の責任ではない」と認識するこ とで、心の負担が軽減されます。 「どれだけ真摯かつ丁寧に対応してもカスタマーハラスメントが発生する場合がある」 という意識を教職員が持つだけでも、平常心を保った対応が可能になります。 2.心身をしっかり休ませる カスタマーハラスメントへの対応後、心身をしっかり休ませることが大切です。応対し た教職員には、休憩を取る、早退させるなどの配慮を行います。 3.一人で抱え込ませない 業務に習熟していない担当者(例:新任者)の応対が原因でカスタマーハラスメントが 発生する場合もあり得ますが、個人を責めることはしません。組織の責任として捉え、 組織的にサポートを行います。 4.長期的なメンタルケア ソーシャルサポート(社会的支援)は、ストレス耐性を高める効果があるとされ、早い 段階で上司や同僚に相談し労いや共感を得ることがストレス軽減につながることが期待 されます。ハラスメント対応の成功例や改善策を共有する場を設けるなど、職場全体で 支え合う雰囲気を醸成します。 心理的なダメージが大きく心の回復に時間がかかる場合は、被害を受けた「数日後」 、 「1週間後」 、 「1か月後」等の定期的なチェックを行います。 真面目で責任感が強い人ほど、時間が経過してから、心理的な負担が表面化することも あります。この場合、医師の診察やカウンセリングを受けることを勧めます。 24
1 8 カスタマーハラスメントの禁止 (1)取引先に対するカスタマーハラスメントの禁止 取引先企業の経営者・従業員に対するハラスメントは、カスタマーハラスメントです。 全ての教職員は、取引に当たっては、本法人の教職員に相対するときと同様に言動に十分に 注意してください。特に、立場の弱い取引先企業に対しては、「無理な要求をしない・させな い」よう十分な配慮が必要です。 令和4年2月に厚生労働省が公表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」で は、
「取引先と良好な関係を築くための好事例」や「取引先との接し方に関する留意点」が示 されています。こうした視点も参考に、適正な企業間取引を推進します。 ◦取引先と良好な関係を築くための好事例 • 取引先はパートナー企業、取引先からの派遣従業員はパートナー従業員と呼び、自 社従業員と同様に扱っている。 • 会社として、各取引先にアンケートを実施している。回答企業は無記名とし、「自社 の社員が暴言をはいていませんか」等の設問を設け、問題のある部署にはヒアリン グを行うようにしている。 • 企業の行動指針として、 「取引先との関係」の項目を設け、自社従業員に他社従業員 への接し方の注意について周知している。 • 被害者だけでなく、加害者にならないよう、コンプライアンスという観点で教育し ている。また、E ラーニング等を通して商習慣の中で過度な要求がないよう、取引 先への伝え方等について指導している。 ◦取引先との接し方に関する留意点 • 業務の発注者、資材の購入者等、実質的に優位な立場にある企業が、取引先企業に 過大な要求を課し、それに応えられない際に厳しく叱責する、取引を停止すること や、業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせることは、独占禁止法 上の優越的地位の濫用や下請法上の不当な経済上の利益の提供要請に該当し、刑事 罰や行政処分を受ける可能性があります。 • ハラスメント以前に、取引先企業の利益を不当に侵害するような行為は控えなけれ ばなりません。 (2)求職者に対するカスタマーハラスメントの禁止 求職者に対する威圧的な言動、人格を否定する言動、不必要に長時間にわたる拘束、性的な 言動、就職活動に便乗した私的な接触の要求その他就職活動における尊厳を傷つける行為は、 就職活動等におけるハラスメントに当たります。全ての教職員は、採用活動に当たって、応募 者一人ひとりの人格と尊厳を尊重し、公正かつ誠実な対応を行わなければなりません。特に、 25
採用・不採用の判断に影響を及ぼし得る立場にあることを十分に自覚し、優越的な立場を利用 した言動や、応募者に心理的負担を与える言動を行わないよう十分注意してください。 令和7年の労働施策総合推進法等の改正により、事業主には就職活動中の求職者に対するハ ラスメント防止のための雇用管理上の措置を講ずることが求められています。本法人において も、採用面接や説明会、インターンシップその他の採用活動のあらゆる場面において、求職者 が安心して応募・選考に臨める環境の確保に努めます。 (3)カスタマーハラスメントの事実確認 本法人と取引先企業との間でカスタマーハラスメントが発生した可能性がある場合、以下の とおり対応します。 ①
教職員が取引先企業等からカスタマーハラスメントを受けた可能性がある場合 ・教職員からの相談に対応する。 ✓「6 相談体制」に記載の内容に基づき対応する。 ・取引先企業に対して協力を依頼する。 ✓ 取引先企業に対して事実関係の確認の協力を依頼する。 ✓ 協力依頼の際は、先入観や偏見を排除し、双方の信頼関係に基づき、適切な 情報提供と調査協力を求める。 ・取引先企業と共同で事実関係を確認する。 ✓ あらかじめ取引先企業との間で決めた調査方法に基づき、双方が協力して取引 先の従業員から事実関係を確認する。 ✓ 状況に応じて顧問弁護士に相談する。 ✓ ハラスメント行為が確認された場合、取引先企業と連携して、適切な措置を 取るための対応策を共同で検討する。 ② 教職員が取引先企業にカスタマーハラスメントを行った可能性がある場合 ・取引先企業の依頼に対して協力する。 ✓ 取引先からハラスメントに関する事実関係の確認の協力依頼があった場合、 先入観や偏見を排除し、双方の信頼関係に基づき適切な情報提供と調査協力を 行う。 ✓ 協力を求められたことを理由として、取引先企業との契約を解除するなどの、 不利益な取扱いを行わない。 ・取引先企業と共同で事実関係を確認する。 ✓ あらかじめ取引先企業との間で決めた調査方法に基づき、双方が協力して 従業員(本法人においては教職員)から事実関係を確認する。 ✓ 状況に応じて顧問弁護士に相談する。 ・カスタマーハラスメントを行った教職員に対して適切な措置をとる。 26
✓ ハラスメント行為が確認された場合、取引先企業と連携して、適切な措置を 取るための対応策を共同で検討する。 ✓ 行為の悪質性等を勘案し、必要に応じて、人事部に報告した上で、服務規程に 基づく懲戒処分の手続に移行する。 27
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付録1 日本私立大学連盟提供 カスタマーハラスメント対応事例 大学とステークホルダーとのより良い関係づくりに係るガイドライン ~雇用管理上の措置義務を踏まえた『カスタマーハラスメント』への対応~ 【対応事例編】(令和8年6月公表)]抜粋 29
①学生からのハラスメント事例 【事例①― 1 】留年学生による担当講師の学外勤務先への直談判 教育・研究活動 対面・電話 卒業がかかった単位科目の成績評価が「不可」となり留年が決定した学生が、 成績照会に係 る学内規程等の範囲を大きく逸脱し、 担当講師へ直接的な抗議行動を璽ねた事例です。
当該学生は学部事務室に対し電話で成績の不服を申し立てた際、 自死を仄めかすような発言 を行って対応職員を精神的に追い詰めました。 さらに、 学部事務室以外にも、 教務部、 学生相 談室、学生部、リスク管理課等にも抗議を行い、さらに担当講師の本業先へ直接電話をかける、 その本業先や講師が教鞭をとる他大学の事務所まで突然押しかけて直談判を試みるなどの行為 に及びました。 学内規程等を無視した言動により学部事務室の通常業務に多大な支障が生じたのはもちろん のこと、 学外の自身の勤務先まで突然訪間された担当講師に甚大な精神的負担を与えました。 また、 教員への直接的な危害の可能性が懸念されたため、 大学側は当該講師の授業時に警備員 を配置する検討や、 法務的観点から次年度の履修取り消し措置を検討せざるを得なくなりまし た。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(費迫・中傷・名巻毀損・侮辱·暴言•土下座の強要等)への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 をご参照ください (12~13 頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 要求と同時に、 学生の精神疾息が疑われるケ ースがあります。 本件のように、 自死を仄め かすケ ースや、 実際にそのリスクが存在するケ ースもあります。 回 自死のリスクがあるようなケ ースでは、 父母等、 主治医、 保健管理センタ ー 等と連携し、 まずは生命の安全を最優先とします。 だからといって成績評価を変更するべきではありま せんが、 関係者の発言がトリガ ー となることはあり得ますので、 医療関係者を中心に、 ど のような発言に注意すべきか、 誰がキーパーソンとなって支援に当たるかを議論すること が考えられます。 回 執拗なつきまとい等が認められる場合には、 後日事実確認ができるよう録音や対応記録を 残すとともに、 学内規程や対応マニュアル等に基づき、 キャンパスや施設への立ち入り制 限等の措置を検討します。 回 当該事案のような場合に、 学生の履修登録を認めない(取り消す)ことについて、 必要に 応じて検討します。 30
【事例①―2】大学院生による迷惑行為と医療機襲受診の拒否 教育・研究活動 対面 ・ メ ー ル 精神的な不安定さを抱える大学院生が、 研究室内外で長時間にわたり複数回の迷惑行為を繰 り返し、
指導教員が休職に追い込まれた事例です。 当該学生は入学当初から教員の説明妨害やつきまとい行為を繰り返し、 器物破損の迷惑行為 を行いました。 執拗かつ攻撃的な発言を受けた指導教員は深刻な精神的苦痛を強いられ医療機 関を受診し、 当該学生との接触を避けるよう診断が下されました。 当該学生が 「原因は指導教 員にある」「研究室で人間関係から切り離された」と相談窓口に主張を続けたことから、研究科 事務室では学生相談室と連携して面談を重ね、 医療機関の受診を強く勧めました。 しかし、 学 生はそれを頑なに拒否するなど、 改善の方向性が全く見られなかったため、 訓告処分を下すこ ととなりました。 別の指導教員への変更を告げた後も、 学生は研究科事務室に数時間居座った りスタッフエリアヘ無断侵入する等の行為を継続しました。 これにより、指導教員の精神的苦痛のほか、 同じ研究室の他学生の研究活動が妨害され、職 員の本来業務に多大な支障が生じ、 器物損壊によるキャンパスの安全性低下も招きました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【身体的な攻撃(暴行 ・傷害)への対応の場合】 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名巻毀損 ・侮辱・暴言 ・士下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り ・監禁等) への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 学生の非違行為に対し懲戒処分を行うことは、 学内秩序維持のためにも必要です。 懲戒処 分の実例は、 他の懲戒処分を行うときの前例、 判断材料にもなりますので、 適切に懲戒処 分を行う必要があります。 一度懲戒処分を行ったにもかかわらず、 更に迷惑行為を行った ということであれば、 その行為に対して懲戒処分を行うことも考えるべきでしょう。 最高 裁判所判決(昭和女子大事件•最三小判昭和49年7月19日)では、 退学処分は学外に排 除することがやむを得ない場合に限るとはされていますが、 一方で、 裁判実務上相当に学 校側の裁量は広く、 懲戒処分を何度も科される場合等には、 退学処分を検討することが考 えられます。 回 当該学生本人の了解のもと、 指導教員、 学生相談室と連携し、 今後の研究活動の進め方等 を整理し、 それに基づき研究活動への支援を丁寧に寄り添い対応することを検討します。 31
【事例①―3】ゼミ配属に襲する不満と教員への直接抗議 薮育・研究活動 l 対面・電話 希望するゼミに配属されなかった学生が、 大学の選考基準や決定プロセスを不服とし、 学内 規程等を逸脱して執拗な抗議を行った事例です。 当該学生 は、
学部事務室に対し 「 成績基準を満たしているのに希望するゼミに配属されない のは不公平だ」 「 高い学費を払っているのに希望する教育を受けられないのはあり得ない」と詰 め寄り、 配属結果を否定する主張を繰り返しました。 さらに、 学部事務室を通さず希望ゼミの 担当教員へ直接連絡を取り、 「 選ばれなかった理由を説明しろ」と面談を強要したり、 大学側に 対し 「 このままでは希望するゼミ活動 が進まないため、 配属を変更すべきだ」 と自身の希望を 最優先する要求を行いました。加えて、「 配属の決め方は不透明であり、SNSで問題提起する」 と、 社会的信用の失墜を示唆する威圧的な発言を繰り返しました。 これにより、 担当教員は本来の研究・教育時間を割いて個別対応を余儀なくされ、 精神的な 負担を強いられました。また、学部事務室においても、学内規程等の再説明や事実関係の確認、 教員 との連絡調整に多大な時間を贄やすこととなり、 他の学生への窓口対応を含む通常業務に 著しい支障をきたしました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名巻毀損・侮辱・暴言・士下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 事前説明等で充分に基準について説明した上で、 再説明は必要最小限とし、 変更はできな いことを告知することが考えられます。 その後の繰り返しの要求に対しては、 各学校法人 の対応マニュアル等に従い、 対応の打ち切りを検討するなどが考えられます。 回 SNSでの問題提起を禁ずることは難しいため、 SNS運用についてル ー ルがあるのであ れば、 そのル ー ルを守るよう指導することが考えられます。 また、 SNSにより、 機密の 漏えいやプライバシ ー の侵害等が行われた場合は、 それを理由に指導や処分を検討するこ とが考えられます。 ル ー ルがない場合も、 個人を特定して誹謗することを行わないよう指 導する、 指導に反した SNS投稿を行った場合には懲戒処分を検討することが考えられま す。 32
【事例①―4】学生による理不尽な要求と暴言 教育・研究活動 対面・電話 履修登録や定期試験の時間をめぐり、 成績優秀であると自負する学生が大学職員に対して執 拗な暴言や理不尽な要求を繰り返した事例です。 春学期の履修登録時、希望科目に落選したことに激高した学生は約40分間にわたり電話で怒 嗚り散らし、暴言を吐きました。後日の窓口来訪時には職員を指差して 「 頭を使え」と侮辱し、
履修追加のための申請書には 「 大学側のル ー ルのせいで受講したくない本講義をやむを得なく 履修することとなった」と記載するなどしたほか、 秋学期には自身が試験時間を勘違いしてい たにもかかわらずタクシ ー 代を要求したり、「 わざと単位を落とさせて授業料を儲けようとして いる」と主張しました。 さらに、 対応した職員に対して 「 大学職員は頭が悪い」 「 君のような社 畜にはなりたくない」といった直接的な暴言を浴びせました。 これにより担当職員には、 激高した相手への長時間の電話対応による精神的苦痛や直接的な 侮辱発言により多くの負担がかかりました。 さらに、 本件への対応のために担当部署内だけで なく複数部署間での情報共有や協議が必要となる等イレギュラ ー な業務も発生し、 通常業務に 多大な支障をきたしました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名巻毀損・侮辱・暴言・士下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 本件 の場合、 教員ではなく、 職員がタ ー ゲットとなっていますが、 学部長等、 学生に対す る指導、 懲戒権限を有する教員と早期に連携をとることや、 相談窓口から教員につなぐこ とが考えられます。 回 学生の暴言については、 学部長等からの指導や、 繰り返される場合には懲戒処分を検討す ることが考えられます。 あまりにひどい場合は退学処分も検討することになりますが、 学 外に放出することがやむを得ない場合に限るとの最高裁判所判決(昭和女子大事件•最三 小判昭和49年7月19日) があることを踏まえると、 慎重に検討する必要があります。 回 履修登録期間や履修登録前などの機会に学生と面談し、 状況確認や履修計画の相談を行う ことを検討します。 33
【事例①―5】成績認定に襲する学生からの疑議 メ ール 教育・研究活動 成績評価の大部分を占めるL MS(Learning Management System)上の最終テストにおいて、 課題を提出したもののシステムに反映されていないとして、 学生が成績認定(単位認定)
の救 済を求めた事例です。 学生は 「以前も同様のエラー があったため、 念のため回答中の様子を動画で撮影している。 提出の根拠になるのでこれを見て成績をつけてほしい」 と主張しました。 教務課が動両を確認 したところ、回答する様子は映っているものの「提出ボタン」を押す瞬間は記録されておらず、 システム上のエラ ー 記録もなく他の受講生は正常に提出できている状況でした。 しかし学生は 「なぜ提出できなかったのか分からないが自分の落ち度ではない。 卒業がかかっているこの科 目を落とされることにより、 これまでの頑張りを否定されるようだ。 対応できないのはおかし い」と主張し、 学部長や別の担当者との面談を要求しました。 学生からの度雷なる電話や窓口での執拗な対応要請が継続し、 担当職員の通常業務の遂行に 大きな支障が生じる結果となりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 をご参照ください(13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 成績や単位認定は、 学生側にとっても利害関係が強く、 特に卒業・修了がかかっている場 合はしばしばトラブルになります。 システムに瑕疵がないか、 成績評価がきちんと履行さ れているか、 日常的に注意を払うことが望ましいと考えます。 回 本件の場合、 提出ボタンを押し忘れたのではないかとの仮説が立つ 一 方で、 学生側の提出 ボタンも押したはずであるとの主張が対立しているため、 主張の対立が判明した時点で、 大学としての考えを伝え、 これ以上は対応できないと都度伝えることが考えられます。 そ の後の繰り返しの要求に対しては、 各学校法人の対応マニュアル等に従い、 対応の打ち切 りを検討するなどが考えられます。 回 なお、 本件の場合、 システム上で提出状況をリアルタイムに確認できる機能が搭載されて いれば、 未然に防げた(解決できた)可能性があります。 システム改修を含めた環境の改 善を図ることが考えられます。 34
【事例①―6】学生生活全般に襲わる複数部署への執拗な相談·要望 教育・研究活動 対面 ・電話 ・メ ー ル 一人の学生から学籍、 履修、 学習支援、
学生支援といった学生生活全般に関わる多岐にわた る事項について、 学内の複数部署に対して相談や要望が寄せられ続けた事例です。 当該学生は自身の要望を叶えるため、 複数部署の窓口を頻繁に訪問したり長時間の電話をか けたりする行為を繰り返しました。 その際、 思い通りにいかないと対応者や支援担当の教職員 に対して非難的 ・攻撃的な言動をとる場面も見られました。 父母等と連携した対応も模索しま したが、 父母等自身も当該学生への対応に深く苦慮している状態で、 家庭との十分な連携によ る解決を図ることが困難な局面が多々ありました。 結果として、 年間を通じて学内の複数部署が継続的かつ断続的に当該学生への対応を求めら れる状況が続き、 各部署で一 定程度の時間的拘束が生じました。 通常の学生対応の範囲を大き く超える対応が必要であったことから、 最終的には顧間弁護士へ相談し、 全学的な対応を検討 する事態に発展しました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損·侮辱・暴言・土下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り ・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 ステ ー クホルダ ー が、 要求先を変更しながら要求を行っていくことはしばしばあります。 大学の学部から学長へ、 学長がダメであれば法人理事や理事長へ、 法人理事や理事長がダ メなら所轄庁へ、 といった形です。 公益通報の場合は公益通報窓口にまわす等適切に対応 する必要がありますが、 そうでなければ、 チ ー ムで対応しつつ、 担当者を決めて対応する ことが考えられます。 また、 一 線を越えた言動に対しては、 指導や懲戒処分を行うことも 考えられます。 回 父母等との連携については、 学生が成人であることに留意し、 個人情報やプライバシ ー の 扱いに配慮する必要があります。 学生の情報を学生の同意なく父母等に提供した場合、 プ ライバシ ー 侵害等として更なるトラブルとなる可能性もあります。 回 退学処分を行わず、 在学契約が存続する場合、 当該学生と日々の学業、 連絡等を継続して 行う必要があるため、 必要に応じて顧問弁護士へ相談し、 今後の対応方針についで慎重に 検討する必要があります。 35
【事例①―7】奨学金書類提出をめぐる学生の暴言 学生支援 対面・電話 給付奨学金の支援区分見直しに際し、 必要な証明書類の提出を求めた大学職員に対して、 学 生が暴言を吐き手続きを怠った事例です。 父親が海外居住のためマイナンバーによる家計審査ができず、 日本学生支援機構からの指示 に基づき、
大学側は当該学生へ所得に関する証明書類の追加提出を電話で依頼しました。 しか し学生は終始態度が悪く、 「 また出さなあかんのかよ、 クソが」といった暴言を職員に浴びせま した。 その後、 9月中旬から翌年1月末までの約4ヶ月閻という長期間にわたり、 母親への連 絡も含めて合計16回ものやり取りを重ねたにもかかわらず、最終的に求められた書類が提出さ れることはありませんでした。 学生自身が申請して受け取る奨学金の手続きであるにもかかわらず、 度重なる催促や暴言の 処理に多大な時間と対応コストを浪費することとなりました。 また、 対応にあたった職員は度 璽なる不遜な態度と心無い言葉によって非常に不快な思いを抱えることとなりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損·侮辱・暴言・土下座の強要等) への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 「 クソが」 というような罵詈雑言は許される言動ではなく、 同様の言動が繰り返される場 合には、 最終的に学内規程に基づく懲戒処分も視野に人れて検討すべきです。 まずは学生 本人及び父母に対し、 「 クソが」というような暴言は許される言動ではなく、今後も同様の 暴言が繰り返される場合は学内規程に基づく懲戒処分を検討することになる旨を注意喚起 する(書面等のエビデンスに残る方法で注意喚起する)、 といった対応が考えられます。 回 再三の要請にもかかわらず必要な証明書類を提出しない、 ということであれば、 給付奨学 金の支援区分見直しに係る手続きは行わない、 という対応が可能かどうかを検討し、 可能 なのであれば、 その旨を併せて書面等で注意喚起する対応も考えられます。 36
【事例①―8】奨学金手続きにおける学生の暴言と依存 学生支援 対面・電話 奨学金を受給している学生が、 制度の仕組みへの不満から職員に暴言を吐き、 その後特定の 担当者に過剰に依存するようになった事例です。 給付奨学金と貸与奨学金の両方を受給している当該学生は、 「 生活保護世帯の給付月額が正し
く反映されていない」「 機関保証の保証料がこんなに商いとは聞いていない」と 一 方的に憤漑し、 「奨学金係のバカ職員が」といった暴言を発しながら何度も電話をかけてきました。 その後、 機関保証から人的保証へ変更する手続きをとりましたが、 今度は特定の担当者を名指しで頻繁 に呼び出すようになりました。 窓口に来ても諸々の手続きを自ら行おうとせず、 係の者に ー か ら説明を求めた上で、システムの操作まで 一 緒に手伝わせるような強い依存状態に陥りました。 対応が特定の人物でないと激怒するため、 特定の担当をすることとなった課員をはじめ、 複 数の課員がこの学生の対応に翻弄され続けました。 結果として、 本来学生自身で行うべき手続 きのために複数の担当者の業務時間が奪われ、 部署全体の業務遂行に大きな影響を及ぼしまし た。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・士下座の強要等) への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 「 バカ職員が」というような罵詈雑言は許される言動ではなく、【事例①一 7】と同様に、 暴言が繰り返される場合には、 学内規程に基づく懲戒処分も視野に入れ、 まずは学生本人 及びその父母にその旨の注意喚起をすることを検討すべきです。 回 学生から特定の職員に対応させるべき旨の 「 指名」がされたとしても、 それに従う義務は ありません。 「 対応する職員は大学が決定するものであって00さんが決定するものでは ないこと/00さんが特定の職員が対応することを合理的理由もなく強要し続けるようで あれば、 そのこと自体がハラスメントであり、 学内規程に基づく懲戒処分の対象となり得 ること」等を告げ、 毅然とした態度で対応すべきであると考えられます。 回 奨学金に関する手続きを合理的理由なく自ら行おうとしないのであれば、 奨学金給付.貸 与の便益を提供する理由はないといえます。 学生本人及び父母等に対し、 その旨も併せて 注意喚起することが考えられます。 37
I ②父母等からのハラスメント事例 I 【事例②― 1 】卒業判定結果を覆すよう求める父母等の弁護士同伴での来訪 教育・研究活動 対面・電話 「卒業」と判定を受けた学生の父母等が、在学 の状態で就職活動等を継続することを希望し、
結果を覆すよう大学へ執拗に迫った事例です。 父母等は「学生が以前窓口 で確認した際は『卒業できない』という回答だった。 窓口の回答 に誤りがあった」 と主張し、 判定の変更を強く要 求しました。 しかし、 同席した学生本人は具 体的にどのような会話をしてどのように回答されたかについて一切説明できず、 客観的な証拠 もありませんでした。 事務室は成績原簿や卒業要件を示し、 成績照会期間も過ぎているため判 定は覆らないと繰り返し説明しました。 それでも納得しない父母等は、 その後数ヶ月にわたり 弁護士を同伴して幾度も窓口へ来訪し、 判定の変更を繰り返し求めました。 繰り返される来室対応により事務室の業務は著しく圧迫されました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・上下座の強要等)への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください (12~13 頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 卒業・修了判定は学生の利害関係が強く、 紛争可能性の比較的高いポイントの一 つです。 シラバスに沿った公平な成績評価を徹底していく必要 があります。 回 また、 利害関係が強いため、 成績評価に関係のない大学側の軽微な落ち度や対応の悪さを 材料として攻撃を受けることもあります。 適切な対応に努めると共に、 すり特えや不当な 攻撃に応じることのないよう、 成績評価に関係のない落ち度があったとしても、 判定が覆 るわけではないことを示すことが考えられます。 回 学生側が弁護士を同席させた場合、大学側も顧問弁護士を同席させることが考えられます。 在学契約を継続しながら弁護士が代理人となる場合、 どの点までを弁護士を通じて対応す べきか判断が難しい場合は、 相手方弁護士に確認をとることが望ましいと考えます。 38
【事例②―2】ペットの死を理由に試験を欠席した学生の父母等からの要求 教育・研究活動 メ ール ペットの死亡のショックを理由に試験を欠席した学生への担当教員のメ ー ル返信に対し、 父 母等が 「対応が不滴切で配慮に欠ける」と大学へ要求をした事例です。
学部事務室が確認のために学生本人と担当教員それぞれと面談したところ、 学生本人は教員 の授業に以前と変わらず積極的に参加しており、 特段の問題はないことが確認されました。 し かし事務室からの報告を受けた父母等は、 「 教員からの報告は事実と異なる」「謝罪がない」と 見解の相違を主張して納得しませんでした。 さらに「子どもはひどく傷ついているため、 今後 は学生本人には直接接触せず、 父固等とのみ交渉を進めろ」との要求をしました。 通常であれば当事者である学生と教員の面談のみで速やかに解決する案件でしたが、 本人の 実際の様子と父母等の主張に大きな乖離があり、 一方的な父母等の介入によって事態が複雑化 しました。 結果として、 事務室は父母等と学生の板挟みとなり、 真意の測りかねる要求への対 応に多大な労力と時間を割かれることとなりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り・監禁等) への対応の場合】 をご参照ください (13 頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 学生との面談では、 学生が本音を話せる場をつくることを心掛け、 その場で話しにくいこ とがあった場合の二次相談機関(学生相談室、 外部相談窓口等) の案内を検討します。 回 父母等と学生は別人格であり、 学生の間題について、 本来優先されるべきは学生の考えで あるはずですが、 学費を負担していることや、 学生を保護したいという気持ちから父栂等 の要求が激しくなることがしばしばあります。 回 本件のように、 学生と父母等の見解が分かれる場合、 学生が成人であること、 在学契約の 当事者は学生であること、 学生の意見を尊璽したいと考えていることを都度伝えることが 考えられます。 それでも父丹等の介入が執拗な場合には、 各学校法人の対応マニュアル等 に従い、 対応の打ち切りなどを検討していくことが考えられます。 回 学生の精神的苦痛を理由として、父母等が科目合格を求めることがしばしば行われますが、 このようなことに応じては、 成績評価の信頼性が毀損されてしまいますから、 断るべきと 考えます。 39
【事例②―3】サ ー クル内のトラブルに関する匿名の父母等からの検証要求 教育・研究活動 メー ル 大学公認サ ー クル内での上級生による威圧的言動や飲酒強要等のハ ラスメントを訴える匿名
通報が父母等から寄せられ、 大学側に独自の調査を執拗に強要した事例です。 学生部がサ ー クル幹部ヘヒアリングを行い「間題は確認されなかった」と報告したところ、 父母等はこの結果に納得せず、 「コ ンプライアンス対応及び相談者保護のあり方そのものに関わ る問題だ」と主張を激化させました。 父母等は学生本人や自身の身元を一 切明かさないまま、 幹部以外の部員への追加ヒアリングの実施を強く求め、 さらには「出席者、 時間・場所、 記録 方法、 質間事項」に至るまで細かく指定した一 方的な条件を提示してきました。 大学側が条件 の一 部を拒否すると「怠慢だ」と外部相談窓口へ苦情を入れ、 一 方的に設定した期日を過ぎる と強い口調で追加ヒアリングの早期の実施を求めました。 長文メ ー ルによる一 方的な主張と、 回答に対する即座の反論や追加質問が繰り返されたこと で、 担当部署は対応に相当の時間と労力を奪われ、 数ヶ月間にわたり業務が阻害される事態に 陥りました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 をご参照ください (13 頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 大学の公益通報規程は、 法律を超えて広い範囲の通報にも対応するものがありますので、 各大学において、 自大学の公益通報規程を確認の上、 対応を検酎する必要があります。 回 公益通報の調査や ハ ラスメントの調査において、 申請者の求める調杏を行う義務はありま せんが、 一 方で、 例えば本件であれば、 申請者が上級者グル ー プの口裏合わせやかばい合 いを懸念しているものであると考えられるため、 幹部以外の学生へのアンケ ー トやヒアリ ングを行うことが望ましかったと思われます。 飲酒強要や威圧的言動、 ハ ラスメントの重 大性等によって、 どのような調査を行うべきか慎重に検討する必要があります。 回 申請者が設定した期日に応じる義務もありませんが、 必要に応じて、 調査期間の目処を伝 える等のエ夫はあっても良いかもしれませんし、 公益通報規程やハ ラスメント規程に調査 期間を定めている場合、 当該期間を守るよう努めるべきだと考えます。 40
【事例②―4】父母等によるコロナ対策体制への電話クレ ー ム 電話 学生支援 新型コロナウイルス感染拡大に伴うオンライン授業体制等に対し、 学生の父母等から大学窓 口へ長時間の電話が期間を空けて複数回寄せられた事例です。 当該父母等は入学式未実施への不満やオンライン授業に対する不信感(教員への批判や施設 利用料の返還要求等)
を抱き、 学生本人が自らの意思でフルオンライン授業を選択しているに もかかわらず、 「 大学の指導不足だ」 と非難して対面授業やハイフレックス化を一 方的に要求し ました。 さらに、 友人関係や成績にも過度に干渉し、 こうしたクレー ムを入れていることを学 生本人には絶対に悟られないようにと要求しました。 1回の電話対応に1時間以上拘束されることもあり、 教務課や学生支援課など関連する複数 部署でそれぞれ30分から1時間弱の対応が発生したことで、組織全体の業務が著しく圧迫され ました。 また、 主に対応を担当した職員に対しては、 教員からも同情されるほどの多大な精神 的負荷がかかり、 翌年度の履修登録時期にも同様の要求が繰り返されるなど、 継続的な対応を 強いられる結果となりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り・監禁等) への対応の場合】 をご参照ください(13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 まず、(内容にもよりますが)友人関係や成績等、 大学として対応できないことについては、 対応できない旨はっきりと述べ、 それでも繰り返す場合には、 各学校法人の対応マニュア ル等に従い、 対応の打ち切りを検討するなどが考えられます。 回 入学式未実施への不満やオンライン授業に対する不信感等については、 対応部署にまわす か、 対応部署であっても、 通話を一 定時間までとし、 それ以上の時間については、 し訳ないのですが」、 と述べてお断りさせていただくことが考えられます。 41 「 大変申
【事例②―5】留学費用の内訳に関する父母等からの執拗なメ ー ル 学生支援 メ ール 学部独自の留学プログラムに関する費用の内訳について、 参加学生の父母等から執拗な問い 合わせが長期間にわたり継続した事例です。 大学側は事前説明会や手続き書類にて費用の大まかな項目と
「 返金は行わない」旨を明記し ていましたが、 留学終了後、 当該父母等から航空券代やビザ代などの詳細な金額提示を求める メ ー ルが届きました。 企画旅行のため旅行業法上も内訳を明示する義務はないと説明したもの の、 父母等は 「 どんぶり勘定だ」 「 自分の仕事(建設関係) では全ての値段が決まっている」と 反発しました。 自身の主張が絶対に正しく、 相手が折れるまで聞き入れさせようとする強い意 志のもと、 「 大学の努力を見せろ」 「 言いっ放しにさせない」等と主張し、 約3ヶ月間にわたり 週1回のペ ー スで長文メ ー ルを送り続け、 その都度丁寧な対応を要求しました。 また、 翌年度 には自身の子供が関係ないにもかかわらず、 事前説明会における想定問答集の作成の 一 方的な 提案や、 新入生向け説明会への反映状況を確認する連絡までありました。 長期間にわたる終わりの見えないメ ー ル対応により担当職員の通常業務に大きな支障が生じ たほか、 精神的な負担も非常に重くのしかかる事態となりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 大学側が説明し、 大学の説明に間違いが含まれていないにもかかわらず、 父母等が自分の 考えを押し付けようとし、議論が平行線ということであれば、 「 大学側の考えに変更はあり ません」と述べ、 「 これ以上回答できません」と明言することが考えられます。 回 一 方で、 大学側の説明が抽象的だった場合に、 より具体的な説明を求めるということであ れば、 基本的には妥当な質間であると考えられます。 議論が平行線となっているのか、 こ ちらの説明が抽象的で、 まだ質問の余地があり、 回答することが望ましいような状態なの かは、 冷静に判断する必要があると考えます。 42
【事例②―6】奨学金申込期間経過後の父母等からの高圧的な電話 学生支援 電話 多子世帯授業料減免の申込を受付期間中に行わなかった学生の父母等が、 期間終了後になっ て特例での申込受付を要求し、 高圧的なクレ ー ム電話を繰り返した事例です。 職員が期間外のため受付不可である旨を伝えると父母等は激高し、
「 学生部長宛に訴えの手紙 を書く」 「 担当者の個人名を言え、 SNSでお前は社会的な制裁を受けるだろう」と脅迫めいた 発言をしました。 さらに 「日本語がたどたどしいから日本人ではないだろう」「担当者は子供が いないから現状を理解できないのだ」といった個人的かつ差別的な暴言まで浴びせました。 こ のような内容について、 大声で高圧的に言われ、 多い日には1日に3回、 数Hにわたり繰り返 されました。終業時刻以降の折り返し電話を強要されることもあり、ひどい時には夜の20時30 分近くまで電話を切らせてもらえない状況が続きました。 これにより、 職員の通常業務が長時間にわたり著しく阻害されただけでなく、 脅迫や差別的 文言による深刻な恐怖と精神的苦痛を与えられる結果となりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・土下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 本事例のような 「 特別扱い」の強要については、 「 言動の内容(要求内容)が社会通念上許 容される範囲を超えるもの」として厚労省指針にいう 「 カスタマ ー ハラスメント」に該当 することは自明です。 加えて、 言動の 「 態様」としても差別的・侮辱的な表現を含む言動 が執拗に繰り返されており、 被害者である職員に対する安全配慮義務を尽くす、 という観 点からも、 当該職員が深刻な精神的ダメ ー ジを受ける前に、 早い段階で管理職等が対応を 引き取ることが求められる事案といえます。 職員のメンタルヘルスケアの観点からの対応 (産業保健スタッフ等との面談の実施等)も検討すべきでしょう。 回 本事例のように、 電話での粗暴な言動が繰り返されるケ ー スにおいては、 通話内容の録音 が重要です。 録音に際しては、 通話相手に対して「本学のマニュアルに則り録音させてい ただきます」等と通告すべきですが、 現に通話相手が粗暴な言動を繰り返しているケ ー ス においては、 上記通告さえしていれば、 通話相手が了解しなくても録音しても構わないも のと考えます。 43
【事例②―7】奨学金成果報告に関する父頼からの暴言・侮辱的な発言 学生支援 電話 成長支援型の奨学金を受給している学生に対し、 義務付けられている報告会の欠席や成果報 告書の未提出を理由に焚学金の返還を求めたところ、 学生の父親から激しいクレ ー ムを受けた 事例です。
担当職員が学生本人及び母親に対して複数回にわたり確認の連絡を入れましたが 一 向に返答 がなかったため、 制度に基づき奨学金の返遠要求を行いました。 すると学生の父親が激高した 様子で電話をかけてきました。 父親は何度も執拗に電話を繰り返し、 奨学金担当者に対する直 接的な暴言や侮辱的な発言を浴びせ、 大学側ヘ 一 方的な謝罪を要求しました。 初期対応にあたった担当職員は、 激しい怒声や常軌を逸した暴言の数々に強い恐怖を感じ、 深刻な精神的苦痛を受けることとなりました。 その後、 事態を収拾するために管理職が対応を 引き継ぎましたが、 父親が落ち着くまでに数日間にわたり合計6回もの長時間の電話対応を強 いられ、 複数の担当者の業務時間が大幅に削られる結果となりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・士下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 電話対応のケ ー スにおいて、 例えば 「 30 分を超えての対応はしない」とのル ー ルを定めて いるからといって、 30 分はいかなる罵詈雑言であっても耐え忍ばなければならないもので はありません(明らかな暴言があった場合は、 30 分以前でも対応を終了することもあり得 ます)。 回 「 録音する」旨を通告し、かつ、実際に録音している(【事例②ー6】の 「 対応のポイント」 ご参照) にもかかわらず、通話相手の焉詈雑言が収まらないようなケ ー スでは、 「 このよう な状況では電話対応はいたしかねますので、 電話を切らせていただきます。 今後も電話で は対応いたしかねますので、 ご質問等があれば••宛の文書かメ ー ルでお願いします」 と 告げて切電し、 その後、 改めて 「 電話での応対には応じられないこと/ご質問等について は••宛の文書かメ ー ルのみ受け付けること」を記載した書面を送付する、 といった対応 が考えられます。 44
【事例②―8】オ ー プンキャンパス時の説明内容を巡る父母等からの抗議 学生支援 電話 オ ー プンキャンパスでの説明と入学後の現状に相違があるとして、 学生の父母等が大学の責 任を追及し、
学費返還まで示唆して執拗な抗議を行った事例です。 当該父母等は、 キャリアセンタ ー に対し「説明された支援が受けられていない」と短期間に 5回もの抗議電話をかけ、 さらに、 管轄外の入試広報課や学部事務室に対しても同様の問い合 わせを執拗に行いました。職員に対し説明責任を厳しく追及し、 「 誤った説明で入学を決めたの だから大学が責任を取るべきだ」と主張。 最終的には学費の返還可能性にまで言及し、 大学の 過失を一 方的に断じる威圧的な態度に終始しました。 この執拗な抗議により、 キャリアセンタ ー のみならず入試広報課や学部事務室の複数部署が 対応に忙殺され、 通常業務が停滞する事態となりました。 事実関係の精査や説明原稿の確認、 部署間での情報共有、 上席への報告といった業務が膨大に発生。 担当職員は、 金銭的な要求を 含む高圧的な言動に晒され、 強い精神的ストレスを抱えることとなりました。 大学全体として も、 広報内容の妥当性検証といった追加の対応を余儀なくされました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 をご参照ください (13 頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 入学前の説明と、 入学後の状況が異なる場合、 しばしばトラブルが生じるところで、 裁判 になったケ ースや、 マスコミに取り上げられる等した大学のケ ースもあります。 回 そのため、 まずは申立側の言い分をよく聴き、 どのような説明が行われたのか、 口頭なの か、 パ ンフレット等に記載があったのか、 相違点が大きなものなのかを冷静に判断する必 要があります。 回 ただ、 見解が食い違う状態となり、 説明が尽くされたにもかかわらず、 同じ要求が繰り返 される場合には、 各学校法人の対応マニュアル等に従い、 対応の打ち切りを検討するなど が考えられます。 45
I ③その他のステ ー クホルダ ー からのハラスメント事例 【事例③―1】大学院不合格者からの執拗な主張と大量の資料送付 各種窓口業務 電話・メ ール
大学院の社会人入試で2年連続不合格となった受験者が、選考結果への不服と入試過程での ハラスメント被害を主張し、大学の複数部署へ長期間にわたり執拗な抗議を行った事例です。 当該受験者は研究科事務室や入試センタ ー に対し、 「 口述試験で意地悪な質間をされた」 「 小 論文の記述が少ない他者が合格するのはおかしい」 「 学部時代の成績は非常に優秀だった」等と 電話やメ ールで繰り返し主張し、1回の通話が70分に及ぶこともありました。対応を打ち切ろ うとすると 「 忙しい中電話している」 「 カスハラではない」と反発して再入電を繰り返し、さら には外部相談窓口へ 「 証拠」と称する大量の資料を送りつけるなど行動をエスカレ ー トさせま した。 約2ヶ月間にわたる長時間の電話対応や各部署間の連携協議により、担当職員の本来業務に 深刻な支障をきたしただけでなく、対応した職員の精神的な負担が極めて大きくなり、対応後 に上司からのメンタルケアやフォロ ー が不可欠となるほど、職場環境に悪影響を及ぼしました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り・監禁等) への対応の場合】 をご参照ください(13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 本事例のように、大学の複数部署を巻き込んだ不当な要求が執拗に繰り返されるケ ー スに おいては、法人本部の法務担当部署 等に対応を 一 元化した上で、当該対応部署名、又は弁 護士名で 「 今後いかなる部署に連絡してきたとしても、大学として要求には 一 切応じられ ないこと/貴殿が要求を繰り返すこと自体が大学の業務を妨害しているものであり、これ 以上同様の要求行動が繰り返されるようであれば業務妨害として法的措置を検討せざるを 得ないこと」を警告することが有益と考えられます。 46 I
【事例③―2】退職教員による図書館での迷惑行為 各種窓口業務 対面 定年退職後も大学図書館を利用し続けている元教員が、 長期間にわたり館内で深刻な迷惑行 為と職員へのハラスメントを繰り返した事例です。 当該退職教員は、 顔見知り以外の職員(特に女性職員)を標的として声を荒げて激しく叱責 したり、 本来の業務範囲を大きく超える理不尽な要求を執拗に繰り返しました。
さらに、 入館 証を提示せず、 免許証で入館ゲ ー トを突破しようと試みたり、 新型コロナウイルス対策のマス ク着用や検温依頼を頑なに拒否したり、 貸出不可に指定されている図書を窓から外へ投げ落と して持ち去ろうとするなど、 悪質かつ暴力的な言動を繰り返しました。 このような激高状態や暴挙に対し、 対応にあたる図書館職員は深い恐怖と報復への不安を抱 き、 深刻な精神的苦痛を強いられることとなりました。 また、 長時間にわたる対応処理によっ て図書館の通常業務に多大な支障をきたしただけでなく、 周囲で学習や研究を行っている他の 学生や利用者へも多大な迷惑と悪影響を及ぼし続ける状態が継続しました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【身体的な攻撃(暴行 ・傷害)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り ・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 当該退職教員に対しては、 顧問弁護士と相談した上で、 速やかに大学施設への出入禁止を 弁護士名で通知し、 それでも従わない場合は仮処分申請や、 建造物侵入として刑事告訴す ることも検討すべき事案と考えられます。 回 当該退職教員はメンタルヘルス面に深刻なトラブルを抱えていることが想定されます。 こ のようなケ ー スでは、 当該退職教員の親族を把握しているのであれば、 当該親族に連絡し て善処を要請することが考えられます。 回 このように、 教職員の安全を脅かす犯罪的行為が特定のステ ー クホルダ ー から行われるこ とが想定されるケ ー スにおいては、 あらかじめ所轄警察に相談に赴き、 即時対応を要請し ておくべきと考えられます。 47
【事例③―3】企業による企業説明会開催の強引な要求 各種窓口業務 電話・メ ー ル 連携事業を行う企業が、 大学との協定内容を無視し、 自社の新卒採用のために強引かつ執拗 な企業説明会の開催督促を繰り返した事例です。 当該企業の担当者は、
学内説明会の開催について、 大学側が手続きや基準を丁寧に説明した にもかかわらず、 キャリアセンタ ー に対し電話5回、 メ ー ル7回という頻度で問い合わせを繰 り返しました。 「 他大学では開催できている」と他大学を引き合いに出して早期の開催を迫り、 さらには担当職員との面会を強引に求 めて開催の正当性を一 方的に主張しました。 連携関係を 背景に、 大学側の運営を軽視するような態度が見受けられました。 これにより、 キャリアセンタ ー の担当職員は、 同 一 内容の複数回にわたる説明や執拗な連絡 への応対に膨大な時間を蒋われ、本来の学生向けキャリア支援業務に多大な影響が生じました。 また、 連携企業であるという立場から無下にもできないという心理的プレッシャ ー も職員に重 くのしかかりました。 特定の企業による身勝手な要求への対応は、 他企業との公平性を保った めの組織的な協議も必要とし、 担当部署全体の業務バランスを著しく崩す結果となりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 本事例のように、 法人組織の社員が、 社員としての職務遂行に際してハラスメント行為を 行ってきているケ ー スにおいては、 「 法人対法人」の問題として対応し、学校法人として当 該所属法人に対して抗議を申し入れ、 適切な指導監督を要請する、 という対応が基本と考 えられます。 48
【事例③―4】卒業生同士の私設ビジネスにおけるトラブルヘの介入要求 ― 各種窓口業務 l 電話・メ ー ル 大学の同窓会組織で知り合った卒業生同士の私的なビジネス上のトラブルに対し、 一 方が大
学へ問題解決に向けた介入を執拗に求めた事例です。 卒業生Aは別の卒業生Bに事業協力を持ちかけ、 契約未締結のまま機密情報を含む資料を送 信してしまいました。 その後、情報の漏洩による多額の損失リスクを恐れたAは、 「 出会いのき っかけが大学の同窓会なのだから大学が責任を持つべきだ」と主張し、 相談窓口に対して 「 B に連絡してメ ー ルを削除させ、 漏洩しないと約束させろ」「理事長に報告しろ」 「 Bの代わりに 大学が自分の事業に協力しろ」等と理不尽な要求を突きつけました。 さらに、 相談窓口がメ ー ル対応のみを原則としているにもかかわらず 「 電話で回答しろ」と一 方的に日時を指定し、 身 の危険を感じている等と主張して広報室などの別部署にも執拗に電話をかけ続けました。 私人間(しじんかん) の個人的なトラブルヘの介入という対応する義務のない案件に対し、 複数部署が度重なる電話やメ ー ルの対応を強要されたことで、 職員の本来業務の遂行に支障を 生じさせる結果となりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい)言動への対応の場合】 をご参照ください(13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 本事例のように、 およそ不当な要求が大学の複数部署を巻き込んで執拗に繰り返され、 各 部署の担当者との間で合理的なコミュニケ ー ションをすることが不可能な事案において は、【事例③一 1】と同様、弁護士名で 「 大学として貴殿の要求には 一 切応じられないこと /これ以上要求行動が繰り返されるようであれば業務妨害として法的措置を検討せざるを 得ないこと」を文書等で警告することを検討すべきと考えられます。 49
【事例③―5】卒業生による施設利用を巡る高圧的な要求 対面 各種窓口業務 大学の施設利用資格がない卒業生が、 施設利用のル ー ルを逸脱した便宜供与を求めて高圧的 な抗議を行った事例です。 当該卒業生は、 一般利用を認めていない体育施設の利用を希望しましたが、
大学側が施設管 理権に基づき断ったところ、 「 自分は卒業生なのだから利用できるはずだ」との主張を展開しま した。 さらに 「 地域貢献を掲げながら卒業生の施設利用を断るのは矛盾している」 と大学の方 針を曲解して攻撃し、 「 対応しないなら、 この実態を広く発信する」と SNS 等での拡散を仄め かす脅迫的な言動に至りました。 責任者との面談を執拗に求め、 複数回にわたり窓口担当者へ 接触を繰り返しました。 この対応により、 施設管理部署のみならず、 卒業生対応や広報を管理する部署も巻き込んだ 対応が必要となりました。 施設利用に係るJレ ー ル等に則った説明を繰り返しても聞き入れられ ないため、 担当職員に徒労感と精神的疲労を与えました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・土下座の強要等) への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 をご参照ください (12~13 頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 本事例のように、 SNS 等で大学の社会的評価を貶める情報拡散行為を行うことを仄めか す言動を行うステ ー クホルダ ー に対しては、 法務担当部署名、 又は弁護士名にて、 大学の 社会的評価を貶めるような情報拡散行為が行われた場合には毅然と法的対応を講ずる旨を 警告することが有益と考えられます。 50
【事例③―6】再入学の学費に襲する大学の幹部職員への取り次ぎ要求 学生支援 l 電話 学費未納で除籍となった元学生が再入学を希望した際、 入学前の学費工面が難しいことを理 由に、 特例措置や個人的なコネクションを求めて大学の幹部職員への取り次ぎを要求した事例 です。 元学生は
「自分は在学中に政治サ ー クルで活動し大学に多大な貢献をした優秀な人物である。 除籍後再入学をしたいが学費のエ面ができない。 大学は優秀な人物に投資をすべきだ」 と主張 しました。窓口担当者が入学に係る制度等を丁寧に説明したにもかかわらず、 「 事務方ではなく 上席の人から直接電話がほしい」 「 大学としてではなく個人間の話を上席の人としたい」 「 誠意 を見せろ」と強く要求し、自身の要望が通らなければ窓口に直接押しかけると仄めかしました。 折り返しの電話を強要し、 そのたびに同じ要求を繰り返す状態に陥りました。 1ヶ月の間に約1時間に及ぶ電話対応が5回発生し、 対応にあたった担当職員の通常業務に 深刻な支障が生じただけでなく、 終わりが見えない要求に対する精神的負担が非常に大きくの しかかることとなりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動(不退去・居座り・監禁等) への対応の場合】 をご参照ください(13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 上司を出す義務もありませんし、 ル ールも説明しているわけですので、 要望には応じるこ とができませんと述べ、 毅然とした態度で対応しても良いケ ー スではないかと考えます。 回 窓口に来られることについては、 対応者をあらかじめ決めておき、 必要に応じて警備員や 警察と相談しておき、 お引き取りいただきたいと述べる、 それでも帰らない場合には不退 去罪で警察を呼ぶ等の対応が考えられます。 回 ご要望に応じることができないと述べているにもかかわらず、 電話が繰り返されるような 場合には、 顧問弁護士からの警告や、 あまりに回数が多い場合は業務妨害罪で警察と連携 をとることも考えられます。 51
【事例③―7】15年前の除籍者からの執拗な電話 各種窓口業務 電話・メ ー ル 学費未納を理由に約15年前に除籍となった元学生から突如問い合わせの電話が入り、非常に 高圧的な言動への対応を強いられた事例です。 当該人物は自身の学籍状態の確認を求めてきましたが、 終始激高しており「時聞が無いから 早く答えろ」と大声で職員を怒嗚りつけました。
本人確認後に除籍の事実を伝えると 「 勝手に 退学にされた」 「 東日本大震災で大学が閉まっていたのに学費を払えというのはおかしい」 「 支 払った学費を返せ」と一 方的な怒りをぶつけ、 裁判や直接訪問しての威圧行為を示唆する脅迫 的な発言も行いました。 職員は激怒する相手を必死になだめながらの対応を迫られる等、 困難なコミュニケ ー ション を強いられました。 年度末の繁忙期とも重なったため、 長時間の拘束により本来業務の遂行に 甚大な支障をきたし、 理不尽な怒声を浴び続けた担当職員の精神的ダメ ー ジは計り知れないほ ど大きなものとなりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・土下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 電話応対のケ ー スにおいて、 通話相手との間で正常なコミュニケ ー ションを行うことが不 可能と判断される場合においては、 一次対応者の心理的負荷が蓄積する前に、 早期に管理 職等が対応を引き取った上で、 「 このような状況では電話対応はいたしかねますので、 電話 ‘ を切らせていただきます。 今後も電話では対応いたしかねますので、 ご 質問等があれば• •宛の文書かメ ー ルでお願いします」と告げて切電することが考えられます。 その上で、 窓口への直接訪問に伴う混乱が想定されるケ ー スなのであれば、 早期に警備部門と連携す るとともに、(住所・連絡先がわかる場合は) 「 電話・窓口 での直接対応は応じかねること /要望は••宛の文書かメ ー ルのみ受け付ける」旨の文書の早期送付を行うことが考えら れます。 52
【事例③―8】近隣住民からの騒音に関する繰り返しの苦情 各種窓口業務 電話 近隣住民が、 大学の管理権限が及ばない学生の私生活頷域に対し、 大学側へ責任を過度に転 嫁し、 執拗に電話を繰り返した事例です。 当該住民は、 近隣アパー
トに住む学生の深夜の騒音を理山に、 学生課と総務課に対し1日に 何度も電話をかけ、 「 お前たちの教育が悪いから夜も眠れない」 「 大学がアパー トを借り上げて いるわけではないが、 看板を背負っている以上、 学長が直接謝りに来るのが筋だ」と、 理不尽 な要求をエスカレー トさせました。 さらに、 「 納得のいく回答があるまで電話は切らない」と宣 言し、 対応者に対して1回あたり1時間を超える拘束を行うなど、 電話口での居座り行為に及 びました。 この執拗な架電により、 学内業務が圧迫されたほか、 対応した職員は、 当該住民の 「 お前は 無能だ」といった人格を否定する内容の罵声により、 深刻なメンタルヘルス不調を訴える事態 にまで発展しました。 大学側 は顧問弁護士と協議し、 これ以上の接触は業務妨害に当たる旨の 警告書を送付することを検討せざるを待なくなりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言・士下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去・居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 キャンパスの近隣住民も大学の大切なステ ー クホルダー である以上、 本事例においては、 大学において対象学生に事実関係を確認し、 然るべき生活指導を行うことはすべきである と考えられます。 しかし、 近隣住民による要求の態様において、 明らかに社会通念上相当 性を欠くレベルに達している、と判断されるのであれば、安全配慮義務を果たす観点から、 一次対応者の精神的ダメ ー ジが蓄積する前に早期に管理職等が対応を引き取るべきである と考えられます。 それでも不当な態様の要求が続く場合は、 各学校法人の対応マニュアル 等に従い、 対応の打ち切りを検討すべきです。 回 なおも不当な対応の要求が続く場合は、 弁護士名での警告文の送付や、 業務妨害罪での警 察への被害相談を検討します。 53
【事例③―9】通学マナ ー を口実とした警備体制の私物化と通学路変更の強要 各種窓口業務 対面 大学周辺の通学路における学生の歩行マナ ー に対し、 近隣住民が 「
自分の家の前を通らせる な」という要求を掲げ、 警備員の配置を執拗に強要した事例です。 当該住民は、 学生が道路に広がって歩く行為を 「 通行の妨げだ」と主張し、 総務担当部署に 対し、 「 明日からこの通りに警備員を常駐させろ」 「 学生全員の通学Jレ ー トを今すぐ変更し、 私 の家の前を通ることを禁止しろ」という要求を突きつけました。 大学側が現実的な対応策(マ ナ ー 啓発や巡回) を提示しても、 「 言葉だけの指導は聞き飽きた」 「 実行しないなら大学の正門 前で抗議活動 を行う」と威嚇。 さらに、 自身の要求が通るまで1 Hに何度も窓口へ現れ、 担当 職員を立たせたまま 「 学生にまともな歩き方も教えられないのか」といった発言を数時間にわ たり繰り返しました。 この執拗な要求と居座りにより、 総務担当部署の通常業務に支障をきたし、 対応した職員は 極度の精神的疲労から不眠や体調不良を訴える事態となりました。 また、 住民の要求に応じる 形で臨時警備員を増員せざるを得なくなりました。 さらに通学路の変更という物理的に困難な 要求に対し、 自治体や警察 との協議を余儀なくされるなど、 学内外を巻き込んだ過大な業務負 担が長期にわたって継続しました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言•上下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 【継続的な(繰り返される)・執拗な(しつこい) 言動への対応の場合】 【拘束的な言動 (不退去·居座り・監禁等)への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 キャンパスの近隣住民も大学の大切なステ ー クホルダ ー である以上、 本事例においては、 当該通学路の歩行マナ ー に関する注意喚起・啓発等、 常識的に求められる改善措置を実施 すべきであると考えられます。 他方、 法上の措置義務を尽くす観点からも、 安全配慮義務 の観点からも、 執拗な要求等により 一 次対応者の精神的ダメ ー ジが蓄積される前に、 管理 職等が対応を引き取ることが求められるとともに、 窓口での執拗な要求や居座り等が継続 されるのであれば、 「本件対応部署は00であり、本件について窓口で要求等されても対応 は応じられない旨」「 窓口での要請行動 を繰り返される場合は、法上の措置義務及び窓口担 当職員に対する安全配慮義務の履行の観点、 並びに良好な教育研究環境の維持の観点から 立入禁止等の対応も検討せざるを得なくなる旨」等を段階的に注意喚起していくことが考 えられます。 それでもなお継続される場合は、 仮処分命令の巾克や、 警察への相談・通報 等の対応が考えられます。 54
【事例③—10】キャンパス周辺での喫煙に関する「晒し動画」の撮影と実名公表の強要 各種窓口業務 対面 大学周辺の歩道における教職員の喫煙マナ ー 違反を捉え、 近隣住民が被写体となった個人の 特定と社会的抹殺を執拗に迫った事例です。 当該住民は、 路上喫煙を行う教職員をスマ
ー トフォンで予近距離から撮影した後、 総務担当 部署へ来訪しました。 その「証拠動画」を示しながら「大学の恥部を録画した。 今すぐこの男 の所属と氏名を教えろ」と個人情報の開示を強圧的に要求。 職員がプライバシ ー 保護の観点か ら拒否すると、 「 隠蔽工作だ」 「 共犯者としてお前の顔もネットに流す」と怒鳴り散らし、 対応 中の職員にカメラを向けて撮影を強行する威嚇行為に及びました。 さらに、 「 大学の公式サイト に実名入りの謝罪文を掲載し、 本人にカメラの前で謝罪させろ。 その動画を俺が確認するまで 帰らない」と、 常軌を逸した要求を行いました。 この要求と撮影行為に対し、 対応した職員は 「 いつネット上に自分の姿が晒されるか分から ない」という不安と恐怖に晒され、 深刻な精神的苦痛を被りました。 窓口業務が数時間にわた って停止しただけでなく、 SNS上での拡散リスクを封じ込めるための法的な削除要請の検討 等にリソ ー スを割かざるを得なくなりました。 くステ ー クホルダ ー からのハラスメントヘの対応> 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名脊毀損・侮辱・暴言・士下座の強要等)への対応の場合】 【威圧的な言動への対応の場合】 をご参照ください(12~13頁)。 く本事例における対応のポイント> 回 路上喫煙を行った教職員に対しては大学として厳正に指導を行い、 それでも改善がなけれ ば懲戒処分も検討することや、 教職員全体に対する路上喫煙禁止等の周知啓発を実施する こと等、 常識的に求められる対応策を講ずることは地域住民に対してしつかり説明すべき であると考えられます。 回 地域住民により応対した職員の肖像権を侵害する態様での情報拡散行為が想定される事態 なのであれば、 弁護士名の文書により、 大学としての謝罪とともに講じる対応策を説明す ることが考えられます。 一方で、 応対職員の肖像権を侵害するような情報拡散行為が現実 に行われた場合には法的措置を含め毅然と対応せざるを得なくなるので、 そのような軽挙 は厳に慎まれるべきことを注意喚起する文書を送付する、 等の対応が考えられます。 55
【抜粋】日本私立大学連盟 大学とステークホルダーとのより良い関係づくりに係るガイドライン ~雇用管理上の措置義務を踏まえた「カスタマーハラスメント」への対応~ 【対応事例編】 12ページ ます。 また事案に応じて、 警察や外部専門家(顧問弁護士等)と連携する必要もあります。 そ の対応は、
事案が発生している場所、 誰の就業環境が害されているか、 誰によるどのような言 動であるか等によって異なります。 また、 複合的な要因を考慮する必要がある事案や、 時間の 経過とともに状況が変化し、 対応の見直しが必要となる事案もあります。 さらに、 ステ ー クホ ルダ ー からの要求に対してどの程度寄り添った対応を行うか、 どの程度毅然とした態度で対応 するかについては、 各学校法人の方針や考え方によります。 しかし、 ステ ー クホルダ ー からのハラスメントに該当すると判断した場合の対応には、(要求 を実現するための)手段・態様ごとに 一 定程度共通する基本的な考え方があります。 以下に厚 労省マニュアル等に基づき作成した対応例を示しますが、具体的な時間や対応方法については、 各大学の実情を踏まえる必要があることに留意してください。 【身体的な攻撃(暴行・傷害)への対応の場合】 ・教職員の安全確保を最優先とし、 危害が加えられないよう 一 定の距離を保ちます。 また、 単 独で対応せず、 管理職や警備員等と連携して複数人で対応します。 ・暴行卯や器物損壊罪等の犯罪行為に該当する可能性があるため、 各学校法人の対応マニュア ル等に従い、 警察へ通報します。 ・記録や証拠を整理・保全するとともに、 学内規程 (施設利用規程や学生の懲戒規程等)に基 づき、 施設への入館停止や懲戒処分等の措置について、 総務・法務部門等の関係部署と連携 して厳正に検討します。 【精神的な攻撃(脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言•土下座の強要等)への対応の場合】 .脅迫的な言動があった場合には、 教職員の安全確保を最優先とし、 単独で対応せず、 管理職 や警備員等と連携して複数人で対応します。 後日事実関係を確認できるよう、 相手に伝えた 上で録音や対応記録を残し、 身の危険を感じる場合には各学校法人の対応マニュアル等に従 い警察への通報を検討します。 ・侮辱的発言や差別的発言等に対しては、 感情的に応じることなく丁寧な言葉で冷静に対応し、 相手の口調にのまれないよう注意します。また、対象となる教職員に直接対応させないよう、 管理職等へ対応を引き継ぐことを検討します。 後日事実確認ができるよう、 相手に伝えた上 で録音や対応記録を残し、暴言等が繰り返される場合には対応を打ち切ることも検討します。 ・性的な言動があった場合には、 不快である旨を明確に伝えます。 録音等により証拠を残しつ つ事実確認を行い、 言動が改められない場合にはその場での対応を打ち切り、 速やかに管理 職等に報告して必要な措置を検討します。 ・執拗なつきまとい等が認められる場合には、 後日事実確認ができるよう録音や対応記録を残 すとともに、 学内規程や各学校法人の対応マニュアル等に基づき、 キャンパスや施設への立 ち入り制限等の措置を検討します。 ・インタ ー ネットやSNS上での中傷等が確認された場合には、 書き込み内容をスクリ ー ンシ ョット等により保存し証拠を保全します。 その上で、 掲載先のサイト管理者に対し、 管理権 限に基づく削除を求めること等を検討します。 12 56
【抜粋】日本私立大学連盟 大学とステークホルダーとのより良い関係づくりに係るガイドライン ~雇用管理上の措置義務を踏まえた「カスタマーハラスメント」への対応~ 【対応事例編】 13ページ 57
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付録 1 日本私立大学連盟提供 カスタマーハラスメントの対応例 付録2 本マニュアル作成にあたり参考にした資料 【厚生労働省】 令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する 法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html
事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等につい ての指針(令和8年2月 26 日厚生労働省告示第 51 号) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf 職場におけるハラスメントの防止のために https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku0 6/index.html 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第 10 章の規定等の運用について(令和 8 年 4 月 24 日雇均発 0424 第2号) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001695607.pdf ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について(令和 8⃣年 4 月 24 日) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001695619.pdf あかるい職場応援団 https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/ 【東京都】 東京都 TOKYO はたらくネット カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針 https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/plan/kasuharashishin/index.html カスタマー・ハラスメント防止のための各団体共通マニュアル https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/plan/kasuharamanual/index.html 【東京都教育委員会】 学校と家庭・地域とのより良好な関係づくりに係るガイドライン https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/202602201700-guideline-for-making-betterrelations-among-schools-families-and-locals-260202rev-pdf 【文部科学省】 学校と保護者・地域住民等とのより良い関係構築のためのガイドライン https://www.mext.go.jp/content/20260828-mxt_kyoikujinzai01-000006216_1.pdf 【日本私立大学連盟】会員登録の上、ログインが必要です。 大学とステークホルダーとのより良い関係づくりに係るガイドライン ~雇用管理上の措置義務を踏まえた『カスタマーハラスメント』への対応~ https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=4832 59
学恋法人昭和女子大学総務部総務課 [TEL 03-3411-5123] 2026 年 10 月 1 日 初版