$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Railsで4GBのデカ動画ファイルのアップロードと配信、どう実現する?
Search
Tomohiko SEO
November 08, 2024
Technology
4
980
Railsで4GBのデカ動画ファイルのアップロードと配信、どう実現する?
Kaigi on Rails 2024事後勉強会
https://smarthr.connpass.com/event/331100/
でLTした内容です。
Tomohiko SEO
November 08, 2024
Tweet
Share
More Decks by Tomohiko SEO
See All by Tomohiko SEO
プログラミングが変える未来
asflash8
0
19
僕と小田原とRubyとRails
asflash8
0
120
Other Decks in Technology
See All in Technology
多様なデジタルアイデンティティを攻撃からどうやって守るのか / 20251212
ayokura
0
420
GitHub Copilotを使いこなす 実例に学ぶAIコーディング活用術
74th
3
2.5k
乗りこなせAI駆動開発の波
eltociear
1
1.1k
因果AIへの招待
sshimizu2006
0
940
AWS re:Invent 2025で見たGrafana最新機能の紹介
hamadakoji
0
320
re:Invent2025 コンテナ系アップデート振り返り(+CloudWatchログのアップデート紹介)
masukawa
0
340
日本Rubyの会の構造と実行とあと何か / hokurikurk01
takahashim
4
1k
Sansanが実践する Platform EngineeringとSREの協創
sansantech
PRO
2
780
Reinforcement Fine-tuning 基礎〜実践まで
ch6noota
0
170
[JAWS-UG 横浜支部 #91]DevOps Agent vs CloudWatch Investigations -比較と実践-
sh_fk2
1
250
チーリンについて
hirotomotaguchi
6
1.8k
re:Invent 2025 ~何をする者であり、どこへいくのか~
tetutetu214
0
210
Featured
See All Featured
BBQ
matthewcrist
89
9.9k
JavaScript: Past, Present, and Future - NDC Porto 2020
reverentgeek
52
5.7k
Imperfection Machines: The Place of Print at Facebook
scottboms
269
13k
Site-Speed That Sticks
csswizardry
13
1k
The Myth of the Modular Monolith - Day 2 Keynote - Rails World 2024
eileencodes
26
3.2k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
463
34k
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
231
22k
[Rails World 2023 - Day 1 Closing Keynote] - The Magic of Rails
eileencodes
37
2.6k
Building an army of robots
kneath
306
46k
Cheating the UX When There Is Nothing More to Optimize - PixelPioneers
stephaniewalter
285
14k
Why You Should Never Use an ORM
jnunemaker
PRO
61
9.6k
Designing for humans not robots
tammielis
254
26k
Transcript
Railsで4GBのデカ動画ファイルの アップロードと配信、どう実現する? 2024.11.08 Fri. Kaigi on Rails2024事後勉強会@SmartHR 瀬尾 智彦 SmartHR
プロダクトエンジニア
瀬尾智彦(theo)です。 2023年6月にSmartHR入社 スキル管理・学習管理というプロ ダクトの開発を担当しています。 Rails歴は12年くらい。 今日はプロポーザルを供養しにきました。
スキル管理・学習管理
https://smarthr.jp/function/skill/
https://smarthr.jp/function/learning/
「スキル管理」に学習の管理ができるフィーチャーを開 発することに。開発期間はおおよそ3ヶ月。 自前でスライドや動画の登録や配信ができる仕組みで 動画は1ファイル最大4GBまで扱えるようにしたい。 ※実際はもっと丁寧なコミュニケーションがありました
スキル管理に学習管理ができるフィーチャーを開発す ることに。開発期間はおおよそ3ヶ月。 自前でスライドや動画の登録や配信ができる仕組みで 動画は1ファイル最大4GBまで扱えるようにしたい。 ※実際はもっと丁寧なコミュニケーションがありました
最大4GB
落ち着いて状況を整理しましょう • スキル管理というプロダクトに新たなフィーチャーとして学習管理機能を作る • ユーザーが従業員の学習用にスライドや動画を登録・配信できるシステム • 動画の登録や配信はYouTubeなど外部サービスは利用せずに自前で作る • 開発期間はおおよそ3ヶ月 •
動画は1ファイルで最大4GBまで
動画は1ファイルで最大4GB
SmartHRって技術スタックが統一されているんですよね。 バックエンドはほぼすべてのプロダクトがRailsです。 動画を扱ったプロダクトが他にもあるかもしれない。
SmartHRって技術スタックが統一されているんですよね。 バックエンドはほぼすべてのプロダクトがRailsです。 動画を扱ったプロダクトが他にもあるかもしれない。 なかった😭
実現方法を考える
スキル管理には資格の証明書の写し(PDF or 画像) を保存する仕組みがあり、これを流用できないか?
スキル管理には資格の証明書の写し(PDF or 画像) を保存する仕組みがあり、これを流用できないか? Cloud Runにはhttp/1では最大リクエスト容量が32MBまでしか 受けられない制限が存在します。 https://cloud.google.com/run/quotas?hl=ja#request_limits
スキル管理には資格の証明書の写し(PDF or 画像) を保存する仕組みがあり、これを流用できないか? スキル管理ではサーバーにpumaを利用していて、http/2が利用 できません。nginxを前段に立てるなどすればhttp/2が利用でき ますが、なるべく既存のサーバー構成は変えたくない……。 ※後から気づいたのですがthrusterを利用するという手もあったかもしれません。
社内の有識者やGoogleのサポートエンジニアに相談
社内の有識者やGoogleのサポートエンジニアに相談 署名付きURL/Cookieを利用して、Cloud CDN経由でブラウザ からCloud Storageに直接アップロード&配信をする方式を採用 することにしました。
署名付きURL 署名付き URL は、リクエスト時における制限付きの権限と有効期限が設定された URL です。署 名付き URL のクエリ文字列には認証情報が含まれているので、認証情報を持たないユーザーで もリソースに対して特定の操作を実行できます。
https://cloud.google.com/cdn/docs/using-signed-urls?hl=ja 署名付きCookie 署名付き Cookie は、署名付き URL の代わりとなる手段です。アプリケーションでユーザーご とに数十、数百の URL に個別に署名するのが不可能な場合は、署名付き Cookie によってアク セスを保護できます。 https://cloud.google.com/cdn/docs/using-signed-cookies?hl=ja
ファイルアップロードをシーケンス図で書くと こんな感じです。 1. Rails(アプリケーションサーバー)で動 画ファイル管理用のデータを事前に作 成 2. Railsで署名付きURLを発行 3. ユーザー(管理者)がブラウザから直接
ファイルをアップロード 他にもなりすましを防ぐための仕組みを入 れたりしています。
before after
神資料 https://cloud.google.com/blog/ja/products/gcp/uploading-images-directly-to-clou d-storage-by-using-signed-url?hl=ja
これで4GBの動画ファイルでも無事にアップロードで きるようになりました。よかった。
これで終わりじゃなかった
ファイルは保存できるようになったが、Railsを経由 せずにストレージに保存するため、アップロードが終 わったかどうかを検知できない問題
ファイルは保存できるようになったが、Railsを経由 せずにストレージに保存するため、アップロードが終 わったかどうかを検知できない問題 💡Cloud StorageのfinalizeイベントトリガーでCloud Functionsを起動することでアップロードの検知できるようになり 解決
アップロード後処理をシーケンス図で書くとこ んな感じです。 1. Cloud Storage(GCS)からfinalize イベントをトリガーにCloud Functionsを起動 2. Cloud FunctionsからRailsに後処
理開始のリクエスト 3. Railsからステータス更新などの後処理 を実行 いきなり配信されないようにアップロード用と配信用 のバケットを分ける工夫をしています
これで動画アップロードの完了も無事検知できるよう になった。よかった。
これで終わりじゃな(ry
これでアップロードは検知できるようになったが、 ユーザーの環境に合わせて安全に動画を配信しなけ ればならない問題
突然ですが、動画の形式ってどのくらいあるかご存知 ですか?
コンテナとコーデック • 動画そのもの+音声+メタ情報をまとめたコンテナ(MP4とかWebMとか) • 動画を圧縮してエンコード・デコードするコーデック(H.264とかVP9とか) • 音声を圧縮してエンコード・デコードするコーデック(AACとか) MDN - ウェブ動画コーデックガイド
https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/Media/Formats/Containers
動画って200種類あんねん (CV:アンミカ)
動画のコーデックの深淵を覗いてしまった。 現時点で対応しているコンテナはMP4とMOVのみ。 コーデックは変換しないことに。 (興味がある方がいたら後でお話しましょう)
これでアップロードは検知できるようになったが、 ユーザーの環境に合わせて安全に動画を配信しなけ ればならない問題 配信そのものは署名付きCookieを利用して、CDN経由で CloudStorageから直接配信することで解決
署名付きURL 署名付き URL は、リクエスト時における制限付きの権限と有効期限が設定された URL です。署 名付き URL のクエリ文字列には認証情報が含まれているので、認証情報を持たないユーザーで もリソースに対して特定の操作を実行できます。
https://cloud.google.com/cdn/docs/using-signed-urls?hl=ja 署名付きCookie 署名付き Cookie は、署名付き URL の代わりとなる手段です。アプリケーションでユーザーご とに数十、数百の URL に個別に署名するのが不可能な場合は、署名付き Cookie によってアク セスを保護できます。 https://cloud.google.com/cdn/docs/using-signed-cookies?hl=ja 思い出すシリーズ
なぜ署名付きURLではなく、署名付きCookie? 署名付きURLだとつらいケースがあるからです。 HLSという動画配信の規格があり、雑に言うと動画ファイルを数秒単位で細かく分割し、順番に配 信していくことでネットワーク環境が悪い場合でも、快適に動画を視聴できること特徴です。 ファイルを分割して配信する関係で、ファイルごとに署名が必要になる署名付きURLとは相性が 悪く、将来的にHLSに対応することも考慮して、特定のパス配下のファイルは一括で署名してアク セス可能になる署名付きCookieを利用することにしました。
これで動画アップロード、完了検知、配信も無事できる ようになった。よかったよかった。
まとめ
• 巨大ファイルのアップロードやダウンロード は署名付きURL/Cookieを使おう • Railsは署名付きURL/Cookieの管理な ど適材適所で使おう
ありがとうございました! 今日の話の詳細を同じチームのメンバーがSmartHRのテックブログで公開しています! 学習管理機能の開発において使った技術 https://tech.smarthr.jp/entry/2024/07/31/171330