定量的な分析を主体とする論文 p ここでの「定量的な分析」は,統計的検定を想定 • 数学的な何らかの証明や,質的観点のみのケーススタディ, 哲学的な論考,などの論文は含まない • EBM※関連の論文や,実験心理学系の論文,などを想定 2 ※ EBM:Evidence Based Medicine ← 正確性よりわかりやすさ重視
u Natureの1500人調査で70%は再現性なし (2016年7月) u 心理学の論文100本中,追試で有意差アリは36% (2015年8月) u などなど 13 参考: https://junkato.jp/ja/blog/2017/07/05/artifact-review- for-replicability/ ※ 再現性の有無と,悪意の有無は別問題
u 論文で得た結論はどういう時に通用するか,もしくは通用しないか, という適用範囲 u リミテーションがはっきりしない論文は怪しい… u 「何にでも使える」「いつでも成り立つ」はかなり不審 p こういう発明・発見は滅多にないし,検証も困難 p だからこそ,そうした理論を作れたら/見つけられたらスゴイ! 18
1クラスには開発した薬 p もう1クラスにはただのジュース …を,飲ませた u その後,辞書を暗記して覚えている 内容を書き出すテストを実施した u 薬を飲んだクラスのテストの点数は 他方に比べて有意に高かった u この薬はいいやつ。 もともと片方のクラスの方 が点数が高かった可能性も (バイアスの存在) 比較対照実験と呼ばれる実験デ ザインです
暗記力が高まる薬品の開発 u 児童の暗記力を高める薬品を作った u 被験者に2万人の小学生を集め ランダムに2群に割り付けし… p 1万人には開発した薬 p 1万人にはただのジュース …を,飲ませた u その後,辞書を暗記して覚えている 内容を書き出すテストを実施した u 薬を飲んだ群のテストの点数は 他方に比べて有意に高かった u この薬はいいやつ。 (もちろんサンプルが少ないのもダメ)
20代,30代だと特殊ではないかもしれないが, 70代の応募者となると,かなり特殊なプロファイルの可能性 p 暗記力を向上させる薬の被験者を募る場合,自由応募で来る人は, そもそも暗記力に不安がある可能性 p 霞ヶ関で働く人の考える世間は,地方で契約社員として 働いている人の考える世間とは違っている可能性 35
さらに学習塾に通わせるなど,教育にコストをかけられる p 上記のプロファイルが似通った層で付き合うので, 子供も勉強するのが当たり前と認識している u …と言った確率が上がって,成績が上がるのかも? p つまり,本当は保護者の学習の重要性の認識が最重要で, それが世帯年収と相関していたのかも?? • 「景気が良くなって世帯年収が上がれば,成績UP!」にはならない 43
研究論文篇: 心理学と関連領域,北大路書房,2005 http://www.kitaohji.com/books/2459_3.html n 山田,村井:よくわかる心理統計(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ),ミネルヴァ書房,2004 http://www.minervashobo.co.jp/book/b48724.html n アメリカ心理学会:APA論文作成マニュアル 第2版,医学書院,2011 http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81317 n エヴェラ:政治学のリサーチ・メソッド,勁草書房,2009 http://www.keisoshobo.co.jp/book/b35050.html n S.B Hulley, et al.:医学的研究のデザイン 第4版 - 研究の質を高める疫学的アプローチ -, メディカルサイエンスインターナショナル,2014 https://www.medsi.co.jp/books/products/detail.php?product_id=3400 44
DOI https://doi.org/10.24458/jaems.22.2_21 u 初等中等教育におけるeラーニング活用教育モデルの構築 と検証 DOI https://doi.org/10.14926/jsise.29.76 u eラーニング・対面講義・グループワークに対する学習者 の認知と成績との関連性 DOI https://doi.org/10.14926/jsise.28.247 46 ※ J-Stage で 適当に選んだものです
…ということも,当然ない u 十分データが取れないこと,検証のしようがないこと, まだ誰も考えてないこと,なども,世の中には沢山あったりする u エスノメソドロジーなど,質的分析も当然大事 n 結局,“信じるか信じないかはあなた次第” u データがある方が「より合理性が高そう」だし, 検証/議論の可能性は高そう 48 ← この辺りは社会学の先生とかに聞いてみよう
数年前にXXXという政策を導入していたからじゃないの? n 社会は基本的に不可逆 u 「XXXはダメだったか,今度はYYYYを試してみるか」 p XXXによって既に,YYYYには耐えられない社会状況になっている可能性 p XXXの失敗経験により,社会が次の実験を受容しない可能性 n 倫理の問題も… u 「学力がすごく上がるかもしれないXXXを試したい!」 p A学校にはXXX,B学校は従来手法…もし,XXXが効果がある場合, B学校の人は機会損失,もしXXXが悪影響ならA学校の人が機会損失 49 RCTが何にでも適用可能・すべき…なわけではない,特に実社会問題には適用困難
別に著者が存在しますので,改変等の際には, それぞれのライセンスに準じてご利用ください p クリップアートのライセンス • http://www.chojugiga.com/terms/ • http://icooon-mono.com/license/ u その他の部分(文字部分のほとんど) p 著作権の放棄はしませんが,再配布,改変,配信等ご自由に! 51