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March 18, 2019

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March 18, 2019
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  1. 4.日本酒の作り方(教科書) 1. 原料(酒造好適米)のセレクト 2. 精米 3. 洗米・浸漬 4. 蒸米・放冷 5.

    製麹 6. 酒母造り 7. もろみ(醪)造り 8. 上槽(搾り) 9. ろ過・割水 10.火入れ 6
  2. 4-1.米のセレクト 酒造好適米の特徴 • 大粒 • タンパク質・脂質が少ない • 吸水率が良い • 生育が難しい

    • 外硬内軟(蒸したときに外側が固く内側が柔らかい。麹づくりの話) • 心白がある(白色不透明、スキマが多い) 7
  3. 4-1.米のセレクト • 代表的な酒造好適米 8 1.山田錦(酒米の王) 主な産地:兵庫、福岡、全国 特徴:ふくよかで芳醇 銘柄:獺祭、磯自慢、紀土 2.五百万石 主な産地:新潟など北陸一帯

    特徴:淡麗、すっきり 銘柄:久保田、越乃寒梅 3.美山錦 主な産地:長野、東北 特徴:すっきり、香る 銘柄:真澄 雄町 主な産地:岡山、兵庫 特徴:芳醇、コク、野性味 銘柄:結の結び 出羽燦々(さんさん) 主な産地:山形 特徴:さらりとした飲み口 銘柄:出羽桜、くどき上手 八反錦・八反(はったん) 主な産地:広島 特徴:キレがある、淡麗 銘柄:花浴陽 愛山 主な産地:兵庫の一部のみ 特徴:甘みとコク、高価希少 銘柄:十四代、而今 華思い、華吹雪 主な産地:青森 特徴:山田錦的、すっきり 銘柄:田酒、陸奥八仙、豊盃
  4. 4-2.精米 ・精米:米の不必要部分を削りとる工程。 米(玄米)の外側にビタミン・タンパク質・脂質が多く含まれており、これが雑味を 発生させ香味のバランスを悪くする。 ・精米歩合:削り残った重量の割合 例)精米歩合60%=米の外側を40%削ったもの。 cf.食用米は90%くらい ・大吟醸:精米歩合が1~50%のもの(米を外側から半分以上削る) ・吟醸 :精米歩合が60%以下もの

    (米を外側から40%以上削る) ・吟醸香:高い精米歩合の場合に発生する特有の芳香(エステル香) 高精白(酵母の栄養が不足する)、低温状態など、酵母へのストレスで高級アルコール発生 A カプロン酸エチル(りんご、パイナップル、洋ナシ) B 酢酸イソアミル (メロン、バナナ) Z 酢酸エチル (セメダイン) 「スエチも出ちゃってるなぁ…」 自称辛口酒に多い 9
  5. 4-2.番外編(極端な吟醸香) A パイナップル系 パイナップル系 「鳳凰美田」栃木県小山市 吟醸55% 無濾過 ※アル添酒 12 B

    メロン・バナナ系 メロン系 「勝山 レイサファイア」宮城県仙台市 ひとめぼれ55% 袋しぼり アルコール12%
  6. 4-5.製麹(せいぎく) ・麹:麹菌(麹カビ)が繁殖した米のこと 麹菌はもやし屋さんから購入 ・製麹:米にカビを繁殖させる作業 16 麹の種類 用途 特徴 うんちくメモ 黄麹

    清酒 味噌・醤油 清酒用:糖化力が強い 味噌・醤油用:タンパク質の分解力が強い 発酵はだいたいコレ! 黒麹 泡盛 糖化力が強く、クエン酸を多く生成する 蔵の壁が黒く汚れる※ 1-オクテン3-オール →バニリン 白麹 焼酎 黒麹の変異種 日本酒の場合、白ワインのような風味※ 新政の亜麻猫 紅麹 紅酒(アンチュウ) 中国や台湾で使われる。紅色の色素を出す クモノスカビ リゾープス 紹興酒 老酒 フママール酸、リンゴ酸を生成
  7. 4-5.製麹(せいぎく) ・麹 日本酒 米 + 米麹 焼酎 ◦ + 白麹

    (以下のような例外多数あり) 黒霧島 芋 + 黒麹 霧島 芋 + 白麹 壱岐焼酎 麦 + 米麹 + 地理的要素 球磨焼酎 米 + 麹 + 地理的要素 全量芋焼酎 芋 + 芋麹 (一刻者、宝山、明るい農村…) 泡盛 タイ米 + 黒麹 + 地理的要素 17
  8. 4-6.酒母(酛)つくり 21 生酛系酒母の特徴 速醸系酒母の特徴 育成期間 長い 乳酸菌の育成を待つ必要があり、安全のため の5℃前後の低温で仕込まなければならいた め。 短い

    乳酸菌を育成する期間が必要ない。仕込み温度 が20℃と高いため、蒸米の溶解と糖化が 早い。 コスト 高い 育成期間が長いため速醸系と比較し労力やエ ネルギーなどコストがかかる 低い 育成日数が短いため 品質 一定した品質を得るのに技術を要する 速醸系に比較し様々な微生物が関与するため その管理に手間と技術が必要 一定した品質が得られやすい どんな微生物が繁殖するかわからない生酛系に 比較して、その他微生物の繁殖リスクが低い 味わい 濃醇な酒質 乳酸菌をはじめとするの様々な微生物がもた らす要素が味わいに影響する。乳酸菌は乳酸 以外にも香味に影響する成分を生成する。 淡麗な酒質 乳酸菌がもたらす副産物がない、硝酸還元菌な ど他の微生物がもたらす要素がないため淡麗な 酒質を得やすい
  9. 4-6.酒母(酛)つくり 22 生酛系 生酛 生酛系 山廃酛 明治時代まで行われてきた手法。 米が溶けるまで時間がかかるので 山卸し作業(蒸米を木の棒=櫂 ですりつぶす)が発生。この作業

    で作られるものを生酛と呼ぶ。 すり潰されたことで微生物の環境 が変化し、味わいに影響が出てく る。 重労働な山卸し工程を廃した作り方。 山卸しの有無で成分的な変化が見ら れなかったため、それが発見された 1909年以降主流になる。 「櫂で溶かすな、麹で溶かせ」とい われ、麹の糖化酵素が注目されはじ めている。
  10. 24 4-6.番外編 高温山廃糖化酛 蒸し米・麹・水を50~60℃に保ち 雑菌を排除しつつ糖化する。 そこに酵母・乳酸菌を投下する。 cf.山廃:5℃ 速醸:20℃前後 イットキー 新潟県魚沼市

    玉川酒造 公式HPより 「イットキー (It's the key)とは日本酒の新しい世界の 扉を開く「カギ」をイメージしたお酒です。アルコー ル度は12度とやや低めですが、強めの甘みと酸味が特 徴で、5度以下に冷やして、または50度以上に温めてお 召し上がりいただくのがおすすめです。ステーキやピ ザ、ハンバーガーなどの洋食との相性も抜群です。 ワイングラスでおいしい日本酒アワード2017メイン部 門 最高金賞受賞」
  11. マロラクティック発酵 リンゴ酸(Malic acid)が乳酸(Lactic acid)に変化する発酵 (アルコール非生産)≒熟成 ワインの発酵法として一般的だが、山形県の日本酒づくりでも導入されている ワイン: ドライ → 有機酸

    (リンゴ酸、酒石酸、クエン酸)が少ない。乳酸も少ない。 フルボディ→ 有機酸がたくさん入っているもの。 パン、バター:乳酸の塊で、旨味は乳酸 cf.東欧~ロシアのパン 安いワインは、乳酸が少ないため、発酵食品(乳酸)を合わせると甘みを感じやすい 日本酒づくりは仕上げに乳酸を投与、ワインは硝酸還元菌(亜硝酸を生成)を投与 26 4-6.番外編
  12. 5.分類と特徴 2.マトリクス 日本酒度:残留糖度とほぼ同義。 淡麗:後味がサッと切れる by 緑川酒造高橋専務 日本酒の酸:アミノ酸(旨味成分) 冷旨酸(リンゴ酸、クエン酸) 冷たい温度で美味 温旨酸(乳酸、コハク酸)

    温かい温度で美味 リンゴ酸:収斂していく旨味 クエン酸:爽やかなな酸味 アルコール度数・日本酒度が同程度の場合、酸度 が高いほうが辛口に感じる 酸は味の「輪郭・後味」を担う 43
  13. 閑話休題 旨味成分について グルタミン酸:昆布、チーズ、トマト イノシン酸:かつお、豚肉 グアニル酸:しいたけ 日本酒の有機酸:乳酸、コハク酸、リンゴ酸 → 酸度の測定にあたる。味の輪郭。 日本酒のアミノ酸:アルギニン酸、グルタミン酸、ロイシン、チロシン…20種類 →

    コクのもと Cf.口中調味 グルタミン酸(アミノ酸)+イノシン酸(核酸)=旨味が7倍 貝類(コハク酸)+日本酒(コハク酸)=強烈なうまみではないが、相性が良い cf.牡蠣と白ワイン クエン酸(柚子/すだち)+日本酒(リンゴ酸)=リンゴ酸をまぎらせ甘みがます 秋鮭(グルタミン酸・アスパラギン酸)+日本酒(アミノ酸度高め) 44
  14. 5.分類と特徴 47 分類 年次 グルコース 酸度 カプロン酸エチル 酢酸イソアミル 近年のトレンド 純米大吟醸

    2014年 1.99 1.30 5.92 2.19 グルコースは落ち着いたが 2%以上の甘口が多め 香りはリンゴ系からバナナ 系へ 2015年 2.62 1.34 6.72 2.16 2016年 2.31 1.35 7.03 2.19 2017年 2.43 1.36 6.82 2.22 純米吟醸 2014年 1.75 1.38 4.22 2.66 グルコース、酸の変動は少 なく、バランスは横ばい 香りも純大と同じバナナ系 が増加 2015年 2.07 1.41 4.55 2.69 2016年 2.07 1.41 5.13 2.50 2017年 2.05 1.42 4.60 2.85 純米酒 2014年 1.44 1.39 3.03 2.91 グルコースは1.5%程度で甘 口ブーム前の水準に 香りはバナナ系の増加が目 立つ 2015年 1.72 1.47 2.49 2.97 2016年 1.53 1.46 2.68 3.01 2017年 1.60 1.47 2.74 3.17 グルコース:2.0%未満は淡麗、以上は甘くなる カプロン酸エチル:リンゴ系の香り 酸:~1.3はなめらか、1.4~はしっかり 酢酸イソアミル:バナナ系の香り
  15. エリア分類(佐藤個人による分類) Aエリア :新潟県、北陸 →爽酒 Bエリア :北海道、東北 →薫酒 Cエリア :関東甲信越、静岡県 →薫酒

    Dエリア :岐阜県、愛知県、近畿→醇酒 Eエリア :中国・四国 →醇酒 Fエリア :九州 →醇酒 新潟から陸続きに時計回りに分類 香り、味が段々と強くなっていく法則(例外はたくさんある!笑) 5.分類と特徴 48