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情報Ⅰにおける「評価規準の作成」及び「評価の実施」
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アシアル情報教育研究所
October 11, 2021
Education
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情報Ⅰにおける 「評価規準の作成」及び「評価の実施」
10月9日開催の高等学校「情報科」セミナー 情報Ⅰにおける「評価規準の作成」及び「評価の実施」での京都精華大学メディア表現学部鹿野利春教授の講演資料
アシアル情報教育研究所
October 11, 2021
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Transcript
情報Ⅰにおける 「評価規準の作成」 及び「評価の実施」 京都精華大学メディア表現学部 アシアル情報教育研究所顧問 鹿野 利春 2021.10.9 アシアル情報教育研究所無料オンラインセミナー
自己紹介 過去 公立学校教諭 教育委員会 文部科学省 現在 京都精華大学教授 文部科学省視学委員 SecHack365実行委員長 経済産業省有識者会議座長
将来 教員養成課程の改善 STEAM教育の推進 デジタル関連部活動の振興
学習評価の基 本的な考え方 学習評価の基本的な考え方 学習評価の在り方ハンドブック 高等学校編
内容 前提-評価の観点の整理 • 学習評価の変更点 • 学習評価の意義 • 学習評価の基本的な流れ 手順-評価規準の作成 •
内容のまとまりごとの評価規準 事例-単元ごとの学習評価 • 計画から総括,観点別評価
学習指導要領 ・教育目標の再整理 ・内容の再整理 どのように社会・世界と関わり、 よりよい人生を送るか 何を理解しているか 何ができるか 知識・技能 理解していること・できる ことをどう使うか
思考力・判断力・表現力等 学びに向かう力 人間性等 「確かな学力」「健やかな体」「豊かな心」を 総合的にとらえて構造化 評価の観点の整理
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子供たちの 能力を伸ば すには? 態度・ 自己調整力 思考力・判断力 ・表現力 知識・技能 観点別の指導と評価が大切
例として「情報Ⅰ」の「(1) 情報社会の問題解決」をあげる。 (1) 情報社会の問題解決 情報と情報技術を活用した問題の発見・解決の方法に着目し,情報社会の問題を発見・解決する活動を 通して,次の事項を身に付けること。 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 (ア) 情報やメディアの特性を踏まえ,情報と情報技術を活用して問題を発見・解決する方法を身に付ける
こと。 (イ) 情報に関する法規や制度,情報セキュリティの重要性,情報社会における個人の責任及び情報モラル について理解すること。 (ウ) 情報技術が人や社会に果たす役割と及ぼす影響について理解すること。 イ 次のような思考力,判断力,表現力を身に付けること (ア) 目的や状況に応じて,情報と情報技術を適切かつ効果的に活用して問題を発見・解決する方法につい て考えること (イ) 情報に関する法規や制度及びマナーの意義,情報社会において個人の果たす役割や責任,情報モラル などについて,それらの背景を科学的に捉え,考察している。 (ウ) 情報と情報技術の適切かつ効果的な活用と望ましい情報社会の構築について考察すること 学習指導要領は目標を示している 知識 技能 思考 判断 表現
評価規準=学習指導要領が実現された状態 • 「知識・技能」のポイント 「理解する」→「理解している」 「身に付ける」→「身に付けている」 • 「思考・判断・表現」のポイント 「考察する」→「考察している」 「選択すること」→「選択することができる」 •
「主体的に学習に取り組む態度」のポイント 学習活動を踏まえて,文末を「~しようとしている」などとす る(科目の目標(3)を参考にする)。自己調整も入れる。
まとまりごとの評価規準の作成例(抜粋) 学習指導要領 情報やメディアの特性 を踏まえ,情報と情報 技術を活用して問題を 発見・解決する方法を 身に付けること。 評価規準 情報やメディアの特性 を踏まえ,情報と情報
技術を活用して問題を 発見・解決する方法を 身に付けている。 知識 技能 学習指導要領 目的に応じたアルゴリズ ムを考え適切な方法で表 現する。 思考 判断 表現 評価規準 目的に応じたアルゴリズ ムを考え適切な方法で表 現することができる。 学習指導要領 学習指導要領の内容には,学 びに向かう力,人間性等につ いて示されていない。科目の 目標(3)を参考にする。 ※自己調整に関することも入 れる。 科目の目標(3) 情報と情報技術を適切に活用 するとともに,情報社会に参 画する態度を養う。 評価規準 情報社会における問題の発 見・解決に,情報と情報技術 を適切かつ効果的に活用しよ うとしている。また,自己調 整しながら,解決する課程や 解決案を自ら評価し改善しよ うとしている。 主体的に学習に 取り組む態度 目標が実現された状態を記述することで評価規準ができる 目標が達成 された状態
単元の学習評価の進め方 1.目標作成 2.評価規準作成 3.「指導と評価 の計画」作成 4.授業実施 5.観点ごとに 総括 学習指導要領 学習指導要領解説
生徒の実態 前単元までの学習状況 目標が達成された状況を記述 どこで評価するか 何を評価するか Cの生徒への手立てをどうするか 観点別学習状況の評価 生徒の学習改善 教師の指導改善 観点ごとの総括的評価 ここが一番大切 ほぼ,機械的に できる 先生方の経験や 知識が生きる 評価情報の収集 評価に基づく指導 集めた評価情報 それに基づく 評価結果 いわゆる授業設計 指導と評価の実際 ICTの使用も検討 記録しない評価 記録する評価 語尾は 「~する」など 語尾は 「~している」など
1.目標作成→2.評価規準作成 (1) 情報やメディアの特性を踏まえ, 情報と情報技術を活用して問題 を発見・解決する方法を身に付 けるとともに,情報に関する法 規や制度,情報セキュリティの 重要性,情報社会における個人 の責任及び情報モラルについて 理解し,情報技術が人や社会に
果たす役割と及ぼす影響につい て理解する。 知識・技能の目標の作成 目標の分割 単元名:情報社会の問題解決 ①情報やメディアの特性を踏まえ, 情報と情報技術を活用して問題 を発見・解決する方法を身に付 ける。 ③情報技術が人や社会に果たす役 割と及ぼす影響について理解す 評価規準の作成 ②情報に関する法規や制度,情報 セキュリティの重要性,情報社 会における個人の責任及び情報 モラルについて理解する。 ③情報技術が人や社会に果たす役 割と及ぼす影響について理解す る。 ①情報やメディアの特性を踏まえ, 情報と情報技術を活用して問題 を発見・解決する方法を身に付 けている。 ②情報に関する法規や制度,情報 セキュリティの重要性,情報社 会における個人の責任及び情報 モラルについて理解している。 ③情報技術が人や社会に果たす役 割と及ぼす影響について理解し ている。 思考・判断・表現,主体的に学習に取り組む態度については省略
「指導と評価の計画」作成 ①小単元の割当と授業時間数の決定
「指導と評価の計画」作成 ②各授業時間の指導のねらい, 学習活動及び重点,評価方法を 決める ポイント ・ねらい・学習活動 どのようなねらいで,どんな学習活動 を行うかを記述する。 ・重点 授業時間ごとに重点的に評価する観点
に「知,思,態」などの略語を記す。 ・記録 記録して評価の総括で使用するものに 〇印を記す。 ・備考 学習活動の中で,何を評価資料として, どの評価規準で評価するかを記述する。 ①,②などは評価規準と対応させる。 単元の前半は,記録しない評価を中心と して行い,学習成果が見られる後半に評 価を記録して総括につなげるという考え 方もある。
4.授業実施 ①「知識・技能」の評価(例) 事実的な知識 概念等の理解 技能 各教科において習得すべき知識 重要な概念の理解 既有の知識や概念と関連付け活用する中で 他の学習や生活の場面でも活用できる 各教科において習得すべき技能
既有の技能と関連付け活用する中で 他の学習や生活の場面でも活用できる ペーパーテストなどでは バランスに配慮する必要がある 実際に知識・技能を用いる場面の設定 • 生徒が文章による説明をする • 観察や実験を行う • 式やグラフで説明する 多様な表現方法を適切に取り入れる
4.授業実施 ②「思考・判断・表現」の評価(例) 知 識 ・ 技 能 活用 課 題
解 決 思 考 判 断 表 現 • ペーパーテスト • 論述やレポートの作成 • 発表 • グループでの話し合い • 作品の制作や表現 知識・技能を活用して課題解決を行う 多様な学習活動の中で評価 生徒が思考・判断・表現する場を 効果的に設計 ポートフォリオの活用も考えられる ※いくつかの場面を総合して評価
4.授業実施 ③「主体的に学習に取り組む態度」の評価(例) 知識及び技能の獲得プロセス 粘り強い取組を行おうとしている 思考・判断・表現の習得プロセス 自らのの学習を調整しようとしている ノートやレポートの記述 授業中の発言 教師による行動観察 生徒による自己評価,相互評価
一定期間を通じたポートフォリオ的 な評価で態度の変容を見ることも 考えられる 単に継続的な行動や積極的な発言を 行うなど,性格や行動面を評価する ものではない。 ワークシートの設計 ICTを用いた 評価 ルーブリック
5.観点ごとに総括 ①評価記録表の作成例
5.観点ごとに総括 ②総括の進め方の例 (1) 各観点別評価を数値に変換し合計や平均値などを用いる方法 A=3,B=2,C=1と点数化し,観点ごとに合計や平均値を求める。 この合計や平均値によって総括の評価を決定する。 (2) ABCの数のパターンにより,あらかじめ総括された評価を決めておく方法 2回分の評価がどちらもAならA,どちらもBならBというように, パターンごとに総括の評価を決めておく。
(3) 後半の評価を重視する方法 2回の評価が C→A なら A C→B なら B A→C なら C ※実際にはこれらの方法を組み合わせたり,様々な考え方や方法がある。 各学校に置いて工夫することが大切。
このワークシート で評価するもの 知識・技能③ データに含まれる欠損値や外れ値 の扱いやデータを整理,変換する 必要性を理解している。基礎的な 分析及び可視化の方法を理解する とともに技能を身に付けている。 思考・判断・表現① 必要なデータの収集について,選
択,判断し,それに応じて適切な データの整理や変換の方法を判断 することができる。また,分析の 目的に応じた方法を選択,処理し たり,その結果について多面的な 可視化を行うことにより,データ に含まれる傾向を見いだすことが できる。
学習クラウドを利用 した小テストの例
学習クラウドを用い た振り返りの例
まとめ • 生徒の資質・能力を伸ばすためには,観点別の指導と評価が大切 • これからは,「指導と評価の計画」の作成が必要 • 目標→評価規準→指導と評価の計画の順に作成 • 目標の設定が一番大切 •
他教科とカリキュラム・マネジメントを行う際は,その内容に よって目標の設定に影響を受ける • 総合的な探究や特別活動についても「指導と評価の計画」は必要 • 評価情報を集めるのは授業時間だけではない • これからは,評価情報の収集にICTを活用するようになる