『UI/UXデザイナーLT会』 https://rakus.connpass.com/event/187048/ で発表したスライドです。
デザイン作業をストップさせない、というようなことではなくて、どうやったら使いやすいデザインにできるのかとか、本当にそれでいいのかといった誰もが思うようなことです。
## 使いにくいシステムの生まれ
昔々、私たちは道具を使って狩りをしていました。行動の結果はそのまま現実に現れます。
これが19世紀頃、電気の登場により、「スイッチを押して隣の部屋の照明を点ける」というようなことができるようになりました。この頃から道具を使った行動と結果は直接結びつかなくなり、使いにくいシステムは生まれてきました。
いまではコンピュータで情報処理をして、より大きなものに働きかけられるようになりました。隣の部屋だけではなく「遠くにあるビルの1階の照明を点ける」ということもできます。
しかし、システムが使いにくかったりエラーが起きたりすると、システムは上手に処理できず、人間がシステムの道具になって働かなければなりません。
運用でカバーする、みたいなことです。
ではどうしたら使いやすくデザインできるのでしょうか。まずは操作と結果が直接結びつくようなUIを目指します。オブジェクト指向なユーザーインターフェイスです。
## 自販機の例
自動販売機を例にして見てみましょう。自動販売機は、飲みものを売っている機械に見えますが、実は計算機です。
例えば現金を使う場合、自販機はおおよそこういう計算をしているはずです。
お金が入るのがトリガーで、入ったお金で購入できる商品のボタンを有効にします。私たちは商品を選択しているつもりですが、計算する金額を入力しています。つまり、支払い手続きのなかの、金額の入力をさせられているのです。
最近の自販機は、ICカードを使うと商品を選んでから支払いできますよね。古い自販機は手続き的でしたが、カードを使う場合はこんな感じです。商品を選択することから始まります。コードは増えますが、人間がより直接的に対象に働きかけられるUIになります。
## ビールの場合
でも、これよりもさらに良いデザインもあります。こんな感じです🍻
これだとオブジェクトをすぐに飲むこともできます。
## 本当にそれで完璧なUIになるのか
……、とはいえ、そういうふうに変えていけば、本当に完璧なUIになるのでしょうか。
最初に、電気とともに使いにくいシステムが生まれた、と言いましたが、それに合わせて人間も変化してきました。
“人々の身体は、教育や生産システムによって規律・訓練され、それまでとは違うものになっていき、効率的に、機械のように滞りなく動く身体が理想とされ、次第次第に、その身体を社会の成員全員が持つことが求められるようになった。” 『ファッションの哲学』
私たちがつくるシステムもモダンですから、UIも当然、合理性を追求します。でも、合理性を追求したその先に、使いやすいシステムが生まれるのでしょうか。であれば、UIはいつ完成するのでしょうか。
## UIは変化そのもの
UIは変化してきましたし、これからもずっと変化していきます。終わりもないし、多分、UIが完成することもありません。
私は最近、こんな風に考えています。ユーザーインターフェイスは変化そのものなのだ、と。ユーザーインターフェイスは人間と機械との変化そのものであり、デザイナーはこの変化に自然でいて、この変化が止まらないよう助ける存在なのだ…、と。
そう思うと「運用でカバーする」というのは、UIを固定して変化を止めているようなものです。そういう意味で、UIを止めないで、といいたかったのです。力を抜いて、勢いを感じながらデザインをつづけましょう。
## UIGen
最後に、私が軽い気持ちで作った「UIGen( https://uigen.jp/ )」を紹介します。 エンティティ、プロパティ、アクションを入力するとオブジェクト指向なUIで見せてくれるというシンプルなジェネレーターです。
ありがとうございました。